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離婚の切り出し方やポイント、その後の流れなどを弁護士が解説!

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離婚を決意したときに問題になるのが、どのように離婚を切り出すかです。

離婚を上手に切り出さないと、有利に離婚ができなくなる・相手が逆上してしまって身体に危険が及ぶ・だらだらと交渉を続けることになりいつまでも離婚ができなくなるなどの恐れがあります。

そこで本記事では、離婚の切り出し方やその後の流れについて離婚・男女問題に強い弁護士が解説いたします。

目次

1.離婚を切り出す前に準備すること

離婚を切り出す前にどのような準備が必要かを知っておきましょう。

1-1.離婚をするための証拠を確保する

離婚をするための証拠を確保しましょう。

離婚や慰謝料などが争いになった場合には、最終的に離婚裁判において決めることになるのですが、その際には自分が主張する内容については証拠によって立証しなければなりません。

離婚や離婚に伴う慰謝料の証拠などは、離婚を切り出した後には確保が難しいものが多いです。

典型的な例として、相手の不倫を原因に離婚を切り出す場合には、不倫をしたことや不倫の内容(期間・頻度・きっかけなど)についての証拠が必要です。

何らの証拠もないまま不倫を原因として離婚を切り出してしまうと、例えばSNSのメッセージや領収書などの証拠を隠滅したり、不倫相手としばらく会わなくするなどして、証拠を収集できないようにすることがあります。

そのため、離婚を切り出す前に離婚をするための証拠の確保をしましょう。

1-2.相手の財産を確認しておく

特に慰謝料・養育費・財産分与を請求する側の当事者である場合には、相手の財産を確認しておきましょう。

相手の銀行口座(銀行名と支店まで)、勤務先の会社名と給与の振込先、その他金融資産などをしっかり把握しましょう。

財産分与については夫婦共有財産となるものを分与してもらうのですが、離婚を切り出したことから、相手が財産を隠してしまうと、公正な財産分与を行うことができません。

また、慰謝料・養育費の支払いを求める場合、相手が任意に支払わない場合には相手の財産に強制執行をする必要があるのですが、強制執行の対象となる財産がわからない場合には、財産開示手続を行うなどして相手の財産を調べる必要があり、スムーズに強制執行をすることができません。

これらの理由から、相手にはどのような財産があるのか、強制執行をする際に特定するために必要な情報についてきちんと確認をしておきましょう。

1-3.離婚後の生活の準備

離婚後の生活の準備をしておきましょう。

無計画に離婚をして、離婚後にあてにしていた財産分与・慰謝料・養育費の支払いを受けられず困窮することがよくあります。

また、子どもがいる場合の子どもの親権について争う場合には、離婚後にどのような環境を準備できるかが問われることになります。

母性優先の原則といって、離婚の際には妻側に有利になることが多いです。父親が離婚する際に子どもの親権を獲得するためには、子どもの養育環境や親兄弟などに援助を頼める環境などをしっかり整えておく必要があります。

離婚後に無理なく暮らせる、相手から養育費や慰謝料の支払いを受けられなくても生活が貧窮しない、子どもの養育に適切な環境といえる、生活の準備をしておきましょう。

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2.離婚を切り出す際の理由別例文

以上の準備が整った場合に離婚を切り出すことになるのですが、実際に離婚を切り出す場合にどのように伝えるか、離婚の理由別に例文を確認しましょう。

2-1.相手の不倫を理由に離婚を求める場合

相手の不倫を理由に離婚を求める場合には次のように伝えましょう。

「あなたは、◯◯◯◯さんと令和◯年◯月ごろから不倫をしています。不倫について許すことができないので、離婚をしてください。」

この例文のポイントは次の通りです。

  • 不倫をしている証拠をしっかり掴んでいる
  • 不倫をしている相手も把握をしている
  • 不倫を許すことができない
  • 離婚を求めている

もし不倫をしていることがわかっていても、相手の態度次第では離婚を撤回しても良い場合には、不倫を止める意思はあるかを確認の上、相手が不倫を止める意思がない場合には離婚を求めても良いでしょう。

