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ブラック企業を訴えることができるケースと相談先を弁護士が解説

ブラック企業を訴えることができるケースと相談先を弁護士が解説
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勤めている会社でパワハラやセクハラが横行していたり、サービス残業が常態化しているような場合、その会社は「ブラック企業」だといえます。

ブラック企業で長時間残業やハラスメントに悩まされている労働者が「会社を訴えたい」と思ったとき、それにはどうすればよいか、訴えたら報復されるのではないかなど色々気になることがあると思います。

本記事では、ブラック企業を訴えることができるケースや訴える方法、必要な証拠、相談先等について労働問題に強い弁護士が解説します。

1. そもそもブラック企業とは

ブラック企業という言葉は、2000年代に入ってから当時の2ちゃんねる就活スレッドなどのインターネット掲示板上で使われるようになりました。

やがて厚生労働省が、労働基準関連法令違反を繰り返す企業をリスト化した「ブラックリスト企業」を公表するなど、官公庁でもブラック企業という言葉を使うようになりました。

厚生労働省サイト(下記)のQ&Aページでは、「ブラック企業」の一般的な特徴として以下のようなことが言われているとしています。

  • ①労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
  • ②賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
  • ③このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

参照:厚生労働省 確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト「ブラック企業」ってどんな会社なの?」

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2. ブラック企業を訴えることはできるのか

いわゆるブラック企業では、サービス残業や長時間労働、パワハラなどが横行しています。

次章で述べるように、サービス残業はそれ自体が時間外労働に対する割増賃金の支払義務を定めた労働基準法第37条に違反します。

また、法定時間外労働に対して労使協定を作成・締結せずに残業させたり、同条の上限規制を超える長時間残業をさせている場合などは、労働基準法第36条違反の状態です。

このように、会社が法令に違反する行為を行っている場合は、会社を「訴える」ことが可能です。

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3. ブラック企業を訴えることができるケース

「訴える」という言葉は、通常「裁判所に訴訟提起や審判申立てを行う」ことを意味します。

しかし、「ブラック企業を訴える」という場合、実際には違法行為を行っている会社に対して①労働基準監督署に告発(申告)したり、②労働者個人の請求権を行使することを意味して使われることもあります。

このことから、ブラック企業を訴えることができるのは、会社が違法行為を行っている場合、及び法的な請求が可能な場合といえます。

具体的には以下のようなケースがあります。

  • ①給料が1か月分以上支払われていない
  • ②残業代が支払われていない
  • ③ハラスメントにより精神的苦痛を受けた・負傷した
  • ④不当に解雇された
  • ⑤パワハラ的な手段による退職勧奨を受けた
  • ⑥危険な業務によって負傷した・病気になった

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4. ブラック企業を訴える方法

前章で述べた意味で、ブラック企業を訴える方法は以下の通りです。

4-1. 労働基準監督署に告発する

労働基準監督署に対する告発(申告)は、ブラック企業の違法行為をやめさせることや、その違法行為が賃金など労働者に対する金銭支払いに関するものである場合は支払うように勧告してもらうために行います。

申告にあたっては、まず違法行為の事実を証明する証拠を揃える必要があります。証拠収集については次章「ブラック企業を訴えるための準備」で解説します。

証拠が揃ったら、労基署に申告を行います。

申告は、できる限り労基署の窓口(監督課)に直接出向き、労働基準監督官との面談によって行うことをお勧めします。会社の行為の違法性を証明する証拠をそろえて対面で告発を行ったほうが、緊急度が高いと判断されやすいからです。

仕事の都合等でどうしても窓口に赴くことができない場合は電話やメールによっても申告を行うことができます。この場合は、証拠資料の提出方法について担当者に確認してください。

