自己破産

自己破産すると年金はどうなる?年金の種類別に弁護士が解説!

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借金返済ができなくなった場合に、経済的なやり直しをするために利用される自己破産ですが、制度として「資産は換価され配当されることになる」と説明されます。

そのため、自分の資産・お金がどうなってしまうのか、ということを気になる方が非常に多いです。

資産に関する質問の中でも非常に多いのが、年金がどのようになってしまうのか、というものです。

そこで本記事では、自己破産をすると年金がどうなるのかについて、借金問題・債務整理に強い弁護士が解説します。

1.自己破産すると年金はどうなるのか?年金別に解説!

自己破産をすると年金はどうなるのでしょうか。

1-1.自己破産をした場合財産がどうなるのかの一般論

自己破産をした場合に、自分が持っている財産がどうなるのか、についての一般論を確認しましょう。

自己破産手続きは、債務者の財産を換価(金銭に替えること)して、債権者に平等に配当する手続きです。

そのため、債務者が保有している財産は基本的にはお金に替えて債権者に配当すべきで、破産法34条1項は「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。」と定めています。

年金は金銭を請求する権利であり債権に属しますが、債権もここにいう財産として換価の対象となります。

また、年金のように、受取時期が破産手続きが終わった後の将来に受け取る債権であっても、破産法34条2項で「破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」については破産財団となり換価の対象となります。

ただし、自己破産手続きの目的は、「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること」にもあるので(破産法1条)、生活に必要な範囲の財産についてまで換価するわけではありません。

そのため、破産法34条3項で、次の財産は破産財団には含まないとしています。

  • 民事執行法131条3号規定する額の2/3の金銭
  • 民事執行法などで差し押さえ禁止財産とされているもの

これらに該当すれば、破産財団として換価の対象にならず、破産手続きを経ても保有することが可能です(このような財産を自由財産といいます)。

年金がどうなるのかは、破産財団となるのか、自由財産となるのかによってその結論が異なることになります。

年金と一口に言っても様々な種類のものがあるので、その内容を確認しましょう。

1-2.公的年金

公的年金のうち、一定の年齢以降に給付される老齢年金(老齢基礎年金)については差し押さえが禁止されます。

公的年金として、国民年金(すべての人が加入)、厚生年金(サラリーマン・公務員が加入、かつて公務員が加入していた共済年金は厚生年金に一本化されている)があります。

国民年金については国民年金法24条によって差し押さえが禁止されています。

また、厚生年金についても厚生年金保険法41条によって、同様に差し押さえが禁止されています。

そのため、自己破産をしても年金を受け取ることができます。

1-3.障害年金

老齢基礎年金・老齢年金以外のものとして、障害年金が挙げられます。

国民年金から支給されるのが障害基礎年金であり、厚生年金から支払われるのが障害年金です。

国民年金・厚生年金から支給される公的年金の一つの種類であり、国民年金法・厚生年金保険法に定められているものなので、差押禁止財産に該当するため、自由財産となります。

1-4.遺族年金

被保険者が亡くなった場合、遺族に対して支払われるのが遺族年金です。

遺族年金も老齢(基礎)年金・障害(基礎)年金と同様に、国民年金法・厚生年金保険法に定められているものなので、差押禁止財産に該当し、自由財産となります。

1-5.労災年金

労災に被災した際に、障害保証等年金など年金という名目で給付を受けることができることがあります。

これらの労災保険給付として受ける年金については、労働者災害補償保険法12条の5第2項で差し押さえることができないとされており、自由財産となります。

1-6.企業年金

上記の公的年金のほかに、従業員が退職後の生活を送れるように、会社が掛け金の全部または一部を負担し、退職後に受け取る年金のことを企業年金と呼んでいます。

企業年金には、確定給付企業年金、確定拠出企業年金、厚生年金基金、中小企業退職金共済制度を利用したものがあります。

1-6-1.確定給付企業年金

会社と従業員との間で、給与や加入期間などによって決められた年金の支払いをするのが、確定給付企業年金といいます。

確定給付企業年金の受給権については、確定給付企業年金法34条1項本文によって差し押さえ禁止財産となっており、自己破産をしても自由財産として保持することが可能です。