2-2.性格の不一致を理由に離婚を求める場合

性格の不一致を理由に離婚を求める場合には次のように伝えましょう。

「結婚して◯年経ちましたが、最近では会話もなく、家族としてこのまま過ごしていくことができません。あなたも同じ気持ちではないでしょうか。お互い人生をやりなおすために、離婚しませんか。」

この例文のポイントは次の通りです。

  • 性格の不一致によって家族として継続することが困難
  • お互いのためにと一方をあからさまに責める内容にしない

性格の不一致を理由に離婚を求める場合、相手が承諾しなければ離婚裁判を起こす必要がありますが、民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当しなければ、離婚裁判を起こすことができません。

そのため、協議離婚で離婚をするのが非常に重要になるため、離婚することがお互いのためであることを伝え、合意で離婚できるように上手に切り出すべきでしょう。

2-3.DVやモラハラを理由に離婚を求める場合

性格の不一致を理由に離婚を求める場合には次のように伝えましょう。

「あなたのDV(モラハラ)にはもう耐えられません。このまま夫婦で居ることはできないので、離婚してください。」

この例文のポイントは次の通りです。

  • DV・モラハラが我慢の限界であること
  • 夫婦の関係を続けることはできないこと
  • 離婚を求めていること

DV・モラハラを行う相手の場合、曖昧に離婚を切り出しても相手にしてもらえない可能性が高いです。

そのため、離婚を求めることをきちんと伝えましょう。

また後述しますが、直接の交渉は難しいので第三者に立ち会ってもらったり、弁護士に依頼して交渉の代理をしてもらうようにしましょう。

2-4.金銭問題が理由に離婚を求める場合

相手の金銭問題を理由に、離婚を求める場合には次のように伝えましょう。

「あなたはパチンコをして借金をしないように何度も求めているのに、借金をやめようとはしません。このまま家族として一緒に暮らしていくことはできないので、離婚をしてください。」

この例文のポイントは次の通りです。

  • 金銭問題が理由であること(金銭問題の背景にある事情があればその事情も。この文章ではパチンコをしていること)
  • 夫婦関係はすでに破綻したと考えていること
  • 離婚を求めていること

金銭問題も民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当する必要があります。すでに夫婦関係は破綻していることをきちんと主張して離婚を求める必要があるといえるでしょう。

2-5.他に好きな人が出来てたことが理由で離婚を求める場合

他に好きな人が出来たことが理由で離婚を求める場合には、性格の不一致など他の理由を主張して離婚を求めるのが良いでしょう。

他に好きな人が出来たと正直に伝えても、それは離婚原因になりえず、相手も納得しないことが多いでしょう。

まだ肉体関係が無いような場合でも不貞行為を疑われることになるほか、慰謝料請求の原因ともなります。

離婚をするためには別居をして民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当するかを認定してもらう必要があり、長い間の別居が必要となります。

できる限り性格の不一致などを主張しての協議離婚に持ち込むようにすべきです。

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3.離婚を切り出す際のポイント

離婚を切り出す際のポイントは次の通りです。

3-1.離婚をしたいときちんと主張する

離婚をしたいときちんと主張するようにしましょう。

「もう許せない」「我慢できない」という曖昧な伝え方をした場合には、いくら協議離婚の話し合いをしても相手は怒っていることに対する一時的な気の迷い程度にしか思わないことがあります。

このような状態ですと相手に反論されて言い負かされてしまうことも珍しくありません。

きちんと離婚を求めていることを主張して、本気で離婚をしたいことを示すために、財産分与・慰謝料・子どもの親権・養育費・面会交流などを離婚協議書の案として示すなどして、離婚を求めていることをきちんと主張しましょう。

3-2.交渉ができないときは第三者とともに話をする・弁護士に依頼する

交渉が上手にできない相手である場合には、第三者とともに話をする・弁護士に依頼して代理人として交渉してもらうようにしましょう。

交渉が上手にできない相手として、DVを行う・モラハラを行う相手が挙げられます。

DVを行う相手と1対1で交渉をする場合には、逆上した相手に暴力を振るわれる可能性が高いでしょう。

モラハラを行う相手の場合には、一方的に価値観を押し付けてきて話を聞こうとしない可能性が高いです。

このような相手と離婚をする場合には、第三者に離婚の話し合いに立ち会ってもらうのが良いでしょう。

また、弁護士に代理人となってもらって交渉してもらうことも検討しましょう。

3-3.離婚原因があり証拠を掴んでいる場合には示す

相手に離婚原因がありその証拠を掴んでいる場合には、これを示しましょう

相手に離婚原因があり、その証拠を掴んでいる場合、相手はどんなに反論をしても、最終的に離婚裁判をおこされて、裁判ではその証拠をもとに判断され、離婚が成立することになります。

