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年金の特別催告状とは?免除制度や猶予制度などを弁護士が解説!

年金の特別催告状とは?免除制度や猶予制度などを弁護士が解説!
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1.国民年金保険料の特別催告状とは

国民年金保険料の特別催告状とは、日本年金機構から届く、国民健康保険料の滞納に対する請求書です。特別催告状は、ハガキまたは電話で催促された後に届くのが一般的です。

特別催告状は、通常は3回届き、封筒の色が「青→黄→赤」と変わります。信号のように、滞納の状態が継続するにつれて色も変わります。

万が一、特別催告状が届いた場合は、放置せずに開封して中身を確認することが重要です。

この記事では、年金の特別催告状とは何か、免除制度や猶予制度について債務整理に強い弁護士が解説します。

まずは、年金の特別催告状について詳しく見ていきましょう。

1-1.勧告状のハガキも無視した場合

国民年金保険料の納付期限が過ぎたのに支払いをしない場合、まずは勧告状のハガキが届きます。勧告状を無視したり放置したりしていると、年金の特別催告状が届きます。

特別催告状は、封書で送られてくることが多く、中の書面には国民年金保険料の未納期間や金額が記載されています。

振込用紙も同封されているため、滞納している年金保険料の支払いが可能であれば、早い時期に支払うほうがよいでしょう。

1-2.ピンクや赤い封筒が届いた場合は特に注意する

年金の特別催告状は、放置していると3回ほど届き、封筒の色が青、黄、赤(ピンク)に変わります。赤の封筒は、年金の特別催告状が何度も送られて差し押さえに近い状況です。

そのまま特別催告状を無視していると、本当に差し押さえられてしまう可能性があるため、十分に注意しましょう。

ただし、年金の特別催告状はあくまでも納付督励の段階です。納付督励とは、国民年金保険料の自主的な支払いを促すための勧告であり、強制的に支払わせることを目的にするものではありません。

早い時期に適切に対応することで、差し押さえのような大きな問題に発展することを未然に防ぐことができるため、落ち着いて対応することが大切です。

1-3.年金の納付中に催告状が届く場合

国民年金保険料をきちんと納付しているにもかかわらず、年金の特別催告状が届いた場合、以下の可能性が考えられます。

  • 過去に未納期間がある
  • 詐欺の通知が届いている

それぞれ見てみましょう。

まず過去に未納がある場合は、現在はたとえ年金保険料を払っていても、過去に未納だった期間があると通知が届くことがあります。

失業期間中や自営業の間は、その期間中に保険料が未納になっていたかもしれないため、未納の期間がないか、特別催告状の内容を確認してみましょう。

また、国民年金保険料を定期的に支払っている場合に、特別催告状が届いた場合は、詐欺の通知の可能性もあるため、注意が必要です。

特に、封筒や書類に「国民年金機構」「特別催告状」等の記載のないものには要注意です。何かしらの手口で個人情報を取得される可能性もあるため、連絡も避けたほうがよいでしょう。

ちなみに、日本年金機構と名乗ってSMSが届いた場合は、詐欺と考えてよいでしょう。

2.特別催告状を無視するとどうなるのか

特別催告状を無視して国民年金保険料を支払わないままにしておくと、以下のようなことが起こる可能性があります。

  • 電話などによる督促
  • 最終催告状の送付
  • 督促状の送付、強制撤収の開始
  • 差押予告通知の送付、財産の差押
  • 障害年金や遺族年金が受け取れない

