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離婚しないで別居する際にするべきことやメリットを弁護士が解説

離婚しないで別居する際にするべきことやメリットを弁護士が解説
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配偶者と離婚したいと思い始めたとき、「ひとまず別居する」という選択肢を考える方は多いと思います。

下記の法務省「協議離婚に関する実態調査の概要」p19では、協議離婚した回答者1,000人のうち43%にあたる430人が、離婚前に別居したと回答しています。

本記事では、離婚しないで別居する際にするべきことや、別居のメリット・デメリット、別居状態から離婚する方法などを離婚・男女問題に強い弁護士が解説します。

参考:法務省|「協議離婚に関する実態調査結果の概要」

目次

1. 別居と離婚の違いとは

別居と離婚とは、①物理的に別々の場所で生活することと、②夫婦が生活共同体を維持する意思を持たなくなったという点で共通しています。

しかし、両者は法律的には明らかな違いがあります。

夫婦が離婚した場合、その夫婦は法律上の「婚姻関係」を解消したことになります。

従って、民法その他の法律上の「夫婦間の権利義務」に関する規定の適用を受けなくなります。

従って、民法上の同居義務や扶助協力義務(民法第752条)、婚姻費用分担義務(同第760条)や、一方が死亡した場合の配偶者としての法定相続人の地位(同第890条)などは、離婚によって失われます。

これに対して、離婚せずに別居している場合は、法律上の婚姻関係は継続しています。

従って、たとえば収入の少ない方の配偶者は、収入が多い方の配偶者に対して生活に必要な費用(婚姻費用)を請求できます。

また、別居中に一方が死亡した場合は、他方が配偶者として法定相続人になります。

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2. 離婚しないで別居するべき状況やタイミング

別居にはメリットもありますが、生活や仕事、子どもの環境などに影響が出ることは避けられません。そのため、別居すべきかどうか迷う方も多いと思います。

この点、デメリットがあっても別居すべき場合はあるでしょうか。また、別居すべき場合はどのタイミングで別居に踏み切ればよいでしょうか。

2-1.別居するべき状況

別居するべき状況としては、以下が挙げられます。

(1)DVやモラハラを受けている

配偶者からDVやモラハラを受けている場合は、まず自身の身の安全を確保する必要があるので、被害がエスカレートする前に別居してください。

DVやモラハラで悩んでいる方は、DV防止法に基づいて設置されたDV相談支援センターに相談して、DV防止措置や支援を受けることができます。

(2)子どもが虐待を受けている

子どもが配偶者から虐待を受けている場合も、そのまま同居していると重大な被害が出るおそれがあります。

子どもの命を守るため、早急に別居してください。

夫婦の一方だけが子どもに暴力を行っている場合は、同時に夫婦の他方もDVやモラハラを受けている場合が多いです。

子どもが暴力を受けていると同時に自身もDVやモラハラを受けている場合は、ひとまずDV相談支援センターに相談して子連れでの避難や別居についてなどのアドバイスを受けてください。

(3)相手が離婚を拒否している

また、離婚を切り出したものの相手に拒否されたり、相手にされないような場合も別居することをおすすめします。

一定期間別居することによって、裁判で認められる離婚事由(婚姻を継続しがたい重大な状況:民法第770条1項5号)に該当する可能性があります。

また、離婚に対する強い意思を示すこともできます。

2-2.別居するべきタイミング

別居すべきタイミングは、前項(1)(2)→(3)の順に早い時期がよいでしょう。

(1)DV・虐待の場合

前項の(1)(2)の場合は、できるだけ早く別居すべきです。

自分が暴力やモラハラを受けている場合は、子どもが暴力を受けているか否かにかかわらずDV相談センターに無料で相談できます。

実家に帰ると配偶者が追いかけてくる可能性があります。配偶者が外出している時などに警察の相談ホットライン#9110に電話して、DV担当窓口に一時保護施設の紹介を受けてください。