1-6-2.確定拠出企業年金

会社が従業員のために掛金を負担し、従業員自身が掛金を運用し、その運用結果に基づいて年金が支払われる制度のことを、確定拠出企業年金といいます。

確定拠出年金法32条1項本文によって差し押さえ禁止財産となっているので、自己破産をしても自由財産として保持することが可能です。

1-6-3.厚生年金基金

会社が「厚生年金基金」という厚生労働大臣の認可を受けた法人を設立し、老齢厚生年金の給付の代行と、企業独自の加算部分を上乗せして管理・運用・給付を行う年金の仕組みを厚生年金基金と呼んでいます。

平成26年4月以降は、厚生年金基金を解散するか、確定給付企業年金への移行をすることになっており、現在は事実上廃止されています。

現在も厚生年金基金がある会社に勤めている場合には、定年後に厚生年金基金による年金給付を受けることになりますが、この給付についても厚生年金保険法41条1項本文によって差押え禁止財産とされています。

そのため、自由財産として保持することができます。

1-6-4.中小企業退職金共済制度

独力で退職金制度を設けることが難しい中小企業について、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金制度を設けるための仕組みが中小企業退職金共済制度(中退共)です。

中小企業退職金共済制度での企業年金についても、中小企業退職金共済法20条によって差し押さえることができないとされており、自己破産手続きでは自由財産とされます。

1-7.個人年金

上記のような年金の他に、保険会社などが金融商品として、特定の期間積み立てを行い、一定の年齢になったときに年金として支払う個人年金を商品として取り扱っています。

これらは法律の規定に基づくものではなく、保険会社に関する法律である保険業法などでも差押え禁止とはしていません。

実質としても貯蓄と変わらないので、破産財団に組み込まれることになり、請求権を失うことになります。

なお、破産財団に組み込まれる債権でも、自由財産の拡張という形で自由財産になるものもあります。

例えば東京地方裁判所管轄の案件では、20万円以下の財産については、自由財産の拡張という形で自由財産になる運用がなされています。

そのため、この個人年金が積み立てられて間もなく、解約しても20万円以下であるような場合には、自由財産となることもあります。

個人年金が破産財団になるのか、自由財産になるのかについては、弁護士に相談してみるようにしてください。

1-8.自分の年金がどれにあたるのかの確認方法

自分の年金がどれにあたるのかを確認する方法としては、年金証書によって確認することが可能です。

年金証書を紛失してしまっているような場合には、公的年金であれば年金事務所に問い合わせをすることで確認が可能です。

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2.これから年金を受け取る人が自己破産したらどうなるのか

