損害賠償・慰謝料

交通事故の慰謝料を多く貰うポイントとNG行動を弁護士が解説!

交通事故の慰謝料を多く貰うポイントとNG行動を弁護士が解説!
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交通事故の慰謝料を多く貰う方法として、裁判所基準での慰謝料計算や、被害者に有利な過失割合を主張する、高頻度で長期間通院するなどが思い浮かぶと思います。

確かに、それらを適切なやり方で行うことは、慰謝料増額のために大切です。

一方で、「慰謝料減額につながる行動をとらない」ことも非常に重要です。しかし、慰謝料請求のNG行動は、被害者がうっかりやってしまうことが多いものです。

本記事では、交通事故の慰謝料を多く貰うポイントと、NG行動について、交通事故に強い弁護士が解説します。

1. 交通事故における慰謝料とは

交通事故における慰謝料(民法第709条、710条)とは、「交通事故を起こして被害者を負傷させ、被害者の車両等に損害を与えたことにより被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金」を意味します。

ここでは、交通事故における慰謝料の種類や、交通事故で慰謝料以外に被害者がもらえるお金、慰謝料の算定基準についてご説明します。

1-1. 交通事故の慰謝料の種類

交通事故の慰謝料には、主に入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類があります。

以下、順にご説明します。

(1)入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故で怪我をしたことによる身体的苦痛、及びその治療に対する恐怖や心労などの精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

精神的苦痛の程度は、財産的な損害のように目に見えるものではなく、個人差もあります。

そこで、入通院慰謝料の計算にあたっては、不公平を避けるために以下のような要素を考慮します。

  • 怪我の内容
  • 入院の有無
  • 入通院期間
  • 実際に入通院した日数
  • 治療内容

入通院期間の「終期」は、完治時または症状固定時になります。

症状固定後も治療のために通院していた場合、その期間は入通院慰謝料の算定の対象外となるのでご注意ください。

(2)後遺障害慰謝料

治療を尽くしても症状が残ってしまった場合(症状固定)、その症状について「後遺障害」として等級が認定された場合、後遺障害慰謝料を請求できます

なお、実際には、後遺障害慰謝料と合わせて、後遺障害により今後の仕事に支障が出る分を金銭的に評価した「逸失利益」も請求できます。

(3)死亡慰謝料

死亡慰謝料は、交通事故が原因で被害者が亡くなった場合に支払われる慰謝料です。

死亡慰謝料の請求権は被害者自身に属しますが、実際に請求・受領するのは、被害者の相続人です。

また、被害者遺族にも固有の慰謝料が認められます。従って、被害者の遺族は被害者の相続人としての死亡慰謝料及び、遺族自身の慰謝料をそれぞれ請求することになります。

1-2. 交通事故で慰謝料以外にもらえるお金

交通事故の被害者は、慰謝料以外に、以下の名目の金銭を受け取ることができます。

(1)人身被害に対する賠償金

まず、人身被害に対する賠償金には、以下のものがあります。

治療関係費通院・入院した場合にかかる費用
診察料、検査費用、投薬費用、手術費、入院費などが必要かつ相当な範囲で全額支給される
通院の交通費も請求可能
付添看護費用6,500円/日(親族が入院に付き添った場合)
入院付添により親族に休業損害が発生した場合に休業損害を請求できる場合あり
介護費用事故で重傷を負い介護が必要になった場合
後遺障害が残った場合は将来介護費用も請求可能
器具・装具費用後遺障害等により器具・装具※が必要になった場合に請求できる
買替えが必要になった場合は将来分も請求可能
※眼鏡・コンタクトレンズ・松葉杖・義手・義足・義眼など
改装費用事故が原因で重度の障害者になった場合に必要となる自宅のバリアフリー化工事費用や自家用車の改装費用などが請求できる場合あり
休業損害事故が原因で就労できない期間の休業損害を請求できる
自賠責基準では6,100円/日、裁判所(弁護士)基準では実際の収入額に応じた額を請求可能
逸失利益後遺障害が残った場合に請求できる
認定された等級が上がるほど逸失利益も高額になる
死亡逸失利益事故で被害者が死亡した場合に遺族が加害者側に請求できる
葬儀費用事故で被害者が死亡した場合に遺族が加害者側に請求できる

