労働災害
労災の休業補償がもらえない?給付期間や手続きを弁護士が解説!
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「業務時間中に取引先まで車で行く途中で交通事故に遭ったのに、休業補償が認められなかった」
「朝、通勤途中の駅の階段を上る途中で、駆け下りてきた人にぶつかって踊り場まで滑り落ちて骨折してしまった。こういう場合に通勤災害の休業給付を受けられますか?」
等、休業補償についてより詳しく知りたい方は多いのではないでしょうか。
本記事では、労災の休業補償(通勤災害の休業手当を含む)の給付期間や申請手続等について弁護士が解説します。
目次
1. 労災保険の休業補償とは
労災保険の休業補償とは、従業員が業務または通勤が原因となった怪我や病気が原因で休業した時に、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」)に基づいて国から支給される給付をいいます。
広く「休業補償」と呼ばれる給付は、負傷や疾病が生じた原因によって、以下の費目に分かれています。
- ①休業補償給付(業務災害の場合)
- ②複数事業労働者休業給付(複数の業務要因災害の場合)
- ③休業給付(通勤途中の交通事故、列車事故等の通勤災害の場合)
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2. 労災の休業補償給付をもらえる条件
労災保険の補償を受けるためには、前提として当該怪我や病気が労働災害によって発生したものであることが必要です。また、労働災害に含まれる業務災害と通勤災害のどちらに該当するかによって補償を受けるための条件(受給要件)が異なります。
本章では、労働災害の定義及び、業務災害・通勤災害の受給要件について解説します。
2-1. 労働災害とは
労働災害とは、業務中や通勤途中で発生した怪我や病気をいいます。このうち、業務中に発生した怪我や病気を「業務災害」(労災保険法第7条1項1号)、通勤途中に発生した怪我や病気を「通勤災害」(労災保険法第7条1項3号)と呼びます。
2-2.業務災害の受給要件
業務災害とは、労働者が労働契約に基づいて事業主(会社)の支配下において労働を提供する過程で、業務に起因して発生した災害をいいます(労災保険法第7条1項1号)。
発生した怪我や病気が業務災害であると認められるためには、以下の「業務遂行性」及び「業務起因性」の要件を満たす必要があります。
(1)業務遂行性の要件
業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいいます。
一般的に、以下の3類型で考えられています。
- ①事業主の支配・管理下で、労働者が業務に従事している状態
- ②事業主の支配・管理下で、労働者が業務に従事していない状態
たとえば、休憩時間です。
- ③事業主の支配下ではあるが、管理外で業務に従事している場合
たとえば、出張や社用で外出している場合です
(2)業務起因性の要件
業務起因性とは、業務が原因となって怪我を負った(病気に罹った)こと、すなわち業務と負傷・疾病等との間に因果関係があることをいいます。
上記の3類型に従って、以下のように考えられます。
①事業主の支配・管理下で、労働者が業務に従事している状態
基本的に業務起因性は認められます。
②事業主の支配・管理下で、労働者が業務に従事していない状態
私的行為によって発生した災害は原則として業務起因性は否定されます。ただし、事業所の施設の不備などで発生した災害は業務起因性が認められます。
③事業主の支配下ではあるが、管理外で業務に従事している場合
基本的に業務起因性は認められます。
2-3.通勤災害の受給要件
通勤災害とは、労働者の通勤によって発生した傷病等をいいます。
「通勤」に該当するのは以下の3つのケースです。
- ①住居と就業場所との往復
- ②厚生労働省令で定める就業場所から他の就業場所への移動(労災保険法施行規則第6条)
- ③住居と就業の場所との往復に先行し、または後続する住居間の移動であって所定の要件に該当するもの (同規則第7条)
これに該当するのは、単身赴任先の住居と帰省先の住居との間の移動等です。
①②③の移動は、合理的な経路及び方法によって行うことが必要です。
移動経路からの逸脱や中断があった場合には「合理的な経路」とはいえないため原則として「通勤」とは認められません。
もっとも、この逸脱・中断の原因が、日常生活を行う上で必要な行為(日用品の購入・選挙権行使)や、やむを得ない事由(列車事故等)のために最小限度で行うものである場合には、これらの逸脱・中断後の移動は「通勤」と認められます。
