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JCBカードの支払いが遅れた際のリスクや対処法を弁護士が解説
「JCBカードと、アプラスのJCB提携カードを使っているのですが、アプラスのほうで引落日に入金が間に合わなくて支払いが遅れてしまいました。すぐ連絡して振込みすれば大丈夫ですか?アプラスとJCBカード両方とも使えなくなったりしますか?」
このように、JCBカードの支払いが遅れてしまった場合、利用停止や他のJCBカードへの影響などのリスクが気になると思います。
本記事では、JCBカードの支払いが遅れた場合、どのようなリスクがあるか、リスクを避けるためにどのように対処すればよいかについて弁護士が解説します。
目次
1. JCBカードの支払いが遅れたらどうなるのか
JCBカードの支払いが遅れた場合、カード会社側が以下のような手段をとってきます。
滞納期間が長くなるほどリスクが大きくなるため、できるだけ早い対応をとりましょう。
参照:クレジットカードを滞納したらどうなる?信用情報への影響と延滞後の対処法
1-1. (1) 支払日の翌日からカードが一時的に利用停止になる
カードの銀行口座引落日に引き落としができなかった場合、そのカードが利用停止になります。
JCBカードの場合、振込みによる入金の確認が取れるまで利用停止となります。JCBが入金を確認すると、翌日からカードの利用が可能になります。
入金を確認できるのは振込み日から3~4営業日後になるため、その間に公共料金などの引落日があると、それらの支払いも滞ってしまうので注意が必要です。
1-2. (2) 支払日の翌日から遅延損害金が発生する
遅延損害金とは、支払いの遅延によって発生する利息のことです。
遅延損害金は、支払いが遅れた月の支払金額に対して、カード会社が定めた利率で計算します。
遅延損害金は、以下の式により計算します。
【元金×利率÷365日×支払期日後経過日数】
JCBカードの場合、支払期日の翌日から、JCBが入金を確認した日まで利息が発生します。
1-3. (3) 信用情報機関に「滞納」の履歴が残る
クレジットカードを1回でも滞納すると、「滞納」の履歴が信用情報機関に記録されます。
「信用情報」は、クレジットカードやローンなどの契約内容や支払い状況などの取引事実に基づく個人情報を指します。
クレジットカードやローンの新規申込みをした場合、その審査の際にカード会社等が信用情報機関に照会を行い、クレジットカードの利用履歴や滞納履歴などの信用情報の確認が行われます。
クレジットカードの支払いを滞納すると、その記録が「異動情報」として記録されます。
異動情報は5年または10年の間残るため、以下の契約を行う際の審査に影響を与える可能性があります。
- クレジットカードの新規発行・更新
- 住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどのローン契約の申込み
- 高額な商品の分割払いの申込み
ただし、滞納が1回目で、カード会社に連絡した上で直後に振込みをした場合は、翌月以降に滞納しない限り「異動情報」が登録される可能性は低いでしょう。
1-4. (4) 電話や郵便で通知される
クレジットカードの引き落としができなかった場合、引落日の数日後にカード会社から電話またははがきで連絡があります。
いずれの場合も「〇月分の利用代金の支払の確認が取れていない。〇月〇日までに(指定口座)に振込みしてください」という内容です。
電話または、はがきによる通知を受けたら、速やかに指定口座に利用代金を振込みましょう。
1-5. (5) 督促状・催告書が送付される
(4)の連絡を受けても支払いをしていない場合、カード会社から封書で督促状(とくそくじょう)や催告書が送付されます。
督促状とは、商品代金やサービス料金の支払いを催促する書類をいいます。カード会社からの督促状には、支払いを求める内容及び請求金額・支払期限が記載されています。
催告書は、支払いを催促する点では督促状と同じですが、支払いの催促に加えて「滞納が続いた場合は法的措置をとる」旨の記載がある点で異なります。
つまり、催告書は、法的措置をとる前の最終通告といえます。
1-6. (6) クレジットカードを強制解約される
