自己破産

自己破産したら賃貸契約はできない?対処法などを弁護士が解説!

自己破産したら賃貸契約はできない?対処法などを弁護士が解説!
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借金・債務の額が多く、自己破産を検討している方の多くが心配するのが、衣食住の確保ができるのか、ということです。

現在賃貸物件に住んでいる人はその賃貸借契約がどうなるのかが心配ですし、これから賃貸借契約を結べるかということも心配ではないでしょうか。

本記事では自己破産した場合の賃貸借契約について、借金問題に強い弁護士が解説します。

目次

1.自己破産と賃貸借契約の関係について

まず、自己破産をした場合の賃貸借契約について確認しましょう。

1-1.自己破産したら現在契約している賃貸物件はどうなるのか

自己破産をした場合に賃貸借契約はどうなるのでしょうか。

まず、自己破産をしたからといって、賃貸借契約が解除される、将来賃貸借契約を結べなくなるということはありません

そのため、特に何も問題がなければ、今賃借をしているものについて解除されることもありませんし、将来賃貸借契約を結ぶことも法律上は可能です。

1-2.あまりにも高額の家賃の家に居住している場合

自己破産をするにあたって、収入に比してあまりにも高額の家賃の家に居住している場合には、破産管財人が契約を解除する可能性があります。

収入に比してあまりにも高額の家賃の家に居住していることが原因で、生活費を圧迫して借金をした場合、そのまま借金について免責をしても、同じように生活費が足りない状態になってしまいます。

このような場合、裁判所から選任される破産管財人が賃貸借契約の解除の申し入れをすることがあります。

1-3.家賃を滞納していた場合賃貸人から契約を解除される可能性が高い

自己破産をすると債務については免責されることになります。

もし家賃を滞納していた場合、滞納している家賃については破産手続きによって免責されることになります。

つまり賃貸人側としては家賃の支払いを受けられなくなります。

その額が賃貸借契約の当事者の信頼関係を破壊したといえる程度(一般的には家賃2~3ヵ月分程度)になった場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除することができます。

この解除は自己破産手続きによるものではなく、賃貸借契約から生じるものです。

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2.自己破産後に賃貸物件は契約できるのか

自己破産をした後に賃貸物件の契約は可能なのでしょうか?

2-1.法律上自己破産をした後でも賃貸物件の賃貸借契約は可能

まず、法律上自己破産をした後でも、賃貸物件の賃貸借契約は可能です。

賃貸借契約の成立要件として、賃借人となる者が、過去に自己破産を行ったことを理由にこれを禁止する法律は無いためです。

2-2.自己破産後に賃貸物件を契約をする際の注意点

自己破産後に賃貸物件の賃貸借契約をする際の注意点には次のようなものがあります。

(1)賃貸借契約の入居審査をパスする必要がある

賃貸借契約をするにあたっての入居審査をパスする必要があります。

賃貸借契約は長期にわたって物件を借りられるものです。

そのため、賃借人となる人についてきちんと審査を行うので、その入居審査にパスする必要があります。

自己破産や後述する後述するブラックリストとは関係なく、どのような場合も行われますので、賃貸借契約の入居審査をパスしやすくなる対策は怠らないようにしましょう。

入居審査として主にチェックされるのは、家賃の支払能力に関する事項である収入に関するもの(勤務先・雇用形態・勤続年数・賞与の有無など)や、入居者の属性などが挙げられます。

