不当解雇

突然の解雇は違法?理由や対処法、解決の流れを弁護士が解説!

突然の解雇は違法?理由や対処法、解決の流れを弁護士が解説!
この記事をSNSでシェア!

会社に出社して、突然会社から「解雇する」「明日から来なくて良い」と言われたとき、それは常に違法解雇なのでしょうか?

日本の法律のもとでは即時解雇は難しいとされており、突然の解雇はかなりのケースで違法である可能性があります。

そこで本記事では、突然の解雇がどのような場合に違法となるのか、違法な解雇が行われた場合にどのように対応すべきか、を労働問題に強い弁護士が解説します。

1.突然の解雇が違法なのか

突然の解雇は違法なのでしょうか?

そもそも違法な解雇とは、次のどちらかに該当する解雇をいいます。

  • 解雇の要件を満たさない
  • 法律上禁止される解雇を行う

解雇の内容によっては突然の解雇でも適法な場合もあり、違法な場合もあることになります。

そのため、解雇の要件を満たすか、法律上禁止されている解雇にはどのような場合があるかを確認する必要があります。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

2.適法な解雇理由は大きく分けると3種類

解雇については、労働基準法等で特定の場合における解雇が禁じられている場合(労災や産前産後、労働基準監督署への通告を理由とする解雇、労働組合に加入したことを理由とする解雇など)のほか、労働契約法16条に規定されているように客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には無効とされます。

解雇には次の3つの種類があります。

  • 普通解雇
  • 整理解雇
  • 懲戒解雇

解雇の種類ごとにどのような場合に、客観的な合理的があり社会相当性がある解雇と認められるのかを確認しましょう。

2-1.普通解雇とは

普通解雇とは、労働者が労働契約に基づく義務の履行をしないことなどの理由に基づいて、会社が一方的に労働契約を解約することを言います。

労働者と会社は労働契約を結んでおり、労働者はその契約に従って、労務の提供を行います。

しかし、能力不足であるような場合や、遅刻や欠勤が多い、セクハラやパワハラなどのハラスメントを行うような場合、労働契約の趣旨に従った労務の提供をしているとはいえません。

これによって認められるのが普通解雇です。

普通解雇が認められるためには次の要件を満たす必要があります。

  • 法律上の解雇禁止に違反しない
  • 解雇するのに合理的な理由があり社会通念上相当といえる
  • 解雇予告に関する規定に違反しない
  • 就業規則等の所定と手続きを経ている

まず、上述もしましたが、労働基準法等の法律に規定されている解雇禁止事由に該当する解雇ではないことが必要です。

次に、こちらも上述したように労働契約法16条に規定されているように、解雇について合理的な理由があり社会通念上相当であるといえる場合でなければなりません。

数度遅刻・欠勤しただけで解雇とするのは解雇に合理的な理由があるとはいえませんし、社会通念上も解雇が相当とはいえません。

度重なる指導にもかかわらず遅刻・欠勤を繰り返し、反省の様子も見られず業務に支障をきたしているような場合であることが必要です。

どのような理由で解雇するかによって、その内容が異なるので、疑問がある場合には必ず弁護士に相談しましょう。

そして、解雇予告に関する規定に違反しないことも必要です。

労働基準法20条は、解雇をする場合には30日前に予告をするか、30日分の平均賃金(解雇予告手当)の支払いをする必要があります。

したがって、突然の解雇をする場合には、解雇予告手当の支払いがなければなりません。

2-2.整理解雇とは

整理解雇とは、余剰人員の削減を目的とする解雇のことをいいます。

整理解雇も労働契約法16条に規定されているように解雇の合理性と、社会通念上相当といえる場合でなければならず、この観点から判例などによって、いわゆる整理解雇の4要件を満たす場合に適法であるといえます。

整理解雇の4要件は次の通りです。

  • 人員削減の必要性があること
  • 解雇を回避する努力を行ったこと
  • 解雇の対象となる人が合理的な基準によって選定されていること
  • 解雇の対象となっている人や労働組合に事前に十分に説明を行って協議したこと

突然の解雇を整理解雇として行うような場合には、解雇の対象になっている人や労働組合に対する十分な説明を果たしていないと考えられるので、違法であると判断されることがほとんどでしょう。

