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休みの日に仕事の連絡きた!違法性や対処法などを弁護士が解説!

休みの日に仕事の連絡きた!違法性や対処法などを弁護士が解説!
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休日に上司から仕事の依頼や連絡が来た経験がある方はいらっしゃると思います。近年ではチャットやSNSなど、容易に連絡が取れるツールが充実しており、以前にも増して仕事の連絡が取りやすくなっています。

休日だから仕事のことは忘れて家族や友人と過ごしたいと思っているけれど、上司の命令だから仕方がないと思っていませんでしょうか。

しかし、本来、休日は仕事をしなくてよい日のはずです。休日に会社から連絡が来たら無視してよいのか迷っている人もいるでしょう。

本記事では、休みの日に仕事の連絡をすることは違法なのか、休みの日に仕事の連絡があった際の対処法などを労働問題に強い弁護士が詳しく解説します。

休みの日に会社から仕事の連絡が来て困っている方はぜひ最後までご覧ください。

1.会社が休みの日に仕事の依頼や連絡をするのは違法?

会社が休みの日=「休日」とは、労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。つまり、会社が休みの日は、仕事をする義務はありません。仕事をさせるのであれば、労使間で36協定を結んだ上で休日出勤扱いにする必要があります。

実際に作業が発生しなかったとしても、会社が休みの日に従業員に対し仕事の依頼や連絡に応答するよう強制することは違法です。なぜなら、連絡に応答すること自体業務であり、休日出勤ではないのに労働をさせたことになるからです。

よって、会社が休みの日に仕事の依頼や連絡のために電話をすることは、従業員が電話に応答することを前提としてかけるものですから、違法となるでしょう。

一方、会社が休みの日に仕事の依頼や連絡のためにチャットやSNSで連絡をすることは、グレーです。仕事の連絡はするけれど、応答する義務はないのであれば違法とまではいえないかもしれませんが、応答する義務があるのであれば違法といえるでしょう。

昨今、即レスを求める文化がありますが、休日に即レスを求めること自体違法なのです。

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2.休みの日に仕事をするメリットとデメリット

36協定が労使間で結ばれており、会社が休日出勤扱いにして正式な労働時間としてカウントしているのであれば、会社が休みの日に仕事をさせること自体は違法ではありません

以下では、休みの日に仕事をするメリットとデメリットについて解説します。

2-1.休みの日に仕事をするメリット

休みの日に仕事をするメリットについて、主に以下の3つを挙げて説明します。

2-1-1.割増賃金をもらえる

休みの日に仕事をする場合、休日出勤として扱われます。休日出勤とは、会社において法定休日と定められた日に出勤して労働を行うことをいいます

法定休日に休日出勤をした場合、会社は基礎賃金の35%以上の割増率による割増賃金を支払う必要があります。なお、基礎賃金については残業代に関する別の記事をご参照ください。

例えば、基礎賃金が1時間あたり2,000円の人が、休日に5時間勤務した場合、休日出勤による残業代は以下の計算式で求められます。

残業代 = 基礎賃金 × 残業時間 × 1.35

    = 2,000 × 5 × 1.35

    = 13,500

この場合、通常の勤務時間による労働よりも3,500円多くもらえるということになります。

同様に法定休日ではない休日であっても、法定労働時間(週40時間)を超える場合には25%の割増率による割増賃金を支払ってもらうことができます。

稼ぎたいという人にとって、休みの日に仕事をすることは、賃金をより多くもらうことができるため、メリットといえるでしょう。

2-1-2.振替休日や代休をもらえる

振替休日とは、休日出勤をさせる場合に、その振替としてあらかじめ設定される休日のことをいいます。

また、代休とは、休日出勤をさせた場合に、休日出勤後に別の日を休日として設定したときの休日をいいます。

休日出勤をする前に会社からあらかじめ別の日を振替休日に設定された場合、休日出勤とはみなされませんが、振替休日をもらうことができます。

一方、休日出勤後に会社から別の日を休日として設定された場合、代休を取ることができます。

土日が休日である場合、旅行のチケットが取りづらかったりしますが、平日を振替休日や代休に設定してもらえば混雑を避けて遊びに出かけることができるメリットがあるでしょう。

