不当解雇

不当解雇の弁護士費用相場は?相談する際のポイントを解説!

不当解雇の弁護士費用相場は?相談する際のポイントを解説!
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「会社から不当に解雇されてしまった上、サービス残業させられていたので多額の未払い残業代がある。しかし会社が全く取り合ってくれない」

例えばこのような場合、弁護士に依頼することを考える方は多いと思います。その場合、やはり気になるのは弁護士費用がどのくらいかかるか、いつまでに支払わなければいけないかということではないでしょうか。

本記事では、不当解雇とはどのような場合か、不当解雇の解決方法等とともに不当解雇に関わる権利行使を弁護士に依頼した場合の費用の相場、弁護士に相談する際のポイント等を労働問題に強い弁護士が解説します。

1.そもそも不当解雇とは?

不当解雇とは、労働基準法・労働契約法等に定められた解雇の条件を満たしていないにもかかわらず、使用者(会社)が労働契約の途中で一方的に契約解除する行為をいいます。不当解雇にあたる解雇として、(a)労働関係法規によって明文で禁止されている解雇原因に基づく解雇及び、(b)その他の原因に基づく解雇が解雇権濫用にあたる場合があります。

(a)労働関係法規によって禁止されている解雇原因に基づく解雇

労働関係法規によって禁止されている解雇原因としては以下のものが挙げられます。

①差別的な解雇

  • 労働者の国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇(労働基準法第3条)
  • 女性労働者が婚姻・妊娠・出産したこと、産前産後の休業をしたこと等を理由とする解雇(男女雇用機会均等法第9条2項・3項)

②法律上の権利行使を理由とする解雇

  • 業務上の疾病による休業期間及びその後30日間の解雇(労働基準法第19条)
  • 労働者が育児休業・介護休業の申し出をしたこと、または実際にそれらの休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条・第16条)
  • 労働者が労働組合の組合員であることや、組合に加入したり組合を結成しようとしたこと等を理由とする解雇(労働組合法第7条1号)
  • 労働者が労働委員会に対して不当労働行為の救済を申し立てたこと等を理由とする解雇(労働組合法第7条4号)
  • 労働者が労働基準監督署等に対し、使用者の労働基準法違反や労働安全法違反の事実を申告したことを理由とする解雇(労働基準法第104条2項・労働安全衛生法第97条2項)
  • 労働者が都道府県労働局長に紛争解決の援助を求めたこと、またはあっせん/調停を申請したことを理由とする解雇(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条3項・第5条2項・男女雇用機会均等法第17条2項・第18条2項)

(b)解雇権濫用

(a)の労働関係法規によって禁止された解雇に該当しない場合でも、労働契約法第16条が定める「解雇権の濫用」に該当するといえる場合には不当解雇といえます。

この点、労働契約法第16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。従って使用者が労働者を有効に解雇するためには、解雇に客観的に合理的な理由があり、かつ社会通念上相当であると認められることが必要です。つまり、(a)に列挙した解雇にあたらないことが明白な場合でも「合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がなければ、有効に解雇をすることはできないのです。

なお、「解雇」は通常、期間の定めのない労働契約を使用者の一方的な意思によって解除することをいいますが、有期労働契約の場合であっても、やむを得ない事由がある場合でなければ契約期間の途中で解雇することはできません(労働契約法第17条)。

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2. 不当解雇を解決する方法

不当解雇を解決する方法としては、(a)解雇の無効を主張し、復職と会社の主張する解雇日から復職日までの未払賃金の支払いを求める、または(b)解雇の無効を主張しつつ、円満退職に向けての解決金(慰謝料等を請求する場合にはこれらも含む)の支払を求めるといういずれかの交渉を行い、交渉で双方が合意できなかった場合は紛争解決制度を利用することになります。

本章では不当解雇解決に向けて労働者がとることができる方法について解説します。

2-1.自分で会社と交渉する

解雇が不当であることが明白であり、それを主張するための証拠も揃えているような場合には自身で会社と解雇撤回を求める交渉をすることもできるでしょう。

その場合、労働局や労働基準監督署に併設されている総合労働相談コーナーや都道府県の労働相談コーナー等に相談すると、必要手続き等を案内してもらうことができます。また、都道府県労働委員会が会社との交渉を仲裁してくれる「あっせん手続」を利用することができます。これらの相談や手続き利用には費用がかかりません。