(2)保証会社を利用する場合入居審査が下りない可能性が高い

保証会社を利用する場合、入居審査が下りない可能性が高いでしょう。

賃貸借契約をする場合、必ず家賃の支払いについて保証人がつきます。

「保証人不要」として宣伝しているものも、保証会社に手数料を払って保証人になってもらうことで契約を結ぶことができる仕組みです。

この保証会社を利用する場合、自己破産をした場合には審査が下りない可能性が高いです。

これは、自己破産をする際に、信用情報機関に自己破産をした情報が登録されることになっていることと関連します。

自己破産の依頼を弁護士に行った場合、弁護士は債権者に対して自己破産手続きの依頼を受けたことを債権者に通知します。

貸金業者はこの通知を受けて、信用情報機関に自己破産手続きに入った旨を通知し、信用情報機関でその旨を登録します。

これによって、審査にあたって信用情報を確認することで、自己破産手続きを利用していることが判明し、審査が下りなくなります。

このような状況を一般的にブラックリストと呼んでいます。

消費者金融や信販会社の多くが、保証事業として家賃の保証を行っており、信用情報による審査を行うことができます。

そのため、自己破産をして事故情報が掲載されている間は、家賃保証を使っての賃貸は審査が下りないため事実上できないといえるでしょう。

(3)信用情報機関を通さずに家賃保証をする保証会社の場合

保証会社の中には、消費者金融や信販会社ではない会社もあります。

このような会社が保証会社になっている場合には、信用情報による審査を行えないので、契約ができる可能性があります

ただし、全国賃貸保証業協会(LICC)に加盟している場合には、家賃の滞納についての情報を共有しているので、家賃を滞納している記録や、家賃が自己破産で免責された記録を見られる可能性があることに注意が必要です。

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3.自己破産後に賃貸物件を契約できない際の対処法

自己破産後に賃貸物件を契約できない際の対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。

3-1.信用情報で家賃保証の審査をしている不動産会社を避ける

信用情報で家賃保証の審査をしている不動産会社を避けるようにしましょう。

上述したように、賃貸物件の賃貸借契約ができない原因の一つが、信用情報機関の事故情報を見られることにあります。

そのため、信販会社が家賃保証をしている不動産会社を避けましょう。

その不動産会社がどの会社に家賃保証をしてもらっているかについては、検索エンジンで会社の名前に家賃保証という検索キーワードを入れて検索すると、確認することが可能な場合があります。

店舗に連絡をして直接聞いてみても良いでしょう。

3-2.事故情報が消えてから申込みを行う。

事故情報が消えてから賃貸借契約の申込みを行いましょう。

信用情報で家賃保証の審査をしている不動産会社の審査が下りない理由は、事故情報が存在しているためです。

しかし、この事故情報は永遠に続くわけではなく、自己破産の場合5年~7年で消滅します。

そのため、事故情報が消えてから申込みを行いましょう。

3-3.連帯保証人を立てて申込みを行う

連帯保証人を立てて申込みを行いましょう。

賃貸物件の賃貸借契約においては保証人の存在は不可欠といえます。

保証会社の利用をするのは保証人についての一つの選択肢にすぎず、保証会社の代わりに連帯保証人を立てることで契約できることもあります。

不動産会社に相談をして、連帯保証人を立てることで契約できないかを検討してみましょう。

3-4.公営住宅を賃貸する

公営住宅を賃貸することを検討しましょう。

市区町村や都道府県は、所得が低い人でも住居を確保できるように、住民のために住宅を用意しています。

入居するためには所得制限があったり、入居が抽選になるなどの特徴があります。

公営住宅にあたっては自己破産をしていてもパスすることが可能です。

自己破産後で収入が低い・安定しないような場合や、生活保護を受けているような場合でも賃貸をすることができるので、とりあえず住居を確保したいという場合には利用を検討しましょう。

利用にあたっては一定期間居住している実態が必要となるので、住んでいる市区町村・都道府県の公営住宅から選ぶことになります。

利用要件や申込み方法は地方自治体によって異なるので、ホームページを確認してみてください。

3-5.UR住宅を賃貸する

UR住宅の賃貸を検討しましょう。

UR住宅とは、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が行っている賃貸住宅のことです。

都市の健全な発展と国民生活の安定向上に寄与することを目的として定められた、独立行政法人都市再生機構法によって設立された機関が独立行政法人都市再生機構で、都市部における団地などの整備や住宅の確保が難しい人への賃貸を行っています。