緊急時は、110番して加害者を現行犯逮捕してもらい、警察の指示に従って一時保護施設に避難してください。

DVや子どもへの虐待がある場合、これ以上配偶者と同居できないと思った時点で、いつでも別居できるように持ち出し物を揃えるなどの準備をしておくことをおすすめします。

(2)相手が離婚を拒否している場合

前項の(3)の場合は、すぐに離婚することは難しいです。

この場合は、住居の確保に加えて、共有財産調査など別居すると困難になる離婚準備を進めておきましょう。

同居中に行っておきたい離婚準備ができた時点が、別居のタイミングとしては適しています。

ただし、子どもを連れて別居する場合、転校・転園などの環境の変化にも配慮する必要があります。できる限り、進級や卒業・入学のタイミングに合わせたほうがよいでしょう。

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3. 離婚しないで別居するメリット

離婚しないで別居するメリットとしては、以下が挙げられます。

3-1.配偶者と一緒にいるストレスから解放される

配偶者といつも口論していたり、あるいは一方的に暴言や嫌がらせを受けているような場合は、同居すること自体が非常に苦痛になります。

別居することで、配偶者と一緒に暮らすストレスから解放されます。別居前は心身の不調に悩まされていた人が、別居後に体調がよくなることも多くあります。

3-2.離婚への本気度を伝えることができる

相手に離婚を切り出しても、相手にしてくれないということはよくあります。しかし、別居という行動に出ると、離婚に対する本気度が伝わります。

別居することで、本当に離婚したいかどうか自分の気持ちを確かめることもできます。また、相手が反省して、改善すべきところを改善してくれる可能性もあります。

3-3.離婚を進めやすくなる

別居することにより、配偶者の目につかずに離婚に向けて弁護士に相談したり、書類をそろえるなどの準備に専念できます。

また、一定の別居期間があると、夫婦関係が破綻しているとみなされます。これにより、相手が離婚に応じない場合でも裁判所を介した手続で離婚が認められやすくなります。

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4. 離婚しないで別居するデメリット

他方、別居にはいくつかのデメリットもあります。

4-1. 離婚原因となる相手の行為の証拠集めが難しくなる

不倫やDVなど相手の有責行為を原因とする離婚が認められるためには、その行為があったことを証明する証拠が必要となります。

別居すると相手の行動を把握しづらくなるほか、家に残っている証拠を探し出すことも難しくなるため、離婚の際に不利になる可能性があります。

4-2. 財産分与で不利になりやすい

財産分与(民法第768条1項)とは、婚姻中に夫婦で購入した不動産・動産や蓄えた預貯金などを離婚から2年以内に当事者の協議によって分配する手続をいいます。

財産分与の対象となる財産には、共同名義の財産のほか、相手が結婚後に仕事で得た給料や報酬をもとにした預貯金、配偶者を受取人にした生命保険などが含まれます。

同居中であれば、これらの財産について郵便物などから把握することができます。

しかし、別居すると相手の財産を探し出すことが困難になるほか、相手が財産を隠すおそれもあります。

これを防ぐために、別居する前に相手の財産を調査して把握しておくことをおすすめします。

また、判例上、別居中に双方が得た収入その他の財産については、扶助協力のもとに得られた財産ではないとして、共有財産に含まれないと解されています。

別居期間が長くなるほど離婚が認められやすくなる一方で、財産分与では不利になりやすいことには留意する必要があるでしょう。

4-3. 仕事や住居探しの労力が必要になる

別居によってアパートなどを借りる場合は、住居探しの労力や費用が必要になります。

また、これまで扶養に入っていた方は、別居後は原則として自立することを求められます。

法律的には離婚するまでの期間、配偶者に対して婚姻費用を請求できます。

しかし、すぐに支払ってもらえるとは限らず、離婚時に財産分与と合わせて清算することを要求される場合もあります。

最悪の場合、支払いを受けられないことも想定しなければなりません。