それぞれ見ていきましょう。

2-1.電話などによる督促

特別催告状を無視すると、まずは日本年金機構から年金の督促を委託されている業者から、保険料の督促の電話がかかってきます。

業者からの電話は、無視していても継続的にかかってくることが多く、電話にでなければ自宅に訪ねてくるケースも少なくありません。

ただし、業者の訪問員は支払いを促す目的で訪問しているため、現金を要求してくることはほとんどありません。

2-2.最終催告状の送付

業者からの電話や訪問での督促に対応しない場合は、最終の催告状が送られてきます。最終催告状は、納付督励の最後の段階に届きます。

最終催告状に記載されている支払期日までに支払わないと、強制的に滞納分を取り立てる強制撤収が行われます。

2-3.督促状の送付、強制撤収の開始

最終催告状の支払期日までに保険料を支払わなかった場合は、督促状が送付されます。督促状は「強制撤収」の最初の段階に届くものです。

督促状や強制撤収の期間には、以下の点に注意してください。

  • 世帯主、配偶者宛にも送付される
  • 指定期間を過ぎると延滞金が加算される

(1)世帯主、配偶者宛にも送付される

年金保険料の被保険者に世帯主および配偶者がいる場合は、これらの人にも督促状が送付されます。これらの人々は、年金保険料の連帯納付義務者であるからです。

(2)指定期間を過ぎると延滞金が加算される

督促状の指定期限を過ぎると、期日を破った損害賠償金として延滞金が加算されることになります。

延滞金は、本来の支払期日の翌日から、実際に支払った日の前の分まで加算されるようになります。計算式は、以下の通りです。

延滞金=延滞保険料×延滞金の割合(%)×延滞日数÷365

延滞期間が3か月を過ぎると、延滞金の割合が高くなるため注意してください。

2-4.差押予告通知の送付、財産の差押

特別催告状や督促状を無視していると差押予告通知書が届き、最終的に財産が差し押さえられることになります。

差押を受けやすいのは、給与や預金口座です。給与は、全額が差し押さえになることはほとんどありませんが、一部が差し引かれるため生活費に影響を及ぼすようになるでしょう。

預金口座を差し押さえられた場合は、預金全額がなくなる可能性があるため、注意が必要です。預金全額がなくなれば、当座の生活費も不足し生活に大きな支障をきたすでしょう。

給与や預金口座の他にも、不動産、車、有価証券、生活保険などが差し押さえられる可能性があります。また、自営業者は売掛金を差し押さえられることもあります。

差し押さえは滞納分が回収できるまで行われるため、必ずしもすべての財産が差し押さえられるわけではありません。

2-5.障害年金や遺族年金が受け取れない

年金保険料を支払わないと、障害年金や遺族年金が受け取れなくなる可能性があるため、注意してください。

3.年金が支払えない場合の対処法

差し押さえを避けるためには、年金の滞納を解消しなければなりません。しかし、毎月の年金保険料の支払に加えて、滞納分の年金や延滞金を一度に払うことは困難でしょう。

年金が支払えない場合には、以下の対処法があります。

  • 年金事務所に連絡する
  • 保険料の免除または猶予を申請する
  • 債務整理を検討する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1.年金事務所に連絡する

年金が支払えない場合には、まずは年金事務所に連絡しましょう。

年金事務所に事情を伝えて相談することで、未納保険料の分割払いを認めてもらえることがあります。

そのためには、滞納したことに対して反省するとともに、毎月いくらなら納付できるのか、きちんとした納付計画を提案するなど、納付に対する誠実な意思を示すことが大切です。

差し押さえが実行されるまでは、分割払いの相談も可能であるため、できる限り早い時期に年金事務所に連絡することで、柔軟に対応してもらえる可能性も高くなります。

遅くても赤色(ピンク)の特別催告状が届いた時点で、年金事務所に連絡しましょう。

3-2.保険料の免除または猶予を申請する

一定の条件を満たしている場合は、年金事務所に申請することで、保険料の免除や納付猶予が受けられます。

年金が支払えないときは、以下の納付免除や猶予の制度を検討することが可能です。

4.年金が払えないときは納付免除、猶予の制度を検討

年金の特別催告状が届いても支払えない場合には、納付免除、猶予の制度が使えないか検討してみましょう。

日本年金機構や年金事務所に相談しに行くと、個別の相談ごとに適切な対処法を教えてもらえます。

納付免除・猶予の制度には、以下のものがあります。

  • 保険料免除制度:収入の減少や失業により支払いが困難な人を対象
  • 保険料納付猶予制度:20歳以上50歳未満で前年度の所得が一定額以下の人が対象
  • 学生納付特例制度:前年の所得が一定額以下の学生が対象
  • 失業等による特例免除制度:失業や事業の廃止により支払いが困難な人が対象
  • 災害やDV被害時の特例制度:災害やDVなどで被害を受けて支払いが困難な人が対象

