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夫婦が離婚するよくある理由は?離婚できる理由など弁護士が解説
異なる生活をしてきた人同士が結婚するにあたっては、パートナーとのお互いの尊敬や譲り合いの精神がなければ結婚生活は長く続かないでしょう。
結婚生活を続けることが困難になった場合、仮面夫婦を演じることもあるでしょうが「離婚」という選択をするケースも多いです。
どのような理由で離婚を選ぶかは人によって異なりますが、よくある離婚理由を知っておくと離婚リスクを避けられます。いざ離婚するにあたって、他人がどのような理由で離婚するのかを知っていると参考になるケースもあります。
そこで本記事では、離婚するにあたってよくある理由について離婚・男女問題に強い弁護士が解説します。
目次
1.【男性側】よくある離婚の理由
まずは、男性側がどのような理由で離婚を考えるかについてまとめてみました。
- 性格が合わない
- 妻や妻実家からの精神的虐待
- 異性関係の問題
- 妻側の実家や親族との折り合いが悪い
- 妻の浪費癖
- 性的不和
- 妻が夫の実家との同居に応じない
- 妻からの暴力
- 妻が家計にお金を入れない
- 妻が家庭を顧みない
「性格が合わない」というのは離婚理由として代表的なものであり、結婚後に妻の本当の性格・本性を知ったことで結婚生活の継続を断念するケースはよくあります。
また、一般的に家庭内暴力(DV)は男性から女性への暴力というイメージが強いですが、妻側の性格によっては女性から男性に対して肉体的・精神的な暴力が振るわれるケースも珍しくありません。
さらには、妻自身ではなく妻の実家や親族に問題があり、妻のことを愛していても結婚している限り妻実家や親族からの影響を受け続けるため、泣く泣く離婚を選択するというケースもあるのです。
場合によっては妻や周囲の人に相談することで解決できるケースもありますが、中にはその相談自体が相手に不快な思いをさせることもあり、より離婚に近づくケースも多いため、妻の性格や相談する相手をきちんと選ぶなどしてトラブルを避けるのが理想です。
2.【女性側】よくある離婚の理由
次に、妻側の離婚理由について見てみましょう。
- 性格が合わない
- 夫が生活費を渡さない
- 夫や夫実家からの精神的虐待
- 夫が暴力を振るう
- 異性関係
- 夫の浪費癖
- 性的不和
- 夫が家庭を顧みない
- 夫が酒を飲み過ぎる
- 夫の家族や親族と折り合いが悪い
妻側の離婚理由としても、夫側と同じく「性格が合わない」ことがトップなので、これから結婚を考えている方は相手の性格をしっかりと見定めてから結婚を決めることをおすすめします。
そのほかの理由も順位こそ異なりますが、相手からの暴力や精神的虐待、相手側の実家や親族との関係に悩んでいるという理由がランクインされていることがわかります。
また、夫側とは異なりお金関係の離婚理由が上位にランクインしているため、昔よりは変わったと思いますがやはり「夫は仕事、妻は家庭」という関係は現代でも根強く、妻が家計をやりくりしている場合は夫からの生活費は死活問題です。
夫側とは異なり「飲酒」がランクインしており、酒癖の悪い人の場合だとそれが浪費や暴力といった離婚理由にもつながるため、離婚を回避するためには依存症の問題も含めて通院が必要になる場合もあるでしょう。
3.裁判上で認められる離婚の原因
基本的にどのような理由であっても、夫婦間での合意があれば離婚することは可能です(協議離婚)。
しかし、どちらかが離婚に合意していない場合は、最終的に離婚訴訟という裁判手続きをしなければなりません(裁判前には家庭裁判所による調停が必要)。
問題なのは「裁判で離婚が認められる理由」というのが、意外と制限されていることなのです。
つまり、法的に離婚理由として相当であると認められない限り、裁判所からの離婚を命じる判決は下されません。
では、具体的にどのような理由であれば裁判所が離婚を認めるのでしょうか。
民法770条では以下の5つを離婚理由として挙げています。
- 相手の不貞行為があった場合
- 相手から悪意で遺棄された場合
- 相手の生死が3年以上明らかでない場合
- 相手が強度の精神病にかかり回復の見込みがない場合
- その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合
ランキングでは10個の離婚理由を挙げましたが、そのすべてが裁判で離婚理由として認められるものではないことがわかります。