(2)物的損害に対する賠償金

さらに、破損した車の修理費用など、物的損害に対する賠償金を受け取ることができます。

物損事故(人身被害のない事故)の場合は、被害者が受け取れるのはこの物的損害の賠償金のみとなります。

物的損害に対する賠償金には以下のようなものがあります。

車の修理費用(修理可能な場合)修理費、代車(レンタカー)費用、車の評価損
車の買換費用(修理不可能または修理費用が車の時価を上回る場合)買換費用(買換えに伴う諸費用含む)、廃車/リサイクル費用
営業用車両が破損した場合営業損害
車以外で事故が原因で破損した財物の修理・弁償費用被害者所有のスマホの修理・弁償費用など

1-3. 交通事故慰謝料の算定基準

交通事故の慰謝料を算定する方法には、自賠責基準・任意保険基準・裁判所基準の3種類があります。

【交通事故慰謝料の算定基準】

自賠責基準自賠責法によって定められた最低限の賠償額の基準
任意保険基準加害者側の任意保険会社が慰謝料計算で用いる非公開の基準
各社で異なるが、自賠責基準と同等か、少し高額な程度であることが多い
裁判所基準過去の判例に基づいた慰謝料基準
被害者への補償を目的とするものであり、三つの基準の中で最も高額になる(ただし、賠償項目によって異なります)
弁護士基準とも呼ばれる

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2. 被害者がもらえる慰謝料の相場

交通事故で被害者がもらえる慰謝料は、どの算定基準を用いるかにより大きく変わります。

ここでは、「自賠責基準」と、「裁判所基準」を対比する形で表にまとめました。

自賠責基準は「加害者側の保険会社からみた相場」、裁判所基準は「弁護士に交渉を依頼した場合に被害者側が主張できる相場」とお考えください。

2-1.入通院慰謝料の相場

ここでは、通院期間が1か月~6か月だった場合の入通院慰謝料の相場をまとめました。

自賠責基準は2020年4月以降に発生した事故を対象とし、月15回以上(最高額が適用)の通院を想定しています。

弁護士基準の下段の(  )内の金額は、むちうちなどの軽傷の場合に適用されます。

通院期間自賠責基準裁判所基準
1か月12.9万円28万円(19万円)
2か月25.8万円52万円(36万円)
3か月38.7万円73万円(53万円)
4か月51.6万円90万円(67万円)
5か月64.5万円105万円(79万円)
6か月77.4万円116万円(89万円)

2-2. 後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級ごとに以下のように決まっています。

※自賠責基準の下段(  )内の金額は、2020年3月31日以前に発生した事故に適用されます。

等級自賠責基準裁判所基準
1級・要介護1,650万円(1,600万円)2,800万円
2級・要介護1,203万円(1,163万円)2,370万円
1級1,150万円(1,100万円)2,800万円
2級998万円(958万円)2,370万円
3級861万円(829万円)1,990万円
4級737万円(712万円)1,670万円
5級618万円(599万円)1,400万円
6級512万円(498万円)1,180万円
7級419万円(409万円)1,000万円
8級331万円(324万円)830万円
9級249万円(245万円)690万円
10級190万円(187万円)550万円
11級136万円(135万円)420万円
12級94万円(93万円)290万円
13級57万円(57万円)180万円
14級32万円(32万円)110万円

