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借金取り立てで違法になるケースや対処法などを弁護士が解説!
借金返済ができない場合には債権者は取り立てを行います。
その取り立てについては貸金業法に定められたルールがあり、ルールに違反した場合にはペナルティが課せられることになります。
では、借金取り立てにはどのようなルールがあるのでしょうか。
本記事では借金取り立てで違法となるケースについて、借金問題・債務整理に強い弁護士が解説します。
目次
1.借金の取り立てはどのように行われるのか
借金の取り立てはどのように行われるのでしょうか。
1-1.電話
電話による取り立てはもっとも利用される方法です。
借入をしたときに申告した自宅や携帯電話に電話をして、支払いするように促すことで、借金の取り立てを行います。
昨今では携帯電話が普及しているので、電話で連絡をして未入金であることを知らせるのが一般的です。
1-2.郵送
郵送による通知で借金が未払いになっていることを連絡します。
未払いになっている期間が長くなれば長くなるほど、支払い・連絡をもとめる文言が厳しくなったり、赤い封筒を用いるなどして心理的な圧迫効果を用いるなどすることになります。
1-3.Eメール・SMSメッセージ
EメールやSMSメッセージによって通知を行います。
これらの手段による督促は、フィッシング詐欺として利用される場合もあるので注意しましょう。
1-4.FAX送信
自宅にFAX送信機がある場合には、FAXによる督促が行われる可能性があります。
事業者の間ではFAXを頻繁に利用していることもあるので、FAX送信による取り立てが行われる可能性があります。
1-5.電報
電報による督促が行われる可能性もあります。
かつては利用されたこともあるのですが、現在ではインターネットを用いた督促方法があるので、電報が利用されるケースは少ないです。
1-6.訪問
債務者の自宅を訪問することもあります。
債務者と電話をしても連絡がつかないような場合や、現代では稀ですが電話を持っていない場合には、訪問して取り立てをします。
債務者とトラブルになることも多いので、電話・郵送に比べると行われる頻度は高くありません。
1-7.法的手続き
法的手続きによって取り立てを行います。
上記のような手段によっても借金の返済が受けられない場合には、法的手続きによる回収が行われます。
最終的には債務者の財産に対して強制執行を行うのですが、強制執行を行うためには民事執行法所定の債務名義が必要です。
その債務名義の取得のために、通常は民事訴訟(裁判)を起こします。
ケースによっては支払督促という民事訴訟法に認められている簡易な裁判が行われます。
もし公正証書というものを作成している場合には、裁判等を行わずに強制執行が可能です。
裁判等を行い勝訴判決が確定してもなお支払わない場合には、強制執行が行われます。
1-8.破産申立て等
破産法は債権者によって破産申立てが行えることを規定しています。
破産手続きによって債務者の財産を競売にかけてそこから債権者全員で債権を平等に回収することが可能であり、破産手続きが進められることを嫌がる債務者が支払いに応じる可能性もあります。
もっとも、債権者による破産申立てには、面倒な手続きと破産管財人に対する予納金の納付など費用がかかることになるので、めったに行われません。
2.借金の取り立てで違法となるケース
借金の取り立てで違法となるケースとして、借金の取り立て行為がエスカレートして刑事罰となる場合と、貸金業者が貸金業法に違反した取り立てを行う場合があります。
2-1.借金の取り立て行為が刑事罰にあたる場合
借金の取り立て行為が刑事罰にあたる場合について次のような場合があります。
(1)債権者の自力救済は禁止されている
大前提として、債権者による自力救済は禁止されています。
債権者が法的手続きを経ずに債務者の財産を引き上げるなどの行為をすることを自力救済と呼んでいます。
強制執行などの行為は債務者の財産権を侵害するものなので、債権の存在がきちんと認めらえれることを確認する必要があります。
また、対象となる財産が民事執行法に基づいて差し押さえが禁止されていないことが守られる必要があります。
以上の観点から、たとえ債権者であっても自力救済は認められず、裁判所を通じた強制執行によるべきことになります。
にもかかわらず自力救済を行う場合、相手の財産権の侵害として犯罪となることがあります。
(2)窃盗・強盗罪に該当する行為