年金を受け取っている人が自己破産したらどうなるのでしょうか。

2-1.年金が差押えられない場合

上記の公的年金などで年金の差押えを受けない場合、自己破産をしても特に年金の受給権や額に影響は及びません。

2-2.年金が差し押さえられる場合

個人年金があり破産財団となる場合には、自己破産手続きで解約されます。

この場合破産管財人が選任され、破産管財人は個人年金を解約して解約返戻金を取得し、これを配当に回すことになります。

なお、解約返戻金相当額の金銭を納めることで解約を免れることもあるので、弁護士に相談してみてください。

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3.年金と自己破産における注意点

年金と自己破産における注意点としては次のようなものがあります。

3-1.個人年金が自由財産となる場合の申告

個人年金が上述したように東京地方裁判所に申立てをする場合で20万円を超えない場合には、自由財産となります。

この場合でも、個人年金について申告をする必要があります。

これは、自由財産の範囲にあることをきちんと確認するために行われます。

申告の方法は、申立書を作成する際の添付書類として提出する資産目録のうち、保険について申告する欄に記載することが多いでしょう。

この場合には、個人年金を契約した際の年金証書等の書類のコピーも添付する必要があります。

3-2.解約して使ってしまうと免責不許可となる可能性がある

個人年金は破産手続きにおいて換価されてしまいます。

そのため、債務者本人が自己破産の申立て前に個人年金を解約してその金銭を使ってしまったり、名義を変えてしまうようなケースがあります。

このような行為は、財産隠しにあたり、次のような危険があります。

  • 免責不許可事由に該当する(破産法252条1項1号)
  • 詐欺破産罪に該当し刑事罰の対象になる(破産法265条1項1号)

免責不許可事由に該当する場合、免責をしてもらうために裁量免責をしてもらう必要があり(破産法252条2項)、かならず破産管財人がつく管財手続となります。

裁量免責をしてもらえない場合には債務が残ってしまうことになり、自己破産をしての債務整理が失敗に終わってしまいます。

生活費が底をつきている場合や、弁護士費用を支払うためにやむなく解約をして解約返戻金にするようなケースもありますが、財産隠しを疑われないためにも慎重に行うべきです。

3-3.口座に入金された年金については破産財団となる可能性がある

個人年金ではない年金については上述した通り自由財産となり差し押さえを受けません。

しかし、年金として受け取り、口座に入金された年金については、口座に入金された時点で預金債権として扱われます。

また、預金債権となっているものを銀行で引き出した場合には現金として取り扱われます。

現金や預貯金も、その額によっては破産財団となるため、差し押さえられて債権者に配当される可能性があるので注意しましょう。

現金については99万円までが、預貯金については20万円以内が自由財産とされ、それ以上の現金・預貯金がある場合には差し押さえられることになるので注意しましょう。

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4.自己破産に悩んだら弁護士に相談、依頼するメリット

自己破産について悩んだ場合にはなるべく早く弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

弁護士に相談・依頼するメリットには、次のようなものがあります。

4-1.個人の事情にあった債務整理手続きを選ぶことができる

個人の事情にあった債務整理手続きを選ぶことができます。

債務整理には自己破産の他、任意整理・個人再生といった手続きがあります。

どの手続きを利用すべきかは、借金の額や返済能力、その人がどのような希望があるかによって異なります。

債務が免責されるからといって自己破産をしようと思っていても、債務の額と返済能力のバランスから支払不能とはいえず、自己破産が利用できないようなケースもあります。

また、自己破産をしたい場合でも、職業制限があるため、今の職業を維持しながら債務整理をするためには、個人再生のほうが良いという場合もあるでしょう。

弁護士に相談することで、その人の債務額・返済能力・希望にあった適切な債務整理手続きを選ぶことできます。

4-2.自己破産などの疑問についてきちんと解決できる

自己破産や債務整理をしようと思っても、借金の問題なので身内や友人に相談するのも難しいことは多いです。

そのため、書籍やインターネットの情報を探すことで、疑問に思っていることや心配なことについて調べる方も多いです。

しかし、これらの情報はあくまで一般的な情報にしかすぎず、その人の事情に合わせたものではありません。

自己破産のデメリットとして職業制限があるといっても、職業制限をされる人は限られており、そのデメリットが当てはまらない方もいます。

また、債務整理全般的にブラックリストというデメリットはあるのですが、インターネットショッピングや各種サービスを決済する程度であればクレジットカードが使えなくても、デビットカード・プリペイドカード・コンビニ払いといった他の方法で代替することも可能です。

