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離職票が届かない!届かない原因と対処法を弁護士が解説!

離職票が届かない!届かない原因と対処法を弁護士が解説!
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会社を退職するときには様々な書類のやりとりをするのですが、その中の一つに「離職票」があります。

この離職票が届かないというトラブルが時折起こるのですが、もし離職票が届かないとどのような不利益があるのでしょうか。

このページでは、離職票とはどのようなもので、離職票が届かない場合の対応についてお伝えします。

目次

1.離職票とは

離職票がどのようなものか確認しましょう。

1-1.離職票とは

離職票とは、離職したことを公共職業安定所に対して証明するための、公的な書類のことをいいます。

離職票という名称は一般的な呼び方で、正式には「雇用保険被保険者離職票」といいます。

1-2.離職票は雇用保険関係の書類である

まず、この離職票は雇用保険関係の書類であることを確認しましょう。

会社は一定の要件を満たす従業員を雇用したときに、雇用保険に加入する義務があります。

雇用保険とは、失業をしたときに従業員の生活の安定や再就職の促進のために存在する保険で、保険料は労働者と使用者が折半して支払っています。

雇用保険は、一定の要件を満たす労働者が雇用されたときに加入することになっており、労働者が退職したときに雇用保険の資格を喪失することになります。

離職票は、労働者が雇用保険の被保険者であったこと、労働者が離職したことを証明するための書類で、後の手続きに利用します。

離職票は、「被保険者資格喪失確認通知書(離職票-1)」「被保険者離職証明書の本人控(離職票-2)」の2つに分かれています。

(1)被保険者資格確認通知書(離職票-1)

離職票の一つは、被保険者資格確認通知書という書類を兼ねる書類です。

被保険者資格確認通知書(離職票-1)には、雇用保険に関する被用者や会社の識別番号や、個人番号(マイナンバー)、求職者給付等払渡希望金融機関指定届などを記載する書面になっています。

(2)被保険者離職証明書の本人控(離職票-2)

被保険者離職証明書の本人控(離職票-2)には、同じように雇用保険に関する識別符号や本人の氏名・生年月日などのほか、支払った賃金と、離職理由を細かく申告する書面となっています。