また、交通禁止区域を通行すること等は「合理的な方法」による移動とはいえないため、「通勤」とは認められません。
また、移動行為が「業務の性質を有するものでないこと」が必要です。移動途中で災害に遭った場合も、その移動行為が業務の性質を有すると認められる場合には業務災害の対象となります。
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3. 労災の休業補償給付がもらえる期間
労災の休業補償給付については、いつからいつまで受けられるか(給付期間)についても気になるところです。
本章では労災の休業補償給付を受けられる期間について解説します。
3-1. いつから支給が開始されるか
休業補償給付は、休業第4日目に支給が開始します。3日までについては休業補償給付は支給されません(この期間は「待機期間」と呼ばれます)。
所定労働時間内に労災事故が発生した場合には、事故当日も待機期間にカウントされます。また、会社の所定休日もカウントされます。
たとえば所定休日が土曜日・日曜日の会社で、金曜日の所定労働時間内に労災事故が起きた場合、待機期間は事故当日の金曜日から日曜日までで、月曜日が休業4日目となります。
他方、同じ会社で金曜日の所定時間外労働時間(残業中)に労災事故が起きた場合、待機期間は事故発生翌日の土曜日から翌週月曜日までで、火曜日が休業4日目となります。
3-2. いつまで支給を受けられるか
休業補償給付は、原則として労災認定された怪我や病気が治癒して、再び仕事ができるようになるまで受けることができます。
休業補償給付の支給が終了するのは以下の場合です。
(1)治癒した場合
労災保険における「治癒」は、完治及び症状固定を意味します。
症状が完治していなくても、状態が安定していて、これ以上治療を続けても症状が改善されない「症状固定」の状態であると判断されれば「治癒した」とみなされます。なお、症状固定により治癒とみなされた場合も、残った症状が後遺障害として認定された場合には、休業補償に代わる補償給付(障害補償給付または障害補償一時金)※を受けることができます。
治癒の判断は、医療機関からの報告(担当医師の意見書等)に基づいて、労働基準監督署長により行われます。
※障害等級第1級~第7級に該当する場合障害補償給付、第8級~第14級に該当する場合障害補償一時金の支給を受けられます。
(2)傷病補償年金に移行する場合
休業補償の受給開始から1年6か月を経過しても怪我や病気が治癒しない場合には、所轄の労働基準監督署長の認定によって以下の対応が行われます。
①傷病等級1級~3級に該当すると認定した場合:傷病補償年金へ移行します。
②傷病等級1級~3級に該当しない場合:休業補償給付支給が継続します。
従って、労基署長によって傷病等級1級~3級に該当すると認定された場合は傷病補償年金に移行するため、休業補償給付が終了します。
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4. 労災の休業補償給付金額の計算方法
労災の休業補償給付は、給付基礎日額(労災保険法第8条1項)を定めた上でこれに基づいて給付金額を算定します。
本章では、労災の休業補償給付金額の計算方法を解説します。
4-1. 給付基礎日額を計算する
給付基礎日額とは、事故に遭わなければ得られていたはずの給料を計算するための基礎となる1日あたりの金額をいいます。
給付基礎日額は、原則として労働基準法第12条が定める「平均賃金」を指します。
すなわち、労災事故が発生した日(または、医師の診断によって疾病が確定した日)の直前3か月間に、その労働者に対して支払われた賃金の総額をその期間の暦日数で割って算出した金額です。
この金額には、賞与等の臨時的に支払われた賃金は含まれません。
【例】毎月30万円の賃金を受けている人が11月に労災事故に遭った場合
※賃金は月末締めで、直近の給与は10月分まで支払われていると仮定
給付基礎日額:
30万円 × 3か月 =90万円 ÷ 賃金計算期間の暦日数(92日:8月1日~10月31日)
≒ 9,782円61銭
給付基礎日額に1円未満の端数がある場合は1円に切り上げて計算するので、給付基礎日額は9,783円となります。
4-2. 給付基礎日額に基づいて休業補償給付金額を計算する
給付基礎日額を算出したら、これに基づいて休業補償給付及び休業特別支援金の金額を計算します。
(1)休業補償給付金額の計算
給付基礎日額を算出したら、これに基づいて休業4日目以降について、1日あたりの給付額(休業補償給付金額+休業特別支援金)を計算します。