申告を行うと、労基署の判断により事業所に対して申告監督(立入り調査)を行います。

調査によって、労働基準法第37条違反の事実や改善の必要が見つかった場合には、会社及びその事業所に対して指導や是正勧告が行われます。

指導や是正勧告が行われた場合には、会社は労働基準監督官が定めた期限内に是正を行い、労基署に報告する義務があります。

指導や勧告に従わなかった場合は、労働基準法第37条違反の疑いで送検される可能性があります(同法第119条・第102条)。

従って、労働基準監督署が指導・勧告を行ってくれた場合には、強制的に違法行為を止めさせることが期待できます。

他方、労働基準監督署は行政機関であるため、個々の労働者を代理して賃金や慰謝料などの請求手続を行ってくれるわけではありません。

4-2. 会社に対して請求を行う

未払い残業代請求やパワハラに対する慰謝料請求など、労働者個人が会社に対して金銭的な請求を行う方法は以下の通りです。

多くの場合、問題が解決するまで(1)→(2)→(3)→(4)または(1)→(2)→(4)の順に行います。

(1)内容証明で請求通知を送付する

まず、会社に対して配達証明付き内容証明郵便により、請求の通知を郵送します。

法的な請求権は時間が経過すると消滅時効にかかりますが、請求を行うと6か月間時効の進行を止めることができます(民法第147条1項2号)。

しかし、通常の郵便やFAX・メールなどで請求通知を行うと、請求を行った事実を否定されたり、内容を改ざんされたりするおそれがあります。

そこで、請求を行った事実と請求内容の両方を公的に証明できる「配達証明付き内容証明郵便」によって請求通知を行ってください。

(2)会社と交渉する

内容証明郵便による請求に対して会社から交渉に応じる旨の回答を受けたら、会社と話し合い(示談交渉)を行いましょう。

会社との合意が成立した場合は、交渉成立日付・支払名目・支払金額・支払日付(期限)等を記載した書面を作成してもらってください

(3)労働審判を申し立てる

会社との示談交渉が成立しなかった場合、地方裁判所での労働審判または訴訟によって解決金請求を行うことになります。

労働審判のメリットとして以下のものが挙げられます。

  • 審理が非公開で行われる(労働審判法第16条)ため、プライバシーが守られる
  • 審判委員が過去の事例に照らして現実的な解決策を提案してくれる
  • 原則として審理3回で終了する(労働審判法第15条2項)ので訴訟に比べて早期に解決できる

他方、以下のようなデメリットもあります。

  • 労働者と会社側双方の譲歩を必要とするため妥協を強いられることが多い。そのため労働者側の主張がすべて認められる可能性が高いとはいえない
  • 審判の決定事項に対して一方または双方が異議申立てを行うと審判が無効になる(労働審判法第21条3項)
  • 労働審判委員会の判断で審判手続を終了させる場合もある
  • これにより、異議申立てや労働委員会の判断により訴訟に移行した場合には労働審判と訴訟の両方を行うことによる労力と時間がかかってしまう

(4)訴訟を提起する

労働審判を経ずに訴訟提起する場合、訴額が140万円以下の場合は簡易裁判所、訴額が140万円を超える場合は地方裁判所に対して行います。

労働審判が行われていた場合は、訴額にかかわらず労働審判が行われたのと同一の地方裁判所に係属します。

訴訟を提起した場合も、裁判官が和解交渉を促すことが多くあります(民事訴訟法第89条)。

訴訟手続は時間も費用もかかる印象がありますが、会社側が和解交渉に同意した場合には労働審判や訴訟判決に比べると労働者側の請求が認められやすくなる傾向があります。

このことから、労働者側が確実な証拠を揃えている場合は、労働審判を経ずに訴訟提起して早期に和解に持ち込むほうが得策であるという考え方もあります。

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5. ブラック企業を訴えるための準備

ブラック企業を訴える場合、労働基準監督署に申告する場合・会社に対して請求を行う場合ともに、準備として①事実関係と請求内容を明らかにすること及び②証拠収集が必要となります。

本章では、ブラック企業を訴えるために準備すべきことを解説します。

5-1. 事実関係と請求内容の明確化

ブラック企業を訴えるにあたっては、事実関係、つまり会社の「誰が・いつ・どこで・労働者の誰に対して・何をした」ことを明確にしておくことが必要です。

さらに、会社に対して請求を行う場合は、その事実関係に基づいて労働者が具体的にどのような法的請求を行うかについても明確にする必要があります。

5-2. 証拠収集

また、会社の違法行為の事実を証明できる証拠を集めることも必要になります。

ブラック企業を訴えた場合、事実関係について色々な争点が生じます。それぞれの争点に対しては、労働者側・会社側のどちらの主張が正当であるのかを、証拠により明らかにすることになるためです。

