その他

休日出勤したのに代休がもらえないのは違法?弁護士が解説!

休日出勤したのに代休がもらえないのは違法?弁護士が解説!
この記事をSNSでシェア!

休日に出勤を要求されたら、それに見合う手当もしくは休日が欲しいと誰しもが思うことでしょう。

しかし、会社によっては休日出勤に見合った手当を支払わない、代わりの休日も与えないケースも少なくありません。

そこで本記事では、休日出勤したのに手当が支払われない、あるいは代休がもらえない場合にどのような対処が可能なのかについて労働問題に強い弁護士が解説します。

目次

1.そもそも休日出勤とは

「休日出勤」とは、会社が休みと定めた日において従業員を労働に従事させることをいうのです。

休日には、法律によって定められた「法定休日」と会社が独自で定めている「法定外休日」の2種類があります。

その中で、法定休日に出勤させること単体を指す場合は「休日労働」と表します。

せっかくの休日ですから、労働者は日頃の疲れとストレスを回復したいと思うでしょう。

しかし、代わりの人員が休んでしまったり、急に忙しくなったりしてしまったりなど、特別な事情が発生したりすると、休んでいる人にも応援を求めたりすることもあります

そういった場合には、休日を謳歌している人に対して応援を求めることもあり、これが休日出勤につながるのです。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

2.代休と振替休日の違い

休日と勤務日を入れ替えて働くことを「振替休日」といいますが、休みの日に出勤して代わりに勤務日を休みとするという点について「代休」と非常に類似していることから、区別しにくいと感じている人は多いでしょう。

振替休日と代休は多くの会社の就業規則に規定されており、双方に決定的な違いがあるので明確に区別した上で運用しないと法律違反になる可能性があるため注意が必要です。

  • 代休:休日労働が行われたあとに、その代償として以後の特定の労働日を休みとするもの
  • 振替休日:あらかじめ休日と定められていた日を労働日として、その代わり他の労働日を休日とすること

振替では、出勤した分の休みをとることが義務付けられていますが、代休では必ずしも休みを取る必要はありません。

その点について理解すると、今後の記載内容についても理解しやすくなるかもしれません。

振替休日と代休では、休みを決めるタイミングが異なりますので、振替を行なうときは先に休日と交換する勤務日を決めておかなくてはいけない点にも注意が必要です。

また、両者では割増賃金が発生するかどうかという点も異なります。振替休日で労働しても割増賃金は発生しませんが、法定休日に出勤して休日労働を行い、その後に代休を取った場合には、休日労働に対して割増賃金が発生します。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

3.法定休日の労働には休日出勤手当が発生する

本来の休日に従業員を働かせる場合には、通常の賃金とは異なる給与を支払う必要があります。

3-1.法定休日とは

法定休日に労働者を働かせる場合には、通常の賃金とは異なる給与を支払う必要があります。

割増賃金には時間外労働に対するもののほかにも、休日労働に対するものや深夜業に対するものがあるのです。

休日労働は、労働基準法で定められた法定休日(週1日又は4週を通じて4日、曜日は問わない)に労働させることをいい、休日労働に対する割増賃金は通常の賃金の3割5分以上になります。

なお、割増賃金は重複して発生することがあります。

時間外労働が深夜業となった場合は、合計5割以上(2割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要がありますし、休日労働が深夜業となった場合だと6割以上(3割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要があるのです。

法定休日には「法定労働時間」というものが存在しませんので、休日労働をさせた場合は時間外労働に対する割増賃金の重複は発生しません。

3-2.所定休日とは

「所定休日」とは、法律上定められていない休日のことを指し、企業が独自に設定することができる休日なので会社ごとに所定休日の日数はまったく異なります。

法定休日は労働基準法35条に定められた休日であり、「週に1日」または「4週に4日」与えることが義務付けられているものです。

所定休日は、企業や使用者が法定休日以外に労働者へ与える休日のことであり、法律上付与することが義務付けられていないため、与えるか与えないかは企業の判断で決められます。

ただし、労働基準法では労働時間の上限を「1日8時間」「週に40時間」と設定しているため、法定休日のみの運用では時間外労働が発生してしまいます。

そのため、法定休日と所定休日の両方を設定して、休日を確保する企業が多い傾向にあるのです。

勘違いされることも多いのですが、法定休日や所定休日はカレンダーどおりに設定する必要はありません。一般的には日曜日を法定休日にして土曜日を所定休日に設定している企業が多いのですが、水曜日を法定休日にして土曜日を所定休日にするということも可能です。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

4.休日出勤をしても代休がもらえないのは違法なのか

休日出勤したら、代わりの代休なりの代償が欲しいものですよね。

では、休日出勤した場合に代休がもらえないのは違法にあたるのでしょうか?

