その他
ニッテレ債権回収から身に覚えがない通知。対処法を弁護士が解説
借金やクレジットカードの支払い、携帯電話の料金が払えていない人の中に「ニッテレ債権回収株式会社」というところから、取り立てをする旨の通知や、電話がくることがあります。
「そんな所からお金を借りたことはないので、これは架空請求であり無視して良いだろう…」そんな風に考えていると、実は非常に危険である可能性があります。
本記事では、ニッテレ債権回収から身に覚えがない通知が届いた場合の対処方法について、借金問題・債務整理に強い弁護士が解説します。
目次
1.ニッテレ債権回収株式会社からの身に覚えがない書類は無視して大丈夫なのか
まず結論として知っておいて欲しいのは、ニッテレ債権回収株式会社から請求が来ている場合には、それが本当にニッテレ債権回収株式会社からの通知・電話であれば、何らかの対応をする必要がある、ということです。
順を追って説明しますが、ニッテレ債権回収株式会社は債権回収会社(サービサー)という債権回収を業務とする会社です。
何かしらの支払いができていない局面で、債権者がニッテレ債権回収株式会社に回収を委託することがあり、この場合に無視をすることは裁判・強制執行へのリスクを高めることになります。
ニッテレ債権回収株式会社から書類や電話が来ている場合には、以下の内容を確認して適切な処理を行うようにしましょう。
2.そもそもニッテレ債権回収株式会社はどんな会社なのか
そもそもニッテレ債権回収株式会社とはどのような会社なのでしょうか。
2-1.ニッテレ債権回収株式会社とは
ニッテレ債権回収株式会社とは、NTSホールディングス株式会社傘下の債権回収会社(サービサー)です。
東京都港区に本社を置いており、無担保小口債権の債権回収に強みを持つ会社で、借金やクレジットカード代金だけではなく、公共料金・通信販売・情報料などの回収代行・債権譲受を行っています。
札幌から福岡まで8支店、7センターと全国規模の債権回収会社です。
なお社名は前身の「日本テレサ―ビ株式会社」に由来するものであり、テレビ局の日テレとは関係ありません。
2-2.債権回収会社とは
債権回収会社とは、弁護士法72条所定の法律による特例として、特定金融債権の管理・回収を業として行うことができる会社のことをいいます。
債権回収の代行などは本来弁護士法72条に該当するため、業として行うことができるのは弁護士のみとされています。
しかし、弁護士法72条は法律に別段の定めがある場合には、弁護士以外にも例外を認めています。
そして、株式会社債権管理回収業に関する特別措置法(以下サービサー法とします)がこの例外として、サービサー法2条に定める債権(特定金融債権)についての回収を法務大臣の許可を受けた株式会社に業として認める例外を定めています。
ニッテレ債権回収株式会社は、第7号として法務省の許可を得ており、サービサー法所定の債権回収業を営むことが可能です。
この債権回収株式会社はサービサーとも呼ばれます。
サービサー法はバブル崩壊に伴う不良債権の処理をすすめるために制定されたもので、現在でも携帯電話の代金回収のような決めて少額のものから、消費者金融・クレジットカード会社からの30万円~50万円程度くらいまでの金額の債権回収を主に行っています。
2-3.ニッテレ債権回収から連絡が来る理由とは
ニッテレ債権回収から連絡が来るのは、支払い・返済できていない債務の回収のためのものです。
そのため、これにきちんと応じなければ、最悪のケースでは裁判・強瀬執行の対象となるので、きちんと応じる必要があります。
3.ニッテレ債権回収が本物かどうかチェックする方法
ニッテレ債権回収からの連絡については、本物かどうかをチェックする方法を確認しましょう。
3-1.ニッテレ債権回収を騙る架空請求が発生している
ニッテレ債権回収からの請求については、架空請求が問題となっています。
ニッテレ債権回収のホームページには次のような注意喚起が行われています。
架空請求詐欺にご注意ください当社名または、当社と類似の名称をかたった業者による架空の債権請求詐欺にご注意ください。最近、債権回収会社と類似の名称・商号をかたった業者が架空の債権を請求するケースが発生しています。当社は、このような業者とは一切関わりはございません。不審な文書等に記載された携帯電話等の問い合せ先にはご連絡されませんよう、ご注意ください。
引用:架空請求詐欺について|ニッテレ債権回収ホームページ
このような債権回収会社や、債権回収を行っている弁護士の名を騙る架空請求は様々なところで起こっていますが、ニッテレ債権回収については取り扱う債権の量や種類が、債権回収会社の中でも多いので注意が必要です。
なお、これらについて、法務省や国民生活センターでは、「身に覚えのない請求については無視をする」ように促しています。
