親権・養育費

離婚で父親が親権を得るには?ポイントや手続きを弁護士が解説!

離婚で父親が親権を得るには?ポイントや手続きを弁護士が解説!
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子どもがいる夫婦が離婚する場合、多くのケースでは妻側に親権が認められるケースが多いです。

しかし、必ずしも女性側に親権が認められるわけではなく、男性側に親権が認められるケースもあるのです。

そこで本記事は、離婚に際して夫側に親権が認められる条件について離婚・男女問題に強い弁護士が解説します。

1.そもそも親権とは

法務省のホームページでは、親権について以下のように定義しています。

Q1 親権とは何ですか。

(A)「親権」とは、子どもの利益のために監護・教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限であり義務であるといわれています。親権は子どもの利益のために行使することとされています。

父母の婚姻中は父母の双方が親権者とされており、父母が共同して親権を行使することとされています。

父母が離婚をする場合には、父母のうち一方を親権者と定めることとされており、離婚後はその者が親権を行使することとなります。

「権」とされていますが、実質的には義務的な扱いとなり、子どもの養育に関するさまざまな義務を負うことになります。

親権とは未成年の子どもを成人まで育て上げるために親が負っている一切の権利義務のことであり、婚姻中は父母の両方に親権が認められていますが(共同親権)、離婚後は共同親権は認められていないため、父母のどちらか一方のみが親権を取得します。

一般的には女性側に親権が移るケースが多いですが、必ずしも女性側に親権が確定するというわけではなく、場合によっては男性側に親権が認められるケースもあるのです。

「生まれた子どもと一緒にいたい」と考える方も多いでしょうから、離婚に際しては親権を含めた争いを繰り広げるケースも少なくありません。

親権は最終的には裁判で争うことになるので、ご自身に有利になるような証拠をどれだけ提出できるかが重要なポイントになります。

離婚するにあたって親権を獲得するためには、どれだけ自身に子どもを養い育てる能力があることを示す必要があり、その証拠を夫婦間の交渉や裁判において提示できるかが求められます。

場合によっては弁護士を雇う必要があり、それによって養育権・親権の獲得に左右することになるのです。

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2.裁判所が親権者を決める判断基準

法務省では、離婚後の親権については以下のように定義しています。

Q2 父母が離婚する際の親権者はどのように決めますか。

(A)

親権者は、まずは父母の協議によって定めることとされています。子どもの監護・教育に関する事項(進学,医療等)や、財産に関する事項について、父母のどちらが決定するのが子どもの利益となるのかという観点から、しっかりと話し合うようにしてください。

協議によって定めることができない場合や協議をすることができない場合には、協議離婚をすることができないので、家庭裁判所における調停や裁判によって離婚することとなり、親権者もその手続の中で定められることとなります。

Q3 父母が離婚した後は,子どもはどこで暮らすことになるのですか。

(A)

親権者は子どもが住む場所を決めることができるので、子どもは親権者と暮らすことが多いと考えられます。

なお、親権は子どもの利益のために行使することになっているので、親権者であっても「他方の親と子どもを会わせたくない」という理由だけで子どもを連れて転居するといったことをしてはいけません。

ただし、相手から身体的・精神的暴力等の被害を受けるおそれがあるなど、子どもの最善の利益に反する場合は当てはまりません。

Q4 父母が離婚した後は、子どもは親権者と同じ氏(名字)になりますか。

(A)

父母が離婚をして父母のいずれかが婚姻前の氏に戻っても、子どもの氏(名字)は父母の婚姻時のままです。これは、親権者となった方の氏が変わった場合でも同じです。

子どもの氏は、親権者が家庭裁判所の許可を得て変更します。

最終的には裁判手続きになりますが、最高裁判所の司法統計によると母親が親権を獲得する割合が約9割となっていますが、決して、父親は親権が取れないというわけではありません。

一般的には女性側が親権をとる風潮がありますが、実際には男性側が親権をとるというケースもなくはありません。

離婚するにあたって男性側が「親権をとりたい」と思うのであれば、離婚問題に強い弁護士に相談して、親権を確保できるような有利な条件で離婚できるようにすることをおすすめします。

離婚訴訟では親権について女性側に有利な風潮がありますが、女性側に問題があり男性側に養育の能力があると認められれば、男性側に親権があると認められるケースも珍しくありません。

