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社内不倫が発覚した際にするべきことや慰謝料相場を弁護士が解説

社内不倫が発覚した際にするべきことや慰謝料相場を弁護士が解説
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配偶者が職場で不倫していることがわかった時、どのような行動をとるべきでしょうか。また、どのような点に注意すればよいでしょうか。本記事では、社内不倫が発覚した際に何をすべきか、どの程度の慰謝料請求が認められるか等について離婚・男女問題、不倫慰謝料に強い弁護士が解説します。

1.社内不倫はなぜ起こるのか

社内不倫が起こる原因としては、以下のようなことが考えられます。

  • 特に同じ部署では、プロジェクトチームを組む等、同一の目的に向かって仕事をすることが多いため仲間意識が生まれやすく、男女間ではそれが恋愛に発展する可能性がある
  • 飲み会等の懇親イベントが多く行われるので、親しくなる機会が多い
  • 残業や出張等、長時間行動を共にしたり、二人きりになったりする機会がある

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2.社内不倫がバレるきっかけ

社内不倫がバレるきっかけとして、以下のようなことがありえます。

①不倫関係にある社員同士のお互いに対する態度に周囲が違和感を感じる

二人が不倫関係を隠そうとして、不自然によそよそしくなったり、あるいは開き直って親密に接したりしていると、周囲が不倫を疑う可能性があります。

②特に女性側がインスタ等の画像メインのSNSで不倫を匂わせる投稿をしてしまう

デート場面の写真など、相手の情報を出さなくても職場の人が見れば相手が特定できてしまうような画像・動画を投稿することによって、交際相手がいることだけでなく、相手が誰であるかに気づく人が出てくる可能性があります。

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3.社内不倫を続けるリスク

本章では、社内不倫が発覚することによって起こりうる事態について解説します。

3-1. 被害者から慰謝料請求される

婚姻関係にある夫婦は、お互いに対して第三者と性的関係を持たないことを要求する権利(貞操権)を主張することができます。このことから、既婚者が第三者と性的関係を持った場合(風俗店利用の場合を除く)は、配偶者の貞操権を侵害するという不法行為(民法第709条)を行ったことになります。そして不法行為の加害者は、被害者に与えた財産的損害・非財産的損害(精神的苦痛)に対する賠償義務を負います。このうち、精神的苦痛に対する賠償金が慰謝料を意味します。

また、不倫相手についても、交際した相手が既婚者であることを知りながら性的関係を持った場合は貞操権侵害の共同不法行為者として既婚者と連帯して慰謝料支払義務を負います(民法第719条1項)。

3-2. 不倫した配偶者に対して離婚請求される

既婚者が第三者と交際して性的関係を持つことは、裁判で離婚請求することができる理由である「法定離婚事由」の1つである「不貞行為」にあたります(民法第770条1項1号)。

不貞行為の事実がなくても、離婚は夫婦間の話し合いによって行うことができます(協議離婚:民法第763条)。一方、不貞行為の事実があった場合は、協議がまとまらず、家庭裁判所での調停が不成立となった場合でも、家庭裁判所に訴訟を提起して裁判で離婚請求することができます。

3-3. 会社の懲戒処分の対象になる

社内不倫が発覚した場合、会社の就業規則で「職場の風紀を乱す行為」が懲戒処分の対象として記載されていれば、双方とも降格や減給、出勤停止処分等を受ける可能性があります。また、懲戒処分によるものであるか否かを問わず、少なくとも一方が異動になる可能性が高いです。

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4.社内不倫の慰謝料請求をできる相手と条件

本章では、社内不倫の慰謝料請求をできる相手と、慰謝料請求が認められるために必要な条件について解説します。

4-1.慰謝料請求できる相手

慰謝料請求できる相手は、配偶者及びその不倫相手です。ただし、それぞれ一定の条件を満たしている必要があります。

4-2.慰謝料請求できる条件

(1)配偶者に対して慰謝料請求できる条件

①配偶者が貞操権侵害行為の事実を認めたか貞操権侵害の事実が証明された

慰謝料請求権は、貞操権侵害行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償請求権です。そのため、まず貞操権を侵害した側の配偶者が、貞操権侵害行為を行った事実を認めた場合には慰謝料請求できます。