覚えのない契約の未納料金や損害金について、債権回収業者を名乗る者から和解に関する電話があり、その後、弁護士を名乗る者から和解証明書がメールで届く、といった架空請求の新手の手口に関する相談が国民生活センターに寄せられています。「過去にした契約について未納料金や損害金が発生している」等と、債権回収業者を名乗る者から連絡があっても、身に覚えがない限り、無視をしましょう。
引用:新手の架空請求手口にご注意!債権回収業者から「過去の契約の未納料金・損害金の和解」を求める電話!?|国民生活センターホームページ
しかし、ニッテレ債権回収自体に身に覚えがなくても、つい払い忘れていた、引落しがされなくなっていて放置していた、などで気付かないうちに、ニッテレ債権回収が回収委託を受けていることがあります。
そのため、念のため内容を確認するようにしましょう。
3-2.ハガキや文書による請求のチェック内容
ハガキ・封書などで督促が届いた場合には次の点を確認しましょう。
- 請求についての概要
- 目隠しシールの有無
- 文面
- 連絡先について
- 振込先について
(1)請求についての概要
ハガキや封書に記載されている請求についての概要を確認しましょう。
通常ハガキや封書の内容には、ニッテレ債権回収が請求している内容についての概要されています。
その支払いが行われているかを確認しましょう。
(2)目隠しシールの有無
ニッテレ債権回収からの郵送物に目隠しシールがちゃんとあるかを確認しましょう。
債権回収会社が債権回収にあたって債務者の自宅にハガキで請求する場合には、プライバシー保護の観点から郵送に必要な情報以外のところに目隠しシールを張ることになっています。
ニッテレ債権回収もこのルールに則ってハガキを送っているので、目隠しシールの有無を確認しましょう。
(3)文面
文面に不自然な点が無いかを確認しましょう。
昨今の架空請求のDMなどでは、日本語ではないフォントの漢字が使用されていることもあるほか、きちんとした日本語ではないようなものもあります。
また、存在しない手続きや、事件番号のような記載をして法的手続きの予告やすでに法的手続きになっているような印象を与えて連絡させようとする場合もあります。
フォントや内容に不自然な点は無いかを確認しましょう。
(4)連絡先について
連絡先が正しいかを確認しましょう。
ハガキや封書の中に記載されている連絡先が、本当にニッテレ債権回収の電話番号なのかを確認しましょう。
特に携帯番号であるような場合には、架空請求で用いられる違法に取得した携帯電話である可能性が高いです。
またIP電話(050などで始まる)場合も同様に詐欺であることがあります。
もし架空請求業者相手に電話をしてしまうと、電話番号が架空請求業者に知られてしまうことになるので、電話をする際には注意が必要です。
(5)振込先について
振込先を確認しましょう。
特に個人の名義になっている場合、架空請求業者が用意した違法に収益を得るための他人名義の口座であるといえます。
3-3.電話の場合
電話で請求を受けた場合には次の点について確認しましょう。
- 請求内容に心当たりがあるか
- 着信の番号
- オペレーターの通話に不自然な点が無いか
(1)請求内容に心あたりがあるか
請求内容に心当たりがあるかはハガキ・封書の内容と同様に確認しましょう。
オペレーターに何の支払いができていないのかを聞きます。
内容に心当たりがない場合は、心当たりがない旨を伝えつつ、その支払いがきちんとできているかをもう一度調べましょう。
(2)着信の番号
着信の番号をきちんと確認しましょう。
ニッテレ債権回収は、督促のために使用する番号について、次のように公開しています。
引用:当社名を名乗る不審な電話・SMS(ショートメッセージサービス)にご注意ください|ニッテレ・サービサー
- 0120-481-215(東京サービシングセンターより発信)
- 0120-250-078(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-206-006(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-374-888(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-760-874(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-821-451(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-680-575(福岡サービシングセンターより発信)
- 0120-545-808(福岡コールセンターより発信)
- 0120-152-105(福岡コールセンターより発信)
- 0570-783-890(ドコモdカード受託センターより発信)
- 0570-783-866(ドコモdカード受託センターより発信)
ニッテレ債権回収では過去に03からの番号で架空請求を行っていた旨上記のページで公表していますが、ほかにも携帯電話を利用しての請求が行われている場合もあるので注意が必要です。