2-3.懲戒解雇とは

懲戒解雇とは、会社の秩序を乱す労働者に対して行う懲戒処分の一種として解雇することをいいます。

ここまでお伝えしている解雇に関する労働契約法16条のほか、懲戒処分については合理性・社会的相当性を必要とする労働契約法15条の観点から、懲戒処分として行う懲戒解雇については制限が行われています。

懲戒解雇をするための要件として次のような要件が挙げられます。

  • 就業規則に懲戒解雇を行うことができる旨が記載されている
  • 会社の秩序を乱す労働者の行為に対して解雇を行うことが合理性・相当性があるといえる
  • 解雇が適正な手続きに基づいて行われること

適正な手続きに基づいているといえるかについては、事前に弁明の機会を与えることなどが挙げられます。

労働者が会社上の地位を使って犯罪を起こした(例:経理事務に携わる人が横領をする)、重大な犯罪で会社の名誉を著しく害した、重大な経歴詐称があった、長期間無断欠席をしている、といった場合には、労働者の背信性も非常に高く突然懲戒解雇することも認められますが、

一方で、数回の無断欠勤や業務命令違反程度で、特に指導もせずに突然懲戒解雇とするのは、合理性・相当性があるとはいえず不当であると判断されることになります。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

3.不当解雇の具体的なケース

以上の前提から、突然の解雇は違法であり、不当解雇となる場合はどのようなものかを確認しましょう。

3-1.労働基準法などに違反する解雇

解雇が相当といえる場合でも、労働基準法などで解雇が禁じられているにもかかわらず、突然解雇をすることは違法であり、不当解雇となります。

たとえば、仕事上で怪我をしたことによって、労働能力を喪失してしまい、普通解雇が相当であるとしましょう。

しかし、仕事上で怪我をした場合、労働基準法19条で、休業期間とその後の30日は、打切補償を支払う場合か天災事変その他やむを得ない事由がある場合でなければ行ってはなりません。

そのため、打切補償を支払わずに突然解雇することは不当解雇にあたります。

労働基準法だけではなく、労働安全衛生法や労働組合法、男女雇用機会均等法など様々な法律で、解雇を禁止されているケースがあるので、これにあたるかどうかはきちんと検討するようにしましょう。

3-2.普通解雇の要件を満たしていない

普通解雇の要件を満たしていないため、解雇が無効とされるケースです。

例えば、ミスが多くて能力不足を理由に解雇をしたものの、そのミスが解雇された人のものであると立証できないような場合には、能力不足であると断言ができなくなります。

そのため、普通解雇の要件を満たさずに、不当解雇であるということになります。

3-3.整理解雇の要件を満たしていない

整理解雇の要件を満たしていないため、解雇が無効とされるケースです。

例えば、経営が傾いてきたので、何の事前の説明や手続きもなく、整理解雇を理由に解雇をすると、解雇回避義務の履行や労働組合・従業員への説明がなく相当性の無い解雇ということになり、整理解雇の要件を満たさなくなります。

そのため、不当解雇であるということになります。

3-4.懲戒解雇の要件を満たしていない

懲戒解雇の要件を満たしていないため、解雇が無効とされるケースです。

例えば、無断欠勤を1度したことのみをもって、懲戒事由にあたり直ちに懲戒解雇とする、とした場合、行為の態様に比べて、あまりにも重い処分となってしまいます。

そのため、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められず、解雇は無効であるため、不当解雇であるということになります。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

4.解雇された際に必ずすること

解雇された際に必ずすることを確認しましょう。

4-1.可能な限り証拠になるものを保全する

可能な限り証拠になるものを保全するようにしましょう。

例えば、労働組合に加入したことを理由に解雇されたような場合で、労働組合に参加しているのかどうかを上司などに問い合わせされているようなメールがあったような場合には、そのメールを保存しておきます。

会社のパソコンに会社でしか触れない、タイムカードが会社でしかコピーできない、など解雇されてしまうと争うための証拠になるものが非常に手に入りづらくなります。

そのため、可能な限り証拠になるものを保全するようにしましょう。

4-2.解雇理由証明書をもらう

解雇理由証明書をもらいましょう。

労働基準法22条は、労働者は会社を退職したときに、勤務した期間・業務の種類・会社の事業における地位・賃金又は退職の事由・解雇された場合はその理由についての証明書を請求した場合には、遅滞なくこれを交付しなければならないとしています。