UR住宅の賃貸には保証人が不要で、自己破産をして事故情報がある人でも賃貸できる上に、礼金・仲介手数料が不要なので、初期費用を抑えて賃貸をすることができます。

3-6.家族・同居者の名義で賃貸をする

家族・同居者の名義で賃貸をすることで借りられる場合があります。

たとえば夫婦で住む場合で、夫が自己破産をして事故情報がある場合には、妻の名義で申込みをすれば借りられることがあります。

この場合、入居審査は妻をメインに行われることになるので注意をしましょう。

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4.自己破産を弁護士に相談、依頼するメリット

自己破産を弁護士に相談・依頼するメリットには次のようなものがあります。

4-1.無料で相談ができる

弁護士への相談は無料でできることが多いです。

通常弁護士のような専門家への相談は、30分5,000円~の法律相談料の支払いを必要とします。

しかし、市区町村の無料の弁護士相談や、法テラスの相談を利用すれば、無料で弁護士に相談をすることができます。

また、そもそも自己破産などの債務整理・借金問題に注力している弁護士であれば、お金が無くてこまっている状況に配慮して無料で相談を受け付けています。

法律事務所リーガルスマートでも、初回60分無料の法律相談を行っているので、お気軽にご利用ください。

4-2.精神的に楽になれる

自己破産をしなければならないような状況では、まわりに相談できる相手もおらず、一人で抱え込むこともめずらしくありません。

弁護士に相談をして、今後どのようにすればいいかがわかるようになると、精神的にもすごく楽になります。

4-3.取立てが止まる

弁護士に依頼すれば、督促が止まります。

貸金業法21条1項9号は、債務者が弁護士に債務整理の依頼をした場合、債務者本人に取立てをしてはならないことを規定しています。

そのため、弁護士に依頼をすると、取立てが止まることになります。

なお、弁護士は依頼を受けると、すぐに債権者に対して自己破産の依頼を受けた旨の通知(受任通知)を発送します。

依頼を受けてからこの通知が届くまでには若干タイムラグがあるので、その間に督促があることもあります。

4-4.裁判所に支払う費用が安くなる可能性がある

弁護士に依頼することで裁判所に支払う費用が安くなる可能性があります。

自己破産手続きをするにあたって、弁護士費用の他に裁判所への費用の支払いが必要です。

裁判所への費用にはいくつか種類があるのですが、その中で最も大きな比率を占めるのが、裁判所から選任される破産管財人に対する報酬が挙げられます。これを破産手続開始決定時に予納金として裁判所に納める必要があります。

自分で申立てをすると、通常管財(特定管財)という手続きで自己破産が進むため、50万円~の予納金の支払いが必要となります。

一方で弁護士に依頼することで、管財人が選任されない同時廃止、管財人が選任されても簡易に終わらせることができる少額管財という手続きの利用ができます。

同時廃止であれば管財人が選任されないので破産管財人への報酬は必要なくなります。

また少額管財の場合には、管財人への報酬は20万円~となり、大幅に安くなります。

特に同時廃止で手続きができる場合には、弁護士に依頼したほうがトータルでかかる費用を安くできます。

4-5.手続きを確実・スムーズに進めることができる

手続きを確実・スムーズに進めることができます。

自己破産手続きは裁判所への申立てによって行われ、申立てには申立書の作成と添付書類の作成・収集が必要となります。

本来支払うべき債務を免除してもらうという特別な手続きですので、厳格に行われるのが自己破産手続きです。

作成・収集する申立書や添付書類は非常に難解で複雑であり、誤り・矛盾点・不明点があると裁判所・管財人から厳しく追及されることになります。

弁護士に依頼することで、自己破産手続きを確実・スムーズに進めることができます。

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5.自己破産と賃貸契約に関するよくあるQ&A

自己破産と賃貸契約に関するよくあるQ&Aには次のようなものがあります。

5-1.家賃を滞納している場合に家賃を支払ってしまうことはできないのか

自己破産前に家賃を滞納している場合、賃貸借契約が解除されて、賃貸物件を追い出されないために、滞納している家賃を支払ってしまえば良いと考えることもできます。

しかし、この行為は、賃貸人という特定の債権者のみに返済する偏頗弁済にあたり、破産法では禁止されている行為にあたります。

 もし返済を行うと、免責不許可事由となってしまいますので注意しましょう。その家に住み続ける必要性など特別な事情があれば認められる可能性もありますが、個人の判断では行わず、必ず弁護士に相談するようにしましょう。