また、貞操権侵害の事実を認めなかった場合は最終的に裁判でその事実の有無が争われることになりますが、慰謝料請求する側が貞操権侵害の事実を証拠によって証明した場合には慰謝料請求が認められることになります。

②貞操権侵害行為が行われた時点で婚姻関係が破綻していなかった

慰謝料請求権は貞操権侵害を根拠としています。従って、既婚者が第三者と性的関係を持った場合に、最初に性的関係を持った時点で婚姻関係が破綻していたとはいえない場合には貞操権侵害が認められます。婚姻関係が破綻していたといえるか否かが争われた場合は、最終的に裁判官が婚姻状況を総合的に考慮して判断することになります。一般的には、婚姻関係が破綻していたかどうかは別居の有無を基準に判断されることが多いです。

③不倫が発覚した時点または離婚成立日から3年経過していない

不倫の慰謝料請求権については、不法行為による損害賠償権の消滅時効規定(民法第724条)が適用されます。これにより、慰謝料請求権は ①被害者が損害及び加害者を知った時から3年間それを行使しないとき(1号)、及び②不法行為の時から20年間行使しないとき(2号)に時効により消滅します。厳密には、②の20年は「除斥期間」と呼ばれています。

従って、離婚を求めない場合の配偶者に対する慰謝料請求権は、被害者が貞操権侵害行為の事実を知った時点から3年を経過すると時効消滅してしまいます。また、被害者が貞操権侵害行為の事実を知らなかった場合でも、貞操権侵害行為が最後に行われた時点から20年経過すると慰謝料請求権が消滅します。

ただし、離婚に至った場合で離婚後に元配偶者に慰謝料請求が可能なのは離婚成立日から3年以内となります。

従って、配偶者に対して慰謝料請求する場合、①離婚して元配偶者に対して慰謝料請求権する場合と ②離婚を求めずに慰謝料請求する場合で消滅時効の起算日(消滅時効の進行が始まる日付)に違いがあります。

(2)不倫相手に対して慰謝料請求できる条件

①不倫相手の身元が特定できている

まず、不倫相手の氏名・住所が特定できていることが必要になります。この点、配偶者に対する慰謝料請求は不倫相手の氏名住所が特定できていなくても可能です。しかし不倫相手に対して慰謝料請求する場合は、人違いが許されないことはもちろん、慰謝料請求の内容証明や訴状を送る際にも必ず相手の氏名・住所が特定できていなければなりません。

②被害者が不倫相手を特定した時点から3年経過していない

配偶者に対して慰謝料請求する場合は民法第724条1号の「加害者を知った時」という要件が問題にならないのに対して、不倫相手に対して慰謝料請求する場合は「加害者を知った時」つまり被害者が不倫相手を特定した時が起算点になります。通常は不倫の事実発覚よりも不倫相手特定のほうが時間的に後になるので、被害者が不倫相手を特定した時点から3年経過していない時点では不倫相手に対する慰謝料請求が認められます。

なお、被害者が不倫相手を特定したか否かにかかわらず、最後に貞操権侵害行為が行われた時から20年経過した場合も慰謝料請求権が認められないことになります。

③性的関係を持った相手が既婚者であることを知っていた

貞操権侵害行為が行われた場合、既婚者と不倫相手とは既婚者の配偶者に対する1個の慰謝料支払義務について連帯責任を負うことになります(民法第719条1項:共同不法行為)。

しかし不倫相手が共同不法行為者と認められるのは、貞操権侵害の故意または過失がある場合、つまり相手が既婚者であることを知っていた場合または注意すれば知ることができた場合に限られます。従って、相手が既婚であるかどうかを全く話さなかったり、あるいは「独身である」「配偶者とは離婚した」等と偽っていた場合には、不倫相手に貞操権侵害の故意・過失が認められないことになります。