債務者の住居に赴いた際に、金銭や金銭に替えられるものを引き上げていくことは窃盗罪(刑法235条)に該当します。
また、これらを盗取する際に、暴行・脅迫によって相手の財産を奪う場合には、強盗罪(刑法236条)に該当します。
自力救済の典型的な例である窃盗・強盗は、窃盗が10年以下の懲役または50万円以下の罰金、強盗が5年以上の有期懲役と非常に重い犯罪であるといえます。
(3)恐喝罪に該当する行為
相手を脅迫して金銭を支払わせる行為は恐喝罪にあたります(刑法249条)。
恐喝罪も10年以下の懲役刑という非常に重い刑罰が設定されています。
(4)その他
そのほか、窃盗目的で住居・建造物に侵入すると住居侵入罪・建造物侵入罪が(刑法130条前段)、取り立てのために自宅に赴き返済するまで帰らないとして退去を求められているのに立ち去らない場合には不退去罪が(130条後段)成立します。
また、脅迫をすることによって脅迫罪(刑法222条)、脅迫をして謝罪や土下座など義務のない行為を行わせた場合には強要罪(刑法223条)が成立します。
2-2.貸金業法に違反する取り立て
債権者が貸金業者である場合・貸金業者から委託を受けて債権回収をしている場合には、貸金業法21条1項に規定されている取り立て規制に違反する行為として違法とされる場合もあります。
(1)取り立てにあたって人を威迫したり私生活・業務の平穏を害する言動をすること
貸金業法21条1項柱書で、取り立てにあたって人を威迫したり、人の私生活・業務の平穏を害するような言動をしてはならないことが規定されています。
(2)午後9時から午前8時までの間の取り立て
貸金業法21条1項1号で、午後9時から午前8時までの間の電話・FAX・訪問は原則として禁止されています。
深夜の電話やFAX・訪問は、寝ているところを邪魔するなど取り立ての方法として適切ではありません。
そのため、正当な理由なくこの時間に取り立て行為を行うことができません。
ただし、夜勤の仕事をしており日中に寝ている方も多くおり、必ずこの規定に従わなければならないのも適切ではありません。
そのため、債務者が希望しているような場合には、午後9時から午前8時までの取り立て行為も認められます。
(3)債務者の勤務先やその他の場所への取り立て
債務者の勤務先やその他の場所への取り立ては原則として禁止されています。
債務者の勤務先に貸金業者の督促の通知を送ったり、直接訪問することは、勤務先に借金の返済ができなくなっていることが分かってしまうものであり、私生活・業務の平穏という観点からは適切ではないためです。
また、例えば連絡先として実家を把握しているような場合に、実家に取り立てをするのも同様に適切ではありません。
そのため、債務者が望んでいるような場合を除いては、勤務先などへの取り立ては禁止されます。
(4)退去を求められているのに退去しないこと
債務者の居宅や勤務先などを訪問した際に、退去するように示したにも関わらず、その場所から退去しないことは禁じられています。
上述の不退去罪にも該当しうる行為で、私生活の平穏を害する行為であるためです。
(5)張り紙・立看板など借入に関する事実を債務者以外の者に明らかにすること
借入に関する事実を債務者以外の者に明らかにすることは、貸金業法で禁じられています。
自宅の近隣に、借金の返済を迫る張り紙・立看板などが行われることは、私生活の平穏を害する行為です。
借入に関する事実を債務者以外の者に明らかにすることが広く挙げられるので、車から拡声器で近隣に聞こえるように返済を呼びかける、SNSで拡散させて人目につくようにするなども該当しえます。
(6)債務者以外の者から資金を調達するように要求すること
貸金業者が債務者以外の人に対して借入れなどをして、返済資金を調達することを要求することも、貸金業法で禁じています。
このような要求をすることを認めることは、債務者の私生活の平穏を著しく害するものであるためです。
(7)債務者以外の者に返済するように要求すること
債務者以外の者に対して返済するように要求することは、貸金業法で禁じています。
借金などの債務は本人が返済すべきものであり、たとえ家族などであっても返済する義務はありません。
このような要求は債務者や債務者の家族の私生活の平穏を害するものであるため、禁止されています。
なお、連帯保証人・保証人がいてこれらの人に請求することは、連帯保証人・保証人が貸金業者に負っている保証債務の履行を求めるものなので、該当しません。
