リベンジポルノ
リベンジポルノ被害の対処法と損害賠償について弁護士が解説!
掲示板やSNSに、ご自身の性的な写真や動画をアップロードされて困っている方はおられないでしょうか。
主に元交際相手や元配偶者によって引き起こされるこのような被害は「リベンジポルノ」と言われ、2014年にはリベンジポルノ防止法(正式名称:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)が定められるほど問題になっています。
今回は、このようなリベンジポルノ被害を受けた場合に行うべきことについてお伝えします。
目次
1.リベンジポルノとは
リベンジポルノとは、元交際相手などが撮影した性行為や性器、性的な部位を撮影した写真や動画をネット上に流出させる行為です。
流出先がネット上であって世界中からみられる可能性があり、かつ、拡散が容易であることから被害が際限なく広がってしまう可能性があります。
身近な人に見られる恐れもありますし、画像等とともに住所等が流出している場合、全く面識のない人から現実の世界で被害を受けてしまう可能性もあります。
そのため、もしもリベンジポルノ被害を受けてしまった場合には、早急に対応することが必要です。
どのような行為がリベンジポルノになるのかはこちらで詳しく解説しています。
どんな行為がリベンジポルノ?リベンジポルノ防止法を元に解説!
2.リベンジポルノ被害に遭った際の対処法
⑴警察に相談
冒頭で記載したとおり、現在ではリベンジポルノ防止法が定められており、この法律には刑事罰も規定されています。また、リベンジポルノ行為は、児童ポルノ禁止法やわいせつ物頒布罪に該当する可能性があります。
したがって、警察に相談をすれば、捜査に動いてもらえる可能性があります。
警察に行く際には、写真や動画がアップロードされているページのスクリーンショットやURL情報を用意していくとよいでしょう。
⑵投稿の削除や損害賠償請求については弁護士へ相談
リベンジポルノ被害を受けてしまった場合、当然、画像や動画を削除したり、投稿者に対して金銭を請求したいと思われるでしょう。
しかし、警察は犯罪に関する事項については動いてくれる可能性がありますが、民事上の問題については介入しません。
そして、アップロードされた画像等の削除や、投稿者に対する損害賠償請求は民事上の事項とされています。
そのため、削除や損害賠償請求については、警察が直接対応してくれるわけではありません。
削除や損害賠償請求については、ご自身、あるいは弁護士にご相談のうえ進める必要があります。
専門性の高い分野ですので、できれば弁護士に依頼して進めることが望ましいです。
以下では、弁護士に依頼した場合に弁護士がどのように力になれるかを解説します。
3.リベンジポルノの削除請求
⑴フォームからの削除請求
各サイトに設置されたウェブフォーム等から、サイト管理者に対して削除を依頼する方法です。
ご自身でも可能な方法ではありますが、弁護士に依頼し弁護士名義で削除依頼を行うことで、管理者による真摯・迅速な対応がなされる可能性が高まります。
⑵送信防止措置依頼による方法
「テレサ書式」といわれる書式を用いて管理者に削除を依頼する方法です。サイト管理者は、違法性が明白か利用規約違反があると考えたときは削除処理をし、違法性の有無が明らかでないと思われるときは投稿者に削除の可否を尋ね、削除可、あるいは回答がなかった場合には削除がなされるというものです。
サイト管理者から投稿者に対する意見照会の期間は、リベンジポルノの場合2日とされています(リベンジポルノ防止法4条3項)。
テレサ書式では「侵害されたとする権利」の選択と「権利が侵害されたとする理由」についての説明が求められます。これらについては、弁護士が検討の上適切な記載を行うことが望ましいといえます。適切な記載がなければ、サイト管理者に対応してもらえないこともあり得ます。
また、案件によっては通常のテレサ書式のみでは不十分なものもあります。このような場合でも、弁護士に依頼していれば個別事情を反映した資料の提出が期待できます。
⑶削除仮処分
裁判所に仮処分を申し立て、削除を認める判断を求める手続です。 権利侵害の説明や証拠の取り方はもちろん、手続きの進め方全般についても専門的な知識が必要となるので、弁護士を代理人として立てたうえで進めていくことが望ましいです。
⑷削除する前の注意点
投稿者に対する損害賠償請求を検討されている場合、何も対応せずに削除してしまうと証拠を失ってしまうことになります。
写真等がアップロードされているページは見たくもないものだとは思いますが、損害賠償請求との関係でいうと、加害行為の悪質性等の立証に用いることができる証拠になります。
弁護士に依頼している場合は、証拠を確保したうえで削除を進めることができます。
4.リベンジポルノの損害賠償請求
損害賠償については、任意交渉あるいは裁判で行うことが一般的です。
いずれの場合でも、加害行為の態様や流出した画像・動画の内容、被害の大きさ等についての有利な事情を適切に主張する必要があります。
これら主張すべき事実の選択や主張の組み立てについては、弁護士を選任して進めることで適切に行うことができるでしょう。
ネット上でのプライバシー侵害の慰謝料の相場については、数十万円から50万円程度と言われることがあります。しかし、リベンジポルノの場合は、一般的なプライバシー侵害の場合に比較して精神的苦痛の度合いが大きいケースが多いと考えられ、この相場を上回る金額の請求ができることも少なくありません。
当事務所でも、1か月程度の交渉期間で100万円を超える金額で交渉を成立させた例などがあります。
請求額の検討にあたっては他の類似案件との比較等の作業も必要であり、弁護士に依頼することでスムーズに進めることができるでしょう。
なお、投稿者が不明な場合は、発信者情報開示請求を先行させることになります。
発信者情報開示についてはこちらの記事をご覧ください。
発信者情報開示請求とは?手続きの流れと新制度を弁護士が解説!
5.リベンジポルノ被害は弁護士にご相談ください!
今回は、リベンジポルノ被害に遭ってしまった際の対処方法についてご説明しました。
加害者の刑事責任については警察に相談し、民事では削除請求と損害賠償請求を主に行うことになります。
民事上の請求については弁護士が大きく力になれる部分ですので、一度弁護士にご相談の上進められることをお勧めします。
当事務所では、インターネットトラブルの専門チームがありますので、是非ご相談ください。
担当者
-
■経歴
2008年3月 上智大学法学部 卒業
2010年3月 上智大学法科大学院 修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所にて勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (出版社:日本実業出版社)
担当記事
- ネットトラブル2月 9, 2023ネット誹謗中傷の削除請求とは?要件や手続き方法、費用を解説!
- ネットトラブル1月 27, 2023ネット誹謗中傷の損害賠償請求の内容と金額は?弁護士が解説!
- ネットトラブル1月 19, 2023発信者情報開示請求は拒否できる?拒否した場合はどうなるの?
- ネットトラブル1月 12, 2023逆リベンジポルノとは?特徴や事例、対処法を弁護士が解説!