2-3. 死亡慰謝料の相場

自賠責基準では、被害者本人と遺族の慰謝料を合計したものが死亡慰謝料となります。

任意保険基準と裁判所基準では、被害者本人の家庭内での立場に応じて決まった金額が死亡慰謝料となります。

※自賠責基準下段の(  )内の金額は、被害者以外の慰謝料請求権者が被扶養者であった場合に適用されます。

自賠責基準裁判所基準
被害者400万円一家の支柱:2,800万円
母親、配偶者:2,500万円
独身・子ども:2,000~2,500万円
被害者+慰謝料請求権者1名550万円
(750万円)
被害者+慰謝料請求権者2名650万円
(850万円)
被害者+慰謝料請求権者3名以上750万円
(950万円)

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3. 慰謝料をできるだけ多く貰うためのポイント

慰謝料をできるだけ多く貰うには、以下の3点がポイントとなります。

  • 裁判所基準の慰謝料額を主張する
  • 慰謝料アップにつながる理由を主張する
  • 慰謝料減額につながる行動をしない

3-1. 裁判所基準の慰謝料額を主張する

まず、示談交渉の際に「裁判所基準(弁護士基準)」に基づいて算定した慰謝料を請求することが重要です。

前章でも示したように、交通事故の慰謝料算定基準のうち、裁判所基準に基づいた算定額が最も高額になります。

示談交渉の相手である加害者側の任意保険会社は、自賠責基準や、自賠責基準に多少上乗せした程度の任意保険基準を提示してくることがほとんどです。

裁判所基準の金額か、それに近い金額で合意できるように交渉する必要があります。

3-2.慰謝料アップにつながる理由を主張する

交通事故の慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金です

よって、被害者の精神的苦痛を増大させたといえる事情があれば、慰謝料の増額事由となります。

慰謝料アップにつながる理由には、加害者側の事情によるものと、被害者側に生じた事情によるものがあります。それぞれの代表的な例として以下が挙げられます。

(1)加害者側の事情による増額事由

  • 加害者に故意または重大な過失があった

(重大な過失の例:無免許運転、飲酒運転、信号無視、著しいスピード違反など)

  • 加害者の交通事故後の態度が不誠実

   (事故後逃走した、謝罪しない、証拠隠滅したなど)

(2)被害者側の事情による増額事由

  • 交通事故による怪我が原因で退職や留年、退学を余儀なくされた
  • 家庭や仕事の事情でやむを得ず入院・通院期間を短くした
  • 麻酔ができない手術を受けた
  • 被害者が妊娠中の女性で、事故が原因で流産や中絶を余儀なくされた
  • 死亡事故が原因で遺族がうつ病などの精神疾患を患った

3-3.慰謝料減額につながる行動をしない

慰謝料を多く貰うためには、慰謝料減額につながる行動をしないことも大切です。

慰謝料減額につながる行動の具体例については、次章で事故後の状況別に解説していきます。

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4. 慰謝料を多く貰うためにしてはいけないことを状況別に徹底解説