2個目の「悪意の遺棄」というのは、たとえば明確な理由がないにもかかわらず別居していたり、夫婦間で行われるべきである協力等を拒否する場合をいいます。
男女それぞれで離婚理由のトップであった「性格の不一致」については、これだけでは離婚相当であると判断されることはありません。
しかし、性格の不一致が起こっているような場合であれば、2個目の悪意の遺棄が発生している場合もあるので、それを理由に離婚訴訟を起こすことは十分に可能でしょう。
また、5個目の「婚姻を継続できない重大な事由」については、相手からのDVや家庭を壊すような借金や飲酒などが該当する場合があるので、離婚を考えていて相手が応じない場合はそれを証明できるように記録を残しておく必要があります。
証拠の集め方についてはテクニックも必要になりますので、不安な場合は離婚問題に強い弁護士に相談して、どのような方法でどのような証拠を集めれば良いのかアドバイスを受けておきましょう。
4.離婚しやすい夫婦の特徴
結婚するのも離婚するのも大人であれば当然の権利であり、実家や周囲からの反対があっても駆け落ちのように結婚を強行することも可能です。
誰しも結婚すれば離婚のリスクを抱えて生活するわけですが、基本的に誰も離婚を前提として結婚することはないでしょうから、離婚リスクについて悩みながら生活するケースは稀でしょう。
ですが、離婚理由のトップに「性格の不一致」が挙げられるように、将来的に離婚するリスクが高いと考えられる性格や行動原理というものがあります。
- 他人と信頼関係を築けない
- 感謝や謝罪の言葉が出ない
- 他人を思いやる気持ちがない
- 問題発生時に話し合いをしようとしない
- 飲酒や喫煙が他人よりも重度
- 散財する癖がある
- 他人の気持ちを理解しようとしない
- 他人を見下す癖がある
- 相手の家族を悪く見る
- 浮気癖がある
- 外食好きで家庭にいる時間が少ない
- 刹那主義で「今」が大事
- 将来を見据えた行動ができない
- 結婚に際して相手の性格を理解しないまま決めてしまう
そもそも「結婚」というものは、今まで全く異なる生き方をした人と1つの家庭を作るというものですから、夫婦間での信頼関係や相手を思いやる気持ちがなければ簡単に崩壊してしまいます。
仮に一方がパートナーや他人を思いやる気持ちがあったとしても、もう一方にそれがなければ性格の不一致が発生し、離婚を選択したくなる気持ちが芽生えてしまうでしょう。
また、性格だけでなく話し方や行動といった言動の部分で離婚問題に発展してしまうケースも少なくありません。
長く家庭を維持し続けるためには、結婚を決める段階で相手の性格をきちんと理解しておくことが重要ですが、人の性格というものはどういった理由で一気に変わるかわからないため、離婚リスクをゼロにするということは極めて難しいです。
5.離婚する方法
一口に「離婚する」といっても、離婚に至るまでにはいくつかの方法があります。
まずは「協議離婚」です。
協議離婚とは、夫婦間で離婚する旨の合意が得られた場合の離婚であり、離婚届を作成してこれを管轄の役所に提出すれば離婚が成立します。
協議離婚のメリットは手早く簡単に離婚が成立するという点であり、新しい生活を少しでも早く始めたい場合には大きなメリットになるでしょう。
しかし、必ずしも相手が離婚に合意してくれるわけではないので、その場合は裁判所に離婚の訴えを起こすことになります。
ただし、通常の離婚訴訟は前段階として家庭裁判所の介入による「調停離婚」から始める必要があるので注意しましょう。
調停離婚では、家庭裁判所が選出した調停員による調停で離婚に向けた協議が行われ、離婚に至る場合はその条件についてもその場で話し合われます。
ただし、家庭裁判所の介入があるといってもあくまで調停に過ぎないため、この段階では離婚についての強制力はありません。
夫婦間での合意に至らない場合での手続きであるため、この段階でも合意に至らないケースは多いです。
そうなると「裁判離婚」になり、判決が出れば合意なく離婚することができます。
離婚判決が下されるためには前述の5つの理由が存在していなければならないため、それを証明できる客観的な証拠の提出が必要です。
また、あくまでも「裁判である」ということを念頭に置いておかないと困ることになるかもしれません。
通常の裁判と同様に、何度も裁判所に足を運ぶ必要があり、提出した証拠によっては離婚判決が下されないリスクもあります。
協議離婚であれば合意当日に離婚を成立させることもできますが、裁判になってしまえば前段階の調停も含めて相当な時間を要することになるでしょう。