2-1-3.出世しやすくなる

日本では欧米と異なり、平日遅くまで残業したり休みの日に仕事をすることを評価する会社が未だに存在することも事実です。休みの日に仕事をすると、会社によっては評価されて出世しやすくなるかもしれません。

2-2.休みの日に仕事をするデメリット

休みの日に仕事をすると主に金銭的なメリットが得られますが、代償として以下のデメリットがあります。

2-2-1.心身を壊す可能性がある

休みの日に仕事をすると、本来リフレッシュをする日を犠牲にして働くことになります。休日出勤が毎月のように続くと精神的にも肉体的にも負担がかかり、うつ病などの病気を発症してしまうおそれがあります。

最悪の場合、過労死のおそれもあります。過労死ラインは月の残業時間が80時間以上と言われており、これを超える月が続くと危険です。なお、労働基準法では、36協定が結ばれていたとしても特別の事情がない限りは月60時間を超える残業は禁止されています。

2-2-2.家族との関係が悪化する可能性がある

休みの日に仕事をすると、家族団らんの時間が削られることになります。配偶者とのすれ違いが多くなり、最悪の場合離婚をつきつけられてしまうかもしれません。

2-2-3.残業代が正しく支払われない可能性がある

休みの日に仕事をした場合、割増賃金による残業代が支払われる必要があります。しかし、いわゆるブラック企業の中には、休みの日に仕事の連絡をしただけであり残業ではないとして残業代を支払わない企業も存在します。

このようなブラック企業の場合にはサービス残業となり、休みの日に仕事をしても何らのメリットがなくむしろデメリットとなってしまいます。

残業代を適切に支払わないような企業の場合には、弁護士に相談するようにしましょう。

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3.休みの日の仕事の依頼や連絡を防止する方法

休みの日に上司からメールやチャットで連絡があった場合、対応せざるを得ない場合も多いでしょう。しかしながら、家族との団らんの時間や友人と旅行に行っているときに上司から連絡が来るのは、多くの人が避けたいと思うはずです。

そこで、以下では休みの日の仕事の依頼や連絡を防止する方法をお伝えします。

3-1.連絡は休日明けとなる旨伝えておく

先ほども説明したとおり、休日に会社からの連絡に対し応答を強制するのは労働基準法上問題となります

よって、休日に会社から連絡があった場合には、休日明けの連絡となる旨をあらかじめ伝えておくことが望ましいでしょう。

3-2.留守電モードにしておく

休日の連絡は休日明けになる旨を上司に伝えることができるのであればベストですが、会社や上司との関係でなかなか言いづらいこともあるでしょう。

その場合、休みの日に仕事の依頼や連絡が来ないようにする環境を整えておきましょう。電話については留守電モードにしておくことで、電話に出ないようにすることができますし、上司に対して電話に出ない旨の意思表示にもなるでしょう。

もし「上司からの電話には出ろ」などと言われた場合、休日出勤扱いにならない限り違法ですので、後述のとおり弁護士に相談することを検討しましょう。

3-3.自動返信モードにしておく

電話の場合、留守電モードにしておけば大丈夫ですが、メールやSNSなどの場合、連絡メッセージ自体は送られてきてしまいます。メールについては自動返信モードにすることが可能ですので、休日の会社からの連絡については不在にしている旨の自動返信を行うようなモードに設定しておきましょう。

一方、チャットやSNSについては、アプリによって自動返信モードが実装されているものもありますが、自動返信モードがないものもあります。

自動返信モードにできないチャット等については、「休日に送られてきたメッセージは読まない」と決めておくべきです。いったん読んでしまうと仕事のことが気になってしまい、休日にリフレッシュができないからです。

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4.休みの日に仕事の依頼や連絡があった際の対処法

上記では休みの日に仕事の依頼や連絡が来るのを防止する方法をお伝えしましたが、ここでは連絡が来てしまった場合の対処法についてお伝えします。

4-1.既読にしない

チャットアプリによっては、メッセージを開いた場合に「既読」と表示されるものがあります。「既読」と表示された場合、メッセージを読んだということが上司に伝わってしまいます。場合によっては既読なのに返信しないと言われる場合もあるでしょう。