5-2.事故情報が消えた後に注意すべきことはありますか

事故情報が消えた後に賃貸を申し込むにあたって注意すべきことはあるのでしょうか。

事故情報が消えた後は信用情報に何も情報がない状態となります。

現在ではポイントカードや会員登録をする中で、クレジットカードを作成することが一般的で、どんなに借金をしたことがない人でもクレジットカードを作成していることが一般的です。

そして、そのクレジットカードによってインターネットショッピングをしたり、各種サービスの利用をしたりして、その利用・返済についての記録が残っています。

これらの記録がない場合、過去に自己破産などの債務整理をしたのではないか?という疑問を持ったり、支払能力があるのか推察することができないという事態に陥ります。

そのため、大きな取引をする前に、小さな取引によって、きちんと支払っている記録をつくるのが望ましいです。

このような利用記録のことを一般的にクレジットヒストリー(クレヒス)と呼んでいます。

賃貸借契約は大きな取引になるので、まずは限度額の少ないクレジットカードを作って、少額の買い物とその精算をして、クレヒスを作ることをしておくのが無難でしょう。

5-3.自己破産をすると家族も賃貸借契約ができなくなりませんか

自己破産をして保証会社からの保証を受けられない場合があるのは、賃貸借契約ができなくなるのは上述した通りです。

この場合、家族も賃貸借契約ができなくなるということはあるのでしょうか。

保証会社からの保証を受けられないのは、信用情報に事故情報が登録されていることが原因でした。

この事故情報は個人単位で登録され、たとえ家族でもその人に影響することはありません。

そのため、自己破産によって家族が賃貸借契約を受けられなくなるということはありません。

5-4.ブラックリストになるとほかにどんなことができなくなりますか

上述したブラックリストという状態になると、信用情報によって審査を行う保証会社からの保証が受けられないことになります。

同じように、ブラックリストになると、信用情報によって審査を行う次のようなことができなくなります。

  • 貸金業者からお金を借りる
  • クレジットカードの契約・更新
  • 携帯電話・スマートフォンの分割での購入
  • ETCカードの新規発行

これらによって生活ができなくなると感じる人も多いのですが、お金をためて購入することや、プリペイドカード・デビットカード、デポジット制のETCパーソナルカードの利用など代替手段の利用が可能なので、不便でも生活ができなくなるということはありません。

5-5.住宅ローンで住宅を購入することは禁止されますか

住宅を確保する手段として、賃貸のほかに、住宅ローンで住宅を購入するという方法があります。

法律上は自己破産をした後に、住宅ローンの契約を禁止する旨の規定はありません。

しかし、住宅ローンの借り入れをする場合も当然信用情報による審査は行われるので、ブラックリストの間は住宅ローンの利用はできないでしょう。

ブラックリストの期間が終わると事故情報の登録が原因で審査に落ちることはありませんが、信用情報に取引の経過がない状態であり、そのままでは審査が厳しくなることは上述した通りです。

住宅ローンの審査は、お金の借り入れに関する審査の中でも最も厳しいものの一つであるといえるでしょう。

そのため、上述した方法でクレヒスを作って、信用情報上で疑問を持たれないようにすることや、頭金を貯める、その他住宅ローンの借り入れがしやすいように環境を整えるなどして、万全の状態で審査を受けられるようにしましょう。

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6.まとめ

本記事では、自己破産したら賃貸借契約はできないのか、賃貸借契約ができない場合の対処法などを、ケース分けしながらお伝えしました。

自己破産をすることで賃貸借契約ができなくなるということは無いのですが、自己破産の過程で発生するブラックリストという状態が原因で、賃貸借契約ができないことがあります。

ブラックリスト後に申し込んだり、別に保証人を立てる、公営住宅・UR住宅の賃貸をするなど、その人に合わせた対応方法があります。

賃貸借契約やその他心配になることがある場合は、まずは弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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