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残業が辛い!長時間労働のリスクや対処法などを弁護士が解説!
会社で働いていると「残業」をしなければならないケースも少なくありません。
一般的に残業というものは通常の勤務時間を超えて働くことになるため、帰宅が深夜になってしまったり、体調を崩してしまうなどのように辛いと感じることが多いです。
本記事では、残業のような長時間労働のリスクや、残業が多いことに対する適切な対処法について労働問題に強い弁護士が解説します。
目次
1. 残業が辛いと言われるよくある理由
一般的に、残業=辛い仕事というイメージがありますが、具体的にどういった理由で残業を辛いものだと感じるのでしょうか。
1-1.自己否定につながる
残業が多くなると、自己否定の考え方につながる可能性があります。
人によって残業に対する考え方は異なりますが、場合によっては「残業している=自分の仕事のペースが遅い」と感じることもあるでしょう。
とくに、周囲の同僚や上司が定時に退社しているのを多く見かけると、その分だけ「自分は仕事が遅いから残業しなければならない」という否定感を感じることになってしまいます。
もちろん、残業の頻度や仕事量は元々の仕事量がおかしいというケースも少なくありませんが、周囲に相談できないとその比較や判断もできないため、自分の仕事への適性がないことなどへの自己否定に陥ってしまうのです。
1-2.終わり・ゴールが見えない
残業が多くなると、「終わり・ゴール」が見えなくなって将来への見通しが悪くなってしまうことがあります。
もし、残業が週に数回のペースであればそこまで絶望することもないでしょうが、ほぼ毎日のように残業している場合だと「いつになったら残業地獄から抜け出せるのか」という悲壮感を感じてしまうことになるでしょう。
ゴールへの見通しがあればそこへ向かって頑張ることもできるでしょうが、ゴールを見通せない、残業の終わりが見えない状況だとどうしてもモチベーションは低下してしまいます。
まるでゴールのないマラソンを永遠と走り続けるように、終わりの見えない残業は従業員を疲弊させてしまい、そのために作業ペースが落ちてしまって残業が続くという、悪循環を生み出してしまうのです。
1-3.体力的・精神的に疲れる
残業が続いてしまうと、体力的にも精神的にも疲労してしまいます。
当然の話ですが、どのような仕事でも長時間働き続ければ疲労がたまってしまうでしょう。
特に残業ともなれば朝から働いて夜遅くまであまり休むことができませんので、体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。
どのような仕事であるかによって体力や精神への負担の割合は異なりますが、残業が続けば疲労回復に費やせる時間も少なくなってしまいますので、生産性が低下してまた残業になるという悪循環を生み出してしまうリスクを高めることになるでしょう。
1-4.自分の時間がとれない
残業が続いてしまうと、自分のための時間を確保することが難しくなってしまいます。
たとえば帰宅してから入浴を済ませて、お酒を飲みながらおいしい食事をしたり、ゲームなどの趣味に時間を使うことによって、肉体的にも精神的にもリフレッシュして明日の仕事への英気を養うことができるでしょう。
しかし、残業で帰宅時間が遅くなってしまうと、もう帰ってから寝ることしか考えられなくなってしまうケースが多くなります。
結果、休日もただ寝て過ごすだけになってしまい、仕事への英気を養うためのリフレッシュが十分に取れなくなってしまい、仕事の生産性が下がってしまったり、離職率が高くなるなどのリスクを高めることになるのです。
1-5.家族との時間を確保できない
先ほどの内容とも被るのですが、残業が多くなると家族との時間を確保できないという点もデメリットになります。
帰宅してから家族と食事をとる時間も、残業で帰宅が遅くなってしまえば自分1人だけで食事をとらなければならなくなってしまうでしょう。
休日も日頃の疲労であまり動けなくなってしまって、お子さんと遊んだり家族で外出したりする気力がなくなってしまうこともあるかもしれません。