ただし、行政官庁の労働相談コーナーは従業員の代理人となることはできないので、交渉やそれに伴う内容証明郵便送付等の手続きは全て自分で行う必要があります。また、あっせん手続を利用した場合に会社側が話し合いに参加しなければ手続きは終了します。

2-2.労働組合に加入して団体交渉権を行使する

労働者が解雇の撤回を求めると会社側が顧問等の弁護士を代理人として立ててくることも多く、その場合、労働者自身が会社と対等に交渉することは困難でしょう。このような場合には、まず労働組合に相談するという方法があります。

労働組合は労働組合法で認められた団体交渉権を持つので、不当解雇を争う場合も組合として会社と交渉することができます。また、会社側が交渉を拒否したり放置したりすることは労働組合法で禁止された不当労働行為(不誠実団体交渉:労働組合法第7条)にあたります。団体交渉権行使によって解雇の撤回等を求めるにあたっては、労働組合に加入することが必要となります。勤めていた会社に労働組合があれば、自社の労働組合に相談することができます。

自社の労働組合がない場合は合同労組(ユニオン)に加入するという方法があります。合同労組は労働問題の交渉に豊富な実績を持ち、勤務する会社を解雇された場合でも労働者個人で加入することができます。

労働組合に加入して団体交渉する場合には一定の費用がかかりますが、弁護士費用に比べると安いという特徴がある一方で、交渉が功を奏さない時には、別途弁護士に依頼しなければ訴訟等の法的手続きを採ることができないという点で終局的な解決を目指せないというデメリットがあります。

2-3.交渉を弁護士に依頼する

解雇に納得ができないという場合はもちろん、「解雇された会社で長期にわたりサービス残業を強いられていた」「上司のパワハラで鬱になり仕事ができない状態になったために解雇された」等、解雇を争うともに多額の未払い残業代や慰謝料を請求したいという場合には特に、会社との交渉を弁護士に依頼するのが得策です。

弁護士に交渉の代理を依頼すると費用がかかりますが、後述のように多くの法律事務所では初回相談や初回相談の一定の時間を無料にしているので、費用の見積もりや交渉の見通し等を詳しく聞くことができます。

3. 不当解雇を弁護士に依頼した場合の費用相場と内訳、支払方法について

不当解雇の撤回や未払賃金支払い等を求める交渉を弁護士に依頼する場合、やはり弁護士費用が気になると思います。

弁護士費用については、以前は日弁連が定めた弁護士報酬基準(旧報酬基準)によって一律に決められていましたが、現在では旧報酬規定が廃止されたため報酬体系が自由化されています。本章では、不当解雇をめぐる請求を弁護士に依頼した場合の費用相場・内訳・支払方法について解説します。

3-1. 相談料

相談料について、旧報酬基準では個人の場合「30分ごとに5,000円から1万円の範囲内の一定額」と定められていました。現在もこの料金を採用して「30分5,000円・1時間1万円(税別)」と定める法律事務所が多いのですが、特に依頼者が個人の場合は初回相談あるいは初回相談のうち一定時間(30分~1時間)を無料にしている法律事務所が多くあります。

また、来所が難しい依頼者に向けてLINEやメッセンジャー、ZOOM等でのオンライン無料相談を行っている所もあります。

3-2. 着手金

旧報酬基準では弁護士に業務を依頼する場合には着手金を支払う必要があり、着手金額については最低額を10万円として、以下のように定められていました。

経済的利益(未払賃金・逸失利益・慰謝料等)報酬割合(消費税別)
300万円以下8%または10万円のいずれか多い方
300万円~3,000万円5%+9万円
3,000万円~3億円3%+169万円
3億円以上2%+369万円

現在も旧報酬基準に従う形で着手金を定めている法律事務所もありますが、後述のよう成功報酬型の報酬体系をとっている法律事務所ではほとんどの場合着手金が無料になっています。

また、不当解雇事件の場合は、下記の例のように交渉・労働審判・訴訟の手続別に着手金を定め、また交渉不成立の場合に①労働審判申立を行った場合と②訴訟提起した場合とでそれぞれ追加の着手金を設定している法律事務所もあります。

弁護士が受任する法律事務報酬(消費税別)
会社との交渉10万円
労働審判20万円
訴訟手続30万円
交渉不成立で労働審判申立の場合10万円
交渉不成立で訴訟提起の場合20万円