労働者が会社を告発したり、会社に対して請求を行う場合には、おおむね以下のような証拠を集めてください。

  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 就業規則
  • 給与規程
  • 給与明細
  • タイムカード
  • 会社から交付された書面
  • 労働者側が作成した業務日誌やメモ・日記
  • 違法な指示が記載されたメールやチャット画面の画像・音声など

これらの中で、会社側のみが保管しているものについては、証拠開示請求を行うことができます。たとえば、残業代請求を行う場合のタイムカードなどは、判例で会社に対して開示義務が課せられています。

会社が労働者個人に対して証拠開示に応じない場合は、弁護士に依頼することで開示してもらえる可能性が高いです。

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6. ブラック企業に関する相談先

ブラック企業の違法行為で悩んでいる場合、相談できる窓口としては以下のものがあります。

6-1. 労働基準監督署

労働基準監督署の監督課では、労働基準関係法令違反についての相談を受けています。

たとえばサービス残業について相談した場合、複数の従業員に対して多額の残業代が未払いになっている疑いがあると判断すれば、労働基準法第37条違反の疑いで会社の事業所に立ち入り調査を行い、対象従業員に対する残業代の支払いを指導・勧告してくれる可能性があります。

労基署が是正勧告を行っても違法状態(サービス残業であれば、残業代が支払われない状態)が続く場合には、法令違反で送検手続を行います(労働基準法第102条)。

ただし、1つの労基署あたりの管轄事業所の数が多いため、どうしても重大な法令違反の案件を優先せざるをえないという事情があります。

また、労基署は行政機関なので、指導・勧告を行ってくれたとしても、労働者個人を代理して権利行使してくれるわけではありません。

6-2. 厚生労働省の相談サービス

厚生労働省の管轄下で無料で相談できる窓口として、総合労働相談コーナーや労働条件相談「ほっとライン」があります。いずれも予約不要で、相談者のプライバシーに配慮した対応を行っています。

(1)総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーは、都道府県の労働局や労働基準監督署に設置されている無料相談サービスです。労働者・事業主・学生など、すべての人の「労働問題」にかかわる相談を受け付けています。窓口での面談のほか、電話での相談も可能です。

相談内容の会社側の行為に労働関係法令違反の疑いがあれば、労働基準監督署に取次ぎも行っています。また、相談者の希望により裁判所、都道府県労働委員会、法テラスなどの専門機関を紹介してくれます。

また、たとえば「セクハラされた場合はどうすればよいか」など、まだ会社とトラブルになっていない段階で気軽に相談できるメリットもあります。

(2)労働条件相談「ほっとライン」(電話労働相談サービス)

労働条件相談「ほっとライン」は、厚生労働省から運営を委託された事業者の相談員が、労働問題にかかわるあらゆる質問に対して、法令や裁判例をふまえた回答や専門機関の紹介などを行っています。

労働条件相談「ほっとライン」の開設時間は、総合労働相談コーナーの開設時間外である平日17時~22時と土日祝日の9時~21時です(12月29日~1月3日のみ閉設)。

平日の夜間や土日祝日に、労働問題について気軽に相談することができます。

6-3. 弁護士

ブラック企業を訴えて、未払い賃金や残業代、慰謝料などの具体的な請求をしたい場合には、労働問題に精通している弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に退職問題の解決を依頼すると費用がかかりますが、現在大多数の法律事務所では初回の法律相談(または初回相談のうち30分~60分程度)を無料で行っています。

初回の無料相談を利用して、トラブル解決の手段について説明を受けるとともに、会社との交渉や裁判所に関わる手続などの代理を依頼した場合の詳細な費用見積もりを受けることができます。

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7. ブラック企業を訴えた際に請求できるお金

ブラック企業を訴えて請求が認められた場合、解決手段として金銭が支払われるのが一般的です。

本章では、ブラック企業を訴えたときに請求できるお金、つまり解決金の種類について解説します。

7-1. サービス残業で訴えた場合

サービス残業で訴えた場合、請求できるのは未払い分の残業代です。

残業代(時間外労働手当)は、法定労働時間(労働基準法第32条)を超える時間分については25%、休日労働については35%の割増賃金となります。

なお、賃金請求権は発生から3年で消滅時効にかかるため(労働基準法第115条・第115条の2)、請求できる残業代は請求の時点から3年前以後に発生した分に限られます。