別居してからは、最低でも生活に困らない程度の収入を得られるような仕事に就く必要があるため、仕事探しなどの労力もかかります。

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5. 離婚しないで別居した後にすべきこと

本章では、離婚せずに別居という選択をした場合、別居後にすべきことを解説します。

5-1.婚姻費用を請求する

夫婦のうち、収入の少ない方の配偶者は、多い方に対して婚姻費用(生活費)を請求できます。

これは、別居していても法律上の夫婦である間は、互いに生活を扶助する義務があるためです(民法第760条)。

具体的には、まず相手方に書面または口頭で直接請求を行い、相手が承諾しなかった場合は家裁に「婚姻費用分担請求」の調停を申し立てることになります。

婚姻費用に含まれるのは次のような費用です。

  • 自分と子どもの生活費(食費、水道光熱費など)
  • アパートなどを借りる場合は家賃
  • 子どもを連れて別居する場合は子どもの学費、医療費(自己負担がある場合)
  • 常識的に必要と考えられる交際費、娯楽費

具体的な金額については、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を参考にして適正な金額を算定してください。

参考:養育費・婚姻費用算定表

5-2.離婚を決意した場合は弁護士に相談する

別居中に離婚の意思が固まった場合は、離婚問題に精通する弁護士に相談することをおすすめします。

早い段階で弁護士に相談することで、別居中に離婚準備を進められるとともに、離婚後にやるべきこともしっかり把握できます。

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6. 離婚しないまま別居を続けたい人が注意すること

離婚しないまま別居を続けたい場合、以下のことに注意する必要があります。

6-1.経済的負担が大きくなる

離婚しないまま別居を続けていると、双方の経済的負担が大きくなります。

法律的には、妻の収入が夫よりも少なければ妻から夫に対して婚姻費用を請求できます。しかし、夫の貯金が減ってしまうと、離婚する場合に財産分与や慰謝料で受け取れる金額が減る可能性が高くなります。

6-2.再婚しづらくなる

別居していても、法律上の夫婦関係は続いています。このため、離婚しない限り再婚することはできません。

また、第三者と交際すると、不貞行為として配偶者から慰謝料請求されるおそれがあります。

別居期間がある程度あった場合には慰謝料請求が認められる可能性は低いですが、別居後すぐに交際を始めると、別居前から不倫していたと疑われ、慰謝料を支払わされる可能性が高くなります。また、離婚手続でも条件が不利になりかねません。

別居期間が長くなれば離婚は認められやすくなります。しかし、それだけ年齢を重ねることにもなるので、再婚のチャンスが限られてくるという問題もあります。

再婚を考える場合は、別居期間をあまり長くせずに離婚を検討することをおすすめします。

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7. 別居に終止符を打って離婚する方法

別居する中で離婚の決意が固まった場合は、どのように行動すべきでしょうか。

本章では、別居状態を終わらせて離婚する方法を解説します。

7-1. 離婚協議を申し入れる

まず、離婚協議が可能な状況であれば、離婚の意思を伝えて協議(民法第763条)を申し入れてください。

離婚協議では、以下の事項について取り決めを行います。

  • 財産分与(民法第768条)
  • 婚姻費用(民法第760条:未払い分について)
  • 子どもの養育費(未成熟子がいる場合:民法第766条1項)
  • 親権者の指定(民法第819条1項:未成年の子がいる場合)
  • 別居する親と子どもの面会交流の方法(民法第766条1項)
  • 離婚慰謝料(民法第710条:不倫・DVなど一方が他方に対して離婚原因となる不法行為を行った場合)

協議事項の話し合いがまとまった場合は、離婚協議書を作成します。

なお、法律的には離婚で決めなければならないのは、離婚することと、未成年の子がいる場合にどちらが親権者になるかということだけです。そのため、財産分与などの離婚の条件は後で協議することとして、とりあえず離婚だけを先に成立させるということも可能です。