家族との時間はリフレッシュにも貢献しますので、家族との時間を残業により奪われてしまうと、とくに精神的なストレスを感じることになります。
2.残業が多くなるよくある理由
残業が多くなると、上記の理由から従業員は疲れを感じてしまい、辛いと感じてしまうことになるでしょう。
では、どのような理由で残業が多くなってしまうのでしょうか。
2-1.会社の人手不足
会社が十分な人手を確保できていれば、わざわざ従業員に残業をさせなくても定時までに必要な仕事量をこなすことは難しくありません。
逆に言えば、必要な仕事量に対して十分な人手を会社が確保できていなければ、従業員1人あたりの負担は大きくなり、定時までに必要な仕事量をこなすことができなくなるリスクが高まります。
人手が足りない場合だとそれに合わせて仕事量も調整するのが妥当なのですが、会社が繁忙期などの理由でどうしても仕事量を減らすことができず、加えて従業員の採用も追いつかない場合だと残業のリスクが高まるのです。
2-2.仕事の体制が適切に整っていない
人手不足の問題だけでなく、会社側の問題としては仕事の体制が適切に整っていないことも残業のリスクを高める要因になっている可能性があります。
たとえば
会社を立ち上げて間もない場合や、新しい事業や部署を立ち上げた際には、効率の良い事業体制が整っていない可能性があるのです。
体制が整っていないなければ、従業員がどれだけ効率よく仕事を進めようとしても不適切な体制が邪魔をしてしまい、余計な仕事が増えたり作業効率を悪くさせる原因になります。
体制が整うことでこの問題は解消されますが、事業内容によってはなかなか体制が整わず、いつまで経っても残業を減らすことができなくなってしまう可能性があるのです。
2-3.作業効率が良くない
これまでは会社側に問題があるケースでしたが、ここからは従業員側に問題があるケースについて解説します。
まずは、従業員自身の作業効率が良くないというケースです。
当然の話ではありますが、8時間で終わる仕事量を8時間でこなせる従業員であれば8時間で退社できますが、同じ仕事量を10時間かけて終えられる従業員の場合はプラス2時間も働かなければ仕事を終えることができません。
厄介なのは、残業が続くと疲労回復に十分な時間をかけることができなくなってしまい、余計に作業効率を悪くさせるというリスクがあることです。
仕事への適性の問題もあるとは思いますが、この項目で説明する残業が続くことによる負のスパイラルのリスクにも関わるので、何らかの方法でこの悪循環を抜け出さないといつまで経っても残業地獄から抜け出すことができません。
2-4.頼みを断れない
4つ目の原因としては、従業員が他人の頼みを断れないことにあります。
自分の仕事に関して残業するのであればまだしも、他人の仕事に関して残業を依頼されるのであれば断ることもできるでしょう。
しかし「断れない性格」であると、その仕事を引き受けてしまって残業することになります。
厄介なのは「あの社員は仕事を断れない」というレッテルを貼られてしまい、残業を強要される可能性が高まるということです。
その結果、残業することが多くなり、その負のスパイラルが連鎖することによって残業地獄から抜け出せなくなってしまうケースが多くなります。
3.長時間の残業を続けるリスク
短期的に残業をするだけであれば、そこまで大きな影響が出ることはないでしょう。
しかし、あまりにも長期的に残業が続いてしまうと、何らかの悪影響が出てしまう可能性があります。
では、長時間の残業が続いてしまうことによるリスクとは、どのようなものなのでしょうか。
3-1.従業員の健康が害される
あまりにも残業が続いてしまうと、従業員の健康が害される可能性が高くなります。
残業が続くということは、自宅で心身の回復に努める時間が減らされるということです。
そうなると、従業員は心身の疲れを十分に癒すことができないまま、日々の労働に勤めなければならないということになります。
それが1日だけであれば良いのですが、何日も続くようなことになれば心身の疲れを回復できないまま仕事に打ち込まなければならなくなるのです。
当たり前のことではありますが、心身の疲れを溜め込んだまま仕事に打ち込んでしまうと健康に悪影響を及ぼすことになります。
そうなると、仕事のペースにも影響を及ぼすことになり、残業続きの影響で体調が悪化し、それが原因で仕事のペースが落ち込んで残業が増えるという悪循環を生み出してしまいます。