4-1.(1)会社には代休を取得させる法律上の義務はない

休日出勤をさせた場合、従業員に代休を取得させることは基本的に会社にとって法律上の義務ではありません。

代休取得のルールは、あくまでも労働契約または就業規則などの社内規定によって会社ごとに定められます。

従業員は労働基準法などの法令を根拠にして、会社に対して代休取得を求めることはできないのです。

4-2.(2)就業規則等で代休取得の権利が認められていれば、取得させないのは違法

逆に言えば、労働契約や就業規則などの社内規定によって従業員に代休取得の権利が認められている場合は、会社はそのルールに従って代休を取得させる必要があります。

たとえば、就業規則で「従業員の申請があれば代休取得を認める」というルールがあれば、会社側は従業員に代休を取得させる必要があり、不合理に代休取得申請を拒否することは認められません。

もし、この点で不合理な扱いを受けた場合は会社側と交渉する必要がありますが、うまくいかなかった場合には弁護士に相談して交渉をうまく進める必要もあるでしょう。

4-3.(3)36協定の範囲外であれば、休日出勤命令が違法

代休取得以前の問題として、休日に出勤を命令することそのものが違法となるケースもあります。

労働基準法上、法定休日に従業員を労働させることは、原則として禁止されているのです。

ただし、例外的に時間外労働(法定労働時間を超える労働)や休日労働に関する労使協定(36協定)が締結されている場合、会社はそのルールの範囲内であれば法定休日であっても従業員に出勤を命ずることができます。

言いかえれば、36協定で定められた範囲を超えて会社が従業員に休日出勤を命ずることは違法であり、仮にその後代休取得を認めたとしても違法な休日出勤が適法になることはありません。

4-4.(4)そもそも36協定が締結されていないのに、休日出勤命令することは違法

原則として、36協定が締結されていない場合は法定休日に出勤するように命令することは認められません。36協定が締結されていないのに休日出勤を命じることができるのは、災害などの臨時の必要がある場合に限られます。その場合も労基署の許可を得たうえで行う必要があります。

代休の取得を拒否されたことだけでなく、休日出勤命令そのものが違法である可能性も念頭に置いて、36協定の有無や内容をチェックしましょう。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

5.休日出勤したときの代休の取得方法

休日出勤したのであれば、その対価として代休を取得したいと思うでしょう。

では、休日出勤した場合の代休はどのように取得するべきなのでしょうか。

5-1.代休は時間単位で取得もできる

休日労働の代休は、会社の就業規則等で許可されていれば1日単位だけでなく、時間単位で取得することも可能です。

そのため、たとえば休日労働が6時間であった場合であれば、代休も6時間だけ取得することが可能になります。

代休というと1日単位での取得になるというイメージをお持ちの方も少なくありませんが

ルール上は時間単位での取得が可能なのです。

なので、代休の取得はフレキシブルに可能であり、自由度の高い取得により可能な範囲ではありますが好きに代休を取得して仕事を休むことができます。

5-2.代休を強制取得させる会社も

会社によっては、代休を強制的に取得させるケースもあります。

従業員に代休を取得させることは、会社にとっては人件費を抑制する観点からも効果的ですが、代休を取得したがらない従業員もしばしば見られます。

代休制度は労働基準法などで義務付けられたものではないため、すべての会社において導入されているわけではありません。

代休を取得するかどうかについて「従業員が裁量によって判断できる場合」「会社の指示により付与できる場合」「一定のルールに従って自動的に付与される場合」など、さまざまなパターンがあります。