1-3.離職票を取得するための通常の手続き

退職者が離職票を取得するためには、通常どのような手続きによるのでしょうか。

(1)会社がハローワークで雇用保険の手続きを行う

労働者が退職すると会社は様々な手続きを行うのですが、その中の一つにハローワークでの雇用保険の手続きが挙げられます。

ハローワークでは、退職した退職者が加入していた雇用保険の資格喪失の手続きが行われます。

会社は、「被保険者資格喪失届」と「被保険者離職証明書」を提出します。

(2)ハローワークから離職票等が交付される

ハローワークから「被保険者資格喪失確認通知書(離職票-1)」「被保険者離職証明書の事業所控」「被保険者離職証明書の本人控(離職票-2)」が交付されます。

その後、「被保険者資格喪失確認通知書」「被保険者離職証明書の本人控」を本人に送付します。

(3)送付された離職票を受け取る

退職者が会社から送付された離職票を受け取ります。

1-4.退職にまつわるその他の書類

会社を退職する際にはほかに次のような書類を受け取ることがあります。

(1)解雇通知書・解雇予告通知書

解雇によって退職する際には、解雇通知書・解雇予告通知書を会社から渡されます。

解雇通知書とは、解雇の意思表示を書面で行うものです。

解雇予告通知とは、労働基準法20条1項に規定されている解雇の予告を行うための書面です。

解雇予告通知は解雇に先立って手渡され、解雇通知書は解雇と同時に手渡されることがほとんどです。

(2)退職証明書

退職証明書とは、労働基準法22条1項に規定されている書面で、労働者が退職に当たって、

  • 働いた使用期間
  • 業務の種類
  • その事業における地位
  • 賃金
  • 退職の事由

についての証明書を請求した場合に、遅滞なく交付する書類です。

労働者の求めに応じて交付することになるので、何も主張しなければ交付はされません。

(3)解雇理由証明書

解雇理由証明書とは、退職の事由が解雇である場合に、解雇の理由を証明する書類のことを言います。

上述した労働基準法22条1項には、退職の事由が解雇である場合には、解雇の理由を記載するように規定しています。

解雇をされた場合で、不当解雇であると争う場合には、取得することが推奨される書類です。

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2.離職票が必要な理由

離職票が必要な理由には次のような理由があります。

2-1.失業手当を受け取るために離職票が必要

会社を退職したときに、一定の要件を満たしている場合には、次の仕事が見つかるまでの間の収入のかわりになるものとして、失業手当を受けることが可能です。

この失業手当を受け取るためには、ハローワークで手続きを行う必要があるのですが、離職票はこの手続きを行う際に提出しなければなりません。

そのため、失業手当を受け取るために離職票が必要です。

2-2.公共職業訓練を受ける

失業手当を受け取りながら、仕事に就くための職業訓練(公共職業訓練)を受けることができます。

パソコンや経理・介護などのスキルを身に着け、資格の取得もできるので、再就職が有利になります。

公共職業訓練は失業手当を受け取っている人が行えるものなので、利用を考えている人にとっては前提となる失業手当をうけるために離職票は必要不可欠であるといえるでしょう。

2-3.再就職手当を受け取る

失業手当を受けている人が、所定給付日数の1/3以上残して就職した場合には、再就職手当を受け取ることができます。

申請すれば、所定給付日数が2/3以上であれば受け取れる額の70%が、1/3以上であれば受け取れる額の60%を受け取ることができるので、非常に大きいといえるでしょう。

再就職手当は、失業手当を受け取ることができることが前提なので、やはり離職票が必要不可欠です。

2-4.失業手当を受け取らない場合には不要

以上のように、離職票は失業手当と失業手当を受け取ることができる場合の公共職業訓練や再就職手当の受け取りに不可欠です。

そのため、失業手当を受け取らない場合には、離職票は不要ということになります。

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3.離職票はいつ届くのか

離職票は退職者が退職してからどのくらいで届くのでしょうか。

3-1.会社による雇用保険の資格喪失の手続は10日以内に行わなければならない

上述したように、離職票は、会社が雇用保険に関する手続きを行いハローワークから離職票を受け取ってから離職者に送られます。

そのため、まず会社が雇用保険の資格喪失の手続きを行うことが必要なのですが、この手続きについては、離職してから10日以内に行わなければならないと法律で規定されています。

この手続きに関しては雇用保険法で6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金刑が規定されている犯罪となります。

そのため、まず会社が雇用保険の資格喪失の手続きをするのに10日かかります。

3-2.会社が雇用保険の手続きをハローワークの窓口で行う場合

会社が雇用保険の資格喪失の手続きを、ハローワークの窓口まで行って行う場合には、その場でハローワークから離職票を発行してもらえます。

そのため、2週間程度で離職票を手元に送ってもらえるでしょう。

3-3.会社が雇用保険の手続きを郵送で行う場合

会社が雇用保険の手続きを郵送で行う場合、離職票はハローワークから会社に送付されることになります。

この場合、ハローワークから会社への送付に10日程度かかることがあり、送付されるのはその後になります。

そのため、会社から離職票を送ってもらうのに、長いと3週間くらいかかることもあるようです。

3-4.離職票を受け取ったら念のため記載事項を確認する

離職票を受け取ったときに、念のため記載事項を確認するようにしましょう。

特に、離職票-2の離職理由については、失業保険の受給に大きく影響するため、注意が必要です。

例えば、離職した理由が、会社の業績が振るわないせいでの整理解雇であったにもかかわらず、会社が自己都合退職として記載することがあります。

そのまま自己都合退職として失業手当の申請をすると、給付日数が少なくなってしまいます。

会社都合の離職をした場合には、離職理由欄の記載をきちんと確認しましょう。

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4.離職票が届かないとどうなるのか

離職票が届かないとどうなるのでしょうか?

