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離婚したい!スムーズに進めるポイントや注意点を弁護士が解説!
「なるべく争わずに、でも後で困ることがないように離婚したい」
離婚を望む方の多くは、このように思うのではないでしょうか。
衝動的に離婚してしまうと、離婚後に色々なトラブルが発生する恐れがあります。他方で、離婚の条件をめぐって配偶者と争うのも、できるだけ避けたいところです。
本記事では、離婚を考える方に向けて、離婚手続きをスムーズに進めるポイントや注意すべきことなどを離婚・男女問題に強い弁護士が解説します。
目次
1. 離婚したいと思うよくある理由
離婚したいと思ったとき、知りたいことの一つとして「どのような理由で離婚を決意した人が多いのか」ということがあると思います。
本章では①離婚調停申立ての動機についての裁判所の統計及び②法務省が2021年3月に実施した協議離婚の実態調査を参考に、離婚の動機として多いものを紹介します。
参照
令和4年司法統計年報(家事編)(第19表) ※主な申立て動機を最大3個挙げる方法で調査統計
法務省「協議離婚に関する実態調査結果の概要」(p19) ※回答者に性別の区別なし、複数回答可能
1-1.性格の不一致
夫側・妻側ともに、一番多いのは「性格が合わない」つまり性格の不一致です。データ①②とも複数回答を認めていることもあると思われますが、①では長年にわたって男女とも離婚調停申立動機のトップになっています。
1-2. モラハラ(精神的暴力)
モラハラについては、①②では「性格の不一致」とともに挙げた方が多いと考えられます。①②とも、全体・夫側・妻側すべてで2位または3位になっています。モラハラについては、他の理由に比べて夫・妻間の差がないのも特徴です。
従って、実質的に離婚理由の中で最も多いのがモラハラであるといえます。
1-3. 不倫
「異性関係」つまり不倫も、データで上位に入っています。ただし①調停申立ての動機と②協議離婚理由の間では割合や順位に差があり、協議離婚では2位(21%)となっているのに対して、調停離婚では4位~5位(夫・妻とも13%台)となっています。①の近年のデータをみても、順位や割合にそれほど差はありません。ただし、近年の傾向として、妻側からみた「夫の異性関係」が減少し、逆に夫側からみた「妻の異性関係」が増加傾向にあります。
協議離婚・調停申立ての間の割合の差をみると、不倫で離婚する場合は、他の理由と比べて離婚すること自体に争いが起こりにくく、協議離婚が成立しやすい傾向があると考えられます。
1-4. DV(身体的暴力)
一般的にDVと呼ばれる「配偶者に対する身体的な暴力」もデータで上位に入っています。ただし、不倫の場合とは逆に、調停申立ての割合に比べて協議離婚の中での順位・割合が小さくなっています。
DV離婚というと夫による暴力のケースのほうが圧倒的に多いイメージがあるかと思います。しかし、調停申立ての動機の中での夫側・妻側の順位・割合の差はそれほどありません(夫側11.7%、妻側13.5%)。
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2. 離婚のメリットとデメリット
離婚した場合、得られるメリットもあればデメリットもあります。ただし、何をメリット・デメリットと考えるかは、離婚した人それぞれの感じ方に左右されるところも多くあります。
本章では、離婚によるメリットと離婚に伴うデメリットとして考えられるものを紹介します。
2-1. 離婚によるメリット
一般的に、離婚によって得られるメリットとしては以下のようなことがあります。
(1)心身のストレスから解放される
離婚による最大のメリットともいえるのが、肉体的・精神的なストレスから解放されて楽になるということです。
たとえばDVやモラハラを受けていた場合は、離婚することでこれ以上肉体的・精神的苦痛を味わわされることがなくなります。また、配偶者と性格が合わず些細なことでいらだっていたのが、そのようないらだちの原因がなくなるため気持ちが楽になるということもあります。
(2)お金と時間の縛りがなくなりコントロールが自由にできる
また、お金や時間を自分の思うようにコントロールできるようになるということも大きなメリットです。
子どもがいると、離婚後も子どものために多くのお金や時間を使うことになります。しかし、配偶者の束縛があるかないかで、主観的な自由度がかなり違うはずです。
配偶者に浪費癖があった場合なども、離婚すれば配偶者のために困窮させられることがなくなります。
(3)新しいことに挑戦しやすくなる
さらに、新しいことに挑戦しやすくなることもメリットになります。
経済的な必要に迫られることもありますが、専業主婦やパートから正社員で就職する方も多いです。また、専業主婦だった女性が離婚後に起業して成功する例も多くあります。