どのような方法によって代休が付与されるかについては、基本的に就業規則などの定めに従うことになるのです。

そのため、たとえば就業規則において会社が代休の付与日を決定できると定められていれば、従業員の同意がなくても強制的に代休を付与することが可能になります。

自動的に代休の付与日が決まるルールが採用されている場合についても、これと同様に代休取得に関する従業員の同意は必要ありません。

それに対して、従業員が裁量によって代休を取得するかどうか決められるルールの場合、会社が従業員に強制的に代休を取得させることは違法となります(代休とした日も賃金全額が発生する)。

なお、従業員に代休を取得させた場合は会社が従業員に支払う賃金を減らすことができますが、休日労働の賃金全額の支払いが不要となるわけではなく、割増賃金分は支払義務が残る点に注意が必要です。

5-3.代休取得の決まりは会社により違いがある

先ほども触れていますが、どのような方法によって代休が付与されるかについては、基本的に就業規則などの定めに従うことになります。

会社としては、労働基準法を順守するとともに、従業員の健康管理の観点を踏まえて休日出勤に関する労務管理を適切に行う必要があるのです。

具体的には「代休・振替休日・有給休暇の違いを正しく理解すること」や「36協定で休日出勤のルールを明確に定めること」などが求められます。

こうしたルールを会社側が守らない場合には交渉の余地がありますので、早めに弁護士に相談して交渉を有利かつ楽に進めることをおすすめします。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

6.代休を取得した場合の賃金について

法定休日に出勤した場合は、休日労働における「割増賃金」が発生する点に注意が必要です。

振替休日・有給休暇との間で賃金についての取り扱いの違いがある点も知っておきましょう。

6-1.代休と振替休日の違い

代休と振替休日は、いずれももともとは休日だった日の労働に代えて従業員に休日を与える制度です。

しかしながら、法的には代休と振替休日は次のとおり異なります。

  • 代休:休日労働が行われてから事後的に労働日を休日とし、法定休日に労働した場合には休日労働の割増賃金が発生する
  • 振替休日実際の労働が行われる前に休日と労働日をあらかじめ振り替える、この場合は休日労働の割増賃金が発生しない

つまり、「代休」と「振替休日」では、実質的な休みの仕組みについては似通っていても、その労働に対する賃金の扱いについては大きく異なるという点について把握しておく必要があるのです。

6-2代休・振替休日を取得した場合の賃金計算例

前述のとおり、法定休日に出勤した場合は休日労働の割増賃金が発生する一方で、振替休日の場合だと休日労働の割増賃金が発生しません。

(1)ケースA:法定休日である9月25日に時間の休日労働を行った

このケースにおいて、本来の労働日である9月27日に代休を取得したとしましょう。

この場合では、9月25日の8時間の労働は休日労働扱いとなるため、35%の割増率を適用して賃金を計算します。

2000円×135%×8時間=2万1600円

代休日である9月27日の賃金については、就業規則等に代休を取得した場合の精算規定があればその規定に従う必要があります。

なお、精算規定において代休日を無給とするとされている場合には、休日労働分の賃金と代休日の賃金(2000円×8時間=1万6000円)が相殺され、休日労働による上乗せは35%の割増部分のみとなります。

この場合は会社は従業員に対し、基本給に加えて、割増部分に当たる5600円を支払わなければなりません。

(2)ケースB法定休日であった9月25日と、労働日であった9月27日をあらかじめ振り替えた

9月27日は振替休日として休んだケースでは、休日と労働日をあらかじめ振り替えた上で、労働日に労働し、休日に休むだけですから賃金の加算はありません。

つまり、会社は従業員に対して割増賃金を支払う必要がないのです。

もちろん、休日労働の結果、週40時間を超える労働があれば、原則として時間外賃金が発生します。

6-3.代休ではなく有給休暇を取得できる場合もある

労働契約や就業規則によって代休取得が強制されていない限り、従業員は代休を取得する代わりに「有給休暇を取得する」という選択肢も選べます。

有給休暇を取得することによって、休んだ日についても賃金全額が支払われる点が労働者側にとって大きなメリットです。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