また、残業代未払の態様が悪質な場合には、付加金の支払いを求めることも可能です(労働基準法114条)。ただし、付加金の請求は裁判所に訴訟提起する必要があります。

7-2. ハラスメントで訴えた場合

パワハラ・セクハラなどのハラスメントで訴えた場合、請求できるのはハラスメントで受けた精神的苦痛に対する慰謝料や、ハラスメントが原因で傷病が生じた場合の治療費などです。

7-3. 不当解雇で訴えた場合

不当解雇で訴えた場合、解雇の効力を争う(復職を求める)場合と争わない場合で、請求できる金銭の種類が一部異なります。

解雇の効力を争う場合は、①解雇されてから現在までに支払いを受けられるはずだった賃金及び、②不当解雇(解雇権濫用または法令違反の解雇)という不法行為により受けた精神的苦痛に対する慰謝料です。

また、③未払いの残業代や備品などの立替費用があれば、合わせて請求できます。

解雇の効力を争わない(退職した)場合は、①解雇予告が解雇30日前より遅れた場合の日数分の解雇予告手当、及び②慰謝料そして③退職金(就業規則で退職金支払いの規定があり、除外事由にあたらず、かつ解雇の時点で支払われなかった場合)です。

また、解雇の効力を争う場合と同様、④未払いの残業代や備品などの立替費用があれば請求できます。

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8. ブラック企業を訴える場合に弁護士に相談、依頼するメリット

「ブラック企業」と呼ばれる企業のほとんどは何らかの違法行為を行っているため、多くの法律トラブルが発生しています。

しかし、労働者個人がブラック企業を訴えて違法行為をやめさせたり、自身の請求を認めさせることは困難です。特に、個々の労働者を代理して権利を行使するためには、労働問題を専門とする弁護士に相談することをお勧めします。

本件では、ブラック企業を訴える場合に弁護士に相談、依頼するメリットを解説します。

8-1.会社に対しての請求の可否を教えてもらえる

例えば未払い残業代を請求する場合、①残業代が発生する雇用形態か否か ②実際に残業代が発生しているか、消滅時効にかかっていないか、請求できる残業代の合計金額はいくらになるか等について詳細に教えてもらうことが可能です。

8-2.必要な証拠収集方法を教えてもらえる

ブラック企業を訴える場合、違法行為の事実を証明できる証拠が必要になります。

証拠の中には、雇用契約書や労働条件通知書など自身が保管していれば利用できるもの以外に、タイムカードや業務アカウントによるメールの送受信履歴等、会社側が保持しているデータもあります。

容易に入手できない証拠についても収集が必要なのか、必要であればどのように入手すればよいか等についても弁護士に教えてもらうことができます。

この点、会社は賃金台帳等の労働関係に関する重要な情報について、5年間保存する義務を負っています(労働基準法第109条)。

また、判例上、未払い残業代請求においては会社側がタイムカード等の証拠開示義務を負っていると解されています。

しかし、実際には会社が証拠開示に応じないこともあります。

会社に対する証拠開示請求が労働者本人では難しい場合、証拠開示請求を弁護士に代理して行ってもらうことができます。

8-3. 会社に対する請求手続と交渉を任せられる

ブラック企業に訴えるにあたっては、最初に会社側に対して請求を行い、会社の回答を待って交渉する必要があります。

しかし、労働者個人で請求を行っても無視される可能性があります。また、回答があった場合はほとんどが「請求に応じられない」という内容で、会社側が顧問弁護士を立ててくることもあります。