3-3. 事務手数料

着手金・報酬とは別に事務手数料がかかる場合があります。労働問題の場合は交渉・審判・訴訟(第一審)に分けて設定しているところが多いようです。その場合、相場は税別で交渉1万円程度、審判・訴訟2万円~3万円程度となります。

3-4. 報酬金

着手金を無料にしていない法律事務所では、報酬金についても旧報酬基準を採用していることが多いと思います。

経済的利益(未払賃金・逸失利益・慰謝料等)報酬割合(税別)
300万円以下16%
300万円超~3,000万円以下10%+18万円
3,000万円超~3億円以下6%+138万円
3億円を超える場合4%+738万円

着手金を無料にする成功報酬型をとっている法律事務所においては、旧報酬基準よりも報酬割合が高く、例えば300万円以下の場合には、20%~30%程度としているものが多いように思います。

また、元の仕事に復帰することができた場合は獲得できた「経済的利益」の算出が難しいため、一律に「解雇前の賃金2~3か月分に相当する金額」を報酬とする場合があるようです。

さらに、復帰の経緯(交渉によって復帰できたか審判・訴訟によって復帰できたか)によって加算する賃金割合を別にしている場合もあります。例えば交渉によって復帰できた場合は賃金2か月分、審判によって復帰できた場合は3か月分、訴訟によって復帰できた場合は4か月分という形です。

3-5. その他費用

交通費実費、内容証明郵便の切手代、裁判所の訴状等送達用の印紙代等の実費が含まれます。遠方に出張する場合、出張日当がかかる場合もあります。出張日当の相場は税別で半日1万円~15,000円、1日2万円~3万円となります。

3-6. 支払方法について

支払方法については現金や銀行振り込みがいまだに腫瘤ですが、クレジットカードでのお支払に対応している法律事務所も少なくありません。また、PayPay等の電子決済が利用できる法律事務所も出てきています。

また、報酬金においては、会社側から支払われる未払い賃金や慰謝料等の経済的利益の振込先を当該法律事務所に指定し、法律事務所がいったん全額を受け取ってから報酬額を差し引いた額を依頼者の口座に振り込む形式をとる場合が多いです。

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4. 不当解雇を弁護士に相談・依頼するメリット

本章では、不当解雇された場合に労働者側の権利行使を弁護士に依頼するメリットについて解説します。

4-1.個人で会社と交渉することは難しい

会社を解雇された従業員が、一人で会社に対して解雇の撤回を求めたり、未払い賃金支払請求や慰謝料請求を行うことは非常に困難です。不当解雇に対しては総合労働相談センターなどの相談機関を利用することも可能ですが、相談機関は従業員個人の代理人となることはできないので会社との交渉や法的手続き等は全て本人が行う必要があります。

4-2. 労働組合は対等な交渉が可能だが全ての権利行使に対応していない

前述のように、労働組合に加入した場合は団体交渉権行使により、会社と対等に交渉することができます。ただし、労働組合は訴訟手続の代理を行うことができません(弁護士法第72条により、訴訟手続代理を行うことができるのは弁護士に限られます)。そのため、交渉が成立しなかった場合に解雇無効主張や金銭的な請求を行うには改めて弁護士に依頼する必要があります。

4-3. 弁護士に相談・依頼するメリット

(1)会社との交渉や訴訟等の法的手続を全て任せることができる

この点、不当解雇等の労働問題に強い弁護士に依頼することにより、解雇無効の主張と慰謝料請求に向けて必要な会社との交渉や労働審判・訴訟等の法的手続きを全て任せることができます。

従業員が会社に交渉を求めても応じてくれなかったり、あるいは顧問弁護士を立ててきて従業員側が不利な立場になることが多いのですが、従業員側が弁護士に依頼することにより会社側が無視できなくなり交渉に応じてくれるようになります。また、会社側が弁護士に依頼している場合も対等に交渉を行うことができます。

さらに、少しでも多く慰謝料が受け取れるような証拠収集の方法についてアドバイスを受けたり、証拠収集にあたって公的機関に対する申請が必要な場合は申請手続きを代行してもらうこともできる場合があります。

前述のように多くの法律事務所では初回相談や初回相談の一部の時間を無料としているので、無料相談を利用して費用見積もりや支払方法、弁護士側の労力を抑えるために依頼者側ができること等を相談することもできます。

