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連帯保証人として借金を請求されたら人生終わり?弁護士が解説!

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「連帯保証人になったら人生終わり」などと考えていませんか。

確かに、SNSやネットではそのような投稿や書き込みが散見されます。

しかし、連帯保証人になったからといって人生が終わることはありません。

連帯保証人としての借金を返せるに越したことはありませんが、仮に返せない場合でも、借金を整理し人生を立て直す方法はいくらでもあります。

本記事では、連帯保証人になると人生終わりといわれる理由や、返済を請求された場合の対処方法などを債務整理に強い弁護士が詳しく解説します。

目次

1.そもそも連帯保証人とは

そもそも連帯保証人とは、借入した人(主債務者)の借金全額の返済について、法的責任を負う人のことを意味します。

連帯保証人は、主債務者だけでは借金を返済できるか不安が残る場合に、債権者がお金を貸す条件として用意することを求めるケースが多いです。

連帯保証人になった場合、一般的には主債務者が借金の返済をできなくなったときに、主債務者に代わって借金の返済を求められることになります。

ただし、法律上は、主債務者が借金を返済できるか否かにかかわらず、連帯保証人に対して借金全額の返済請求をすることが可能です。

このように、連帯保証人になると主債務者とほぼ同じといえる重い法的責任を負うことになります。

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2.連帯保証人になったら人生終わりといわれる理由

世間において連帯保証人になったら人生終わりとまでいわれるのは、連帯保証人の法的責任がそれだけ重いからです。

そのような連帯保証人の重たい法的責任を詳しく解説します。

2-1.借金を全額返済しなければならないため

連帯保証人になり主債務者が借金を返さない場合は、その借金を全額返さなければなりません。

全額の返済義務があるというのは、連帯保証人が複数いる場合も同じです。

たとえば、借金1000万円について二人の連帯保証人がいる場合でも、一人500万円ずつではなく、二人とも1000万円全額の返済義務を負います(なお、連帯保証人のいずれかまたは主債務者が全額返済すれば、それ以上の返済をする必要はなし。)。

ただし、連帯保証契約では、連帯保証人が負う債務の上限金額(極度額)を定めておく必要があり、極度額がない契約は無効になります。

そのため、入社時の身元保証のように、新入社員が会社に対して負う全責任を連帯保証するといった極度額のない連帯保証契約(根保証)は認められません。

2-2.本人が資産を持っているのに請求される可能性があるため

連帯保証人になった場合、本人の返済意思や資産状況にかかわらず、債権者から返済を求められる可能性があるのです。

保証というのは、本来、主債務者が返済できない場合に初めて返済する責任を負うものとされています(民法446条1項)。このことを、保証債務には補充性があるといいます。

そのため単なる保証人であれば、まずは主債務者に返済を求めること(催告の抗弁権)や、主債務者の財産を差し押さえること(検索の抗弁権)を主張可能です。

しかし、連帯保証人にはこの補充性が認められていないため、催告の抗弁権や検索の抗弁権もありません。

それゆえ、実は主債務者が財産を隠し持っているという場合であっても、連帯保証人が返済を求められるというリスクがあるのです。

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3.人生終わったと感じて借金をそのままにするデメリット

連帯保証人になり人生終わったと感じても、借金を放置することはやめましょう。

借金をそのままにしても何の解決にもならないどころか、事態を悪化させてしまいます。

そこで、借金を放置することで発生する具体的なデメリット4点を解説します。

3-1.ローンやクレジットカードの利用ができなくなる

借金を期限までに返済できないと信用情報機関に事故情報として登録されます(いわゆるブラックリストへの登録)。

事故情報が登録されると、基本的に新たな借入れやローンの利用ができなくなります。

また、発行済みのクレジットカードは使えなくなり、新たなクレジットカードの発行もできなくなってしまうのです。

このことは、連帯保証人として借金を返済できない場合も同じです。

そのため、連帯保証人としての借金を放置すると、ローンやクレジットカードの利用ができなくなります。

なお、事故情報の登録期間は借金の返済から5年程度であり、登録されている期間はローンなどの利用ができません。

3-2.借金が雪だるま式に増えていく

連帯保証人としての借金を放置しても、借金が勝手になくなることはありません。むしろ、雪だるま式に増えていくことになります。

借金は多くの場合は複利によって計算されるため、年々の返済額が大きくなってしまうのです。

たとえば、借金額100万円、利息年利10%、遅延損害金年利15%のケースでの返済金額は下記表のようになります。

1年目(返済期日での返済額)2年目(1年間の延滞)
元本100万円110万円(当初元本100万円+1年目利息10万円)
利息10万円(=100万円×10%)
遅延損害金16万5000円(=110万円×15%)
合計返済額110万円126万5000円