7.休日出勤・代休に関する取り扱いが違法になり得るケース

会社が従業員に対して代休や振替休日を強制的に取得させることは、労働契約や就業規則などのルールに沿っていれば基本的に問題ありません。

この場合だと、代休や振替休日の取得についても契約内容の一部になっているからです。

それに対して、労働契約や就業規則に定めがないにもかかわらず代休や振替休日を強制的に取得させることは、基本的に違法になります。

7-1.(1)休日出勤の割増賃金が正しく支払われない

先ほども触れていますが、休日出勤にはそれに相当する適切な割増賃金が支払われていることが前提となります。

そのため、休日出勤の割増賃金がきちんと支払われていない場合だと、休日出勤させることが違法になる可能性があるのです。

もし、休日出勤を要請されて、それに見合った給料が支払われていない場合だと、最終的には法廷で争う必要も出てくるでしょう。

その場合は弁護士に相談すると、楽にこの問題を解決することができますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

7-2.(2)36協定の範囲を超えて休日出勤を命ずる

例外的に時間外労働や休日労働に関する労使協定(36協定)が締結されている場合、会社はそのルールの範囲内であれば法定休日であっても従業員に出勤を命ずることができます。

逆に言えば、この36協定を超える範囲で休日出勤を命令することは、労働基準法に違反することになるのです。

36協定は労使間で締結されるものになりますので、もし締結した内容に反して休日出勤を強制された場合は、これに違反することになります。

もし36協定に反する内容で休日出勤を求められた場合は最終的に裁判で争う必要もありますので、可能な範囲で早めに弁護士に相談して、この問題を解決することをおすすめします。

7-3.(3)代休に関するルールがないのに、強制的に代休を取得させる

これも先ほど触れた内容ではありますが、代休の強制取得に関しては就業規則や労働契約によるルールが決まっていることが必要不可欠です。

ですが、会社によってはこれらのルールが無いにもかかわらず、強制的に代休を決めてしまうこともあります。

その場合は違法になりますので、代休の取得を撤回させることも可能です。

これも最終的には裁判手続きになるケースも多いので、事態が発覚したら早めに弁護士に相談して、事態の解決について話し合うことをおすすめします。

7-4.(4)就業規則等の定めがないのに、勝手に有給休暇を代休へ変更する

就業規則などで定めていれば、さまざまな労働上のルールについて決めることができます。

有給休暇を代休に変更することも、就業規則で定めていれば可能ではありますが、就業規則などで定めていない場合には不可能となるのです。

もし、就業規則等で定めがないのに、勝手に有給休暇を代休に変更された場合には違法性を主張して争うことができます。

この場合も最終的には法廷で争う必要性が出てきますので、場合によっては弁護士に依頼して裁判手続きを代行してもらう必要が出てくるでしょう。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

8.休日出勤や代休に関するよくあるQ&A

最後に、休日出勤や代休に関する、よくある質問についてまとめました。

8-1.代休の取得期限はありますか?

労働基準法における代休の取得期限は「2年」となっていますが、実務上でこの期限を採用している企業は少ないです。

 休日出勤をした2年後にさかのぼって代休を請求することは、本来の目的に反するためとなっています。

 そのため、会社は自社で代休についてのルールを設定し、そのルールにのっとって制度を運用していくことが一般的です。

8-2.会社が代休・振替休日を強制的に取得させることは違法ですか?

就業規則や労働契約により定めがあれば別ですが、基本的に会社が代休や振替休日を強制的に取得させることは違法となります。

もし、会社から代休などの問題でトラブルになることを命令された場合は、早めに弁護士に相談して、事態の解決に臨むことをおすすめします。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

9.まとめ

代休の問題は、場合によっては会社と争うことになる可能性もあります。

その場合は、早めに弁護士に相談すると良いでしょう。

労使関係に強い弁護士であれば、事態を早急に解決することができますし、ご自身の時間を浪費することなく事態を解決することができます。

私たち法律事務所リーガルスマートは、代休のトラブルをはじめとする労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

この記事をSNSでシェア!

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

相談無料初回60分

担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
ホーム お役立ちコラム 労働問題 その他 休日出勤したのに代休がもらえないのは違法?弁護士が解説!

電話受付時間 10:00〜17:30 (土日祝・年末年始を除く)