また、男女を問わず、資格を取得したり、新しい趣味をみつけたり、新しい恋愛をはじめるといった自分のための活動を楽しむことができるようになります。
2-2. 離婚に伴うデメリット
一方、離婚に伴うデメリットもあります。とくに子どもがいる場合は、仕事・家事・子育てをすべて一人で行うことになるため、心身に負荷がかかることは否定できません。
(1)経済的に苦しくなる可能性がある
離婚に伴うデメリットとして最初に挙げられるのが経済的負担の問題です。短期間で大幅に収入を増やすことは難しいので、離婚前に仕事をしていなかったり、扶養の範囲内のパート働きであった場合は経済的に困窮することがあります。
しかし、そのようなおそれがあっても、離婚前にお金の問題についてしっかり取り決めや計画を行うことで防げる可能性があります。
(2)周囲の目が気になる
離婚すると、周囲に噂が立ち、自分や子どもが偏見にさらされるのではないかとおそれる方もいると思います。
しかし、世間体を気にして、離婚したいのに我慢し続けていると自分や子どもに悪影響が及びます。回りは自分が思うほどには、他人のことを気にしないものです。また、結婚した人の3人に1人は離婚するといわれている現在、離婚したことが一時的に噂になったりしてもすぐに忘れられるでしょう。
(3)離婚に伴う手続に手間がかかる
また、離婚に関係するさまざまな手続きが負担に感じられるかもしれません。
離婚協議などの離婚手続きそのものに加えて、戸籍・住民票移動、子どもの転校・転園、引越しの手間など、短期間にいろいろな手続きを済ませなければなりません。子どもが幼い場合には、子どもを連れて役所など色々な場所に行かなければならず、心身の負担が大きくなってしまいます。
手続きの中には、弁護士などの専門家に代理を依頼できるものもあります。一人で抱え込まないためにも、やるべきことや進め方などについて離婚前に専門家に相談しておきましょう。
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3. 離婚する方法と流れ
離婚する方法は、夫婦間の話し合い(離婚協議)によるのが原則です(民法第763条)。協議がまとまらないとき、または協議そのものが困難な場合は家庭裁判所に調停を申し立てて調停委員を介した話し合いを行います。
調停でも協議が成立しなかった場合には、家裁の裁判官が職権で審判手続を行うか、離婚を求める側が家裁に離婚訴訟を提起します(民法第770条1項)。
法律的には、協議または調停で当事者の合意によって離婚することが原則で、裁判官が離婚を認めるか否かを判断するのは「どうしても合意が成立しなかった」場合です。
本章では、離婚する方法と流れについて解説します。
3-1.夫婦の話し合い(離婚協議)
(1)夫婦間の話し合いにより協議書を作成する
手続きの上では、夫婦が離婚することに合意した上で、双方が認める内容の記載を行った離婚届を役所の戸籍課に提出し、受理されれば離婚が成立します。
離婚届を出す際にあらかじめ決めておく必要があるのは(a)証人として署名してもらう成人2人、(b)未成年の子がいる場合に父親・母親どちらが親権者となるか(民法第819条1項)及び、(c)結婚で姓を変えていた方の当事者が離婚後旧姓に戻すか、または婚姻中の姓をそのまま名乗るかに限られます。
ただし、それだけでは離婚後に慰謝料や未成年の子の養育費・面会などをめぐって争いが多発する可能性があります。
そこで実際には、それらの事項(協議事項)を話し合って取り決めた上で協議書を作成します。主な協議事項は以下のとおりです。
【ほぼ全ての場合】
- 財産分与(夫婦の共有財産とみなされる財産の分割:民法第768条1項)
【夫婦の一方が他方に対して不法行為を行った事実がある場合(不貞行為・暴力行為等)】
- 慰謝料(民法第710条)
【未成年の子供がいる場合】
- 親権者の定め(民法第819条1項)
- 親権者と監護者(子供と同居して養育する方の親)が異なる場合の監護者(民法第766条1項)
- 養育費の支払の有無と月額(同)
- 同居しない親と子供の面会交流の認否と認める場合の頻度/場所など(同)
その他、たとえば配偶者に不貞行為があった場合に「相手と会わない・連絡を取らない」などの記載を入れることもできます。
(2)協議書を公正証書として作成すれば金銭支払義務に強制力が発生する
協議書は、双方が署名捺印しただけでは法的な拘束力が発生しません。
慰謝料や養育費など金銭支払いに関係する事項について法的拘束力を生じさせるためには、協議書を公正証書として作成する必要があります。
法的拘束力とは、金銭が支払われなかった場合に、裁判所によって義務者の財産差押えなどの強制執行が可能になることをいいます。
なお、金銭支払い以外の事項について(例えば不倫相手の女性と再会しないなど)は、公正証書であっても強制力は発生しません。
ただし、「その事項に違反した場合は違約金あるいは慰謝料を何万円請求する」などの記載をした場合は、その金銭支払義務につき強制力が生じることになります。