※契約書や借入先のローン規定などにおいて、支払期日に前日までの利息を元本に組み入れることが定められているケースを想定

上記表の通り、利息が元本に組み入れられることで、返済額が増えていくことが確認できるでしょう。

3-3.自身の給料や資産を差し押さえられる可能性がある

連帯保証人としての借金を返済せずにそのままにしておくと、連帯保証人自身の給料や資産を差し押えられる可能性があります。

前述の通り、連帯保証人は主債務者に代わって借金全額の返済義務を負います。

そのため、任意に借金を返済しない場合は、連帯保証人自身の財産に対して差押えなどの強制執行をされるリスクがあるのです。

差し押えられるリスクがある代表的な財産としては、預貯金や自宅の土地建物(持ち家)、株式などの有価証券、会社からの給料などがあります。

このように、もともとは他人(主債務者)の借金であっても、連帯保証人として返済を放置してしまうと、自身の財産を差し押さえられることがあるのです。

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4.連帯保証人として請求されたときの対処法

連帯保証人として借金の返済を実際に求められたら、どのように対処すれば良いかわからずに混乱してしまうかもしれません。

借金の返済を請求されてもパニックにならないように、事前に対処法を確認しておきましょう。

4-1.返済した上で本人(主債務者)に求償する

連帯保証人として主債務者の借金を全額返済できるなら、債権者に返済した上で債務者に対して求償することが考えられます。

求償とは、本来借金を返済すべき主債務者に代わって借金を返済した場合に、その返済金額の補填を求めることです。

連帯保証人は主債務者とほぼ同じ返済義務を負うといっても、最終的な金銭の負担は借金を作った主債務者が負うべきでしょう。

そのため、連帯保証人が主債務者に代わって債権者に借金を返済した場合には、連帯保証人は主債務者に対して求償することができます。

ただし、主債務者が求償に応じられるようであれば、普通は債権者に対して直接借金を返済しているはずです。

それゆえ、主債務者に求償しても、それに応じられるような財産がなく、支払いを受けられないというケースがほとんどでしょう。

4-2.分割払いにしてもらうように交渉する

一括の返済は難しくても分割であれば返済できるという場合は、分割払いの交渉をしてみましょう。

主債務者や連帯保証人が破産してしまえば、債権者はほとんど返済が受けられません。

そのため、債権者としても、ほとんど返済を受けられないよりは少しでも回収できる方が良いと考え、分割払いを認めることもあるでしょう。

ただし、連帯保証人に給料などの安定した一定の収入がなければ、債権者が分割払いに応じる可能性は低いです。

安定した収入がなければ、完済するまで分割払いを継続することは一般的に難しいからです。

4-3.家族や親しい友人に立替払いを依頼する

分割払いによっても払えない場合や、債権者が分割払いに応じない場合は、家族や親しい友人に立替払いを依頼することも検討しましょう。

銀行や消費者金融からの借金の場合、支払いが遅れると高額な遅延損害金が発生します。

払えないからといって放置すると、前述の通り、遅延損害金によって借金の返済総額は雪だるま式に膨らんでしまうのです。

返済について長い目で見てくれるような家族や親しい友人に立替払いをしてもらえれば、そのような事態は避けられます

そのため、家族や友人にいったん立て替えてもらい、その立替金を長期でも分割して返せるようであれば、立替払いの依頼を検討しましょう。

4-4.債務整理を行う

連帯保証人としての借金を自ら返済できず、また家族などに立て替えてもらうことも出来ない場合は、債務整理を行う必要があります。

債務整理とは、債権者との交渉や法的手続によって債務者(ここでは連帯保証人のこと)の債務を減額または免除する手続きのことです。債務整理には、債権者との交渉を行う任意整理、法的手続である個人再生や自己破産などの種類があります。

