ハラスメント
セクハラの相談窓口は?事前に準備すべきことなどを弁護士が解説
目次
1.そもそもセクハラとは
セクハラとは、セクシャル・ハラスメントの略で、職場で性的な嫌なことを言われたり、性的な言動をされたりすることです。また、性的な行動もあてはまります。いわゆる嫌がらせです。
セクハラは男性から女性への性的な嫌がらせが多く、問題となっています。一方で、男性のセクハラ被害もあります。
セクハラに該当するのは以下のようなことです。
- 身体を触られる
- 肉体関係を迫られる
- 性的な嫌な言葉を浴びせる
- 性的な発言をする
このように、発言だけでなく、具体的な行為をともなうものもあります。
また、断りづらい状況で個人の携帯に連絡が来るようになったり、必要以上になれなれしい呼び方をされるようになったりなど、不快と思うようなことはセクハラに該当する場合があるため注意しなければなりません。
セクハラされる場面として職場だけでなく、食事や飲み会、業務時間内、残業のときなど、さまざまあります。
受ける側が嫌だと感じたらセクハラに該当することもあるため、言動や行動には気を付けましょう。
1-1.セクハラの種類
セクハラには種類があるのはご存知でしょうか。職場におけるセクハラには4つの種類があります。
- 対価型セクハラ
- 環境型セクハラ
- 制裁型セクハラ
- 妄想型セクハラ
以下に1つひとつ解説します。
(1)対価型セクハラ
対価型セクハラについて、上司と部下を用いて要点をまとめます。
- ①上司が部下に対して、性的な言動をした
- ②部下が拒否または抵抗をした
- ③上司はそれをよく思わず、部下のことを解雇や降格、減給などの処分を下した
- ④部下が不利益を受けた
分かりやすく説明すると、上司が部下へ肉体関係を持とうと言ったが、部下が受け入れずに拒否したことで、部下を減給処分とするというようなことです。
部下は減給処分という労働条件において不利益を受けたため、セクハラに該当します。
(2)環境型セクハラ
環境型セクハラについて、上司と部下を用いて要点をまとめます。
- ①上司が部下に対して、性的な言動をした
- ②部下は性的な言動を受けてを苦痛と感じた
- ③部下は仕事に悪影響が生じた
分かりやすく説明すると、上司が部下へ胸やお尻を触ってきて、嫌だと思っていても、言い出せずに、仕事に集中できなくなったということです。
部下は仕事に集中できずに、能力が発揮できなくなってしまったという悪影響を生じているため、セクハラに該当します。
また、環境型セクハラには、3つの分類に分けられます。
- 視覚的セクハラ
- 発言的セクハラ
- 身体接触型セクハラ
上記で例として挙げたのは、身体接触型ハラスメントです。
視覚的ハラスメントとは、職場の廊下にふさわしくないヌードなどのポスターを掲示しているという、視覚に訴えるタイプです。
毎日通る廊下で、見たくないものを見せられて嫌と感じることもセクハラとなります。
発言的セクハラとは、プライベートのことを必要以上に聞いてきたり、胸が大きいねと言ったりすることです。一度のみの発言でもセクハラにあたりますし、何度も繰り返し言えば、より悪質なセクハラとみなされる場合があるでしょう。
(3)制裁型セクハラ
制裁型セクハラとは、「女性だからこのようにしなければならない」などと、価値観を押し付け、女性の意見・言動を否定することです。
たとえば、「女性の意見は聞かない」などと言って女性従業員からの提案を拒否したり、「出産したのだから育児に専念するように」などと言って、女性従業員の活動を抑制するなどが挙げられます。
(4)妄想型セクハラ
妄想型セクハラとは、相手が自分のことを好意を持っているなどと勘違いして、付きまとうことです。また、性的な発言をすることも該当します。
たとえば、相手が自分を好きだと勘違いして、仕事終わりに食事にしつこく誘ったり、デートしようと言い寄ったりすることです。
このような場合は、相手が強く拒否をしないと、セクハラに該当しないことがあります。また、セクハラしている本人も、セクハラと自覚していない場合があるため、何度も行ってしまうことがあるため、注意が必要です。
現代はSNSを用いたセクハラもあり、時代と共に多様化しています。セクハラを未然に防ぐためにも、対策をすることが重要です。
2.どのような場合にセクハラにあたるのか
セクハラの例として、8つ紹介します。
- 上司から食事に誘われれて、断れずに行ったら胸を触られた
- 休憩時間中に腰や腕を触られて、ストレスになっている
- 好きな人はいるの?などと必要以上にプライベートのことを聞いてくる