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3.離婚で親権を父親が取りにくい理由

過去の離婚裁判では、父親に親権が認められないケースが多いのが実情です。

理由としては、大きく3つの理由が挙げられます。

まず、家庭にもよりますが父親はフルタイムで仕事をしていることが多いです。

そのため、仕事のせいで子どもの世話に手が回らない可能性が高いと考えられてしまうことが、親権を認められない理由のひとつとなります。

6歳以下は保育園、7歳以上は学童や民間の保育施設に預けることで、ある程度の時間帯までは面倒をみてもらえるかも知れません。

しかし、父親が必ず毎日施設の最終時刻までに迎えに行けるか、はっきりしない場合も多いです。

このような場合は、施設以外に子どもを十分に養育できる環境が整っていないと子どもの養育には適していないと裁判所に評価されてしまう可能性が高くなります。

保育園を例に取ると、通常は17時が子どもの保育ができる最終時刻とされている場合が多いです。

父親の仕事が18時定時であれば間に合わず、子どもの帰宅のために途中で仕事を抜け出したり、必ず定時で仕事を終われるかどうかもわかりません。

また、必ずしもそうではありませんが父親はそもそも育児の経験が乏しく、単独での養育には不向きであると評価される可能性があります。

そのため、子ども自身が母親と暮らすことを選ぶ傾向があるのです。

親権を決定する際、子どもがある程度の年齢以上であれば、子どもの意見もある程度尊重されます。

一般的には父親は仕事に専念し、子育ては母親がやるという役割分担が日本の一般的な家庭モデルと考えられています。

このような家庭モデルの場合、当然子どもは父親よりも母親と一緒に過ごす時間が長くなるので、父親よりも母親に愛着をもつ傾向が強くなるのです。

このような場合、親権ついて子どもが父親よりも母親を選択するケースが多いといえます。

なお、子どもの意見はあくまで尊重するべき参考意見に過ぎず、通常は親権の帰属を子どもに選択させることはむしろ避けるべきと考えられているので、子どもの意見がすべてではないことについては十分に留意してください。

また、「母親を親権者とする」という先例が多いという点も留意する必要があるのです。

裁判所は、判断をくだす場合、既存の裁判例を重視します。

日本では伝統的に離婚時の親権者を母親とするケースが一般的であり、そのような先例が多いことも事実です。

そのため、裁判所が過去の先例を参照した結果、親権を母親と判断する可能性が相対的に高いといえます。

しかし、男性側に親権が認められたケースもあるため、親権を得たい男性側の主張も認められている前例も含めると、必ずしも女性側の親権が確定するというわけではありません。

親権の決定についてはケースバイケースではありますが、必ずしも女性側に親権が認められるわけではなく、男性側に親権が認められる可能性もあるということを念頭に置いておく必要があります。

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4.父親が親権を得るのに有利なケース

父親側に親権が認められやすいケースとしては、第一に子どもの意思が挙げられます。

子ども自身に意思決定ができると認められる年齢があると考えられる場合、子ども自身が父親と一緒に暮らしたいと意思表示すれば、父親に親権が認められる可能性が高くなるのです。

たとえば、母親側が浮気をしていたり子どもを虐待しているなどの理由がある場合に、子どもが母親を嫌っていて離婚時に「父親側についていきたい」と意思表示する可能性は十分に考えられます。

また、母親側からの虐待の事実があれば、子どもの意思に関係なく虐待の事実自体が父親側の親権獲得に有利な条件になる可能性が高いです。

あとは、母親側の育児放棄の事実がある場合も、父親側に有利な条件となる可能性が高くなります。

離婚時に子どもに対して求められる条件とは、子どもの養育環境がきちんと整っていることが求められるわけですから、育児放棄が認められれば養育権が認められないことも当然です。