離婚原因があり証拠を掴まれていることを相手が知れば、離婚調停・離婚裁判を起こされて出廷の負担を強いられたり、弁護士を雇う費用負担をするくらいなら、協議離婚に応じる可能性が高くなります。

ただし、この場合、適切な証拠を示さなければ、かえって逆効果となるので注意しましょう。

3-4.離婚原因がない場合には別居をすることも検討

相手が離婚を拒むことが予想される場合、最終的には離婚裁判を起こして離婚を求めることになります。

しかし、ここまでお伝えしている通り、離婚裁判を起こすためには、民法770条1項各号の離婚原因があることが必要です。

1号の不貞行為(不倫)のような明確な離婚原因がないような場合には、5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当する必要があり、夫婦関係が実質的に破綻しているといえるかを検討することになります。

不貞行為については1度でも不貞に及べば民法770条1項1号に該当し、離婚原因となります。

たった1度でも相手に暴力を振るえばDVですが、DVは離婚原因には定められておらず、DVやその他の事情をもとに夫婦関係が実質的に破綻しているといえる場合でなければ離婚はできません。

もし、離婚原因がない場合にはそのままでは離婚ができませんが、別居をして期間が経過すれば夫婦関係の破綻を認定できる場合があります。

どうしても相手が離婚に合意しなさそうであれば別居することも検討しましょう。

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4.離婚を切り出した後の流れについて

離婚を切り出した後はどのような流れで離婚が進むのでしょうか。

4-1.離婚協議を行う

まずは離婚協議を行います。離婚協議とは、離婚に向けた話し合いのことです。

離婚に合意ができれば、あとは離婚届を提出すれば離婚ができます(なお、子どもがいる場合には子どもの親権者も決めて離婚届に記載する必要があります)。

慰謝料・財産分与・養育費・面会交流などは別途決めることも可能ですが、離婚後にこれらのことを別途話し合うのは難しいので、できれば離婚と一緒に決めるようにしましょう。

離婚に合意ができた場合には離婚協議書を作成するようにしましょう。

必ず作らなければならないわけではないですが、後に決められた内容が守らなれない場合に調停・裁判で有利に進めるための証拠として必要です。

離婚協議書は公正証書で作成しておくと、裁判をせずに強制執行が可能なので、公正証書で作成することをお勧めします。

4-2.離婚調停を利用する

協議で離婚ができない場合には離婚調停を申し立てます。

離婚調停とは、家庭裁判所で行う手続で、裁判官と調停委員からなる調停委員会が夫婦の間に入ってそれぞれの主張・意見を聞きながら、解決に導く法的手続きです。

離婚問題について知識のある民間人である調停委員が当事者の話を聞きながら、法律・判例等にのっとって解決案を提示していく形で当事者の意見をすり合わせ、解決に導きます。

調停で合意ができれば、調停離婚が成立します。

4-3.離婚裁判を利用する

離婚調停で合意ができなかった場合には離婚裁判を利用します。

離婚裁判は、家庭裁判所で行う手続きで、裁判所が判決によって離婚に関する紛争を解決します。

離婚する旨の判決が下り、それが確定すれば離婚をすることができます。

4-4.強制執行を利用する場合も

離婚をするにあたって、財産分与・慰謝料・養育費といった金銭問題が発生します。

合意をした・調停や裁判で支払い義務が定められたにもかかわらず、支払わないような場合には、相手の財産に強制執行を行います。

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5.離婚を切り出したがスムーズに進まない際の対処法

離婚を切り出したにもかかわらずスムーズに事が進まない場合の対処法としては次のようなものが挙げられます。

5-1.離婚協議を早めに切り上げて離婚調停の申し立てを行う

話し合いをしてもスムーズに離婚ができない場合、そのまま協議を続けること自体が無駄である可能性が高いでしょう。

このような場合には離婚協議を諦めて、早めに離婚調停の申し立てを行うことを検討しましょう。

離婚調停では第三者である調停委員が妥当な案を示してくれるので、客観的な意見を取り入れることができます。

また、お互い面と向かわないで手続きを進めるので、冷静に交渉をすることができます。

5-2.弁護士に依頼する

話し合いがうまく進まない時には、弁護士に依頼することも検討しましょう。

相手が離婚に応じない原因として、言い負かすことができる、はぐらかすことができる、主張が正当ではないと思っている、感情的になっているだけ、ということが挙げられます。