【前項の例で給付基礎日額が9,783円の場合】
①休業補償給付:9,783円 × 60% = 5,869円80銭
②休業特別支援金:9,783円 × 20% = 1,956円60銭
給付額の計算では1円未満の端数は切り捨てて計算するので、休業補償給付は5,869円、休業特別支援金は1,956円となります。
両者を足した給付額は7,825円となります。
(2)通院のため等で所定労働時間の一部を休業した場合
例えば通院のため等、労働者が所定労働時間の一部を休業した場合は、その日の分の支給額は給付基礎日額から実際に労働した部分に対して支払われる賃金の額を差し引いた額をもとに計算されます。
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5. 労災の休業補償の申請に必要な書類
本章では、労災の休業補償の申請に必要な書類について解説します。
5-1. 申請書
①業務災害の場合:休業補償給付支給請求書 (様式第8号)
②通勤災害の場合:休業給付支給請求書 (様式第16号6)
申請書は、厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード 休業(補償)等給付関係」でダウンロードできます。
5-2. 添付書類
業務災害・通勤災害ともに以下の通りです。
- ①賃金台帳
- ②出勤簿の写し
- ③障害年金を受給している場合はその支給額の証明書
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6. 労災の休業補償の審査期間
労災の休業補償が行われた場合、労働基準監督署が認定審査を行います。
生じた怪我や病気の症状が業務に起因することが明らかであり、かつ申請書類に不備がなかった場合は、審査は1か月程度で完了します。ただし、以下の(1)~(4)のような場合はそれ以上の時間がかかる可能性があります。
審査結果が出るのがあまりにも遅い場合には、申請した労働基準監督署に問い合わせると審査の進捗状況を教えてくれます。
6-1. 審査が長引くケース
(1)精神疾患等で業務起因性の判断が難しい場合
うつ病・適用障害等の精神疾患は、業務に起因して発症したか否かの判断が難しいため、審査に時間がかかることが多いです。
業務に起因して発症するほどの強いストレスがあったか、業務以外のプライベートな事情に起因するものではないか等を詳しく調査したうえで評価されるため、審査結果が出るまでに半年から1年以上かかるケースもあります。
(2)後遺障害がある場合
怪我により後遺障害が出た場合には、審査に半年以上かかることがあります。
後遺障害の症状が、厚生労働省の定めた障害等級に該当すると判断されれば、休業補償の他に障害補償給付を受給できます。障害等級認定の審査では、医師が作成した診断書の審査や本人・主治医への聞き取り等が行われるため、障害等級認定が出るまでにも3か月またはそれ以上の期間を要します。
後遺障害がある場合の休業補償給付は、前述の「症状固定」までとなります。
(3)申請書類に不備がある場合
申請書類に不備がある場合には、申請者に差し戻され、再提出が必要となります。再提出を受け付けてから審査が開始するため、支給決定が遅くなってしまいます。
(4)事業主(会社)が手続を滞らせている場合
会社は、被災した従業員が自身で申請手続を行うことが難しい場合、適切に手続を行うことができるよう手助けすることが義務づけられています(助力義務)。
これにより、会社によっては申請手続を従業員に代わって行ってくれる場合もあります。コンプライアンス対応が進んでいる会社であれば信用できるのですが、中には労災を隠すために意図的に申請手続を行わない会社もあります。
会社を信用してよいかの判断が難しいところですが、書類作成に必要な聞き取りや書面での質問等が全く行われないような場合は本人が申請することをお勧めします。
なお、労災隠しの疑いがある場合については労働基準監督署に相談することもできます。
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7. 休業補償の申請から振込みまでの流れ
本章では、休業補償の申請から振込みまでの流れを解説します。
7-1. 1. 会社に労災が起こったことを報告
まず、会社に対して労働災害が起こったことを報告します。労働災害の報告を受けた場合、会社は労働基準監督署長に「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません(労働安全衛生法第100条1項、労働安全衛生規則第97条1項)。