父親側が親権を獲得したい場合は、母親側に養育義務が果たせないことを十分に論証づけることが重要になります。

また、仮に母親側に養育義務が果たせないことを認めさせたとしても、父親側に養育義務を果たせることを裁判所に認めさせる必要があることも重要なポイントです。

父親側は仕事で忙しいので、とくにお子さんが小さい場合は日中の養育の環境をどのように満たすのかを決めておく必要があります。

保育園や小学校となると午後4時~5時以降の子どもの面倒をどのようにして見るかというのは重要なポイントになるでしょう。

たとえば、実家に面倒を見てもらうなど、継続的な養育の環境が整っていないと親権が認められない可能性があります。

こういった場合は周囲の協力が欠かせないので、ご実家や親族、近隣住民の協力を得るなどして、養育環境が整っていることを証明しましょう。

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5.離婚で父親が親権を得る際のポイント

一般的に、離婚時に父親が親権を獲得することは難しいとされています。

離婚事由として妻側の責任が取り沙汰されることも少なくありませんが、それでも親権が妻側に認められるケースは少なくありません。

理由はいくつかありますが、父親が働いている場合だと養育が難しくなるケースで子どもの養育が難しくなる場合など、養育権の行使が難しくなる場合などが考えられるためです。

また、裁判例として母親のほうに養育権が認められるケースが多くみられることも考えられます。

夫婦関係の破綻(離婚などの理由)については、子どもの養育権には関係しないという考え方もあるのです。

ただし、離婚時の裁判では基本的に子どもの幸せを考えます。

そのため、母親側に親権を持たせることに問題がある場合であれば、父親側に親権を持たせるように働くでしょう。

親権を決めるにあたっては、離婚時の協議離婚における話し合いで問題なく話し合いを決めることが重要です。

この話し合いで問題がある場合は、弁護士に相談したうえで滞りなく話し合いを済ませることをおすすめします。

親権を含めた協議離婚での話し合いで決着すれば、裁判手続きを経ることなく決まるので、手早く離婚問題を解消することができ、親権や養育費など子どもの関係を含めた関りについて決着することが可能です。

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6.離婚前に親権を決める手続きと離婚までの流れ

「離婚する」といっても、離婚に至るまでにはいくつかの方法があります。

まずは「協議離婚」で、夫婦間で離婚する旨の合意が得られた場合の離婚であり、離婚届を作成してこれを管轄の役所に提出すれば離婚が成立します。

協議離婚のメリットは手早く簡単に離婚が成立する点であり、新しい生活を少しでも早く始めたい場合には大きなメリットになるでしょう。

親権や養育費などのお金の関係についても、この協議の中で話し合われます。

次に調停離婚は、家庭裁判所が選出した調停員による調停で、離婚に向けた協議が行われ、離婚に至る場合はその条件についてもこの場で話し合われます。

家庭裁判所の介入があるといってもあくまで調停に過ぎないため、この段階では離婚についての強制力はありません。

そうなると「裁判離婚」になるので、判決が出れば合意なく離婚することができます。

離婚判決が下されるためには法定の理由が存在しなければならないため、それを証明できる客観的な証拠の提出が必要です。

通常の裁判と同様に、何度も裁判所に足を運ぶ必要があり、提出した証拠によっては離婚判決が下されないリスクもあります。

協議離婚であれば合意当日に離婚を成立させることもできますが、裁判になってしまえば前段階の調停も含めて相当な時間を要することになるでしょう。

それでも離婚したいのであれば、裁判を有利に進められるように離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