協議書に記載する事項には、法律上の権利義務に関係するものが多く含まれます。そこで、協議書については弁護士に相談することをお勧めします。
3-2. 離婚調停
夫婦間の話し合いで上記のような協議事項の一部または全てが成立しなかった場合はどうすればよいでしょうか。
あるいは、離婚を切り出したものの相手が承諾しないということもあります。
このような場合は、離婚を希望する側が申し立てる形で、家庭裁判所の調停手続を利用することができます(家事事件手続法第255条1項)。
この調停は一般的に離婚調停といわれていますが、正式には夫婦関係調整調停(離婚)という名称です。
(1)調停では夫婦が顔を合わせずに主張を行うことができる
離婚調停は以下のように進められます。
- ①当事者が(原則として同じ期日に)別々の時間帯に調停室に入り、調停委員に対してそれぞれの主張を行う
- ②双方の主張に基づいて、調停委員が調停案を作成する
なお、DV離婚の場合など、個別の事情に配慮してオンラインで調停手続を行うことが可能な場合があります。
調停案に対して双方が合意すれば、調停が成立します。
調停が成立した場合は、家庭裁判所がその内容を記載した調停調書を作成します。
この調停証書が、確定判決と同一の効力を持つことになります(家事事件手続法第268条1項)。
つまり、慰謝料や養育費等の金銭支払いに関係する事項に法的拘束力が発生します。これによって、支払われなかった場合に強制執行ができます。
(2)調停離婚を早期に成立させるためには弁護士に相談を
調停では双方が調停委員の助言を受け入れつつ、お互いに協力をすれば早期に成立する可能性が高くなります。
しかしお互いの主張が食い違ったままということもあります。また、一方が代理人もたてずに欠席を続けるなどということもあります。このような場合、何か月も経過した上で不成立になってしまいます。
調停を申し立てた場合は、弁護士に相談することで、相手方が受け入れられる慰謝料額や財産分与割合、親権の主張方法等について助言を受けられます。これにより、円滑に交渉を進めることができるでしょう。
3-3.調停が不成立になった場合
調停を経ても、離婚や協議事項に合意が成立しなかった場合は、調停が不成立となります。
この場合、通常は調停を申し立てた側が同じ家裁に離婚を求める訴訟を提起します。
(1)審判
調停が不成立になった場合で、離婚することに合意が成立しているようなケースでは、裁判官の判断により「調停に代わる審判手続」(家事事件手続法第284条1項)に移行します。
審判手続では、協議事項について裁判官が職権で決定します。審判で決定した事項の通知を受領してから2週間以内に異議申立てを行わなかった場合は、審判事項が確定します。
これにより、慰謝料や養育費などの金銭支払いが法的拘束力を持つことになります(家事事件手続法第268条1項)。
ただし、2週間以内に当事者が異議申立てを行った場合、裁判所がそれを却下しない限り、審判事項が無効になります(家事事件手続法第286条5項)。
このため審判手続は実効性が弱く、あまり利用されていません。もっとも、子どもの面会交流などでは審判手続が行われることが比較的あります。
なお、当事者の一方または双方が外国籍である場合は、一部の国を除くと協議離婚や調停離婚の効力が日本国外で認められていません。
従って、国外で離婚を有効にするためには審判手続(審判が無効になった場合は訴訟)を経る必要があります。
(2)離婚訴訟
①家裁に離婚訴訟を提起する
調停が不成立になった場合で (a)審判手続が行われなかった場合、または(b)審判事項が無効になった場合は、離婚を求める当事者が同一の家庭裁判所に離婚の訴え(民法第770条)を提起します。
この場合は、民法第770条1項1~5号に定められた「法定離婚事由」のいずれか1つ、または複数に該当することを裁判で主張・立証する必要があります。
従って、たとえば夫の不貞行為を原因として離婚請求する場合は、民法第770条1項1号の「配偶者の不貞行為」の事実を立証できる証拠を揃える必要があります。
②和解で離婚が成立する場合もある
裁判でも、裁判官が和解を勧告することが多いです。和解が成立した場合は、裁判官が記載した和解調書に法的拘束力が発生します(民訴法第267条)。
和解交渉が進まない場合は、裁判官の判断により判決手続に戻ります。
判決手続では、証拠調べなどを経て、離婚請求認容または棄却の判決が下されます。
判決に不服がある場合は、判決書の送達を受けた日から2週間以内に高等裁判所に控訴することができます(民訴法第285条)。
訴訟では弁論が1か月に1回程度の頻度で行われることもあり、判決が出るまでは1年程度かかることが多いです。
途中で和解手続きに移って和解交渉が円滑に進んだ場合は3~4か月で終わることもあります。