一般的な情報をもとになんとなく疑問や不安になってしまっている場合でも、実際にその人の状況だと影響は少ないということはたくさんあります。

弁護士に相談することで、これらの疑問や不安を解消することが可能です。

4-3.弁護士に依頼すれば督促が止まる

弁護士に依頼することで督促が止まるというメリットがあります。

約束した期日の返済が遅れると、貸金業者は電話や通知で督促を行います。

自己破産や個人再生をするためには、申立書の作成や添付書類の収拾が必要で、弁護士でも少なくとも1~2ヵ月程度の期間を要します。

その間、ずっと電話や通知で督促されることは、精神的にも大きな負担となります。

ところが、弁護士に債務整理を依頼した後は、貸金業者は債務者に対して正当な理由なく督促ができないことになっています(貸金業法21条1項9号)。

これによって、落ち着いて債務整理をすることができます。

4-4.複雑な自己破産手続きを確実にスムーズに行うことができる

上述したように、個人年金を解約した・名義を変えたような場合、ケースによっては財産隠しを疑われることになります。

生活費や弁護士費用の支払いのために解約する場合でも、財産隠しではないことを裁判所・破産管財人に伝えるため、お金の流れをクリアにする必要があります。

自己破産手続きは、本来返済すべき債務を、経済生活の再生の機会の確保のために、債権者を犠牲にして特別に免責するものです。

そのため、手続きは非常に厳格で複雑であり、たとえ個人で申立てをしたからといって、ミスをすることは許されません。

弁護士に依頼すれば、複雑な自己破産手続きも、確実に行うことができます。

4-5.司法書士よりも弁護士に依頼すると自己破産では有利に扱われる

債務整理に関しては弁護士だけではなく司法書士も取り扱っています。

これは、司法書士に認められている、140万円以下の案件の代理権と、裁判所に提出する書類の作成代行という権限に基づくものです。

そのため、司法書士は権限が制限されているケースがあります。

自己破産については、申立書類の作成代行にとどまるため、破産管財人や裁判所での面談に同席することができません。

また、裁判所の中には本人からの申立てである場合には、東京地方裁判所のように簡易な手続きである同時廃止・少額管財といった手続きが利用できないことがあります。

その結果通常管財(特定管財)という手続きになり、高額な破産管財人の報酬となる引継予納金の納付が必要となります(東京地方裁判所の場合は50万円以上)。

同時廃止・少額管財といった手続きには弁護士に依頼して代理人となってもらうと、破産管財人・裁判所での面談に同席してもらえますし、同時廃止であれば引継予納金が不要であり、少額管財の場合は引継予納金が通常管財よりも低い額(東京地方裁判所の場合は20万円)となり、手続き上も有利です。

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5.自己破産した際の年金に関するよくあるQ&A

自己破産した際の年金についてのよくあるQ&Aには次のようなものがあります。

5-1.自己破産したら年金などの未納は免除されますか?

自己破産をした場合に、未納となっている支払い義務も免除されるのでしょうか。

この点、自己破産をして免責が許可されると、債務は基本的に免責されますが、一部の債務については免責されないことになっています(非免責債権)。

非免責債権については破産法253条1項が規定をしており、その1号に「租税等の請求権」は免責されないとされています。

年金の未納分についてはこの租税等の請求権に該当するため、免除されることは無く、自己破産後も支払う必要があります。

支払いができないような場合には免除制度・納付猶予制度の利用を検討しましょう。

5-2.家族が自己破産しても年金は受給できますか?

自己破産をしても、公的年金であれば本人は年金を受給することが可能です。

そのため、家族にも影響するわけではないので、家族が自己破産をしても年金は受給できます。

また、個人年金についても受給は可能ですが、例えば夫が妻の名義で個人年金の掛け金を支払っており、夫が自己破産をするような場合、名義が妻でも実質的には夫の資産であると認定された場合には、夫の自己破産手続きで破産財団とされることがあります。

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6.まとめ

本記事では自己破産をすると年金はどうなるのかについてお伝えしました。

公的な制度の年金については差し押さえ禁止となっている関係で、自己破産手続きをしても影響はありませんが、個人年金については資産となるため額によって手続きに影響します。

取り扱い方を誤ると財産隠しを疑われるようなこともあるので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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