お子さんも両親の離婚で不安になっているでしょうから、できれば協議離婚で早めに家族関係を清算して、お子さんを安心させてあげると良いでしょう。

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7.父親の親権に関する解決事例

離婚に際して父親側に親権が移った事例としては、母親側に不倫の事実があり、話し合いで父親に親権が移ったという事例があります。

この事例では母親側に親権を争う意思がなく、話し合いで父親側に親権が移って示談に応じた事例です。

裁判になると母親側に親権が移るケースが多いのですが、示談になると母親側が親権を放棄するケースも多くなります。

母親側としても子どもを鬱陶しく思うケースが多くなり、そうなると子どもを手放すケースが多くなるので、父親側が親権を獲得できるケースが多くなります。

子どもの立場としては可哀想になるケースも多いですが、父親としては親権を獲得できるため複雑な気持ちとなるでしょう。

ですが、わが子を可愛いと思うのであれば、親権については真剣に考えるべきです。

よくある話としては、親権を手放した結果、我が子が相手のところで辛辣な思いで過ごすことがあり得ます。

相手に親権が移った場合は、必ずしも子供が幸せになるとは限らないので、子どものことを思うのであれば手元に置いておきたいと思うでしょう。

今後、再婚することを想定するとしても、お子さんを手元に置いておきたいと考えることは決して間違っていません。

お子さんを手元に置いておきながらご自身の幸せも考えるのであれば、再婚相手にお子さんの幸せも含めて計画を立てることを検討することが重要です。

再婚相手に連れ子のことを検討してもらうこともご自身の今後の生活を考えるうえで重要なことになるので、しっかりと話し合って幸せな生活を送ることを考えてください。

お子さんにはできれば母親がいたほうが安定した生活を送れる可能性が高いので、再婚についてはその点も考慮して相手を選ぶと良いでしょう。

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8.親権を弁護士に相談、依頼するメリット

離婚に際して親権を話し合うにあたっては、最終的に裁判に発展することもあります。

そうなると、交渉と法的な知識をもってパートナーと話し合うことになるでしょう。

どうしても親権を獲得したいのであれば、交渉と法的な知識のプロである弁護士の力を借りることが重要です。

裁判では、法的な知識がどうしても必要になります。

親権を含めて離婚を考えているのであれば、法的な知識を持った弁護士を味方につけたうえで相手と話し合うことを念頭に置いておいたほうが良いでしょう。

費用はかかってしまいますが、親権の獲得は離婚時の重要な課題でもあるので、後悔しない結果に終わるためにも弁護士のサポートは欠かせません。

離婚問題に強い弁護士を探し出し、まずは相談からスタートして、信用できる弁護士だと判断したら本格的に依頼して親権問題について解決に導いてもらってください。

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9.父親の親権に関するよくあるQ&A

最後に、離婚時の親権についてよくある質問をまとめてみました。

9-1.父親側は離婚時に親権では不利ですか?

一般的には不利な立場になります。

しかし、交渉や裁判次第では親権を獲得できる可能性があります。

たとえば母親側に生活上の問題がある場合や、子どもの監護を十分にできない状況がある場合などでは父親側に親権が認められる可能性があります。

これについては裁判の結果次第という点もあるので、早めに弁護士(離婚問題に強い)に相談しておくと親権を獲得できる可能性が高まるでしょう。

9-2.親権を得るためには?

まず「子どもを養育する環境」が重要になります。

一般的に女性が有利ですが、収入や養育環境などが整っていない場合だと、それが揃っている相手側に親権が認められる可能性があります。

自身だけでなく実家などの環境が考慮されるため、親権を考えるにあたってはそういった総合的な養育環境が考慮されることを念頭に置いておきましょう。

9-3.子どものことを考えると離婚しないほうが良いのでしょうか?

それはケースバイケースです。

確かにお子さんのことを考えると両親がいたほうが良いのかもしれませんが、ご自身の心身の健康を考えるとそうでもないかもしれません。

DVなどの問題があるのであれば、今後お子さんへの悪影響もあるかもしれませんので、離婚を前提として今後の生活を見直したほうが安全かもしれません。

もちろん、子どもの立場としては両親が揃っていたほうが良いでしょうから、その点を考慮しつつ離婚について検討したほうが良いでしょう。

9-4.どの弁護士も離婚問題に強いのですか?

弁護士によって得意分野は異なり、離婚問題に強い弁護士もいれば借金問題をメインに扱っている弁護士もいます。

離婚をスムーズに進めて親権を獲得するにあたっては、最終的には裁判でご自身に有利な証拠をどれだけ提出できるかが問われますので、離婚問題に強い弁護士に依頼したほうが親権を獲得できる可能性が高くなるのです。

相談した弁護士が離婚問題に強くない場合でも、場合によっては離婚問題に強い弁護士を紹介してくれる可能性もあります。

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10.まとめ

一般的には離婚時に父親が親権を獲得するのは難しいと考えられていますが、状況次第では父親に親権を得ることも可能です。

親権が欲しいというのであれば、まずは離婚問題に強い弁護士に相談して、どのように対処するのが良いのか適切なアドバイスを得ることが重要です。

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担当者

南 陽輔
南 陽輔一歩法律事務所弁護士
■経歴
2004年3月 大阪大学法学部卒業
2007年3月 関西大学法科大学院卒業
2008年12月 弁護士登録(大阪弁護士会所属)
2008年12月 大阪市内の法律事務所で勤務
2021年3月 一歩法律事務所設立

大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件等幅広く法律業務を担当しておりました。2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
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