なお、裁判では原告側(慰謝料請求する側)が、被告(不倫相手)が性的関係を持った時点で相手(原告の配偶者)が既婚者であることを知っていた旨を立証する必要があります。

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5. 社内不倫の慰謝料相場と金額を決める要素

本章では、社内不倫の慰謝料相場と慰謝料額を決める要素について解説します。「社内不倫」といっても当事者のそれぞれの収入や資力、不倫関係の実態や配偶者との婚姻生活等の事情が千差万別であることから、一般的な不倫の慰謝料相場について言えることがあてはまります。

5-1. 社内不倫の慰謝料相場

(1)被害者が離婚を求める場合

①相場は100~300万円

配偶者に対して離婚を求める場合、請求できる慰謝料は(a)不倫が原因で離婚に至ったことにより受けた精神的苦痛に対する慰謝料(離婚慰謝料)と、(b)第三者と性的関係を伴う交際をしていたことにより受けた精神的苦痛に対する慰謝料(不貞行為慰謝料)とを合わせた額となります。

離婚を求める裁判では、離婚慰謝料・不貞行為慰謝料とも婚姻期間や未成熟の子供の有無・年齢、不貞行為が行われた期間や不貞行為に至った交際の経緯等の様々な事情を総合的に考慮してケースバイケースで判断されますが、相場はおおむね100万円〜300万円とされています。

②不倫以外に婚姻を破綻させた事情があれば増額の可能性

不倫した側の配偶者(有責配偶者)が不倫以外に配偶者に対して身体的暴力や精神的暴力(モラハラ)、生活費を渡さない・お金を取り上げる、行動を監視する等の「配偶者に対する暴力(DV)」にあたる行為を行っていた等、他に婚姻を破綻させる原因になるような事情がある場合には増額されます。ただし、1,000万円を超えるのは有責配偶者の資力が高く、かつ事情が悪質である場合に限られます。離婚の財産分与と併せて行われる場合や、有責配偶者によるDV等の事情があった場合で500万円程度とされています。

(2)離婚せずに不倫相手に対して慰謝料請求する場合

①相場は50~100万円

離婚を求めない場合は、上の(b)の不貞行為慰謝料のみを請求することができます。不倫の事実により貞操権を侵害されたことは認められますが、それによって婚姻が破綻するには至らなかったことになるので、離婚を求める場合に比べると相場の金額は低くなります。多くの場合50万円〜100万円程度で、最大で150万円程度とされています。

②財産状況等により相場以上の慰謝料が認められる場合もある

離婚を求めない場合であっても、配偶者や不倫相手の財産状況、婚姻継続期間と不倫の継続期間、未成熟の子の有無や年齢、不倫の経緯、被害者が受けた精神的苦痛の程度等の諸事情を考慮して、相場を大幅に上回る額の慰謝料が認められたケースもあります。

例えば、東京地方裁判所2004[H16]年4月23日付判決は、婚姻期間3年・不倫継続期間2年半で離婚に至らなかったものの被害者(妻)がうつ病及び自律神経失調症を発症していたケースで、被告の不倫相手の女性に対して400万円の支払いを命じました。

5-2. 金額を決める要素

(1)不倫が行われた期間・程度・状況

一般的に、以下の要素が多くなるほど慰謝料は増額される傾向にあります。

  • 不倫が行われた期間が長く、性的関係を持った頻度が高い
  • 有責配偶者の側から不倫関係に誘った

(2)婚姻の状況

婚姻期間、夫婦の年齢、未成熟の子供の有無・年齢、夫婦の円満度等のさまざまな要素を考慮します。一般的に、以下の要素があると慰謝料は増額される傾向にあります。

  • 婚姻期間が長い
  • 未成熟の子供がいる
  • 子供の年齢が幼い
  • 夫婦関係が円満であった
  • 妻の妊娠中や出産の直後に夫が不倫していた

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6.慰謝料請求で失敗しないためのポイント

社内不倫が事実であれば、配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求することは法律上の権利として認められます。しかし、請求する側のミスによって慰謝料を取れなくなってしまうという危険があるのも事実です。本章では、慰謝料請求で失敗しないためのポイントについて解説します。