督促状や催告書が届いても支払いをしない場合、利用停止状態になっているクレジットカードが強制的に解約されてしまいます。
強制解約になると、それ以後、当該カードは利用できなくなります。また、他のJCBカードの新規作成もできなくなる他、JCBカードと同じ信用情報機関※に登録しているカード会社の発行するカードの新規作成や更新が認められなくなる可能性が高いです。
※JCBは株式会社シー・アイ・シー(CIC)に登録しています
なお、クレジットカードを強制解約された場合でも、デビットカードや、クレジット機能のないキャッシュレス決済(paypayなど)の新規契約や利用継続は可能です。
1-7. (7) 未払い分が一括請求される
クレジットカードが強制解約された後も、支払督促は続きます。最終的には訴訟提起により、キャッシングのリボ払い残額なども含めた未払い金を一括請求されます。
一括請求は、内容証明郵便によって行われるのが通常です。
内容証明郵便は、差出人がその郵便を送った事実と、郵便の内容、及び宛先人が受領した事実を公的に証明できます。
従って、内容証明郵便を受領したら「一括請求の通知を受け取っていない」という主張はできません。
1-8. (8) 給与や預貯金を差し押さえられる
一括請求されても支払いをしなかった場合は、裁判所への訴訟提起ないしは支払督促の手続きが取られます。訴訟の判決や支払督促は、債務名義となり、これらをもとに強制執行の手続きが可能になります。
強制執行では、給与・預貯金などの財産の差押えが行われます(民事執行法第22条1号)。
給与の差押えは、社会保険料や税金を控除した額(いわゆる手取り額)の4分の1を超えない金額が対象となります※(民事執行法第152条1項)。
※手取り額が44万円を超える場合は、手取り額のうち33万円を超える部分が全額差押え可能になります。
たとえば、手取り額が20万円の場合、差押え対象となるのは5万円までです。
従って、差押額が5万円以下の場合は、差押えは1回で終了します。しかし、5万円を超える場合は、差押残額がゼロになるまで、翌月以降の給与に対しても差押えが続きます。
2. JCBカードの支払いが遅れそうなときはどうすればいいのか
JCBカードの支払いが遅れそうなときには、以下のように対処しましょう。
2-1.支払方法の変更を検討する
支払いが遅れそうになる原因の1つに「利用代金が高額になっている」ことが挙げられます。
利用代金が大きくなってしまい、その月の支払いが難しい場合は、カード会社に連絡して、一括払いになっている利用分の分割払いやリボ払いを申し込むという方法があります。
分割払いの場合、2回払いでは手数料がかかりませんが、3回以上に分割した場合は分割手数料が必要になります。
リボ払いの場合は、金利を加えた金額を毎月一定金額に分割して支払います。
従って、3回以上の分割払いとリボ払いでは、元の利用代金より支払額が大きくなります。
特にリボ払いの場合は金利によってトータルの支払い額が大きくなるリスクがあるので注意が必要です。
そのため、安易に変更することはおすすめできないのですが、滞納を避ける手段として、無理のない範囲で検討してもよいでしょう。
2-2.銀行口座の自動振替設定をする
支払いが遅れそうなことがわかっているが、引落日まで少し時間がある場合は、銀行口座の自動振替設定をするという方法があります。
これは、ある程度残高をキープできる口座(給与口座など)とJCBカードの引落口座が異なる場合、その口座からJCBカードの引落口座に自動振替で一定額振り込まれるように設定する方法です。
自動振替が引落日に間に合えば、滞納を避けることができます。
3. JCBカードの支払いが遅れた際の対処法
JCBカードの支払いが遅れた場合には、以下の方法をとることをおすすめします。
3-1.JCBに連絡して期日までに指定口座に振込みする
まず、支払期日に引き落としができなかった場合は、すぐにカード会社に問い合わせしてください。
カード会社に電話をして、振込先や期日などを確認した上で、可能な限り早く指定口座に引落金額の振り込みをします。
「数日後に通知が来たら振込すればよい」と思われるかもしれないですが、支払いが遅れていると気づいた時点で連絡すれば、カード会社側が「数日中に入金する」と予測するため、信用情報への悪影響が少なくなる可能性があります。
また、支払いが遅れた原因が入金忘れなどによるもので、支払額の準備ができている場合は、振込みが早いほど遅延損害金が少なくて済みます。