- 社内行事でやたらとボディタッチを求める
- 性的な発言を苦痛に感じて仕事がはかどらなくなった
- 上司からのボディタッチを断ったら、解雇された
- オフィス内にヌードのポスターを貼っている
- 性的な会話をわざと聞こえるように言う
セクハラ以外にも、職場で起こるハラスメントとして、パワーハラスメントやマタニティハラスメント、パタニティハラスメントなどがあります。
3.セクハラの相談窓口一覧
もし、会社内でセクハラをされた場合の相談窓口として以下の3つを挙げます。
- 会社のセクハラ相談窓口に相談する
- 労働基準監督署に相談する
- 弁護士に相談する
以下に解説します。
3-1.会社のセクハラ相談窓口に相談する
まずは、セクハラされたら、会社のセクハラ相談窓口に相談してみましょう。上司に相談するのもいいですが、なかなか取り合ってくれない可能性もあるため、会社の相談窓口に行ってください。
会社によっては社内の人間が担当する場合がありますが、外部委託されていて、相談員がいることもあるでしょう。
メリットとして、早期に相談できたり、すぐセクハラへの対応をしてもらいやすかったりなどが挙げられます。
2022年4月1日より、中小企業もパワハラ防止のための措置を講じることが義務化されました。よって、相談窓口を設置している企業は増えましたが、まだ設置していない会社もあるのが現状です。
会社の相談窓口がある場合には、すぐ相談するようにしましょう。
3-2.労働基準監督署に相談する
上記で述べたように、会社に相談窓口が設置されていない場合は、労働基準監督署へ相談するのも一つの方法です。また、会社の相談窓口で対応が不十分だと感じた場合に利用するとよいでしょう。
労働基準監督署では、相談員が対応してくれます。直接行くのが難しい方は、まずは電話でもよいでしょう。
その際、セクハラが行われた事実や、日時、どのようなことを言われたのかなど詳しい内容を聞かれるため、あらかじめメモをしておいて持っていくと、状況が把握しやすいです。
相談料は無料で予約も不要です。もちろん、秘密も守ってくれるため、安心して相談できます。必要に応じて会社へ助言することも可能です。
しかし、労働基準監督署は労働基準法等の労働法規に違反行為が認められたときに会社に対して指導等を行う機関であり、個別の案件について具体的に解決するまで対処してくれるわけではありません。
3-3.弁護士に相談する
セクハラを受けたこと対して何らかのアクションを起こしたい場合には、労働問題に詳しい弁護士へ相談をしましょう。どの弁護士に相談すればよいかわからない場合にはインターネットで調べてみるのも一つの方法です。
各法律事務所のホームページを見れば、セクハラ問題に詳しい方がいたり、実際に裁判まで経験した実力のある弁護士もいたりします。
相談者に寄り添い、法の力を使って解決に導いてくれるでしょう。裁判から訴訟、損害賠償請求まで任せられるため、根本的に解決したい方は弁護士に相談することをおすすめします。
弊社では、労働問題に強い弁護士が在籍しており、裁判実績もあります。ネットやLINEでも問い合わせ可能のため、1人で抱え込まず、まずは弊社に無料相談をお待ちしております。
4.セクハラの相談する前に準備すべきこと
労働基準監督署や弁護士へセクハラの相談をする前には、準備すべきことが3つあります。
- どう解決するのか決める
- セクハラされて拒否したという行動を記録する
- セクハラされたと分かる証拠を集める
- 時系列でセクハラされてことをまとめる
以下に解説します。
4-1.どう解決するのか決める
セクハラをされた場合、相手にセクハラな発言や行為をやめさせるだけでいいのか、それとも、裁判を起こして、損害賠償請求をするのか、など決めましょう。
どのように解決するのかによって、相談する場所を変える必要も出てきます。
4-2.セクハラされて拒否したという行動を記録する
セクハラとして認めてもらうには、嫌だった、不快であったということを示さなければなりません。そうでないと、相手の発言や行為を受け入れたという認識となります。
セクハラを受けた時に、拒否したという行動を記録することで、本当に嫌で拒否したという事実が確認できるため、セクハラ被害を認めてもらいやすくなります。
拒否したという行動を記録するには、実際に行動を起こした姿を見せる必要があります。相手からの行為を拒否した場面を録画、または録音をして記録しておきましょう。
強く拒否せずあいまいな行動をとってしまうと、セクハラされても、受け入れているという認識になることもあるため、しっかり拒否し、記録を残してください。