6-1. 時効期間内に請求する

前述のように、配偶者・不倫相手に対する慰謝料請求権は時効期間を経過すると消滅します(下記の表参照)。

特に不倫の事実を知った場合には時効期間が短いので、消滅時効の進行を止める「裁判上の請求」(民法第147条1項1号)または「督促」(2号)をできるだけ早く行うことが大切です。これらには訴訟提起の他、口頭・書面で行った場合も含まれます。

ただし、口頭で請求しただけでは証拠が残らないため、内容証明郵便で請求書面を郵送することをお勧めします。

[慰謝料請求権の時効期間まとめ]

請求相手/離婚有無離婚した場合離婚しなかった場合
配偶者離婚成立の日から3年
最後の貞操権侵害から20年
事実を知った時から3年
最後の貞操権侵害から20年
不倫相手身元を特定してから3年
最後の貞操権侵害から20年
身元を特定してから3年
最後の貞操権侵害から20年

6-2. 不倫相手に対して慰謝料請求する場合は求償権を放棄させる

不倫相手に貞操権侵害の故意・過失がある場合、有責配偶者と不倫相手とは被害者に対して1個の慰謝料支払義務を連帯して負うことになります。これは不真正連帯債務と呼ばれますが、不真正連帯債務であっても連帯債務の求償権の規定は適用されます。これにより、有責配偶者と不倫相手との間で負担部分を定めていれば、どちらかが全額支払った時に他方に対して負担部分を超える部分について支払いを求めることができます。しかし、この負担部分は債務者間で自由に定めることができるため、債権者側からみると不都合が生じる場合があります。

例えば、妻Bが夫Aの不倫相手Cに対して100万円の慰謝料請求をしたとすると、AC間で負担部分を100:0と定めていれば、CがBに対して100万円支払ったとしてもCはBに対して全額求償できることになります。これでは、Bが夫の不倫相手に対して慰謝料請求した意味がなくなってしまいます。

この求償権については、連帯債務者全員の同意があれば放棄させる(行使させない)ことができます。そこで、示談交渉の場で求償権不行使について相手の同意を得ておくことをお勧めします。

6-4. 示談が成立した場合は示談書を執行認諾文言付き公正証書として作成する

示談が成立した場合は示談内容を書面に記載します。ただし、示談書には慰謝料支払いを法律的に強制する効力はありません。従って、慰謝料が支払われないまま時間が過ぎてしまうおそれがあります。そこで、示談書を作成するにあたって、「支払いを怠った場合には債務者の財産に強制執行することを債務者が認める」という記載(執行認諾文言)を入れた上で、公証役場に書面を持参して公正証書として示談書を作成することをお勧めします。

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7.不倫相手へのNG行動

本章では、被害者が配偶者の不倫相手に対して行ってはならない行動について解説します。

7-1. どのような状況・目的でも不倫相手に対して違法な行為を行ってはならない

不倫相手に対して慰謝料請求することは民事上の正当な権利として認められる一方、不倫自体は犯罪には該当しません。従って、たとえラブホテルの出入り場面のような不倫現場を目撃したり、あるいは配偶者・不倫相手と鉢合わせした場合であっても、あるいは不倫の証拠収集を目的とする場合であっても、不倫相手に対して犯罪に該当する行為を行うことは違法となります。それによって、逆に相手から慰謝料請求されたり刑事告訴されたりする可能性もあります。

7-2.違法な行為の例

そのような違法行為の例としては以下のようなものがあります。

(1)証拠収集目的で行動する場合

特に、①不倫相手の住居への立ち入りや ②不倫相手の住居内での監視カメラ・ボイスレコーダー等の設置、③住居からの物・データの持ち出し、④不倫相手の所有物を破壊したり使用不能にしたりする行為、⑤不倫相手に対して殺す等と脅したり ⑥脅した上で金銭を奪ったりする行為はすべて刑法犯罪に該当します※。このような行為を行った場合、刑事処分で逮捕・起訴されたり、不倫相手から損害賠償請求される可能性があります。