休日の会社からのメッセージについては既読にしないようにしましょう。そうすることによって、休日には応答しない旨の意思表示を会社や上司に示すことができます。

ただし、場合によっては仕事の連絡ではなく緊急事態が生じた等の連絡の場合もあります。その場合、メッセージを無視していると手遅れになる可能性もありますので、注意が必要です。

4-2.休み明けに対応する旨を伝える

上司から休みの日に電話やメールがあった場合、本来であれば応答する義務はありません。よって、上記のようにメッセージを読まずにスルーしても何ら問題はありませんが、会社や上司との関係が悪化するのは避けたいと思われるはずです。

よって、電話やメールがあった段階で、休み明けに対応する旨を伝えましょう。その旨を伝えても連絡をしてくるようなら、後述のとおり弁護士に相談することを検討しましょう。

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5.休みの日の仕事の依頼や連絡から派生する労働問題

先ほども説明したとおり、休みの日の仕事の依頼や連絡に対して応答を強制することは労働基準法上違法となります。

以下では、そこから派生するさまざまな労働問題について解説します。

5-1.36協定違反になる

労働基準法上、1日8時間、週40時間を超えて労働をさせてはならないとされています。これを法定労働時間といいます。すなわち、法定労働時間を超えて労働をさせることは違法となるのが原則です

労働者に時間外労働をさせる場合には、労働基準法に基づき36協定と呼ばれる労使間協定の締結と、所轄労働基準監督署長への届出 が必要です。36協定を締結してはじめて会社は労働者に時間外労働をさせることができます。

会社が36協定を締結していないにもかかわらず、休みの日に仕事の依頼や連絡をすることは、36協定違反となる可能性があります。

休みの日の連絡が続くようでしたら、所轄の労働基準監督署に相談するようにしましょう

5-2.法定休日を与えていないことになる

労働基準法では、毎週少なくとも1日以上の休日を与えなければならないとされています。会社が休日に仕事の依頼や連絡をした場合、休日を与えていないことになりますので、労働基準法に違反することになります。

会社から休日に仕事の依頼や連絡があった場合、代休を要求するか、休日出勤扱いにしてもらいましょう。

5-3.未払い残業代が発生することになる

会社が36協定を締結しており、法定休日を週1日以上与えていたとしても、休みの日に労働をさせる場合には時間外労働による割増賃金を支払わなければなりません

仮に割増賃金を支払わない、そもそも基礎賃金すら支払わないということであれば、未払い残業代が発生していることになります。

未払い残業代については当然、会社に請求する権利がありますので、休日に仕事の連絡を受けた場合は給与明細を確認しましょう。

仮に会社が未払い残業代の支払に応じない場合、弁護士に相談することを検討しましょう。

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6.労働問題を弁護士に相談、依頼するメリット

休みの日に会社から仕事の依頼や連絡をすることは、上記のとおりさまざまな労働問題が発生します。

それぞれの労働問題に対し、本人が対処することも可能ですが、弁護士に相談、依頼すると大きなメリットがあります。

以下では弁護士に相談、依頼した場合のメリットについて説明します。

6-1.会社との交渉を代わりにしてくれる

弁護士は、労働に関するあらゆる法律問題について、本人を代理して会社と交渉をしたり、法的措置を取ったりすることが可能です。

本人が会社と直接交渉をした場合、取り合ってくれないこともあります。しかし、弁護士に交渉を代理してもらえば、会社が交渉に応じる可能性は高くなります。弁護士からの交渉要求を無視した場合、法的措置を取られる可能性があるためです。

また、本人が会社と交渉をする場合、慣れない交渉により精神的な負担が大きくなります。弁護士に依頼することにより交渉を一任できるため、負担を軽減することができます

6-2.法律に基づいた的確なアドバイスがもらえる

休みの日に会社から仕事の連絡をすること自体は問題ないのかどうか等、労働法上違法かどうか判断に迷う場合があります。

弁護士に相談すれば、会社の行為が労働法上違法かどうかを的確にアドバイスしてくれます

休みの日に会社から仕事の連絡が来る場合、休日出勤や未払い残業代の問題が発生しますが、残業代の計算についても弁護士に任せることができます

休日のサービス残業が多くて困っている場合には弁護士に相談してみるとよいでしょう。予想以上の未払い残業代を請求できる可能性があります。

6-3.法的措置を取ることができる

弁護士に会社との交渉を依頼しても交渉が難航した場合、最終的には法的措置を取ることになります。休みの日の仕事に関する労働問題については労働審判や訴訟といった法的措置が可能ですが、本人のみで法的措置を取ることは難しいといえるでしょう。