3-2. 再振替が可能な場合は銀行口座に入金しておく
引落口座が再振替に対応している場合は、銀行口座に入金しておけば各金融機関の所定の期日に再振替が行われます。
再振替への対処については、対象のカードがJCBプロパーカード(JCBが独自に発行するカード)の場合と、JCB提携カードの場合で異なります。
(1)JCBプロパーカードの場合
JCBプロパーカードで、支払いに指定されている金融機関が再振替可能な場合は、再振替日までに口座に入金しておけば自動的に再振替されます。
再振替を行う場合は、当該金融機関の再振替日によっては指定口座への振込みに比べて支払い日が後になるので、その間に代金を準備できるメリットがあります。
ただし、支払期日から再振替日までの遅延損害金が加算されるので、再振替日が遅いほど遅延損害金が多くなることに注意してください。
(2)JCB提携カードの場合
JCB提携カードの場合は、再振替が可能かどうか、発行会社の連絡先(クレジットカード裏面に記載)に問い合わせてください。
3-3.滞納が長期間続いた場合は弁護士に相談する
JCBカードの滞納が長期間続いてしまった場合は、JCBカードだけでなく他のカードやローンの支払いなども滞っていると思われます。
これらを放置しておくと、遅延損害金が加算されて、最終的には給与や財産の差押えがいつまでも続くなどの事態に陥るおそれがあります。
クレジットカードやローンなどの支払いが困難になった場合、債務整理によって借金をゼロにする、大幅に減額する、あるいは将来利息をカットするなどの救済措置をとることが可能です。
債務整理のデメリットとして「信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリストに載る)」ことがあります。
しかし、クレジットカードの滞納が長期間続いている場合は、すでに信用情報機関に異動情報が登録されているため、この点で受ける不利益はあまり変わりません。
滞納が長期間続き、支払いが難しい状況であれば、弁護士への相談をおすすめします。
4. 借金問題に悩んだら弁護士に相談、依頼するメリット
クレジットカードの滞納など、借金に悩んだ際に弁護士に相談、依頼することには以下のようなメリットがあります。
4-1. 個別の事情に合わせた最適な解決策を提案してもらえる
借金問題を抱える方の多くは「借金をなんとかしたいが、どのような手段をとればよいかわからない」あるいは、「自己破産したほうがよいのか、他の方法をとったほうがよいかわからず迷っている」という状況ではないでしょうか。
借金問題について弁護士に相談することで、その方の状況に照らしてどの債務整理手段をとるのが得策であるか提案を受けられます。
また、住宅ローンが残っている場合は、家を手放すのはやむをえないか、手放したくないかの移行に合わせた最善の方策についてアドバイスが受けられます。
4-2.債権者の取り立てがストップする
借金問題を抱える方の多くは、債権者からの頻繁な督促の通知や電話に悩まされているのではないでしょうか。
JCBカードを滞納した場合も、滞納額を支払わない限り、カード会社からの督促の電話や督促状、催告状などが続くことになります。
弁護士に借金問題の解決を依頼すると、弁護士が速やかに債権者に対して受任通知を送付します。
弁護士から受任通知を受け取った場合、貸金業者は以後、債務者に対する取立て行為が禁止されます(貸金業法第21条1項9号)。
JCBカードの場合も、カード会社からの督促はストップします。
ひとまずカード会社や貸金業者等からの取立てが止まるだけでも、ストレスが軽減されるでしょう。
4-3.裁判所での手続や債権者との交渉を任せられる
自己破産及び個人再生を行う場合、裁判所での手続が必要になります。
また、任意整理を行う場合は、整理対象の債権者と交渉して和解を成立させなければなりません。
いずれの場合も、債務者本人が行うことは困難です。
弁護士に依頼することで、借金問題解決のための手続をすべて任せることができます。
5. JCBカードの支払いが遅れたときにあるよくあるQ&A
ここでは、JCBカードの支払いが遅れたときのよくある質問と、それに対する回答をご紹介します。
5-1.JCBカードの支払いを1回でも滞納するとブラックリストに載りますか?