※①住居侵入罪(刑法第130条) ②個人情報保護法第18条違反(個人情報の利用目的の通知義務) ③窃盗罪(刑法第235条) ④器物損壊罪(刑法第261条) ⑤脅迫罪(刑法第222条)  ⑥恐喝罪(刑法第249条1項)

(2)不倫の事実を第三者に知らせる行為

職場の関係者や不倫相手の家族など正当と思料される範囲内で知らせる場合は違法にはなりません。しかし、SNSで不倫当事者の実名入りで投稿すること等は名誉棄損などの不法行為に該当する可能性があります。

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8.社内不倫の慰謝料請求を弁護士に相談するメリット

配偶者の社内不倫が発覚した場合、配偶者と同じ会社に勤務する不倫相手と示談交渉することになります。しかし、交渉を申し入れても相手が応じなかったり、配偶者と不倫相手の間で口裏合わせをして慰謝料請求から逃れようとする可能性がある等、被害者単独で慰謝料請求することにはさまざまな困難があります。本章では、社内不倫の慰謝料請求を弁護士に相談するメリットについてご説明します。

(1)浮気相手の特定が容易になる

浮気相手に対する慰謝料請求で最初にネックとなりやすいのが不倫相手の住所氏名の特定です。個人情報保護法の施行以来、第三者が個人の住所や氏名を特定することは難しくなっています。この点、浮気相手の固定電話・携帯電話のいずれかの番号または所有する車のナンバープレートが判明している場合は、弁護士に相談すれば弁護士照会制度を利用して通信事業者や運輸局に登録者住所氏名照会を行うことができます。

(2)証拠収集方法について助言を受けられる

①証拠収集を被害者本人が行うことは困難

次にネックとなるのが「証拠収集」です。配偶者や不倫相手が不倫の事実をすぐに認めて慰謝料請求に応じてくれれば証拠は必要ありません。しかし、多くの場合は不倫の事実を認めさせるための証拠を集める必要が生じます。また、離婚請求や不倫の慰謝料請求の交渉が成立せずに訴訟になった場合は、原告側(離婚や慰謝料を請求する側)が配偶者の不倫の事実を立証しなければなりません。

②弁護士に相談すれば証拠収集の悩みが解決する

この点、男女問題に強い弁護士に相談すれば個別の事情に応じて必要となる証拠の種類や、それぞれの証拠の集め方について詳しいアドバイスを受けることができます。さらに、必要な場合は信用できる探偵事務所(興信所)を紹介してもらうことができます。

(3)適正な請求額を算定してもらえる

浮気相手に対して慰謝料を請求する場合、さらに問題となるのが「いくらぐらい請求できるか」ということだと思います。被害者が浮気相手に対して憤りにかられて多額の慰謝料を取りたいと思うのは当然です。

しかし、慰謝料額の算定は浮気が行われた状況、結婚生活の状況、離婚を求めるか求めないか、離婚を求める場合は他に財産分与や養育費等財産的な問題で交渉する必要があるか否か、離婚を求めない場合は配偶者と浮気相手の一方または両方に請求するか等、さまざまな要素を総合的に判断して行う必要があります。弁護士に相談することにより、経験に基づいて適正な慰謝料額を算定してもらうことができます。

(4)内容証明送付・示談交渉・訴訟等の法的手続を任せることができる

浮気相手に対して慰謝料を請求するにあたっては法的な手続を行う必要があることも、個人にとってはネックとなりがちです。個人で内容証明を送っても相手が無視したり交渉に応じてくれない可能性があります。あるいは相手側が弁護士を立ててくるということも想定されます。この点、男女問題を専門とする弁護士に相談すれば、代理人として相手方と対等な立場で交渉することができます。また、交渉が成立せずに訴訟で争うことになった場合も、本人単独では困難な訴状提出・証拠提出・弁論出席・和解交渉等の訴訟手続をすべて任せることができます。