3-2.離職率が高まる
あまりにも残業が続いてしまうと、従業員の離職率が高まる原因にもなります。
誰だって残業せずに定時で退社したいと思うでしょう。
それなのに、定時で帰れずに終電ギリギリで帰るような事態が続いてしまえば、どんな従業員でも「仕事を辞めたい」と思うようになります。
とはいえ、会社を辞めることは会社側にとっても従業員側にとってもデメリットがあるものです。
会社側は人材を流出させることになり、従業員側にとっては次に就職先を探さなければ収入源を失うことになります。
どちらにとってもデメリットが大きい事態を招くので、残業が続くような事態はできる限り避けなければならないのです。
3-3.会社からの評価に影響する
あまりにも残業が続いてしまうと、会社からの評価が下がってしまう可能性があります。
残業は基本的に「定時までに終わらなかった仕事を終わらせる」という目的で行われると考えられるでしょう。
もし、残業が何日も続くようなことがあれば「あの社員は仕事が遅い」というレッテルを貼られてしまう可能性があります。
実際の残業は、その従業員に対する仕事量の割り当てが間違っているケースも少なくありませんが、会社の上層部はそんなことを理解してくれません。
結果、会社の従業員としての評価を落とされてしまい、給料や昇進にも悪影響を及ぼし、従業員のモチベーションを下げる結果になる可能性が高いのです。
4.残業を減らすための解決策
必要な範囲での残業であれば仕方がないとしても、慢性的に残業が続くようなことは避けるべきです。
では、残業時間を減らし慢性的な残業状態を解消するためには、どのようなことが必要になるのでしょうか。
4-1.業務を効率化する
残業がなくならないということは、仕事時間に対して見合わない量の仕事が割り当てられている可能性があります。
人手を投入することでこの状態が解消される可能性はありますが、人員を増やすことは簡単なことではなく、会社としても余計な人件費をかけたいとは思わないでしょう。
そうなると、仕事時間の範囲内で、今まで以上の仕事量をこなせるようになる必要があります。
もちろん、従業員自身のスキルアップによる効率化も重要ですが、余計な作業をなるべく減らしたり、適切なツールを導入することで仕事を今まで以上にやりやすくすることも必要です。
無駄な会議を開催しなかったり、仕事をデジタル化することで作業量を減らすことができれば、現状の人員でより多くの仕事量をこなせるようになり、残業を減らすことができるでしょう。
4-2.コミュニケーションを強化する
残業が減らないということは、上司が部下の仕事量や進捗を把握できていない可能性があります。
もし、上司が残業のリスクの高い従業員の現状を把握していれば、その仕事を他の部下に割り振ることができるので、残業のリスクを抑えることが可能です。
上司が部下の状況をより正確に把握してスケジュール調整ができるようになるためには、会社内でのコミュニケーションを強化する必要があります。
上司・部下の間での情報共有体制が脆弱な状態だと、部下の仕事量を上司が把握できなくなってしまい、結果として残業が慢性化してしまうのです。
直接の会話もそうですが、昨今はテレワークが浸透している状況から鑑みても、従業員同士で気軽にコミュニケーションがとれるようなツールの導入が必要になります。
4-3.「残業=美徳」という評価体制を改める
残業が慢性化している背景には、上司や会社からの評価に偏りがある可能性もあります。
日本の場合では、残業してまで会社に貢献することが、ある種の美徳のような扱いを受けることがあります。
そうなると従業員は上司や会社からの評価を勝ち取ろうとして、無理にでも残業をこなそうと考えるリスクがあります。
実際に上司や会社がどのように考えているかはそこまで重要ではなく、要するに従業員が「そうだろう」と考えてしまうことが問題なのです。
仕事量に問題がない状況であれば、上司や会社からの方針として「残業が必ずしも評価に直結するものではない」「残業を美徳であると考えていない」という姿勢を、従業員に周知して考え方を改めさせることが必要になります。
5.それでも残業が辛いときの対処法