弁護士に依頼していれば会社側の対応に関係なく、請求実現に向けての交渉を対等に行うことができます。

8-4. 裁判所が関与する法的手続をすべて任せることができる

ブラック企業を訴える場合、証拠収集や交渉とともに労働者個人で行うことが困難なのが、労働審判や訴訟等の裁判所が関わる手続です。

労働審判は手続が比較的単純なので短期間で終結させることができます。しかし、申立てから審理まで全てを労働者単独で行うことは容易ではありません。

また、労働審判の審判事項(決定したこと)に対して当事者が異議申立てを行うと審判事項が無効になってしまいます。このため、会社との交渉が成立しなかった場合に最初に労働審判申立てを行うか、労働審判を経ずに訴訟提起するかを判断しなければなりません。

訴訟を起こす場合も、証拠収集に加えて、期日に出廷して口頭弁論での陳述や証拠調べ等を行う必要があります。

少額訴訟や簡易裁判所への訴訟提起であっても、一人でやることには大きな負担が伴います。

この点、弁護士に依頼していれば労働審判・民事訴訟ともすべて任せることができます。

請求手続代理・代行には費用がかかりますが、弁護士に依頼することで請求を認めてもらえる可能性が高くなります。

また、多くの法律事務所では初回相談や初回相談の一定時間(30分~60分程度)を無料としています。無料相談を利用することで、問題点を的確に整理することで費用を抑えることが可能です。

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9. ブラック企業に関するよくあるQ&A

本章では、ブラック企業に関して頂くことの多い質問と、それに対する回答をご紹介します。

9-1. ブラック企業を見分ける方法はありますか?

一般的に、募集段階で以下のような特徴のある会社はブラック企業の可能性が高いといわれています。

  • ①募集期間が長い、あるいは常時正社員を募集している
  • ②平均勤続年数が短い
    • これらに該当する場合、離職率が高いことがうかがわれます。離職率が高くなる原因として長時間残業やパワハラ横行、休暇が取れないことなどが考えられます。
  • ③募集要項のサイトなどに「残業」についての情報がない
    • これに該当する場合は、サービス残業や違法な長時間労働が常態化している可能性があります。
  • ④同じく、休暇や福利厚生制度についての情報がないか、具体的な休暇や制度・施設などの情報がない
    • これに該当する場合は、有給休暇以外の休暇や福利厚生制度が存在しない可能性があります。
  • ⑤社員募集の広告に「アットホームな職場です」という記載がある

これに該当する場合は、パワハラ(特に、過大要求型やプライバシー侵害型のパワハラ)が横行していることを示唆しています。また、パワハラに伴って長時間残業が常態化している可能性もあります。

「アットホーム」という言葉には本来、和気あいあいとしているなど、良好な人間関係があるイメージがあります。

しかし、昨今は特に小規模・同族経営・人手が足らないなどの特徴がある会社が募集広告でしばしばこの言葉を使うことから、ブラック企業の特徴の一つとされるまでになっています。ただ、アットホームの記載があるから直ちにブラックであるとまで断定はできません。この点は、慎重に見極める必要があります。

9-2. ブラック企業を訴えた場合、報復されることはありますか?

ブラック企業を訴えることに対して、損害賠償請求や解雇などの報復を心配する方は多いです。

しかし、まずブラック企業を訴えたことを理由として会社側が労働者に対して損害賠償請求することは認められません。

判例も、「訴訟提起した側が敗訴した場合にこれが相手方に対する不法行為となるのは、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限る」としています(最高裁1988[S63]年1月26日付判決)。

さらに解雇については、労働契約法第16条が「客観的合理性・社会通念上の相当性が認められなければ解雇権濫用で無効である」と定めています。また、労働基準法第104条により、労働基準監督署に対する申告を行ったことを理由とする解雇は禁止されています。

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10. まとめ

ブラック企業でのさまざまな違法行為・トラブルに悩む方に対しては、各種の機関が相談を受けつけています。

たとえば、会社が設備点検もせずに危険な作業を行わせているなどの、物理的な安全にかかわる法令違反の問題に対しては、まずその法令違反状態を是正させることが重要です。このような場合は、労働基準監督署への告発を先に行うことをお勧めします。

他方、残業代請求や不当解雇の撤回請求など、ブラック企業に対して労働者個人の正当な請求を行うには、弁護士に依頼するのが最も得策といえます。

ブラック企業を訴えて、会社に対する権利行使をしたい方は是非、弁護士にご相談ください。

私たち法律事務所リーガルスマートは、労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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