(8)債務者以外の者に取り立てに協力することを要求すること
債務者以外の者に取り立てに協力することを要求することは、貸金業法で禁じられています。
債務者と連絡がとれない場合に、債務者の居場所や連絡先を知らせるように要求することなどの協力を求めることは、債務者以外の人への返済を間接的に求めることにもなりかねず、私生活の平穏を害するためです。
(9)弁護士・司法書士に債務整理を依頼した後の本人への督促
弁護士・司法書士に債務整理を依頼した後の本人への督促は、貸金業法で禁じられています。
弁護士・司法書士に債務整理を依頼した場合、債務整理手続きによって債務の支払いが決まるのであって、本人への請求をして債務整理をあきらめさせようとする恐れがあるなどで、私生活の平穏を害するためです。
(10)債務者に対して禁止されていることをすると告げる
債務者に対して上記の禁止されていることを行うことを告げることは、貸金業法で禁じられています。
例えば現実に夜9時以降に訪問していない場合でも、「夜12時に督促に行きます」と告げることでも私生活の平穏を害します。
そのため、禁止行為をすると告げることも禁止行為に指定されています。
3.闇金が行う借金取り立て方法
ここまで正規の貸金業者についての取り立てについてお伝えしましたが、違法な取り立てを行うことで知られている闇金はどのような取り立てを行うのでしょうか。
3-1.電話・FAXでの督促
電話で督促が行われます。
電話に出ない場合には繰り返し電話をしてきますし、貸金業法に規定されている威迫的な取り立てを行い、時間の規制も守りません。
FAXの番号を知っている場合には、脅迫的な内容のFAX送信を繰り返すこともあります。
3-2.親族や職場等への督促
親族や職場等への督促を行います。
借入の際に親族の連絡先や職場の連絡先を伝えることになります。
これらの連絡先には、威迫的な内容で時間の規制を守らず、第三者への返済を求める内容で督促を行います。
3-3.デリバリー・110番通報などのいたずら
自宅や職場にピザや寿司などのデリバリーを大量に頼んだり、110番通報・119番通報などのいたずらをすることがあります。
3-4.直接訪問をすることは考えづらい
闇金融のイメージとして、直接訪問してきて暴力をふるうなどの行為を行う、というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、闇金融は貸金業法のほかに、利息の上限を定める出資法に違反する行為で、犯罪となるものです。
そのため、身柄を拘束される危険が高まる直接訪問は最近の闇金融は行いません。
あくまで上述したような違法に手に入れた携帯電話等で行える行為に限られます。
4.個人間でも過度な借金取り立ては違法となる
個人間でした借金については貸金業法に基づく規制はありません。
しかし、上述したように刑法に違反すれば、貸金業者ではなくても違法となるので、個人からの借入についても違法となる場合があります。
5.借金の取り立てに悩んだ場合の対処法
借金の取り立てに悩んだ場合の対処方法としては次のものがあります。
5-1.延滞を解消する
当然ですが借金の取り立ては延滞をしたことによって行われるものです。
そのため延滞を解消すれば取り立ては止まります。
ボーナスや臨時収入で返済する、副業や節約をしてをして返済に充てる、親族や知人に借りて返済をして、延滞を解消しましょう。
5-2.延滞する前に貸金業者に連絡する
返済が一時的に難しいような場合には延滞する前に貸金業者に連絡しましょう。
返済が一時的に難しいような場合、貸金業者に連絡をすれば返済内容を一時的に軽減してもらえることがあります。
これらで一時的に返済が難しい状態を乗り切ることも検討しましょう。
このような返済の軽減措置は、延滞をする前に連絡したほうがよいので注意をしましょう
5-3.日本貸金業協会に相談する
貸金業者による違法な取立てについては、日本貸金業協会に相談してみましょう。
日本貸金業協会では、貸金業者の違法な取り立てが行われた場合に、苦情の申立てを行うことができます。
これによって違法な取り立てが行われたときに歯止めがかかることが期待できます。
5-4.債務整理を弁護士に依頼する
返済ができずに取り立てを受け続ける場合には債務整理を弁護士に依頼しましょう。
上述したように、貸金業者は弁護士に依頼すると、取り立てをすることができなくなり、取り立てに悩む必要がなくなります。
6.借金取り立てのトラブルに悩んだ際に弁護士に相談、依頼するメリット