弁護士に依頼すれば、代理人として相手と交渉をしてくれるので、相手も言い負かしたり、はぐらかしたりすることができません。

また、感情的になっている場合でも、面と向かって交渉をしなくてすみます。

上述しましたが、DVやモラハラの被害にあっているような場合には、うまく直接交渉するのが難しいことがほとんどなので、弁護士に依頼するのが良いでしょう。

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6.離婚問題を弁護士に相談、依頼するメリット

離婚問題を弁護士に相談・依頼するメリットとしては次のようなことが挙げられます。

6-1.法的な問題を整理することができる

離婚を切り出すにあたって法的な問題を整理することができます。

離婚をするにあたっては様々な法的問題を解決する必要があります。

例えば次のようなことが問題となります。

  • 離婚原因があるかないか
  • 離婚や慰謝料を主張するための証拠について
  • 慰謝料を請求する場合の相場
  • 財産分与として請求できる範囲
  • 養育費の相場はいくらか
  • 面会交流をどのようにするか
  • 年金分割について

弁護士に相談すれば適切にこれらの問題を整理して、離婚を有利に進めるために今行うべきことがわかるようになります。

6-2.精神的な支えになる

離婚をするとなると、相手と対立する、環境が変化する、など様々な不安がつきものです。

ケースによっては相談をする相手が誰もおらず、不安に思うことも珍しくありません。

弁護士に相談すること自体で精神的に楽になる可能性があり、また弁護士との相談で解決までの道のりが明確になれば、何もわからないという不安がなくなります。

6-3.依頼をすれば相手との交渉・法的手続きを任せることができる

弁護士に依頼をすれば、相手との交渉・法的手続きを任せることができます。

離婚に向けての交渉は非常に精神的負担を伴います。

また法的手続きは、法律・手続きに関する知識をもとに書類を作成する必要があります。

弁護士に依頼すれば、精神的負担を伴う相手との交渉や、法的手続きについて任せることができます。

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7.離婚の切り出し方に関するよくあるQ&A

離婚の切り出し方に関するよくあるQ&Aを確認しましょう。

7-1離婚の切り出し方は直接口頭で伝える必要がありますか

離婚の切り出し方については、特に法律で方式が決められているわけではありません。

そのため、直接口頭で伝えるほか、SNSのメッセージ機能を利用する、別居しているような場合には手紙で通知をする、などの方法もあるでしょう。

夫婦のそれまでの関係や、現在の夫婦の状況などを踏まえて、適切な方法で切り出せば良いでしょう。

7-2.手紙で出す場合には内容証明を利用すべきですか

法的な主張をするためによく利用されるのが内容証明です。

内容証明とは、郵便法48条に規定されている郵便物で、文書の内容を証明してくれる郵送物です。

時効の完成猶予や契約の解除の意思表示をするにあたって、相手に通知した内容を証明してもらうために利用されます。

また、書式が通常格式張っているため心理的な圧迫を加える目的で利用されます。

不倫相手に慰謝料の請求をするような場合では利用されることもあります。

離婚を切り出すという交渉を始める局面で、内容証明を出すような場合、相手の態度の硬直化を招く可能性が高いので、相手に毅然とした離婚の意思を伝えたいような場合以外は利用する必要はないでしょう。

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8.まとめ

このページでは、離婚の切り出し方についてお伝えしました。

離婚を求めるにあたって、最初の行為となるため、慎重に行うべきです。

離婚を切り出して交渉に入ると、証拠の収集などが難しくなるので、まずは事前の準備をしっかりしてください。

どのような準備が必要か、どのような法的問題点が発生しうるか、ということは把握しておいた方が良いので、弁護士に相談しておくことをお勧めします。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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