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1.保険料免除制度

保険料納付制度は、収入の減少や失業により支払いが困難な人が利用できる制度です。

保険料免除制度は、住んでいる市町村区の役所の国民年金担当窓口・近隣の年金事務所で申請を行います。

免除の申請により、国民年金保険料が、全額、4分の3、半額、4分の1、のいずれかで免除されます。

ただし、納付免除の期間があると、将来受け取れる老齢基礎年金が減少するため、注意してください。免除の割合は、全額納付時と比べると以下の通りです。

免除の割合支給される年金額
全額免除全額納付した場合の年金額の2分の1
4分の3免除全額納付した場合の年金額の8分の5
半額免除全額納付した場合の年金額の8分の6
4分の1免除全額納付した場合の年金額の8分の7

4-2.保険料納付猶予制度

保険料納付猶予制度は、20歳以上50歳未満で前年の所得が一定額以下の人が利用できる制度です。住んでいる市区町村の役所の国民年金担当窓口や近隣の年金事務所で申請できます。

保険料納付猶予制度は、あくまで現在の保険料の支払い期日を猶予する制度であるため、後から納付しない場合には、老齢基礎年金の受給額が減るようになります。

10年以内であれば追納できるため、忘れずに納付しましょう。

4-3.学生納付特例制度

学生納付特例制度は、20歳以上で前年の所得が一定額以下の学生を対象にした制度です。在学中の保険料の支払いを猶予することができます。

支払いを猶予する制度であるため、就職後、10年以内であれば追納として年金保険料を納付できます。ただし、3年目以降の追納は、経過期間に応じて加算額が上乗せされます。

追納により老後の年金を満額受け取ることが出来るので、将来のためにもできる限り追納したほうがよいでしょう。

4-4.失業などによる特例免除制度

失業などによる特例免除制度は、失業や事業の廃止などの理由から経済的に支払いが困難な人を対象にした制度です。国民年金保険料を免除または猶予できます。

手続きは、住んでいる市区町村の役所の国民年金担当窓口や近隣の年金事務所で申請できます。免除申請をしないと国民年金保険料未納の扱いをうけるため、注意してください。

4-5.災害やDV被害時の特例制度

災害やDV被害時の特例制度には、以下のものがあります。

被災された人への免除制度は、災害等により被災して住宅、家財、その他の財産のうち、被害金額が総額の2分の1以上の損害を受けた人が対象です。国民年金保険料を免除できます。手続きは、市区町村の役所の国民年金担当窓口、近隣の年金事務所です。

矯正施設に入っている人の免除制度は、矯正施設に収容され経済的に国民年金保険料の納付が困難な人です。国民年金保険料を免除でき、市区町村の役所の国民年金担当窓口、近隣の年金事務所で手続きが可能です。

DV被害を受けている人の免除制度は、配偶者から暴力を受けている人が対象です。配偶者の所得にかかわらず、本人の前年所得が一定以下であれば国民年金保険料を免除できます。市区町村の役所の国民年金担当窓口、近隣の年金事務所で手続きができます。

5.免除や納付猶予の制度を利用できない場合の対処法

免除や納付猶予の制度を利用できない場合の対処法は、以下の通りです。

5-1.分割払いの相談をする

国民年金保険料の支払いが困難で免除や納付猶予の制度を利用できない場合は、日本年金機構に滞納分を分割払いにできないか相談してみましょう。

特別催告状を貰った場合でも、この段階は自主的な支払いを促す納付督励であるため、比較的柔軟に対応してもらえることが多いでしょう。

交渉の際には、支払いの意思があることをしっかりアピールすることがポイントです。分割払いを許可してもらった場合には、計画的に返済していくことが重要です。

5-2.借金がある場合は、債務整理をする

借金が多いために国民年金保険料の支払いができない場合は、債務整理を行い借金の支払額を減らす方法を検討しましょう。

債務整理とは、手続きや交渉により借金を免除・減額したり、返済期日を猶予することです。具体的には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があります。

詳しく見ていきましょう。

6.債務整理の主要な手段

債務整理とは、借金を減らしたり、支払いに猶予を持たせることで、借金問題を解決する手続きです。借金は、クレジットカード、キャッシング、住宅や車のローンなどがあります。