労働問題に精通した弁護士であれば、労働審判や訴訟の遂行に長けておりますので、安心して任せることができます。また、本人が法廷に出頭したりする必要はなく、弁護士が全て代理してくれますので、本人の負担なく手続きを進めることが可能です。

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7.休みの日の仕事に関するよくあるQ&A

以下では、休みの日の仕儀に関してよくある質問に対し回答いたします。

7-1.会社から「休日も連絡がとれるようにして」と指示された場合は違法ですか?

先に説明したとおり、会社が休日に仕事の依頼や連絡をし、その連絡への応答を強制することは違法です。会社には従業員に対する指揮命令権がありますが、休日は労働義務がないとされる日ですので、休日は会社の指揮命令に従う必要はありません。

休日も連絡が取れるようにして」と言われた場合、応答を強制することになりますから、仕事の連絡であれば当然違法になります。少なくとも、休日に仕事ができるような内容の36協定が締結されていることと、休日の労働に見合った賃金が支払われることが必要となり、これがなければ違法となります。

この場合、休日に応答する義務はないことを会社と確認した上で、それでも会社が連絡をしてくるようであれば弁護士に相談するようにしましょう。

7-2.休みの日にサービス残業をしましたがタイムカードを切っていません。残業代は請求できますか?

休みの日に上司から連絡があり、急な業務が発生したので対応してほしいと言われ対応した場合、休日出勤扱いになりますので当然時間外労働による残業代が発生します。

急な休日対応業務の場合、イレギュラーであるため自宅で作業をするなどしてタイムカードを切っていない場合もあるでしょう。

その場合であっても、労働をした以上は当然残業代を請求することができます。タイムカードに記録されていなかったとしても請求可能です

もっとも、会社が未払い残業代の発生について争ってきた場合には証拠を示す必要がありますので、タイムカード以外の証拠は残しておくようにしましょう。

具体的には以下のような記録を残しておくようにしましょう。

  • 休日に稼働したことがわかるパソコンのログ
  • 休日に送信したメールやチャットの送信履歴
  • 外回りの場合、駅などの乗降履歴

7-3.休日出勤をした後、会社から「振替休日を設定したので残業代は発生しない」と言われました。本当でしょうか?

休日出勤をした場合であっても、会社があらかじめ振替休日を設定していた場合、たしかに残業代は発生しません。

しかし、「振替休日」とは、休日出勤をする前に労使間であらかじめ合意の上設定しておかなければならないものです

一方、休日出勤をした後に代わりの休日を設定した場合、「振替休日」ではなく「代休」として扱われることになります。「代休」は「振替休日」ではないため、会社は割増賃金を支払わなければなりません

よって、代休にもかかわらず会社が割増賃金を支払わない場合、違法ですので割増賃金を請求するようにしましょう。

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まとめ

昨今では労働環境の改善が進んでいるものの、休みの日に会社から仕事の依頼や連絡が来ることは未だによく聞かれます。

特に、フリーランスが増加している背景において、クライアントから仕事がもらえるように即レスが求められる風潮があります。

しかしながら、労働基準法が適用される労働者は、休日に労働をする義務はありません。会社や上司が業務委託と勘違いして休みの日でも即レスを求めてくるのであれば当然違法となります。

休みの日でも頻繁に会社から仕事の連絡が来て困っている、休日出勤を強制させられて心身ともに疲弊している、というような場合、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

違法なサービス残業をさせられている場合、未払い残業代を請求できますが、時効により残業代を請求できる権利が消滅してしまう可能性がありますし、残業をした証拠が消えてしまう場合もあります

よって、休みの日に関するさまざまな労働問題でお悩みの方は、お早めに弁護士に相談しましょう。

私たち法律事務所リーガルスマートは、労働環境に関するトラブルをはじめとする労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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