会社が協力的であれば、会社から残業の慢性化を取り除くことができるかもしれません。
しかし、必ずしも会社が協力的であるとは限らず、仕事量によってはどうしても残業をしないと仕事が終わらないということもあるでしょう。
では、辛い残業が続く場合には、従業員にはどういった選択肢があるのでしょうか。
5-1.同僚や上司に相談する
まずは、信頼できる同僚や上司など、周囲の人に相談してみましょう。
残業をしなければならないほど仕事量が多いのであれば、同じ部署の従業員で分担するなどの仕事の割り振りが必要になります。
しかし、それを周囲に相談せずに自分一人で抱え込んでしまうと、残業地獄から抜け出せなくなってしまうのです。
もちろん、社内での人間関係やコミュニケーションの状況などにより、この方法がとれるかどうかは異なりますが、まずは相談できる人に残業のことを相談してみてください。
5-2.専門機関に相談する
周囲に相談しても残業問題が解消できない場合は、社外の人に相談する必要があります。
たとえば労働基準監督署や総合労働相談コーナーのように、労使問題について相談できる機関に話を持ち込めば、会社に対して是正勧告などの対処をとってくれるのです。
ただし、あくまでも是正勧告なので法的拘束力はなく、公的機関は中立の立場で行動するので、必ずしもあなたの味方になってくれるわけではありません。
問題が深刻化するようであれば、弁護士に相談して交渉等をしてもらう必要があります。
6.残業が辛いときの相談先
残業が辛いときには、周囲に相談して問題を解決へと導く必要があります。
社内で解決できそうにない場合は、公的機関に相談することが必要です。
ただし、あくまでも第三者・中立の立場であり、交渉の代行はしてくれません。
未払いの残業代があるなど、会社に対して何らかの交渉が必要な場合は、公的機関よりも弁護士に相談したほうが、スムーズに残業問題を解消できるでしょう。
7.残業から発展する労働問題を弁護士に相談、依頼するメリット
残業が慢性的に続いてしまって辛いのであれば、この問題を弁護士に相談してみることも重要です。
弁護士に相談することのメリットはいくつかありますが、たとえば「会社が交渉に応じる可能性が高まる」という点が挙げられます。
こういった交渉の場においては、自社の従業員が直接交渉する場合では会社側が態度を改めない可能性が高いのです。
しかし、弁護士という法律と交渉の専門家が交渉の場に現れることによって、会社側にプレッシャーを与えることができます。
裁判沙汰に発展する可能性があることを考慮すると、交渉の時点で態度を軟化させておいたほうが余計な問題を起こさせないことにつながるので、会社側にもメリットがあるのです。
交渉する内容が残業を減らすためのものだけに留まらず、未払いの残業代があるなど交渉内容が多い場合は、より交渉の成功確率を高めるためにも弁護士を味方につけておいたほうが心身ともにストレスを感じることなく交渉を進められるでしょう。
もちろん、弁護士に相談することで費用がかかりますが、残業続きで辛いと感じているのであれば早めにこの問題を解決するべきです。
交渉をスムーズに進めて、残業問題を素早く解消するためにも、労使問題に強い弁護士を見つけ出して、まずは相談から始めてみることをおすすめします。
8.まとめ
残業が続けば心身ともに疲れてしまって、辛いと感じる方が多いでしょう。
もちろん、必要な残業であれば頑張ってこなすべきですが、あまりにも残業が続くようであれば管理責任の問題でもあります。
辛い残業にいつまでも耐えることは難しいでしょうから、周囲に相談したり公的機関に相談、場合によっては弁護士に相談して残業問題を早期に解決しましょう。
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担当者
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■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立
大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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