(2)当面の生活費が心配な場合は賃金仮払い仮処分命令の申立てが可能

不当解雇の解決のために弁護士に交渉を依頼する場合、どうしても不安になるのが「当面の生活資金」ではないでしょうか。仮に弁護士費用が成功報酬制度等で後払いにしてもらえるとしても、何か月もの間給料が入らない状態で生活しなければならない。失業給付を受けて別の仕事を探すこともできるが、現状は離職票に「解雇」と書かれてしまった状態なので簡単に仕事が見つかるかどうかわからない・・。

このような悩みに対して、もし会社に対して解雇の撤回と従業員の地位確認を求める場合には、裁判所に対して「従業員の地位保全仮処分」と「賃金仮払い仮処分命令申立てを行う」という解決策があります。

従業員の地位保全仮処分命令及び賃金仮払い仮処分命令は、民事保全法第23条に定められた仮処分命令のうち、「争いがある権利関係について債権者(この場合は従業員)に生ずる著しい損害または急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに」裁判所が発する命令にあたります。つまり、従業員の地位という権利関係を争っている間、解雇された従業員が従業員の地位を失うことにより、生活費を得られない・社会保険資格を失う等の著しい損害を受けることになります。それを避けるためにこれらの仮処分命令を申立てることができます。

裁判実務上、従業員の地位保全命令については否定される場合がありますが、賃金仮払い仮処分命令については、家族の収入・資産や本人の資産が一定以上あることを会社側が反証した場合を除いて認められる場合が多いです。ただし、仮払いの金額・期間についてはケースバイケースで判断されるので、金額については本人の生活に必要な限度に制限される可能性があります。また、期間についても最大1年程度までに制限されることが多いといえるでしょう。

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5. 不当解雇を弁護士に相談・依頼するときのコツやポイント

不当解雇のトラブル解決を弁護士に依頼する場合も、できるだけ費用を抑えたいところです。本章では、解雇のトラブル解決を弁護士に相談・依頼するときのコツやポイントについて解説します。

5-1. 労働問題を専門とする弁護士に相談する

まず、最小限の費用で最大限の成果を得るための必須条件となるのが「労働問題を専門とする弁護士」のいる法律事務所に相談することです。お住まいの地域に近く、労働問題を専門としていて不当解雇問題の解決実績を持つ弁護士が在籍している法律事務所をネットで検索するのが得策といえます。

5-2. 初回相談無料の法律事務所で見積もりをとる

労働問題を専門とする弁護士のいる法律事務所の中でも、初回相談あるいは初回相談の一定の時間(30分~1時間)を無料としているところが多くあります。無料相談の時間内で、問題解決の見通しとともに費用について詳細な見積もりをとることができます。

5-3. 着手金ゼロ・成功報酬型の法律事務所に依頼する

不当解雇を争う場合、本人は生活の糧である仕事を辞めさせられてしまった状態なので、直近の支出は極力抑えたいところです。今すぐの支出は難しいという方は、労働問題を専門としつつ「成功報酬型」の報酬体系をとる法律事務所を選ぶことをおすすめします。

6. まとめ

上述のように、不当解雇された従業員が個人で会社と交渉することは困難です。会社側が交渉に応じなかったり、強硬な態度を崩さないことも多くあります。また、不当解雇の背景にパワハラやセクハラ・サービス残業等の会社側の違法行為がある場合は解雇の撤回/無効主張以外にも複数の権利を行使することができるのですが、それを行おうとすると具体的な請求金額の算定等で専門知識が必要となります。

不当解雇のトラブル解決を弁護士に依頼すれば、解雇自体の撤回を認めてもらえる可能性はあるか、その他にハラスメントや残業代未払い等の違法行為があったか、その場合どの請求名義でどの程度の金額の請求が可能であるか等を明らかにした上で、会社との交渉を全て任せることができます。それによって会社に復帰することや、個人で請求するのが困難な金額の支払いを認めてもらえる可能性が高くなります。

費用や支払いについては無料相談の時間内に、相談者の方に理解して頂けるまで詳細にご説明しますので、不安な点があれば遠慮なく弁護士に相談してください。

私たち法律事務所リーガルスマートは、解雇・退職勧奨のトラブルをはじめとする労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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