会社がこの報告を怠った場合、同法第120条5号により50万円以下の罰金刑を科されるおそれがあります。
7-2. 2. 病院にて診察
怪我・病気のいずれの場合も、医療機関が作成した診断書が休業補償給付の申請に必要となるので、必ず医療機関で診察を受けてください。
事故によって救急車で搬送された場合等、怪我や疾病の程度によっては会社への報告よりも先に診察を受けてください。また、精神疾患の場合は労災の報告を行う上で先に精神科医・心療内科を受診して、担当医師に診断書を作成してもらう必要があります。
7-3. 3. 請求書の作成
厚生労働省の休業補償関係様式ダウンロードコーナーから請求書をダウンロードして必要事項を記載します。
7-4. 4. 労働基準監督署へ請求書を提出
請求書及び添付資料を準備したら、労働基準監督署(「労災課」等の部署名)に提出します。提出は窓口及び郵送でできます。
7-5. 5. 労働基準監督署が審査
請求書を受理した労働基準監督署では、内容を確認して要件が満たされているかを審査します。必要に応じて、被災従業員本人や会社その他の関係者に対して、追加書類の提出や聞き取りが行われることがあります。
7-6. 6. 労災認定されれば口座へ振り込み
調査の結果、労災保険給付の支給または不支給を決定します。結果は請求者(被災従業員)本人のみに対して文書によって通知されます(労災保険法施行規則第19条1項)。
支給決定があった場合には、請求書に記載した銀行口座に補償金が振り込まれます。
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8. 休業補償の審査に納得がいかない場合の対処法
休業補償が認められなかった場合等、審査結果に納得がいかない場合には以下の方法をとることができます。
8-1. 審査請求
不支給決定がなされた場合でこれに不満があれば、不服申立て(労災保険審査請求)を行うことができます(労災保険法第38条1項)。
審査請求は、支給内容の決定を行った労働基準監督署長を管轄する都道府県労働局の労災補償保険審査官に対して口頭または書面で行います。
審査請求が可能な期間は、不支給決定があったことを知った日から3か月以内です。
審査請求を受けた審査官は、当該労働基準監督署長の決定を違法ないし不当と判断すれば原処分取り消し、違法性も不当性もないと判断すれば審査請求棄却の決定を行います。
8-2. 再審査請求
上記の審査請求で行われた決定に対して不服がある場合は、労働保険審査会に対して再審査請求を行うことができます(労災保険法第38条1項)。
再審査請求は、審査官による棄却決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に行う必要があります。
労働保険審査会が再審査請求棄却の採決をした場合、再審査請求者は6か月以内に原処分の取り消しを求めて地方裁判所の本庁に行政訴訟を提起することができます。
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9. 休業補償の請求やトラブルを弁護士に相談、依頼するメリット
労災に遭った従業員本人は、休業補償請求以外にも損害賠償請求等、さまざまな法的手続を行わなければなりません。傷病中の身でこれらを一人で行うことは困難である上、それぞれの請求方法や要件等が複雑であるために記載不備や書類不備等によって申請が認められなくなる可能性もあります。
そこで、労働問題を専門とする弁護士に相談することにより、確実に休業補償の認定を得るとともに、他の補償費目の請求や加害者に対する損害賠償請求等、すべての権利行使が可能になります。
本章では、休業補償の請求やトラブルを弁護士に相談、依頼するメリットをご説明します。
9-1.休業補償や労災保険に関するあらゆる質問に答えてもらえる
被災した方にとっては、まずその事故や病気で労災申請できるかどうか自体わからないことも多いと思います。労働問題を専門とする弁護士に相談すれば、休業補償をはじめ、労災保険に関するあらゆる質問に答えてもらえます。
9-2.事業主(会社)との交渉を任せることができる
休業補償給付を始め、労災申請にあたっては労災を認めたがらない会社側と利害が対立する場合が少なくありません。
会社が事故を認めなかったり、事故発生状況について実際とは異なる事実を主張することもよくあります。また、会社に対して休業賠償請求する場合に低額な提案をしたり、必要な証拠を隠匿・散逸させてしまう場合もあります。
労働問題を専門とする弁護士に会社との交渉を依頼することで、客観的な証拠に基づいて事故発生や事故発生状況を主張することができます。また、証拠開示請求を行ったり、提示額を増額させることも可能になります。