これに違反した場合、労働基準法120条で30万円以下の罰金刑が法定されています。

実務上は解雇理由証明書というものを発行することになっているので、その請求を行いましょう。

会社が応じないような場合には、きちんと請求したことを証明するために、内容証明郵便を用いて請求を行い、それでも応じてこない場合には労働基準監督署に申告を行いましょう。

4-3.離職票の内容を確認する

離職票の内容を確認しましょう。

会社を退職したときに、雇用保険から脱退したことを証明するための書類として離職票というものが発行されます。

そして離職票には離職票-1と離職票-2があり、離職票-2には離職理由をチェックする欄があります。

その内容に誤りがないかをきちんと確認しましょう。

会社から解雇をされたにも関わらず、離職票-2の離職理由の欄では自己都合退職とされることがあり、自己都合退職とされると失業手当を受け取る際に2ヶ月の待期期間が必要となり、さらに給付日数も減ることになります。

誤った記載がある場合には会社に対して訂正を求めるか、会社が訂正に応じない場合には、ハローワークの窓口で退職理由が異なることを、資料とともに説明するようにしましょう。

4-4.不当解雇を争っている間失業手当の仮給付を受ける

不当解雇であるということは、解雇は無効で、会社を退職していないという法律的な扱いとなります。

ということは、会社を退職したことを前提とする失業手当は受け取ることはできないようにも思えます。

しかし、雇用保険の仮給付を受ける手続きを行うことで、失業手当を受け取りながら不当解雇を争うことが可能です。

手続きはハローワークの窓口で行います。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

5.突然された解雇が違法だった場合の解決までの流れ

突然された解雇が違法であった場合の解決までの流れは次の通りです。

5-1.会社と交渉を行う

会社と交渉を行います。

会社に対して、行われた解雇が不当解雇であることを主張して、解雇を撤回してもらって元の職場に戻る、あるいは解決金という形で解決をします。

解決金で合意ができた場合には、示談書・和解書という形で文書にするのが一般的です。

5-2.労働基準監督署に申告する

解雇が労働基準法等に違反するものである場合には、労働基準監督署に申告しましょう。

労働基準監督署は労働基準法等の労働関係の法律を遵守させるための機関で、事業所に立ち入る臨検を行ったり、各種書類の提出をさせるなどの権限を持っています。

法律に違反する解雇が行われているような場合には、労働基準監督所に申告を行って、会社への違法な解雇の是正をするように働きかけてもらいましょう。

5-3.法的手続きを行う

相手が不当解雇であることを認めない場合には、法的手続きを行って、不当解雇であると争います。

法的手続きとして典型的なものは裁判を起こすことですが、不当解雇のような労働問題については、労働審判という柔軟な手続きを利用することもあります。

裁判で解雇が無効だと確定すれば、その間の給与の支払いや元の職場への復職が認められます。

もっとも、不当解雇をされたような場合に元の職場に戻るのは現実に難しいこともあるので、解決金という形で和解をすることも多いです。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

6.突然の解雇を弁護士に相談・依頼するメリット

突然の解雇を弁護士に相談・依頼するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

6-1.労働基準監督署への相談では解決しない可能性がある

不当解雇であるような場合に労働基準監督署への相談では解決しない可能性があります。

労働問題で困ったことがある場合には、労働基準監督署に相談する方が多いです。

しかし、労働基準監督署は、労働基準法などの労働関係の法律の遵守を目的とする機関で、労働基準法違反などがある場合に、会社の違法な行動を有している権限によって是正させることができるにとどまります。

上記のように、不当解雇が労働基準法違反であるようなケースであれば、労働基準監督署も動くことができるのですが、解雇が整理解雇の要件を満たすか争いがあるような場合には、労働基準監督署が行えることはあまりありません。