4-1.失業手当の手続きをスムーズに行えない

離職票が届かない場合、失業手当をもらうための手続きをスムーズに行うことができません

4-2.雇用保険に加入していたのかどうかを確認できない

後述しますが、雇用保険は一定以上の要件を満たすと加入の義務があるのですが、会社も半分を負担することになるので、これを払いたくない会社が雇用保険に加入しないことがあります。

離職票が届けば、雇用保険に加入していたことを確認できるのですが、離職票がとどかなければそもそも雇用保険に加入していなかったのかを確認する必要が発生します。

4-3.転職先から求められたときに提出できない

稀に転職先から離職票の提出を求められることがあります。

離職票には、雇用保険に加入していた期間、つまり前の会社の従業員であった期間が記載されているほか、退職理由が記載されています。

履歴者の記載が本当なのか確認するために、離職票のコピーを求めることがあります。

離職票をもらえなければ、転職先に提出できないことになります。

5.離職票が届かない原因

離職票が届かないときにはどのような原因が考えられるのでしょうか。

5-1.会社が離職票の送付を遅滞している

離職票が届かない原因の一つは、会社が離職票の送付を遅滞していることが挙げられます。

小規模な会社では、人事を多忙な代表者が行っていたり、他の業務と一緒に人事の手続きを行っていることがあります。

この場合にハローワークから取得した離職票を送付していないことが考えられます。

5-2.会社が雇用保険の喪失手続きを行っていない

次に、会社が雇用保険の喪失手続きを行っていないことが考えられます。

同じく小規模な会社で、会社が雇用保険の喪失手続きを行う余裕がないような場合にこのようなことが発生します。

5-3.会社が破産・清算した等

会社が破産・清算をしてしまって無くなってしまった場合が考えられます。

この場合、会社の手続きを行う人がいなくなってしまうためです。

なお、会社が倒産して民事再生・会社更生などの手続きの場合には、会社は法人として存在しており、人事に関する事務を行ってもらうことも可能です。

また、合併したときには、吸収合併でも新設合併でも、合併した会社が事務を行うことが可能です・

5-4.雇用保険に加入していなかった

問題のあるものとして、会社が実は雇用保険に加入していなかったため、離職票を受け取ることができない場合があります。

一定の要件を満たした従業員については雇用保険に加入するのが義務なのですが、雇用保険料は労働者と会社が折半して払うことになるので、会社が雇用保険に加入していないことがあります。

この場合、離職票をハローワークから受け取ることができないので、退職者に離職票を渡すこともできません。

5-5.会社が嫌がらせをしている

退職時にトラブルがあったときに、失業手当を受けられないようにするために、会社が嫌がらせの手段として離職票を送らないことがあります。

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6.離職票が届かないときの対処法

離職票が届かないときの対処方法については次のようなものがあります。

6-1.会社に対して催促をする

会社が雇用保険の喪失手続きを失念している場合や、離職票自体の送付を失念している場合には、会社に対して催促しましょう。

なお、もし雇用保険の喪失手続きを行っていない場合には、上述したように刑事事件になる旨を伝えても良いでしょう。

6-2.ハローワークに対して仮手続きを申請する

会社が離職票を送ってくれない場合には、ハローワークに申請すれば仮手続きとして申請することが可能です。

仮手続きは12日以上離職票を送ってくれない場合に申請が可能なので、最寄りのハローワークに申請を行いましょう。

この場合、後に離職票を取得して送る必要があります。

会社とさらに交渉をし、それでも離職票を送らない場合には、労働基準監督署に離職票を送ってもらえないことを申告し、行政指導をしてもらいましょう。

労働基準監督署に申告する場合には離職票を送ってもらうように依頼をしていることの証拠を持参する必要があるので、内容証明を送るなどで客観的な証拠が必要となります。

6-3.会社が破産したような場合にはハローワークが職権で作成できる

会社が破産・清算してしまって、離職票の発行をしてくれる人が居ない場合には、ハローワークが職権で離職票を作成することができます。

会社が破産・清算したことを示す書類(例:破産管財人・清算人からの通知や会社の閉鎖登記簿謄本など)、会社に勤務していたことを示す書類(例:社員証・給与明細・雇用契約書など)をを持参して、ハローワークで相談をしましょう。