9-3.第三者に対する休業損害賠償請求や慰謝料請求の示談交渉も任せられる
特に通勤災害では、負傷の原因が会社以外の第三者の過失にあることが多いです。第三者に対しては休業を余儀なくされたことによる損害賠償請求(治療費等)や慰謝料請求が可能です。
しかし、被災従業員個人でこれを行おうとすると、加害者が特定できなかったり、加害者が示談交渉に応じない、示談交渉を申し入れてきたとしても低額な賠償金額を提示される等、様々な困難があります。
労働問題を専門とする弁護士に相談すれば、第三者に対する請求の示談交渉も任せることができます。加害者側が弁護士に依頼した場合でも対等に交渉して、正当な請求を行うことが可能になります。
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10. 労災の休業補償に関するよくあるQ&A
本章では、労災の休業補償に関して頂くことの多い質問と、それに対する回答をご紹介します。
10-1. 出勤しながら週に1回は通院していますが、休業補償をもらえますか?
以下の要件をすべて満たしている場合は、週に1回の通院日のみの支給も認められます。
①業務上の理由または通勤による負傷や疾病による療養のため
②労働することができないため
③賃金の支払いを受けていない
なお、例えば午前中に通院して午後出勤した場合のように、通院のため所定労働時間の一部について労働できない場合で「平均賃金」と「実働に対して支払われる賃金」との差額の60%未満の賃金しか支払われていない場合は「休業する日」の扱いとなり、休業補償の支給対象となります。
10-2. 1日でも会社を休んだら休業補償をもらえますか?
休業初日から3日目までは「待機期間」と呼ばれ、業務災害の場合は労働基準法第76条に基づいて事業主(会社)が休業補償を行う義務があります。事業主による休業補償の額は平均賃金の60%です。
なお、労働基準法第76条に該当するのは「業務上の怪我や病気によって」仕事ができなくなった場合に限定されるので、通勤災害の場合には事業主に対して休業補償を請求することはできません。
労災の休業補償の支給が始まるのは休業4日目からとなります。
10-3. 労災で休業補償を受給している間に退職しても引き続き補償を受けられますか?
労災保険法第12条の5第1項は「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない」と規定しています。
従って、休業補償給付の受給中に会社を退職したとしても、支給要件を満たす限り、給付は継続されることになります。
ただし、休業補償給付の請求権は、賃金を受けない日の翌日から2年間経過すると消滅時効にかかるので注意が必要です。
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11. まとめ
労働災害に遭った場合、確実に休業補償を受けた上で、その他の受給可能な補償給付や会社や第三者に対する損害賠償請求や慰謝料請求等、様々な権利行使が認められています。
他方で療養中のご本人がそれらを行うことは心身に大きな負担がかかり、物理的にも困難です。正当な権利行使を行うために、労働問題を専門とする弁護士のサポートを受けることをお勧めします。
労災の休業補償を申請したい方、合わせて会社や第三者に対して休業損害賠償請求を考えている方はお気軽に、法律事務所の無料法律相談を利用して労働問題を専門とする弁護士にご相談ください。
私たち法律事務所リーガルスマートは、休業補償のトラブルをはじめとする労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
担当者
![福永 臣吾](https://www.legalsmart.jp/wp-content/uploads/2023/11/スクリーンショット-2023-11-28-11.03.42-150x150.jpg)
- 法律事務所リーガルスマート弁護士
-
■経歴
2005年3月 慶應義塾大学経済学部 卒業
2011年3月 一橋大学法科大学院 修了
2014年12月 最高裁判所 司法研修所(鹿児島地方裁判所配属) 修了
2015年1月 弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
2015年4月 弁護士法人アディーレ法律事務所鹿児島支店支店長 就任
2023年9月 法律事務所リーガルスマート入所
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