交通事故発生時点から示談成立までの間に不適切な行動をとると、示談交渉時に慰謝料の増額事由を主張しても、認められなくなってしまいます。

以下では、慰謝料を多く貰うために「してはいけないこと」を状況別に解説しますのでご確認ください。

4-1. 交通事故発生時

交通事故発生時にしてはいけないことは、以下の5つです。

  • 交通事故現場で示談する
  • 警察に連絡しない
  • すぐに病院に行かない
  • 最初に整骨院に行く
  • 怪我をしているのに物損事故として届ける

(1)交通事故現場で示談する

交通事故現場で、加害者からその場での示談を持ちかけられることがよくあります。

しかし、加害者から示談を持ちかけられても、決して安易に応じないようにしてください。

通常、示談交渉は損害が確定してから、加害者側の保険会社が作成する示談案に基づいて行います。

一方、示談の効力発生には書面によることは必要なく、口頭でも合意があれば効力が発生します

このため、事故現場で示談してしまうと、後になって新たな損害が発覚しても、追加の賠償請求や再交渉ができなくなってしまいます。

ただし、脅されて無理やり示談させられたなどの事情がある場合は、すでに成立した示談内容を撤回し、再交渉ができる可能性があります。

交通事故現場で加害者に無理やり示談させられてお困りの場合は、弁護士へのご相談をおすすめします。

(2)警察に連絡しない

交通事故が発生した場合、加害者被害者を問わず、運転手は警察に届ける義務があります(道路交通法第72条1項)。

警察に連絡しなかった場合、交通事故が発生したことを証明する「事故証明書」の発行を受けることができません。

事故証明書がなければ、加害者側に「事故が発生したという証拠がない」として慰謝料の支払いを拒絶されるおそれがあります。

また、事故証明書がなければ、被害者自身が自身の保険会社に保険金請求する際にも支障をきたしてしまいます。

交通事故が発生したら、必ず警察に届けてください。

もし、現場で警察に届けなかった場合、帰宅後、あるいは翌日以降できるだけ早く、事故発生現場の最寄りの警察署に届け出れば、事故証明書の発行を受けられる可能性があります。

(3)すぐに病院に行かない

交通事故に遭った場合、自覚症状がなくても、できるだけ早く整形外科などの病院を受診してください。

日がたってから痛みが出てきて病院へ行っても、事故から時間が経っていると怪我と交通事故との因果関係を証明できず、治療費や慰謝料の支払いを拒否される可能性があります。

また、事故発生直後の身体の状態を診断書や検査画像に記録しておけば、加害者側との交渉で証拠として役立ちます。

(4)最初に整骨院に行く

交通事故後、特に自覚症状がない・軽い痛みしかない場合に、「仕事を休めないから」と病院を受診せず、予約の取れる整骨院(接骨院)に最初に行くというケースが少なくありません。