債務整理の詳しい内容や方法は後述します。

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5.連帯保証人としての借金を減額・免除する方法

自身の収入や財産で連帯保証人としての借金を返せない場合でも、債務整理を行えばその借金を減額または免除してもらうことができます。

連帯保証人としての借金を減額または免除できる債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)の内容をそれぞれ説明します。

5-1.任意整理

任意整理とは、債権者との個別の交渉によって、利息や遅延損害金を免除・減額してもらった上で、返済方法を見直すことです。

後述する個人再生や自己破産とは異なり、裁判所が関与せずに、債権者と債務者(連帯保証人)の二者間で話を進めることになります。

また、必ずしもすべての債権者と交渉する必要はなく、支払いが厳しい借金の債権者のみと任意整理の合意をすることも可能です。

任意整理においては、免除や減額されるのは利息や遅延損害金のみで、元本の免除・減額は通常ありません。

また、返済方法は分割払いとなり、返済期間は原則3年間(36回払い)、長くても5年間(60回払い)までという場合が多いです。

5-2.個人再生

個人再生とは、裁判所が認めた再生計画に従い、減額された借金を返済することで、残りの借金が免除される制度です。

任意整理と異なり、裁判所を利用した手続きであり、またすべての債権者を対象に手続きを行う必要があります。

また、個人再生は利息や遅延損害金のみならず、元本も減額の対象となるため、借金の大幅な削減が期待できるでしょう。

再生計画による返済期間は、任意整理の場合と同じく、原則3年間(36回払い)、長くても5年間(60回払い)となる場合が多いです。

参考:個人再生手続について

5-3.自己破産

自己破産とは、裁判所の関与の下、自らの財産を処分し借金の返済に充て、それでも借金を返済できない場合に裁判所が借金を免除する制度です。

自己破産では、任意整理や個人再生と異なり、前提として自身のほぼすべての財産を処分し、借金の返済に充てることになります。

また、自身の財産を処分しても借金を全額返済できない場合は、裁判所から免責許可決定を受けて借金を免除してもらうことになります。

免責許可決定を受けることで、連帯保証人としての借金のみならず、すべての借金が免除されるのです。

参考:自己破産の申立てを考えている方へ

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6.連帯保証人になって人生を終わらせないために大切なこと

連帯保証人になって人生を終わらせないために大切な3つのポイントを紹介します。

6-1.連帯保証人になっても人生は終わらないことを理解する

連帯保証人となり多額の借金を背負うことになったら、その後の人生に絶望してしまうという方もいるでしょう。

しかし、実際には、連帯保証人になっただけで人生が終わることはありません。

連帯保証人になったとしても、その後の人生は続きます。

たとえ連帯保証人としての借金を返せなかったとしても、前述した債務整理により解決する方法もあるのです。

連帯保証人としての責任の内容を正しく理解することは大切ですが、解決できない問題ではないため、必要以上に悲観的にならないようにしましょう。

6-2.返済原資を確保する

連帯保証人になったら、債権者に請求されれば債務者に代わり借金を返済する法的義務があります。

そのため、債務者が借金を返済できない場合に備えて、事前に返済原資を確保しておくことが必要です。

借金の支払期限が到来するまでの間にコツコツ貯金をするなどして、仮に主債務者が返済できなくても代わりに返済できるように準備しておきましょう。

借金額が大きく、支払期限が近いケースでは、十分な返済原資を貯めることは難しいかもしれませんが、可能な限り備えることが大切です。

6-3.必要以上に自己破産に対して否定的にならない

連帯保証人になり人生が終わったと考える方は、必要以上に自己破産に対して否定的になっているのかもしれません。

連帯保証人としての借金を返済できない場合は、最終的には自己破産の手続きにより借金を免除してもらう方法があります。

しかし、自己破産に対して必要以上に否定的なイメージを抱いていると、自己破産という選択が取りづらくなります。

自己破産は国が認めた借金の整理方法であり、必要以上にネガティブに受け止める必要はありません。

今後の人生をより良く生きるためにも、必要があればためらうことなく利用しましょう。

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7.連帯保証人になり人生終わったと思った際に弁護士に相談するメリット