財産分与・養育費・婚姻費用・慰謝料などの金銭支払義務については、不履行を防ぐ必要があります。

このため、協議書に「不履行があった場合には債務者の財産に強制執行することを認諾する」旨の記載(執行認諾文言)を行った上で、公証役場で公正証書として作成することをおすすめします。

7-2. 家裁に調停を申し立てる

以下の場合は、家裁に離婚調停(家事事件手続法第255条1項)を申し立ててください。

  • 協議自体が困難(DVの場合など)
  • 相手が離婚を拒否している
  • 協議事項の一部で合意に至らなかった

調停では、期日に夫婦それぞれ別の時間帯に調停委員に対して行った主張に基づいて、調停委員が助言や提案を行いながら調停案を作成するという流れで進められます。

調停案のすべてに合意が成立した場合は、調停が成立します。この場合、裁判所が決定事項を調書として作成します(調停調書)。

この調書は、確定判決と同様の効力を有します(家事事件手続法第268条1項)。

従って、公正証書として作成した離婚協議書と同様、金銭支払債務について強制力が生じます。

7-3. 調停不成立の場合は裁判で離婚請求する

調停が不成立になった場合、状況によっては裁判官の職権で審判手続(家事事件手続法第284条)に移行することもあります。

しかし多くの場合は、調停を申し立てた側が家庭裁判所に離婚訴訟(民法第770条)を提起します。

被告側が離婚に同意している場合は、早い段階で和解手続(民事訴訟法第89条)に移行することが多いです。

和解が成立した場合は和解調書が作成され、確定判決と同様の効力を生じます(民訴法第267条)。

和解が成立しなかった場合、または和解手続に移行しなかった場合は、証拠調べなどを経て判決(民訴法第243条1項)が行われます。

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8. 別居や離婚手続きを弁護士に相談、依頼するメリット

本章では、別居や離婚手続きを弁護士に相談、依頼するメリットを解説します。

8-1.別居のメリット・デメリットや必要な手続を教えてもらえる

離婚しないで別居することには、さまざまなメリットとデメリットがあります。しかし、一般的に言われていることがそのままその人にあてはまるとは限りません。

また、特に子どもを連れて別居する場合は、住民票を移した方がよいか、転園・転校させるべきかなど多くのことを判断する必要に迫られます。また、それに伴って色々な手続を行わなければなりません。

弁護士に相談することにより、個別の事情に照らした別居のメリット・デメリットや、別居に向けてとるべき行動、別居に際して必要な手続などを教えてもらえます。

これにより、別居に対しての不安が軽減されるでしょう。

8-2.別居から離婚までの見通しを得られる

また、別居を考える方にとっては、「自身の場合は、どのくらいの期間別居していれば最終的に離婚を認めてもらえるか」「別居状態で離婚準備をする場合は何をすればよいか」など、別居から離婚までの道のりを知りたいところです。

弁護士に相談することで、個別の事情に応じて離婚に必要な別居期間や、別居中に離婚に向けて何をすればよいかなどについて詳しいアドバイスを受けられます。

別居から離婚までの見通しを得られることにより、別居中に離婚準備を進めやすくなります。

8-3.離婚協議書作成を依頼できる

日本では離婚の9割を協議離婚が占めているといわれます。しかし、対立している夫婦が話し合って、お互いに納得できる取り決めを行うのは困難です。

別居していればなおさら、話し合いの機会を作ることは難しくなるでしょう。

また、離婚自体には合意できても、慰謝料・財産分与、子どもの養育費などの金銭的な問題や子どもの親権をめぐって意見が対立しがちです。

このため、夫婦間ではなかなか協議が進まないことが多いです。

この点、弁護士を通すことで、協議事項に対してそれまでの結婚生活の状況に照らした適正な請求を行い、対等な立場で冷静に話し合いを行うことができます。

また、協議書に財産分与・慰謝料・養育費などの金銭支払義務を記載した場合には、離婚後の不払いトラブルを防ぐ必要があります。

そこで、協議書を強制執行認諾文言付き公正証書として作成するのが得策です。

協議書を作成した上で公証役場で行うこの手続についても、弁護士に代理を依頼できます(協議書作成とは別途に費用がかかるほか、実費として公証役場に支払う手数料がかかります)。