しかし、交通事故後の初診は、整骨院ではなく、整形外科などの医療機関で受けてください。

整骨院では、診断書や検査画像が得られないため、治療費や慰謝料を請求する際に受傷当時の状態や治療経過を証明できず、支払いを受けられない可能性があります。

また、整骨院は医療機関ではないため、通院費用や入通院慰謝料が認められない可能性があります。

整骨院に通院する場合は、病院への通院を継続しながら、医師の許可を得て通うなどの方法をとりましょう。

(5)怪我をしているのに物損事故として届ける

事故当時に被害者の怪我が軽傷に見えた場合、加害者側から物損事故として届けるよう頼まれることがあります。

しかし、物損事故として届けてしまうと、加害者側に「この事故では人身傷害が生じていない」として治療費や慰謝料の支払いを拒否される可能性があります。

事故直後は軽傷だと思っていても、後から痛みが強くなることもあります。怪我をしているのであれば、人身事故として届け出るようにしてください。

もし、すでに物損事故として届けていた場合でも、後日警察に診断書などの必要書類を提出して、人身事故に切り替えることができます。

4-2. 怪我の治療中

怪我の治療中の行動も、慰謝料を大きく左右します。以下のような行動をとってしまうと慰謝料を減額されるおそれがあるので注意しましょう。

(1)医師に無断で整骨院に通院する

交通事故による怪我で整骨院に通院する場合は、病院に通院しながら、担当医師の了解をとった上で行かれることをおすすめします。

医師の了解を得ずに整骨院のみに通院した場合、加害者側の保険会社から病院への通院回数の少なさを理由に慰謝料を減額される可能性があります。

整骨院に行きたい場合は、先に病院を受診して、整骨院で施術を受けてよいか確認しておきましょう。

(2)保険会社に言われるまま治療を打ち切る

治療のために通院していると、数か月たった段階で加害者側の保険会社から「そろそろ治療を打ち切ってください」といわれることがあります。

保険会社のこのような打診は、これ以降の治療に対する治療費や慰謝料を支払わないという意思表示です。

しかし、これに従って治療をやめてしまうと、入通院慰謝料が低額になります。また、怪我が治らないことになりかねません。

また、後遺症が残った場合でも、症状固定前に治療を終えてしまっていたら、適切な後遺障害等級が認定されないおそれが出てきてしまいます。

保険会社に治療の打ち切りを打診されても、必要である以上治療を続けることをおすすめします。

(3)過剰に通院する

通院回数や治療期間に比例して慰謝料が高額になるのではと考えて、過剰に通院してしまうケースもあります。

怪我の程度から考えて通院回数・頻度や期間が過剰であるとみなされると、保険金詐欺を疑われ、慰謝料を減らされるおそれがあります。

十分な慰謝料を受けるためには、通院頻度は3日に1回程度が望ましいとされます。しかし、重要なのは、その通院頻度が「医師の指示に基づいた」ものであることです。

必ず、医師の指示通りの頻度で通院するようにしてください。

4-3. 加害者の見舞対応

治療中に、加害者がお見舞いに来る場合があります。

入院中で医師から面会を制限されている場合でない限り、見舞いに来た加害者と話すことは問題ありません。

ただし、無理に会う必要はないので、加害者と会いたくなければお見舞いを断ってもかまいません。

また、以下のような不用意な対応をとってしまうと、加害者に有利な交渉材料にされてしまうおそれがあります。

(1)金銭に関する話をする

見舞に来た加害者に応対する場合、損害賠償などの金銭に関する話は避けましょう。

また、気を付けたいのが、相手の謝罪に応じて「こちらも不注意でした」などと自分の過失を認める発言をしてしまうことです。

治療を終えて損害額が確定し、示談交渉が始まるまでは、加害者と金銭や過失にかかわる話はしないようにしましょう。

(2)目的を確認せずに見舞金を受け取る

交通事故の加害者が被害者に対して見舞金を支払うことは違法ではありません。

しかし、目的を確認せずに安易に受け取ってしまうと、示談交渉の段階になって「慰謝料として渡したものだ」として慰謝料から差し引かれる可能性があります。

見舞金を受け取る場合は、どういう意図の金銭であるかを確認するようにしましょう。

あるいは、慰謝料としては受け取れないことを相手に伝えるようにしましょう。

4-4. 後遺障害申請

十分な治療を経ても、痛みやしびれ・変形などの後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定を受ければ、後遺障害慰謝料・逸失利益などの支払いを受けられます。

後遺障害慰謝料や逸失利益の金額は、認定された等級に応じて決まります

適切な後遺障害等級の認定を受けることは、慰謝料を多く貰うために重要だといえます。

しかし、後遺障害認定申請は手続きに労力がかかる上、専門知識も必要となります。

以下は、申請に至るまでの過程で被害者がとりがちな行動です。いずれも慰謝料減額につながる可能性があるので、十分注意してください。

(1)保険会社の催促に従って症状固定にする

後遺障害等級認定の申請は、「症状固定」という診断を受けた後に行います

加害者側の保険会社は、治療費や入通院慰謝料を低く抑えたいために、比較的早いタイミングで症状固定を催促してくることがあります。

しかし、症状固定の時期について判断を下せるのは担当医師です。加害者側の保険会社から症状固定を催促されても応じないようにしてください。

また、症状固定後の治療や休業に対しては、原則として治療費や休業損害賠償は支払われません。この点も考慮して、医師と相談の上で症状固定の時期を決めるようにしましょう。

(2)後遺障害診断書の作成を医師に任せる

後遺障害認定の審査では、後遺障害診断書の記載が重視されます。

この点、被害者は、「医師は後遺障害診断書作成の経験も豊富にあるだろうから、適切な診断書を書いてくれるだろう」あるいは「医師が診断書記載でミスをすることはないだろう」と考えて、医師から受け取った診断書をそのまま提出してしまいがちです。