それでも離婚したいのであれば、裁判を有利に進められるように離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
6.離婚の前にやるべきこと
離婚を考えている方の中には「1日でも早く離婚したい!」と考えている方も多いでしょう。
どのような理由であるかはケースバイケースですが、離婚を思い立ったからには相当な覚悟と決意があったはずです。
ですが、だからこそ離婚を宣言する前にやるべきことがいくつもあります。
- 離婚後の生活設計や就職活動
- 離婚に際しての財産分与等の条件
- 離婚理由
- 離婚するための証拠集め
- 経済的な自立と精神的な自立
- 必要であれば別居するための住宅探し
- 離婚問題に強い弁護士に相談
- 実家や周囲の人に相談
これらをする主な理由としては、まず離婚をスムーズにするためです。
いきなり「離婚する!」と相手に宣言しても、財産分与や子どもがいれば親権についてのことなど、さまざまなことを決めなければならないため、その日のうちに離婚して家を出ていくことは難しいでしょう。
そのため、離婚の際の条件等をあらかじめまとめておけば、夫婦間での話し合いの時間を短縮でき、円満に離婚できる可能性が高まります。
もちろん、その条件が相手に対して一方的に不利な内容にしてしまうと、協議離婚で合意に至る可能性を減らすことになるので注意しましょう。
次に、離婚後の新生活をトラブルなく始められるようにするためです。
離婚すると夫婦で暮らしていた家を出ることになるでしょうから、新居を探す必要があり、生活していくための収入源も確保しなければなりません。
新生活の基盤を確保しないまま離婚してしまうと、いきなり暮らしに困ることになるので、そうならないためにも新居と収入源を確保しておきましょう。
また、仮に離婚訴訟に発展した場合、訴訟を起こすための離婚理由とそれを証明するための証拠を集めておくことも重要です。
たとえば相手の浮気であれば、その証拠を押さえておくことで相手が協議離婚に応じてくれる可能性も高まります。
離婚は結婚と同じように一大決心なので、精神的な負担を軽減するためにも離婚問題に強い弁護士を味方につけておくことをおすすめします。
7.離婚・男女問題の相談先
離婚を考えている場合や、夫婦間でのトラブルに悩んでいる方は、少しでも楽になるためや、今後の行動について知るためにも誰かに相談することをおすすめします。
では、具体的に誰に相談すると良いかですが、いくつかの相談先があります。
まずは「実家や親族、友人」です。
お金をかけずに相談でき、とくに離婚歴がある知り合いから話を聞ければ、役に立つ情報を数多く教えてもらうことができるでしょう。
ただし、近しい人に話を聞くという関係上、どうしても主観的な意見になりがちだというデメリットがあります。
また、相談した相手からパートナーに話が行ってしまい、夫婦関係をより悪化させる原因になる可能性もありますので注意しましょう。
客観的で忌憚なき意見を聞きたいのであれば、匿名性の高いSNSやネット掲示板で相談するという方法もあります。
自分のことを知らない人からの意見なので、客観性の高い意見を集めることができるでしょう。
ただし、参考にならない意見や間違ったことを話している意見も多いところがネットを利用した相談のデメリットになります。
離婚について真剣に考えているのであれば、弁護士に相談すると良いでしょう。
離婚問題に強い弁護士であれば、離婚に関する法的な知識も得られます。絶対に離婚したいのであれば、弁護士を雇うことによって最終的に離婚訴訟になるとしても強い味方となってくれます。
もちろん費用は掛かりますが、離婚に向けた法的知識も踏まえた最善の行動を教えてもらうことができますので、少しでも早く確実に離婚したい場合は弁護士に相談しましょう。
8.離婚・男女問題を弁護士に相談、依頼するメリット
離婚や夫婦間の関係について悩んでいる方は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
そもそも離婚は結婚以上にエネルギーを必要とする行為とも言われており、その成立にはかなりの労力を必要とするケースが多いでしょう。
協議離婚が成立すれば最低限の手間で離婚できますが、相手によっては簡単には離婚に応じてくれないこともあります。
その場合は最終的に裁判を起こす必要があり、離婚判決が下るまでには相当な時間と手間を費やす必要があります。
しかし、離婚を考えている以上は、これ以上の結婚生活を継続することは困難であり、手間と時間をかけてでも離婚を成立させたいと考えているでしょう。