借金取り立てのトラブルに悩んだ際に弁護士に相談・依頼するメリットには次のものがあります。
6-1.取り立て行為が違法かどうか判断することができる
取り立て行為が違法かどうかを判断することができます。
貸金業者は取り立てをするために様々な行為を行うことが予想されます。
通常は取り立て規制や刑法の規定に沿った取り立てを行うのですが、ケースによってはこれらの規制を超える違法な取り立てを行うこともあるでしょう。
これらの行為の何が違法なのか判断するのは通常は難しいので、弁護士に相談すれば明確に違法かどうかの判断ができます。
6-2.債務整理を確実・スムーズに行える
債務整理を依頼すれば、債務整理を確実・スムーズに行うことができます。
債務整理をするには、貸金業者との難しい交渉や、難解で複雑な裁判所への申立て手続きを行う必要があります。
弁護士に依頼すれば、貸金業者との交渉や、申立てを確実かつスムーズに行うことができます。
7.借金の取り立てに関するよくあるQ&A
借金の取り立てに関するよくあるQ&Aとして次のものがあります。
7-1.貸金業者が借金の取り立て規制に違反するとどうなりますか
貸金業者が借金の取り立て規制に違反した場合、刑事罰・行政処分・民事責任に問われる可能性があります。
まず、刑事罰に違反する場合は上述したとおり犯罪となるので、刑事罰が課される可能性があります。
次に、貸金業法21条1項に規定されている取り立て記載に違反した場合も、貸金業法47条の3において2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金刑が規定されており、刑事罰に処せられる可能性があります。
また、貸金業法違反について金融庁から貸金業者に対して各種行政処分が下される可能性があります。
さらには、貸金業法に違反する違法な取り立てによって精神的苦痛を受けたとして、慰謝料請求に応じる義務が発生する場合もあります。
7-2.個人間金融においては貸金業法の適用は絶対にありませんか
昨今、会社ではない個人間金融が、SNSなどを利用して行われることがあります。
金銭の貸付けを業として行う場合には貸金業にあたるとされています(貸金業法2条)。
個人間金融として継続反復してお金を貸して利息の受け取りをする場合に、貸金業を営んでいると判断されることになり、貸金業法の適用を受けることになり、取り立てが違法とされることになります。なお、貸金業者は行政に登録する必要があり、登録なしに貸金業を行うこと自体が違法となります。
そのため、個人間金融において貸金業法の適用があり、取り立て規制が適用される可能性があります。
7-3.闇金融は警察に相談すれば解決しないのか
闇金融は警察に相談しても解決しないことがあります。
闇金融は上述した通り昨今では携帯電話でできる督促ばかりを行い、債務者と接触することがありません。
そのため捜査が難しく、警察も消極的であることがあります。
今すぐに督促をやめさせたいような場合でも、すぐに逮捕することは難しく、警察が闇金融からの電話で警告してくれることがあっても、督促がやむのは一時的であることも珍しくありません。
弁護士に相談すれば、あいての他人名義の銀行口座や携帯電話を凍結するように働きかけてくれるので、解決が早くなります。
そのため、警察だけではなく弁護士にも相談するようにしましょう。
8.まとめ
本記事では借金取り立てで違法になるケースや対処法についてお伝えしました。
借金取り立てについては、行き過ぎた方法によって刑法に違反して刑事罰となったり、貸金業者に関しては貸金業法違反となり、違法となるケースがあります。
取り立てが違法である場合は日本貸金業協会に苦情を伝えることができますが、もしすでに支払いができなくなっている状況なのであれば、弁護士に相談しましょう。弁護士が代理人となって債務整理を行うことですぐに取り立てをやめさせることができます。
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担当者
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■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立
大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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