債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

6-1.任意整理

任意整理とは、クレジットカード会社などと利息のカット、原則3年間または5年間の長期分割払いの交渉を行い、毎月の返済の負担を減らす手続きです。

任意整理を行う場合は、過去に払いすぎた利息がないかの計算も行います。払いすぎの利息がある場合は、超過分の利息を元本に充当して借金の減額が可能です。

また元本を超えて利息を払いすぎた場合には、過払い金を請求できます。

任意整理の特徴は、以下のとおりです。

  • 裁判所を通さない手続きである
  • 官報にも掲載されない
  • 手続きするクレジットカード会社を選べる

任意整理をするクレジットカード会社を選べるため、保証人がいるカード会社を交渉相手から外すことができます。そのため、保証人が返済義務を負わなくてよくなります。

6-2.個人再生

個人再生は、借金が返済できなくなることを裁判所に認めてもらい、住宅などの財産を維持したままで、大幅に減額された借金を約3年から5年で返済していく手続きです。

個人再生の特徴は、以下のとおりです。

  • 借金の元本を約80%減額できる
  • 借金を減らして住宅などの財産を残せる

個人再生は、任意整理と次に説明する自己破産の中間のような手続です。自己破産のように借金を返済する義務はなくなりませんが、任意整理と異なり借金が大幅に減額できます。

したがって、借金の金額が高額で完済は難しいが、処分されたくない財産がある場合、自己破産すると仕事に影響が出る場合などには、個人再生が適しています。

6-3.自己破産

自己破産とは、借金の返済をするための財産がないために支払いができないことを裁判所に認めてもらうことで、法律上、借金の支払い義務を免除してもらう手続です。

自己破産の特徴は、以下のとおりです。

  • 借金がゼロになるというメリットがある
  • 他の債務整理の手続きに比べてデメリットが多い

裁判所から免責許可が出れば、たとえ1000万円の借金でも0になります。ただしメリットが大きい分デメリットも大きいため、自己破産の前に確認することが重要です。

デメリットは、以下のとおりです。

  • 官報に掲載される
  • 事故情報が登録される(いわゆるブラックリストにのる)
  • 不動産などの高価な財産が処分される
  • 保証人が借金を肩代わりする

7.借金問題や債務整理を弁護士に相談、依頼するメリット

借金問題や債務整理を弁護士に相談、依頼するメリットは、以下の3つです。

  • 最善の債務整理の方法を提案してくれる
  • 取り立てや督促がストップする
  • すべての法的業務を一任できる

それぞれ見ていきましょう。

7-1.最善の債務整理の方法を提案してくれる

弁護士に依頼することで、それぞれの事案に応じた最善の債務整理の方法を提案してもらえます。

借金問題を早期に解決するためには、最適な債務整理の方法を選択することが重要です。選択すべき方法を誤ると、時間の延長や手続きのやり直し、債務整理が成立しなくなるリスクがあります。

7-2.取り立てや督促がストップする

弁護士に債務整理を依頼することで、貸金業者からの取り立てや督促がストップします。

依頼を受けた弁護士は、各貸金業者へ債務整理手続を開始することを通知する「受任通知」を送付します。

受任通知には法的効果があるため、受任通知を受け取った後は貸金業者は一切の督促や取り立てができなくなります。

取り立てや督促がストップすることで、精神的なストレスから解放されるでしょう。

7-3.すべての法的業務を一任できる

弁護士は、債務整理に必要な書類の作成、貸金業者との交渉、訴訟の代理人、など基本的にすべての法的業務ができるため、さまざまな法律問題の対応を一任できます。

債務整理は、書類の準備や提出から、貸金業者や裁判所との交渉など、時間と労力を要しますが、弁護士に一任することでこれらの労務から解放されます。

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  • 相談料は初回60分のみ無料(相談時間が60分を超えた場合は、30分につき5,500円を頂戴いたします)

8.特別催告状に関するよくあるQ&A

8-1.ピンク(赤)の特別催告状を無視したらどうなりますか?

ピンク(赤)の封筒の特別催告状を無視していると、最終催告状が届きます。最終催告状を無視した後は、督促状が届きます。この督促状は納付していない本人だけではなく、世帯主や配偶者にも届くため、注意が必要です。

9.まとめ

年金の特別催告状が届いたときは、差押に向けた手続きが進行していることを意味します。滞納分の料金を支払うなど、早めの対応が不可欠です。

保険料を滞納したり借金がある場合には、できるだけ早い段階で弁護士に相談して、借金問題を解決することをおすすめします。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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