そこで役に立つのが、離婚問題に詳しい専門家である弁護士です。
離婚問題に限った話ではありませんが、こうした協議や交渉においては「相手には弁護士が付いている」と思わせることが、大きな意味を持つケースが多くなります。
弁護士は法律と交渉のプロなので、本人だけで交渉を行うよりも、弁護士が相手になっている場合のほうが相手が態度を軟化させる可能性が高いです。
それでも協議離婚に応じない場合であれば、弁護士を相手にして裁判をすることになるため、どのみち不利な状況には変わりありません。
離婚に関する法的な知識を武器にしているわけですから、場合によっては慰謝料が発生するようなケースであれば適切な金額で交渉することも可能です。
離婚問題に強い弁護士であれば、円満な離婚に向けたアドバイスを受けられるので、協議離婚や離婚訴訟において有利になる証拠の集め方などを知ることができます。
何よりも「自分には弁護士が味方にいる」ということが、精神的な安定を得るための重要なステータスになります。
費用面での問題がありますが、本気で離婚したいと考えているのであれば、強い味方となる弁護士に相談することには大きなメリットがあります。
相談だけなら無料で請け負っている事務所や窓口もあるので、まずは気軽な気持ちで相談してみましょう。
9.離婚理由に関するよくあるQ&A
最後に、離婚理由に関するよくある質問についてまとめました。
9-1.「性格の不一致」は離婚事由になりますか?
「性格の不一致」は離婚する理由としてトップクラスの理由なのですが、法的には離婚するに相当する理由にはなりません。
裁判で離婚が認められるためには、以下のいずれかの理由が存在している必要があります。
- 相手の不貞行為があった場合
- 相手から悪意で遺棄された場合
- 相手の生死が3年以上明らかでない場合
- 相手が強度の精神病にかかり回復の見込みがない場合
- その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合
どうしてもこれらの理由が見つからない場合には、協議離婚の成功率を高めるためにも離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
9-2.肉体的DVや経済的DVは離婚理由になりますか?
状況次第ではありますが、法的に離婚理由に相当する内容として「相手から悪意で遺棄された場合」「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合」に該当する可能性があります。
ただし、裁判でこれらの理由が認められるためには十分な証拠の提出が必要になるので、何が証拠になるのか把握するためにも弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。
9-3.離婚訴訟に強制力はありますか?
前段階である調停には強制力はありませんが、離婚訴訟で離婚の判決が下れば強制力があります。
相手によっては裁判所の判決を無視することもありますが、その場合は強制執行を請求することができ、慰謝料や財産分与、養育費などの離婚条件に関しても強制的に執行されます。
9-4.離婚調停を起こしたいのに相手が行方不明、どうしたらいいの?
通常、調停や裁判を起こすためには相手に対して呼び出しや訴状の送付が必要になりますが、相手の住所がわからない場合には調停への呼び出しができませんので調停を経ることなく訴訟を起こせます。
この場合、裁判所前の掲示板に離婚訴訟が提起されていることが掲示され、これが訴状の送付と同じ効果を持つため、呼び出しを無視すればそのまま判決が下ります。
10.まとめ
離婚する理由は人によってさまざまですが、場合によっては裁判で離婚する理由として相当ではないと判断される場合もあります。
協議離婚であれば性格の不一致などでも離婚は成立しますが、相手が離婚に合意してくれないケースも少なくありません。
交渉や裁判になっても無理なく話し合いができるように、離婚を思い立ったら早めに弁護士に相談することをおすすめします。
担当者
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■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立
大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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