4-3.セクハラされたと分かる証拠を集める
上記でも述べたように、セクハラされたと分かる証拠を集める必要があります。録画、録音以外にも、相手から何度もお誘いがあったメールや、SNSのやりとりなども証拠となります。また、セクハラ行為を目撃した同僚の証言も証拠となるため、記録しましょう。
証拠を集めていないと、本当にセクハラされたのか事実確認ができなくなり、相談しようにも、証拠がないと取り合ってくれないケースもあります。できれば多くの証拠を揃えて、労働基準監督署や弁護士に相談するようにしてください。
4-4.時系列でセクハラされたことをまとめる
証拠集めができたら、時系列ごとにまとめましょう。まとめ方は箇条書きで書くようにしてください。感情的になっているときに事細かく書いてしまうと、主観や推測が混ざってしまうからです。相談するときに具体的に伝えるとよいでしょう。
- 腰をされるようになった
- デートの誘いを断っても、何度も誘ってくる
- プライベートのことを毎日聞いてくる
また、登場人物もまとめるようにしておくと分かりやすいです。たとえば、上司や部下、同僚などさまざまな人たちが関わってくるため、どのような立場の人物であるか記載するとよいでしょう。
最後に、4W1Hでまとめると書きやすいです。
- いつ
- どこで
- だれが
- なにを
- どのように
6月に職場で上司から胸を触られた。7月上旬に焼肉店○○で、上司から「僕と付き合ってくれないと、降格させるよ」と言われた、など。
上記のように、まとめて書いておくと、相談する際に誰が見ても伝わる文章となります。
5.セクハラを受けた際にあなたが検討すべきこと
セクハラを受けた際に検討すべきこととして、2つ挙げます。
- 退職する
- 相手に慰謝料を請求する
以下に詳しく解説します。
5-1.退職する
セクハラが原因で、会社に居づらくなったり、会社のことを考えると体調が悪くなったりすることがあるでしょう。セクハラ問題が解決したとしても、周りの対応が変わったり、今までどおり円満に働くのが難しいことも少なくありません。
また、小さなストレスを抱えたまま仕事を続けていては、うつ病を発症してしまうリスクがあります。身体を崩してしまったら仕事もできなくなるため、病気になる前に働く環境を変えることも検討してください。
さらに、セクハラした相手と同じ空間、同じ場所で働きたくないと思うでしょう。そのような場合は、無理に続ける必要はありません。職場を退職することも検討しましょう。
セクハラを受けた場合は、会社に申告して退職すれば、自分都合で辞めるのではなく、会社都合での退職として扱ってくれる可能性が高くなるでしょう。
5-2.相手に慰謝料を請求する
セクハラを受けたら、相手に慰謝料の請求をすることも検討しましょう。セクハラをした相手に慰謝料を請求する場合、相手の立場やセクハラを受けた期間、被害の大きさなどによって、金額が変わります。
相手に慰謝料を請求できますが、会社にも請求が可能です。一般的な慰謝料の額は、数十万から100万円のケースが多いでしょう。しかし、精神的苦痛や悪質なセクハラに該当されれば、より高額になる場合もあります。また、セクハラを受けたことで、休業していた場合もさらに加算されるケースもあるでしょう。
セクハラが原因で、退職まで追い込まれた場合は、慰謝料も高くなる傾向にあります。相場としては、200万円から300万円程度です。
慰謝料を請求する場合は以下の流れです。
- セクハラの証拠を集める
- 慰謝料を請求する
- 応じてもらえば振り込まれる
- 応じてもらえなければ弁護士へ相談する
- 交渉が上手く進まなければ訴訟をする
このように、退職以外にも、慰謝料を請求することも検討してみてください。
6.セクハラのトラブルを弁護士に相談、依頼するメリット
セクハラのトラブルを弁護士に相談、依頼するメリットとして、3つ挙げます。
- 証拠集めのアドバイスをもらえる
- 慰謝料をいくら請求できそうか判断できる
- 会社や加害者と交渉を任せられる
それぞれ詳しく解説します。
6-1. 証拠集めのアドバイスをもらえる
セクハラを認めてもらうには、セクハラを受けた、拒否したという証拠が必要となります。自分では証拠の集め方が分からずに、訴えたいときに証拠不十分となり、セクハラを立証できないこともあるでしょう。
一方で、弁護士に相談することで、具体的に証拠収集についてのアドバイスをしてくれます。
- SNSなどのメッセージの保存では、紙に印刷または、画面撮影でも可能、送信元を含めて撮影すること