また、労働基準監督署は慢性的な人員不足が知られており、すぐに動くまでに時間がかかります。

そのため、労働基準監督署への相談だけでは、不当解雇は解決しない可能性が高いです。

6-2.弁護士に相談すれば法的な助力を得ることができる

ここまでお伝えした通り、不当解雇であるといえるかは、解雇の要件を満たすか、解雇が制限されるケースではないかという法律に関する知識を必要とします。

また、不当解雇を争う場合には、裁判や労働審判という法的手続きに関する知識も不可欠です。

弁護士に相談・依頼すれば、これらの法的な助力を得ることができます。

6-3.会社との交渉・裁判等を任せることができる

不当解雇の解決にあたっては、会社と交渉をし、会社との交渉に決裂した場合には裁判等を行う必要があります。

不当解雇を行う会社との交渉は、極めて厳しい対応を迫られることが多い上に、裁判等を起こした後は自分で行う場合には平日の日中に裁判所に出頭する負担がある上に、裁判でも和解期日が設けられ、和解交渉を強いられることになります。

弁護士に相談すれば交渉のコツを伝授してもらえますし、依頼してしまえば会社との交渉や裁判を任せてしまうことができるので、精神的にも楽に不当解雇を争うことができます。

6-4.他にも会社と解決すべき労働問題・法的問題が無いか確認できる

不当解雇を行うような会社は、他にもパワハラ・セクハラや残業代の未払いなど、労働問題・法的問題を含んでいることがあります。

実際には多額の残業代の請求ができたり、パワハラ・セクハラなどについても慰謝料の請求ができる事案であったにも関わらず、不当解雇の問題に気を取られてしまい、和解で残業代請求や慰謝料請求も一緒にできなくなるようなケースもあります。

不当解雇以外にも請求できるものはないかを弁護士に相談すれば発見できることができます。

6-5.弁護士への相談を無料で行う方法

弁護士に相談するメリットをお伝えしましたが、弁護士への相談にはどうしても費用がかかります。

弁護士と法律相談をする場合30分5,000円程度の相談料が必要となるのですが、無料で弁護士に相談する方法があります。

市区町村で行う法律相談や、一定の収入要件をみたした場合に法テラスで無料で弁護士に相談をすることができます。

また、労働問題のような個人の法律問題についての相談を無料で行っている弁護士もいますので、積極的に利用してみましょう。

法律事務所リーガルスマートでも初回60分法律相談を無料で行っていますので、是非ご利用ください。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

7.突然の解雇に関するよくあるQ&A

突然の解雇に関してよくあるQ&Aには次のようなものがあります。

7-1.突然会社を解雇された場合に受け取れる手当はありますか?

突然会社を解雇された場合には、失業手当の受給を検討しましょう。

上述もしましたが、突然解雇されたような場合には、会社都合の解雇なので、自己都合退職のように2ヶ月の待期期間がなく失業手当を受け取ることができます。

また、不当解雇として争う場合でも、上述したように失業手当の仮給付を受けることができます。

この場合に失業手当として受けた金銭は、解決して未払い給与を支払ってもらった段階で返還する必要があるので注意をしましょう。

7-2.不当解雇を解決すると必ず会社に戻らなければならないのか

不当解雇は解雇を無効であると主張することになります。

解雇が無効であるということは労働契約は続いているということになるので、会社に戻らなければならなくなるようにも思えます。

しかし、不当解雇をされた職場に戻ることに抵抗がある方も多いでしょう。

そのため、不当解雇であると判断できる場合に解決金という形で金銭で解決することも可能です。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

8.まとめ

このページでは、突然の解雇は違法なのか?解雇の理由や対処法・解決への流れなどについてお伝えしました。

解雇が違法かどうかは、解雇の要件を満たすか、解雇が制限されている場合ではないかなど、判断の難しい法律問題がたくさんあります。

まずは弁護士に相談して、不当解雇といえるのか、どうやって解決するのが良いか、他に労働問題を抱えていないか、などを判断してもらうことをお勧めします。

私たち法律事務所リーガルスマートは、解雇のトラブルをはじめとする労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

この記事をSNSでシェア!

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

相談無料初回60分

担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
ホーム お役立ちコラム 労働問題 不当解雇 突然の解雇は違法?理由や対処法、解決の流れを弁護士が解説!

電話受付時間 10:00〜17:30 (土日祝・年末年始を除く)