実は、医師の中には後遺障害認定診断書に詳しくない人が少なくありません。

後遺障害等級の認定基準や過去の事例に詳しいのは、交通事故に精通した弁護士です。

医師から後遺障害診断書を受け取ったら、等級の認定基準を満たしていることが明確にわかるような内容になっているか、弁護士に確認してもらうことをおすすめします。

(3)後遺障害等級申請を事前認定方式で行う

後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。

事前認定方式では、後遺障害診断書以外の書類はすべて、加害者側の任意保険会社に準備してもらえます

被害者にとっては負担が少ない一方で、加害者側の保険会社が適切な種類・内容の書類を作成・提出してくれない場合があります。

一方、被害者請求方式では、提出書類はすべて被害者側で準備します。

そのため、被害者にとっては手間がかかるのですが、後遺症の症状をより正確に伝えるための追加書類を添付することや、提出書類の内容を改善することが可能です。

後遺障害認定が書類審査であることを考えると、弁護士のサポートを受けながら被害者請求方式で申請するのが得策といえます。

4-5. 示談交渉

治療が終了した段階、または後遺障害等級の認定結果が出た段階で、加害者側保険会社から示談金の提示があり、その後示談交渉を開始します。

示談交渉は、慰謝料や損害賠償金の金額を決定する段階なので、しっかり注意点をおさえておきましょう。

(1)提示された示談書にすぐにサインする

加害者側の任意保険会社は、慰謝料の算定基準に自賠責基準か、それに近い任意保険基準を用いているため、すぐにサインするのは危険です。

通常、示談書には清算条項(示談成立後に新たな請求をしないことに合意する条項)が含まれています。

このため、示談書に署名捺印することは、清算条項を含めた示談書の条項すべてに同意したことになり、原則として再交渉や追加の賠償請求はできません。

サインする前に、提示された金額に増額の余地はないか、請求し忘れた事項がないかよく確認することが大切です。

示談交渉に弁護士が介入することで、提示額の2倍~3倍の示談金を受け取れることはよくあります。

多くの法律事務所では、初回の法律相談を無料で行っています。無料相談を利用して、提示された金額が妥当かどうか、弁護士に確認することをおすすめします。

(2)被害者自身の職業や収入、属性を主張しない

慰謝料や休業損害・逸失利益は、被害者自身の職業や収入、属性を考慮して算定されます。

職業などの事情によっては、その事情がなかった場合に比べて、慰謝料などが増額される可能性もあります。

たとえば、左手・左腕を骨折した場合、被害者が右利きの場合よりも左利きの場合の方が、生活や仕事への支障が大きくなり、慰謝料増額や休業損害認定につながる可能性があります。

また、美容師など手先を使う仕事に就いていた人に、手先の震えなどの後遺障害が残った場合、慰謝料や逸失利益の増額が認められやすくなります。

しかし、職業などの事情については、被害者側から主張しなければ、相手方が考慮してくれないおそれがあります。

被害者が抱える事情の特殊性が、慰謝料・休業損害・逸失利益のどの費目に該当するかはケースバイケースで判断されるため、交渉で主張する場合は弁護士に相談することをおすすめします。

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5. 交通事故の慰謝料請求を弁護士に相談、依頼するメリット

交通事故の慰謝料請求を弁護士に相談、依頼することには、以下のようなメリットがあります。

5-1.加害者側の保険会社と対等に交渉できる

交通事故の被害者にとって、加害者側の任意保険会社との示談交渉が精神的な負担になることが多くあります。

保険会社によっては、被害者本人の主張がほとんど通らないこともあります。また、あえて被害者にわかりにくい専門用語を多用して交渉の主導権を握ろうとすることも少なくありません。