6-4.雇用保険に加入してもらうor損害賠償をする

会社が万が一雇用保険に加入していなかったときには、雇用保険に加入してもらうか、損害賠償を請求することが可能です。

雇用保険に加入していない場合でも、一定期間遡って保険料を支払うことで、失業手当を受けることができます。

また、受け取れなくなった失業手当分を損害賠償として請求することも選択肢です。

万が一雇用保険料として給与から天引きしていた場合には、損害賠償をする場合に加算することも検討すべきでしょう。

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7.離職票や退職に関するトラブルを弁護士に相談するメリット

離職票を送ってくれない、その他退職・労使問題についてトラブルになった場合には、弁護士に相談・依頼することには次のような大きなメリットがあります。

7-1.法的なアドバイスを受けることができる

離職票の問題をはじめ、労働関係に関する法令は非常に細かく、正確な知識が必要です。

その上で、トラブルに発展したような場合には、会社はありとあらゆる言い訳をしてきます。

その言い訳の一つ一つについて、正当なのかどうかを吟味する必要があります。

また、法的手続きを行うような場合には、手続きに関する知識も必要です。

弁護士は、これら法的問題・手続き進行についてアドバイスをしてくれます。

7-2.気づかない労働問題を発見してくれる可能性がある

離職票の問題ばかりに気を取られていると、労使関係で他にもっと問題になることを見落としてしまうことがあります。

離職票を嫌がらせでわざと送ってこないような会社である場合、他にも労働関係で問題になることを行っている可能性があります。

例えば、

  • 解雇されたがその解雇は実は不当解雇であった
  • 長時間残業を強いられていたのが残業時間の制限に反していて慰謝料の請求が可能である
  • 残業代の支払いが適切に行われていない

離職票の争いにフォーカスしすぎた結果、これらの重大な問題を見落としてしまうことがあります。

弁護士に相談すれば、これらの気づいていない労働問題を発見してくれる可能性があります。

7-3.弁護士が会社と交渉をしてくれる

離職票をわざと送らない会社のような場合には、離職票の送付やその他のトラブルについて真摯に対応してくれることが期待できません。

このような状態で交渉をするとしても、双方に感情的になってしまい、なかなか交渉が進まないことも考えられます。

このような場合でも、弁護士に依頼すれば、弁護士が交渉をしてくれますので、従来よりは冷静な交渉になることが期待できます。

弁護士が会社と交渉するような事態になると、会社も自社の顧問弁護士や社会保険労務士に相談することになり、違法であることを認識して、早期に解決することが期待できます。

7-4.労働基準監督署・労働局と異なり個別の請求をサポート

雇用保険法など、労働関係に違反している場合には、労働基準監督署などの行政に相談することがあります。

しかし、労働基準監督署や労働局は、労働関係に関する法律の遵守をさせる職責にすぎず、労働者が個別になにかを請求してくれることをサポートしてくれるわけではありません。

間接的にトラブル解決につながる可能性はありますが、労働者個人の請求を実現するのであれば、弁護士に相談・依頼して交渉するほうがスムーズに解決します。

7-5.弁護士には無料で相談できる場合がある

弁護士への相談・依頼については、どうしても費用がかかることが気になるでしょう。

確かに、弁護士に法律相談を行うには、一般的には30分5,000円程度の費用がかかります。

しかし、法テラス・市区町村などの弁護士への無料相談・都道府県の弁護士会への無料相談など、弁護士に無料で相談することができる制度はたくさん存在します。

また、労働者側の法律問題については、弁護士の中には無料で相談に応じているところがあるので、上手に利用しましょう。

法律事務所リーガルスマートでは、初回のみ60分無料で相談を受け付けていますので、是非ご利用ください。

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8.まとめ

このページでは、離職票が届かない場合の措置について、離職票とはどのようなものかと併せてお伝えしました。

失業手当を受けるのに不可欠な離職票ですが、違法であるにも関わらず中には嫌がらせで送ってこない会社もあります。

このような場合には実は残業代の支払いが適切でなかった・違法解雇を行ったなど他にも問題を抱えていることが多いです。

手続きのための書面の取得と軽く考えず、まずは弁護士に相談してみてください。

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担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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