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4. 離婚をスムーズに進めるポイント
離婚するためには、相手との感情的対立の中で多くの取り決めや届出などを行わなければならないため、どうしても手間と労力がかかってしまいます。少しでも、離婚手続きを楽に進められる方法はあるでしょうか。
本章では、離婚をスムーズに進めるポイントを解説します。
4-1.不倫・DVの場合は証拠を集める
不倫やDVを理由に離婚する場合は、離婚とともに慰謝料請求が認められるよう、不倫やDVの事実の証拠を集める必要があります。
不倫の場合、有力な証拠を確実に集めるためには、探偵事務所に依頼するのがベストです。探偵事務所への依頼が難しい場合、不倫が疑われる動画、SNSのやり取りやカーナビの記録、ホテルやレストランのレシートなど、自力で集められる範囲の証拠を可能な限り集めてください。
ただし、不倫相手の家への立ち入りや所有物の持ち去り・監視カメラ設置などは、証拠収集目的であっても犯罪に該当するので行わないようにしてください。
DVの証拠については、DV相談支援センターで収集方法などを教えてもらえるほか、相談の記録を証拠として使用できます。
4-2.財産分与などの金銭面の話し合いをする
感情的に対立している相手とお金関係の話し合いをするのに、躊躇する方も多いと思います。
しかし、実際に離婚した方が一番後悔していることの1つとして「お金のことについて話し合っておけばよかった」ということがあります。
相手と話し合いが進みそうになかったり、DVやモラハラなどの事情がある場合には、弁護士に代理を依頼することをおすすめします。
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5. 離婚を切り出すタイミングと注意点
離婚したいと思っていても、いつ離婚を切り出すかは迷うところです。
DVのように緊急の場合は致し方ないのですが、時期を誤ると、自分や子どもに大きな負荷がかかる可能性もあります。
本章では、離婚を切り出すタイミングと注意点を解説します。
5-1.子どもの進学時
子どもがいる場合は、できるだけ子どもへの影響が少ない時期に離婚を成立させたほうがよいでしょう。
その意味では幼稚園・保育園卒園、小学校卒業のタイミングがベストです。在学途中で苗字が変わることや、転居・転校などの環境の変化によるストレスをできるだけ小さくするためにも、進学のタイミングで離婚できるように離婚を申し入れることをおすすめします。
5-2.金銭面で別居する目途がたったとき
子どもがいる場合でも、険悪な雰囲気の家でそのまま育てるよりは、離婚したほうが子どもにとって良い選択となるかもしれません。
家で喧嘩や、配偶者のモラハラが絶えないなどの状況であれば、当面生活できる程度の金銭的な目途がたった時点で離婚を申し入れ、別居するという選択肢もあります。
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6. 相手が離婚してくれない場合の対処法
離婚を切り出したが、相手に拒否されてしまった場合はどうすればよいでしょうか。本章では相手が離婚してくれない場合の対処法を解説します。
6-1.離婚調停を申し立てる
相手が離婚を拒否したり、相手にしてくれない場合は、夫婦間で離婚協議することは困難なので、家庭裁判所に離婚調停を申し立ててください。
ただし、相手が調停に欠席し続けた場合は調停不成立となります。相手がどうしても離婚に応じてくれない場合は、裁判で離婚請求することになります。
6-2.別居する
相手が離婚してくれない場合に離婚を認めてもらうために、別居するという手段があります。判例上、一定期間別居していると裁判で離婚が認められる「婚姻関係破綻の事実」(民法第770条1項5号)が認められやすくなります。
別居する場合、可能な限り別居について相手の同意を得るようにしてください。同意なしで家を出ていくと、民法第752条の同居義務違反を理由に慰謝料請求されるおそれがあります。
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7. 離婚を弁護士に相談、依頼するメリット
本章では、離婚について弁護士に相談、依頼するメリットを解説します。
7-1.離婚までの道のりを明確に示してもらえる
まず、相談者の方がどうすれば離婚できるか、個別の事情に合わせた「離婚までの道のり」を明確に示すことができます。
日本では離婚の9割を、協議による離婚が占めています。しかし、DVの被害を受けていたり、配偶者が不倫相手と遠方に行ってしまった場合のように、配偶者と直接協議するのが困難なこともあります。
この点、弁護士に相談することで、まず離婚手続きの流れについて説明を受けられます。そして、夫婦間の協議を試みるか、協議を申し入れずに調停を申し立てるかなど最適な「初動」を提案してもらえます。