- ICレコーダーや携帯による録音では、セクハラを拒絶する声も一緒に取ること
- セクハラを受けた日時、場所、状況を記載したメモを取ることで、状況把握ができるため、重要な証拠となる
このように、具体的なアドバイスをもらえるため、訴訟や慰謝料請求に必要な証拠を確実に集められるでしょう。
6-2. 慰謝料をいくら請求できそうか判断できる
慰謝料は、加害者だけでなく会社へも請求が可能です。請求金額はセクハラの悪質性やどれだけ続けられてきたのか、セクハラ受けた側が休職、または退職をしたという場合は増額がされます。
弁護士に依頼した場合、さまざまなセクハラの慰謝料請求のケースを知っているため、「このセクハラの場合は、500万円請求できる」などの判断ができます。
一方で、慰謝料が減額される場合もあります。このような判断も弁護士でなければ難しいでしょう。
セクハラは1人で抱えると解決するのはとても難しいため、弁護士に依頼、相談することをおすすめします。
6-3. 会社や加害者と交渉を任せられる
セクハラを受けた場合は、精神的にもつらく、会社や加害者と向き合うことが難しいでしょう。そのような場合、弁護士に依頼することで、両者と交渉を任せられます。
たとえば、会社や加害者へ慰謝料を請求したい時に交渉を行うことができます。また、セクハラを辞めさせたり、示談交渉も任せることが可能です。
また、セクハラを受けたことで、会社を休職していたが、復職をしたいと思った際に、会社側へ職場環境に配慮してもらえるように交渉も行えます。
自分ひとりでは、解決するのに時間がかかったり、取り合ってくれなかったりするため、弁護士へ任せてみましょう。
弊社では、セクハラを含む労務問題に強い弁護士が在籍しております。1人で悩まずにご相談ください。LINEでもお問い合わせ可能です。
7.セクハラの相談窓口に関するよくあるQ&A
7-1.労働基準監督署や弁護士以外にも相談場所はありますか?
みんなの人権110番や、女性の人権ホットライン、カスタマーハラスメント悩み相談室などがあります。無料または、LINEで受け付けている場合があるため、確認してみてください。
7-2.セクハラを相談窓口に相談したらどうなりますか?
会社内のセクハラであれば、社内で解決できるかどうかを判断することになります。社内で解決できるとなれば、今後どのように解決に向けて動けばいいのかアドバイスをしてくれます。アドバイスだけでなく、解決してもらいたい場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。
7-3.セクハラの相談窓口は無料ですか?
地方公共団体や厚生労働省の相談窓口、法テラス地方事務所では、無料で相談が可能です。相談しても解決には至らないケースもあります。
7-4.セクハラの相談員は相談したことを秘密にしてくれますか?
相談員は守秘義務があるため、相談者の許可なく、第三者に話すことはありません。安心して相談を任せられます。また、セクハラに関与した人のプライバシーも守ってくれます。
8.まとめ
本記事では、セクハラの相談窓口はどのような所があるか、セクハラの種類や相談する前に準備することを紹介しました。
セクハラには、発言だけでなく行動も該当します。セクハラには、対価型、環境型、制裁型、妄想型の4種類があるとお分かりいただけたのではないでしょうか。
相談窓口は、社内であったり、労働基準監督署や弁護士だったり、さまざまあります。
無料で相談できる場所もあるため、まずはお金がかからない労働基準監督署へ相談することも一つの方法です。
ただ、問題を具体的に解決したい場合には弁護士に相談しましょう。初回無料で法律相談を実施している事務所も多いです。弁護士に相談、依頼すれば、セクハラの証拠の集め方や慰謝料をいくら請求できるのか判断できます。
私たち法律事務所リーガルスマートは、ハラスメントのトラブルをはじめとする労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
担当者
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■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立
大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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