7-1.借金が返せない場合の対応方法を教えてくれる

連帯保証人としての借金が返せない場合であっても、弁護士に相談すれば、どのように対応すれば良いかアドバイスが受けられます。

対応方法には、前述した通り、債権者との交渉や債務整理など様々な手段がありますが、相談者の事情に応じて望ましい方法を提案してくれるでしょう。

このように、弁護士に相談すれば、連帯保証人としての借金に対する具体的な解決方法を知ることができます。

連帯保証人になっただけで人生が終わるわけではないことを確認できるでしょう。

7-2.債権者との交渉を任せられる

弁護士に相談して対応を依頼すれば、借金の返済についての債権者との交渉を任せられます。

たとえば、連帯保証人としての借金を一括で返済できない場合でも、分割払いであれば3〜5年以内に全額返済できるというケースもあるでしょう。

このようなケースでは、債権者との個別の交渉によって、利息などを免除または減額した上で分割払いにできる場合があります(任意整理)。

任意整理は自身で行うことも可能です。

しかし、専門知識と経験を持った弁護士に対応を依頼した方が、債権者との交渉を効果的に進められるでしょう。

7-3.自己破産などの法的手続を代理してくれる

連帯保証人としての借金が返せない場合は、個人再生や自己破産といった法的手続により、借金を免除または大幅に減額してもらう必要があるでしょう。

弁護士に相談して対応を依頼すれば、このような法的手続を代理してくれます。

個人再生や自己破産は自身で行うことも可能です。

しかし、申立書の作成、裁判所や債権者とのやりとりには専門知識と経験が必要であり、また多くの必要書類を一人で収集することは難しいでしょう。

弁護士に代理人になってもらえば、このような法的手続を確実かつ円滑に進められるというメリットがあるのです。

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8.連帯保証人に関するよくあるQ&A

8-1.連帯保証人と保証人は何が違いますか

A.保証人には、催告の抗弁権や検索の抗弁権(保証債務の補充性)、分別の利益が認められていますが、連帯保証人には認められていない点が主な違いです。

保証人は、主債務者が借金を返済できない場合に、借金を返済しなければならないとされています(保証債務の補充性、民法446条1項)

保証債務の補充性から、保証人が返済を求められた場合、まずは主債務者に請求するよう債権者に求めることができます(催告の抗弁権)。また、保証人が主債務者に十分な財産があることなどを証明した場合には、債権者はまずは主債務者の財産に強制執行しなければなりません(検索の抗弁権)。

さらに、借金について保証人が複数人いる場合、各保証人の責任の範囲は借金額を保証人の人数で割った金額までとなります(分別の利益)。具体的には、借金100万円について保証人が二人いる場合、各保証人が返済義務を負うのは、それぞれ50万円までということになるのです。

他方で、連帯保証人には、このような催告の抗弁権や検索の抗弁権、分別の利益がいずれも認められていません。

8-2.友人に頼まれ連帯保証人となる契約にサインをしました。契約書の中身を見ていないのですが、連帯保証人としての責任を負うのでしょうか。

A.連帯保証人としての責任を負う可能性が高いです。

連帯保証契約書にサイン(自署)してしまった以上、通常は連帯保証契約が有効に成立したものとして扱われることになります。

中身を確認していないという言い分は通らない可能性が高いでしょう。

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9.まとめ

本記事では、連帯保証人として借金を請求された場合について解説しました。

連帯保証人は、借金について主債務者とほぼ同じ内容の重い返済義務を負います。

主債務者に代わって借金全額を返済しなければならず、返済できなければ連帯保証人自身の財産が差し押さえられてしまうでしょう。

ただし、連帯保証人となったからといって人生が終わることはありません。

借金が返済できなくても、債務整理などの手続きを適切にとることで借金を整理し、人生を立て直すことは可能です。

連帯保証人として借金の返済を求められ、対応に困る場合は、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。相談する際は、事前に弁護士事務所のウェブサイトを確認して、借金問題の取扱い実績が十分かどうかを確認すると良いでしょう。

連帯保証人になり人生が終わったと思った方は、一人で考えすぎずに、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

私たち法律事務所リーガルスマートは、債務整理、借金問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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