しかし、法律の専門家である弁護士に交渉を依頼することで、加害者側の保険会社と対等に交渉し、主張を認めてもらうことが可能になります。

なお、被害者自身が自動車保険に入っている場合、保険会社の示談代行サービスを利用することも可能です。

もっとも、追突事故など、被害者側に過失のない事故では示談代行サービスが利用できません。

また、自身の保険会社が主張する慰謝料額は「その会社の任意保険基準」であるため、弁護士基準ほど高額の慰謝料を期待できないことにも留意する必要があります。

5-2.慰謝料の増額が見込める

交通事故の示談交渉では、加害者側から提示される慰謝料額は、「自賠責基準(国が定めた最低限の基準)」や「任意保険基準」に沿ったもので、相場よりも低額になっていることが通常です。

この点、示談交渉を弁護士に依頼することで、過去の判例に沿った「裁判所基準(弁護士基準)」に基づいた、相場に近い慰謝料額を主張できます。

たとえば、追突事故で3カ月間の通院治療が必要なむちうち症を負った場合、慰謝料額の基準は自賠責基準が約26万円に対し、裁判所基準では約53万円と、2倍ほどの差があります。

5-3. 適切な後遺障害等級認定を受けられる

後遺障害が残った場合、後遺障害慰謝料を請求するために、後遺障害等級認定を申請することになります。

後遺障害等級が1級異なるだけで、慰謝料の金額が数十万円~数百万円変わることもあります。

認定時には専門機関によって審査が行われるため、認定基準や審査の仕組みなどをよく理解した上で、適切な審査対策をとることが必要です。

弁護士に依頼することで、専門知識や過去の事例に基づいた審査対策のサポートを受けられます。

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6. 交通事故の慰謝料請求に関するよくあるQ&A

本章では、交通事故の慰謝料請求に関して頂くことの多い質問と、それに対する回答をご紹介します。

6-1.もらった慰謝料に税金はかかりますか?

交通事故の慰謝料は、原則として非課税です。

ただし、損害に対して受け取った慰謝料が高額すぎると判断されると、贈与税などの税金がかかる可能性があります。

6-2.加害者が保険に入っていなくても慰謝料はもらえますか?

加害者が任意保険に入っていない状態、あるいは自賠責保険にも任意保険にも入っていない状態を「無保険」といいます。

無保険の場合は、いずれも適正な額の慰謝料がもらえない可能性が高いです。

加害者が無保険の場合には政府の保障事業による補償を受けられますが、十分な補償とは言えません。

加害者本人に請求する方法で、示談書を強制執行認諾文言つき公正証書にするというやり方もありますが、強制執行できる財産がなければ効果がありません。

慰謝料とは異なりますが、被害者が任意保険に加入している場合、以下の条件を満たせば保険に付帯している「無保険車傷害保険」によって不足分の補填を受けられます。

  • 加害者が無保険のため請求額通りの賠償金の支払いを受けられない
  • 被害を受けた運転者や同乗者が死亡または後遺障害が残った

無保険車傷害保険は、利用しても翌年度の等級が下がらず、保険料に影響がありません。

6-3.怪我がなかった場合でも慰謝料請求できますか?

被害者に怪我がなかった場合は、人身損害が発生していないので、慰謝料請求はできません。交通事故の慰謝料は、事故により被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われる金銭であるためです。

ただし、車に同乗していたペットが死傷した・自宅に車が突っ込んで自作の芸術品を破損されたなど、限られたケースで物損に対する慰謝料が認められる可能性があります。

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7. まとめ

交通事故の慰謝料を多く貰うためには、弁護士に示談交渉の代理を依頼して、裁判所基準での慰謝料を主張するのが得策の1つです。

一方で、被害者自身が加害者側の慰謝料支払い拒否・減額要求につながるような行動をとらないことも非常に重要です。

ただし、NG行動とされる行動をとってしまった場合も、途中で対処することによって慰謝料支払い拒否や減額を回避できることがあります。

NG行動をとってしまったことに気づいたときは、すぐに弁護士にご相談ください。

私たち法律事務所リーガルスマートは、交通事故被害の専門チームがございます。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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