(3)オペレーターの通話に不自然な点が無いか
電話に出たオペレーターの通話内容に不自然な点が無いかを確認しましょう。
オペレーターの会話内容があまりにもたどたどしい、会話がきちんと成立しないなどの場合には、かかってきた電話番号や通話の内容についてニッテレ債権回収のコールセンターに問い合わせてみるようにしましょう。
3-4.ショートメッセージの場合
携帯電話のショートメッセージにニッテレ債権回収からメッセージがあった場合には次の点に注意しましょう。
- 請求内容に心当たりがあるか
- 発信元の電話番号
- 文面に違和感がないか
(1)請求内容に心当たりがあるか
請求内容に心当たりがあるかを確認しましょう。
他の方法と同じように、滞納しているものがないかを確認しましょう。
(2)発信元の電話番号
ショートメッセージの発信元の番号を確認しましょう。
ショートメッセージの発信は次の番号から行われることがニッテレ債権回収のホームページで公開されています。
配信元の番号として、以下の電話番号または番号が表示されます。
- 0120-481-215(東京サービシングセンターより発信)
- 0120-206-006(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-374-888(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-760-874(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-821-451(札幌サービシングセンターより発信)
- 0120-680-575(福岡サービシングセンターより発信)
- 0120-545-808(福岡コールセンターより発信)
- 0120-152-105(福岡コールセンターより発信)
SoftBankの場合
引用:当社名を名乗る不審な電話・SMS(ショートメッセージサービス)にご注意ください|ニッテレ・サービサー
0032069000 または +32(0)69000
※上記の番号以外から配信する事はありません。万一、上記の番号以外から受信等された方は弊社「お客様サポートセンター(03-3769-1710)」まで、ご連絡をお願いいたします。
以上に記載されている以外の、個人の携帯の電話番号など、ここに書いているもの以外の番号が用いられている場合には、ニッテレ債権回収に問い合わせてみることをお勧めします。
(3)文面に違和感がないか
ショートメッセ―ジの無いように違和感がないかは、ハガキ・封書などと同様に確認してみましょう。
4.偽物かも?と思った際の対処法
偽物かも?と思った場合には、次のように対処しましょう。
4-1.無視する
連絡先が携帯電話の番号である、文書の内容が明らかにおかしいなど、架空請求であることが明らかな場合には無視しても良いでしょう。
4-2.ニッテレ債権回収に問い合わせをする
電話やショートメッセージの発信番号が上記と合致しているけども、内容に心当たりがない、という場合にはニッテレ債権回収に問い合わせをしてみましょう。
架空請求ではない場合には、何の請求なのかについてきちんと説明してもらえるでしょう。
ニッテレ債権回収への問い合わせは郵送物やショートメッセージに書かれている番号ではなく、ホームページの公式の連絡先を利用しましょう。
5.ニッテレ債権回収に支払いができないときのリスク
ニッテレ債権回収からの請求が架空請求でない場合、支払いができなければ次のようなリスクがあります。
5-1.遅延損害金がさらに増えるリスク
ニッテレ債権回収が正当に取り立てを行っている場合には、すでに何らかの支払いについて延滞している場合であるといえます。
そのためすでに遅延損害金が発生しており、それでもまだ支払いができないとなると遅延損害金がさらに増えるリスクがあります。
5-2.裁判・強制執行が行われるリスク
裁判・強制執行が行われるリスクがあります。
ニッテレ債権回収が正当に取り立てを行っている場合、返済されないのであれば支払いを求めて裁判を起こされます。
裁判が終わってもなお支払いをしない場合には、強制執行が行われます。
6.ニッテレ債権回収による督促の流れ
ニッテレ債権回収による督促は次のような流れで行われます。
6-1.ニッテレ債権回収への委託・債権譲渡
債権者によってニッテレ債権回収への委託・債権譲渡が行われます。
債権者が委託・債権譲渡を行うときには、事前に通知を行うことになっており、返済が遅れたときから始まっている一連の督促書面の中でこの通知が行われています。
6-2.ニッテレ債権回収が取り立てを行う
ニッテレ債権回収が取り立てを行います。
上述したように電話・ハガキ・郵送・ショートメッセージなどの方法によって請求を行います。
6-3.ニッテレ債権回収が裁判・強制執行を行う
ニッテレ債権回収が裁判を提起します。
裁判に勝訴した後に、債務者に対して強制執行を行い、債権回収を行います。