8-4.調停や訴訟の代理も任せられる

協議が成立しなかった場合には、家裁に調停を申し立てて調停委員を介して話し合いを行います。調停でも離婚が成立しなかった場合には、原則として家裁に訴訟を提起して裁判で離婚請求することになります。

しかし、当事者が仕事や子供の世話をしながら準備をして期日に調停に参加することは容易ではありません。

DVが原因で別居している場合や、一方が遠距離の実家に戻っている場合などは、オンラインでの調停手続が認められる可能性もあります。

ただし、この場合も調停の最終期日には当事者が家裁に出頭する義務があります。

裁判所に出頭する場合、交通費や子どもの預け先確保などの負担があります。また、DVの場合などに妻が夫から危害を加えられる可能性が否定できません。

この点、弁護士に代理人を依頼していれば、調停期日出席を弁護士に任せられます。また、最終期日など本人が出頭を求められた場合でも、弁護士が同伴できます。

さらに、訴訟の場合は弁論や証拠調べなど手続の難度が上がり、より多くの時間と労力がかかります。

訴訟手続についても、弁護士にすべて代理を依頼できます。

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9. 離婚しないで別居することに関するよくあるQ&A

本章では、離婚しないで別居することに関して頂くことの多い質問と、それに対する回答をご紹介します。

9-1.子どもを連れて別居する場合、どのような物を持ち出せばよいですか?

別居する際に持ち出すことができるのは、自分自身と子どもの所有物です。

通常は、以下のものは問題なく持ち出すことができます。

  • 自分名義の預金通帳、キャッシュカード、クレジットカード、実印
  • 自分名義の運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、年金手帳
  • 自分や子どもが使っている衣服や日用品、常備薬など
  • 子どもの学習用具や玩具

これに対して、配偶者名義のものは持ち出すことができません。

また、結婚後に夫婦で貯蓄した預貯金や加入した生命保険、結婚以後に購入して自宅で使っていた家具や家電などは夫婦の共有財産とみなされます。これらを持ち出すことも基本的にはできないので注意してください。

なお、子連れの場合も一人の場合も、別居中に元の家に荷物を取りに戻ると、住居侵入罪(刑法第130条)に該当する危険性があるので注意が必要です。また、共有財産を持ち出す行為は窃盗罪(刑法第235条)にあたりかねません。

ただし、窃盗罪については、婚姻期間中は親族相盗例(刑法第244条)というルールが適用されるため、刑事処罰の対象にはなりません。

9-2.別居期間については、厚生年金の分割対象になりますか?

離婚した時点で年金の受給が始まっていない場合と、年金受給が始まった後に別居した場合に分けてお答えします。

(1)年金の受給が始まっていない場合

別居期間も「婚姻期間」に含まれるので、別居期間に一方または双方が支払った厚生年金は、離婚の際に分割の対象になります。

(2)年金受給開始後に別居した場合

年金受給開始後に別居した場合は、年金が「収入」とみなされます。従って、婚姻費用分担義務に基づき、収入が少ない方は多い方に対して相手の年金の一部を婚姻費用として請求できます。

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10. まとめ

離婚しないで別居を選択する場合、別居のメリット・デメリットをよく理解した上で、別居によって受ける不利益を防ぐ方法を講じておくようにしてください。

別居したほうがよいかどうかや、別居中に注意すべきこと、別居から離婚する方法などについては、離婚問題に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

私たち法律事務所リーガルスマートは、離婚・男女問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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