銀行口座にカードの利用代金を入れるのをうっかり忘れたために引き落としができなかった場合、「ブラックリストに載ってしまうのでは」と気になる方も多いのではないでしょうか。
通常は、引き落とし当日または翌日にカード会社に連絡して、カード会社の指示通りに振込みを行えば、信用情報に影響はありません。
ただし、滞納が1回でも、2か月以上支払いをしない状態が続くと、信用情報機関に異動情報が登録される(いわゆるブラックリストに載る)可能性が高いです。
5-2.JCBカードとJCB提携カードを利用している場合、どれかを滞納すると他のカードも利用停止や解約になりますか?
JCBのプロパーカード(JCBが独自に発行するクレジットカード:JCBカードWやJCBゴールドカードなど)と提携カード(提携会社が発行するカード:楽天カードやViewカードなど)を利用している方が、いずれかのカードを滞納した場合、その滞納状況によっては他のカードの利用に影響が出る可能性があります。
滞納が1回のみで、数日以内に滞納代金の振込みをした場合は、他のカードへの影響はないといえるでしょう。
1枚のプロパーカードまたは提携カードの滞納が2か月以上続くと、信用情報機関に「異動情報」が登録されるので、他のカードの滞納がなくても利用停止になったり、更新が認められなくなる可能性があります。
また、2か月以内に支払いをした場合であっても、他のカードで利用可能額が引き下げられたり、キャッシングの利用ができなくなるなどの影響が出る可能性もあるでしょう。
JCB以外のカード(またはJCB以外の提携カード)であっても、そのカード会社がJCBと同じ信用情報機関に登録している場合は、滞納によって利用に影響が出る可能性があります。
5-3. JCBカードの支払いが遅れているので数日中に振込みしようと思っていたところ、督促のメールが届きました。メール内のリンク先URLがJCBのものと同じで文面の日本語に不自然さはありません。ただし、督促なのに「アカウントの更新」を要求している点に違和感を感じました。このリンク先は開かず、指定口座への振込みだけしたほうがよいですか?
そのメールは、JCBを装ったフィッシング(詐欺)である可能性が高いです。
フィッシングの場合、フィッシングサイトに誘導するURLが貼られています。
JCBを騙る場合、このURLに本物のJCBのURLと同じ「my.jcb.co.jp」が入っていることが多いため、ついクリックしてしまうおそれがあります。
本来のJCBからの支払督促通知では、アカウントの更新を要求することはありません。
また、疑わしいメールの場合、URLの表示はJCBと同じでも、マウスオーバーすると異なるリンク先が表示されます。
また、JCBからのメールの場合は、送信者のメールアドレスの@マーク以下は必ず、以下のいずれかになります。
- @qa.jcb.co.jp
- @cj.jcb.co.jp
- @mail-jcn.dnp-cdms.jp
フィッシングメールは、「送信アドレスが違う」「アカウント更新など、URLのクリックを要求している」「URLをマウスオーバーすると別のアドレスが表示される」などによって見分けることが可能です。
ただし、マウスオーバーについては、誤ってクリックしてしまうおそれがあるので、他の情報を手がかりにしたほうがよいでしょう。
JCBカードの代金引き落としができなかった場合は、指定された期限までに指定口座に代金の振込みをすれば、それ以上の要求を受けることはありません。
フィッシングメールとの見分け方について詳しくは、下記のJCBサイトをご参照ください。
参照:これって本当にJCB?怪しいメールが届いたらまずはここをチェック!
6. まとめ
JCBカードの支払いが遅れた場合、すぐにカード会社に連絡して指定された期限までに指定口座に代金を振り込めば、ブラックリストに載るなどの不利益を受ける心配はありません。
しかし、滞納期間が長くなってしまうと、督促が続くほか、カードを強制解約される・未払い代金を一括請求される・訴訟提起されて給料などを差し押さえられるなどのリスクが増大してしまいます。
カードを滞納していて支払いが困難になった等、借金問題でお困りの場合は、債務整理に精通する弁護士への相談をおすすめします。
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担当者
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■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立
大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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