7.ニッテレ債権回収による督促に対応できない際の対処法
ニッテレ債権回収による正当な督促がある場合で、その支払いに対応できない場合にはどう対処すれば良いのでしょうか。
7-1.親族などから借りて債務を支払う
ニッテレ債権回収に委託されている債務の支払いを行います。
ニッテレ債権回収の督促は債権回収のためであり、基本的にはこれを返済するのが基本です。
ニッテレ債権回収から請求されている場合にはすでにブラックリストになっている可能性が高く、また返済ができないような状況であることも併せて、借り換え・おまとめローンの利用は期待できません。
ボーナスなどの臨時収入なども期待できないのであれば、親族などから借りて債務の完済をするのが検討すべきことになります。
7-2.債務整理を行う
支払いができない状態なのであれば債務整理を行います。
債務整理には任意整理・自己破産・個人再生があり、その人の債務の額・返済能力に応じた手続きによって、借金問題を解決します。
8.借金や滞納に困った際に弁護士に相談、依頼するメリット
借金や滞納に困った際に弁護士に相談・依頼するメリットには次のものがあります。
8-1.請求内容について法的に検討してもらえる
債権回収会社などからの請求について、法的に検討してもらえます。
ニッテレ債権回収からの請求なのかどうか、ニッテレ債権回収が請求している内容が適切なものかを検討することができます。
8-2.債務整理をスムーズに進めることができる
債務整理をスムーズに進めることができます。
債務整理といっても上述した通り、その人の債務の額や返済能力によって、適切な手続きが異なります。
弁護士に依頼すれば、適切な手続きを選択して、スムーズに債務整理を進めることができます。
8-3.督促が止まる
弁護士に依頼することで督促が止まります。
貸金業者は、貸金業法21条1項9号で、債務者が弁護士に債務整理を依頼すると、債務者本人に督促できないとされています。
これは貸金業者から債権回収の委託を受けた者が含まれるので、債権回収会社からの請求も含まれます。
弁護士に依頼することで、本人への督促が止まり、落ち着いて手続きを行うことができます。
9.ニッテレ債権回収株式会社に関するよくあるQ&A
ニッテレ債権回収株式会社に関するよくあるQ&Aとしては次のものが挙げられます。
9-1.貸金業者の取り立て規制は債権回収会社にも適用されますか
貸金業者の取り立て規制は、貸金業者から委託を受けた者にも適用されます。
これは、上述の貸金業法21条1項9号の規定だけではなく、他の規定にも広く及びます。
10.まとめ
本記事ではニッテレ債権回収について解説いたしました。
債権回収会社として正規に存在するニッテレ債権回収は、様々な債権の回収の委託を受けています。
多数の債権回収の委託を受けていることから架空請求に名前を使われることが多いので、本当にニッテレ債権回収からの請求かを確認するようにして、本当にニッテレ債権回収から請求がきている場合には、早めに対応するようにしましょう。
私たち法律事務所リーガルスマートは、借金問題・債務整理の専門チームがございます。初回無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
借金による不安やストレスから
抜け出しませんか
借金問題を弁護士に相談する4つのメリット
- 債権者からの督促が止まる
- 弁護士に依頼することで、債権者からの厳しい督促や取り立てがストップします。これにより、精神的な負担が軽減され、問題解決に向けて冷静な行動を取れるようになります。
- 状況に合せた最適な解決法の提案
- 弁護士は、任意整理、個人再生、自己破産などの手続きの中から、状況に合わせた最適な解決方法を選択し、手続きを進めます。これにより、スムーズな解決が期待できます。
- 時間と手間の節約
- 弁護士に依頼することで、債務整理の手続きの手間を大幅に減らすことができます。弁護士が代理人として交渉や手続きを行うため、あなたは日常生活や仕事に集中できます。
- 家族に知られずに手続きが可能
- 弁護士が債権者との連絡窓口となるため、家族に知られることなく手続きを進めることができます。これにより、家族に心配をかけずに問題を解決することができます。
担当者
-
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立
大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
担当記事
- 個人再生9月 9, 2024個人再生でやってはいけないことや失敗した際の対処法を弁護士が解説
- 債務整理9月 9, 2024期限の利益とは?喪失事由、リスクや対処法などを弁護士が解説!
- 債務整理9月 6, 2024借金取り立てで違法になるケースや対処法などを弁護士が解説!
- 債務整理9月 6, 2024ニッテレ債権回収から身に覚えがない通知。対処法を弁護士が解説