そして、財産分与や慰謝料、子供の親権、養育費や面会交流など、直接協議または調停で取り決める事項にはどのようなものがあるか、弁護士がどのように関わるかを詳しく教えてもらうことができます。
これにより、「離婚できるだろうか」「どうすれば離婚できるか」といった不安が取り除かれるでしょう。
7-2.協議書作成手続を依頼できる
日本では離婚の大半を協議離婚が占めていますが、夫婦が話し合って協議書を作成することは困難です。離婚には合意ができても、養育費や慰謝料などの金銭的な問題で円滑に話が進むことはまれです。
また、未成年の子供がいる場合の親権や面会交流などについても対立が起こりやすいです。
この点、弁護士を通すことで、協議事項に対してそれまでの結婚生活の状況に照らした適正な請求を行い、相手と対等な立場で冷静に話し合いを行うことができます。
また、協議書に財産分与、養育費や慰謝料などの金銭支払義務を記載した場合には、後の不払いトラブルを防ぐために協議書を執行認諾文言付き公正証書として作成するのが得策です。
公証役場で行う公正証書作成手続きについても、弁護士に依頼できます(この場合、弁護士費用とは別に、公証役場に支払う作成料がかかります)。
7-3.調停や訴訟の代理も任せられる
相手が離婚に同意しなかったり、協議事項の一部または全部について合意が成立しなかった場合は、まず調停を申し立てて調停委員を介して話し合いを行います。
また、調停でも離婚や協議事項について合意が成立しなかった場合は、原則として家裁に訴訟を提起して裁判で離婚請求することになります。
しかし、当事者が仕事や子育てをしながら準備をして期日に家裁に赴き、調停に参加することは容易ではありません。
DVを原因とする離婚など、申立人の事情によってはオンラインでの調停手続が認められる可能性もあります。ただしこの場合も、調停の最終期日に当事者が出頭する義務があります。
裁判所に出廷する負担があるだけでなく、この際に夫から危害を加えられる可能性があります。
この点、弁護士に代理人を依頼していれば、調停期日出席を弁護士に任せられます。また、本人が出頭する必要がある場合でも弁護士が同伴できます。
訴訟の場合は、裁判官に請求を認めてもらうための主張や立証を行うため手続の難度が上がり、より多くの時間と労力がかかります。
訴訟手続についても、弁護士にすべて任せることができます。
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8. 離婚に関するよくあるQ&A
本章では、離婚に関して頂くことの多い質問と、それに対する回答をご紹介します。
8-1.不倫やDVの加害者(有責配偶者)側から離婚を求めることはできますか?
法律上、離婚請求を禁止した規定はありません。有責配偶者から離婚を求めた場合であっても、相手が離婚に同意すれば離婚は可能です。
しかし、相手が離婚を拒否した場合、有責配偶者が裁判で離婚を求めても原則としては認められません。
もっとも、判例上、特に不貞行為を行った配偶者からの離婚請求については、不貞行為を行った時点で婚姻関係が破綻していた場合には認められると解されています。
従って、不貞行為を行った時点で別居していたような場合には、最終的に離婚が認められる可能性が高いです。
8-2.離婚するときに慰謝料請求できるのはどういう場合ですか?
法律上、離婚時に慰謝料請求できるのは、相手が自分に対して不法行為を行った事実がある場合に限られます。
相手の不倫やDV、モラハラなどを原因として離婚する場合には、不法行為の事実があるといえるので慰謝料請求が可能です。
ただし、慰謝料をめぐって争いになり、最終的に訴訟で離婚と慰謝料を請求することになった場合は、相手の不法行為の事実があったことを立証しなければなりません。
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9. まとめ
離婚をスムーズに進めるためには、協議事項について話し合うことが必要になります。しかし、関係が破綻している夫婦の間で落ち着いて話し合いをすることは容易ではありません。
弁護士に依頼することで、対等な立場で冷静に協議を行うことが可能になります。
また、相手が離婚を拒否したり、協議事項について争いになった場合も、調停手続・裁判での和解交渉または判決に至るまで、すべての法的な手続きについて代理することが可能です。
離婚を考えている方は、離婚問題に精通した弁護士にご相談ください。
担当者
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■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立
大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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