弁護士に法律事務を依頼すると費用がかかりますが、多くの法律事務所では初回相談または初回相談の一部の時間(30分~1時間等)を無料にしています。また、初回相談をLINEで受け付けている法律事務所もあります。この無料相談を利用して、直近の対処方法や今後の見通しについてアドバイスを受けることができます。

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9.社内不倫に関するよくあるQ&A

本章では、社内不倫に関してよくお受けする質問と、それに対する回答をご紹介します。

9-1.夫が部下の女性と不倫していたので不倫相手に内容証明で慰謝料請求したら夫が妻とは離婚したと言っていたと返答された。不倫相手への慰謝料請求は認められるか

配偶者に対して慰謝料請求できる場合に不倫相手に対しても慰謝料請求できるのは、相手の身元が特定できていることに加えて、貞操権侵害の故意、過失があるといえる場合です。つまり、その交際相手が既婚者であることを知りながら性的関係を持った場合は貞操権侵害の故意があるといえます。また、故意がなくても少し注意すれば知りえたというような過失がある場合も同様です。

本件の場合、ご主人が部下の女性に対して「妻とは離婚した」といっていたことが真実であるとすれば、部下の女性には貞操権侵害の故意が認められないことになります。もっとも、部下の女性に慰謝料請求させないために、二人で口裏合わせをしていた可能性もありますし、少し注意すれば離婚していないことが分かったはずだと言えるかもしれません。

慰謝料請求に対して部下の女性がそのように答えたということは、弁護士を立てても示談交渉で慰謝料請求に応じる可能性は低いと考えられます。裁判でも貞操権侵害の故意、過失については不倫原告側に立証責任があるので、本件の場合に貞操権侵害の故意、過失を立証することは容易ではありませんが、部下の女性とご主人のLINEのやり取り等を押さえることができれば、女性が言ったことが真実であるか虚偽ないし口裏合わせであったかを証明できる可能性があります。

9-2.部下の女性との不倫が妻にバレて怒った妻が職場に怒鳴り込んで騒ぎになったため懲戒処分を受けた。妻に離婚を請求できるか

判例上、原則として不貞行為を行った側(有責配偶者)からの離婚請求は認められないとされています。しかし、第三者と性的関係を持った時点で別居中であった場合や、同時期に他方配偶者も不貞行為を行っていた等、婚姻関係が破綻していたといえる場合には、有責配偶者からの離婚請求が認められる可能性があります。

本件では、不貞行為が行われた時点で婚姻関係が破綻していたとはいえません。

他方、不倫への報復目的や証拠収集目的であっても犯罪に該当する行為や、第三者の利益を侵害する行為を行うことは認められません。奥様が職場に怒鳴り込んだことによって会社の業務に支障が出たり、職場の秩序を乱したことは否定できません。相談者様が懲戒処分を受けたのは、騒ぎが就業規則に規定された「職場の秩序を乱す行為」にあたり、その原因が社内不倫にあったためと考えられます。確かに不倫の事実がなければそのような事態も起きなかったといえますが、不倫は犯罪にもあたらず、個人の私生活の問題で配偶者との関係でのみ不法行為となるものです。奥様が行ったことはいわば報復目的で会社や職場の利益を侵害する行為を行ったことと評価される可能性もあります。

離婚自体は最初から訴訟提起しなければならないわけではありません。夫婦間の話し合いによって離婚に合意し、協議事項を取り決めることができれば、住んでいる自治体の役所に離婚届を提出して受理されることにより成立します。この話し合い(協議)を持ちかけることは有責配偶者でも可能です。本件ではまず、相談者様から離婚を切り出して奥様と話し合うことをお勧めします。

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10.まとめ

社内不倫が発覚すると、被害者(配偶者)から慰謝料や離婚を請求されるだけでなく、会社で懲戒処分を受けるリスクもあります。他方で慰謝料を請求する側は、証拠収集や相手との交渉、交渉が成立しなかった場合の訴訟手続等、さまざまな壁を乗り越えなければなりません。こうした問題に対処するためには法律的な知識が必要になりますので、法律の専門家である弁護士にご相談ください。

私たち法律事務所リーガルスマートは、離婚・男女問題、不倫慰謝料の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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