慰謝料請求したい

不倫の慰謝料請求は裁判ですべき?メリットや流れを弁護士が解説

不倫の慰謝料請求は裁判ですべき?メリットや流れを弁護士が解説
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配偶者の不倫が発覚したとき、「不倫相手に対して何としても慰謝料を請求したい。相手が支払いに応じなければ裁判で決着をつけたい。しかし裁判になると弁護士費用も時間もかかりそうだし、証拠集めもしなければならないので大変そうだ・・。」このように、不倫の慰謝料請求を裁判で行うべきか否かで悩む方は少なくないと思います。

本記事では、不倫の慰謝料請求を裁判で行うメリットやデメリット、慰謝料請求訴訟の手続の流れ等について解説します。

目次

1.不倫慰謝料請求を裁判ですべきか

結論からいえば、慰謝料請求するための条件を満たしていて、証拠も揃えることができていれば、裁判で慰謝料請求が認められる可能性が高いので、示談交渉がまとまらない場合には、裁判での解決も積極的に検討すべきでしょう。

ただし、慰謝料請求訴訟を提起するかどうかは、あくまで個別に検討する必要があるでしょう。

2.不倫慰謝料請求を裁判で争うメリット

不倫の慰謝料請求を裁判で争うことは最終的な手段となりますが、裁判で争うことには以下のようなメリットがあります。

2-1.判決に強制力がある

訴訟手続が完結した場合、その内容には強制力(執行力)が生じます。終局判決の判決文の他、和解交渉が成立した場合の和解調書(民事訴訟法第267条)についても強制力が生じます。

従って、例えば終局判決で下された「被告は原告に対して100万円の支払え」との判決文に対して、被告が100万円を支払わない場合、原告側は判決文を債務名義(根拠)として100万円を超えない範囲で被告の財産を差し押えることができます(民事執行法第22条1号)。これは和解で慰謝料請求が認められた場合も同じです(民事訴訟法第267条・民事執行法第22条7号)。

2-2. 探偵事務所に依頼した場合調査費用支払いを認めてもらえる可能性がある

不倫の慰謝料請求を確実に認めてもらうためには、不貞行為の事実を裏付ける証拠を得ることが大切です。しかし決定的な証拠ほど個人が収集することが困難になるため、しばしば探偵事務所に調査を依頼することが必要になってきます。探偵事務所の調査費用は数十万円かかってしまうことも多いのですが、裁判で慰謝料請求が認められた場合、被告に対して慰謝料とともに「不貞行為と因果関係のある損害」として認めうる範囲で、(財産的損害の賠償金として)調査費用の支払いも認めてもらえる可能性があります。

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3.不倫慰謝料請求を裁判で争うデメリット

他方、不倫慰謝料請求を裁判で争うことには以下のようなデメリットがあります。

3-1. 費用と時間がかかる

裁判で争う上でネックとなるのが、訴訟完結に至るまでに多額の費用と時間がかかる可能性があることです。費用については5章で述べますが、裁判所に支払う費用・弁護士費用がかかります。

請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所で裁判が行われ、早くて3~4か月、あるいは半年程度で判決が出るほか、途中で和解交渉を行って終結する可能性もあるでしょう。

請求額が140万円を超える場合は地方裁判所で裁判が行われ、判決まで早くて半年、多くの場合1年前後の時間がかかるでしょう。

このような時間がかかるのには、裁判の進め方に理由があります。

すなわち、裁判は、訴訟提起してから最初の弁論(裁判)期日まで1か月~1ヶ月半かかり、その後も弁論(裁判)期日は1か月~1か月半に1回しか行われないということがあります。ただし、途中で和解交渉を行って早期に和解が成立する場合には半年以下ですむこともあります。

慰謝料請求が認められなかった(請求を棄却された)場合には高等裁判所(第一審が簡易裁判所である場合は地方裁判所)に控訴し、控訴審でも認められなければ最高裁(第二審が地方裁判所である場合は、憲法解釈問題を除いて高等裁判所)に上告することが可能です。しかし上訴する場合にはそれぞれ第一審と同程度の時間がかかります。

3-2. 請求の全部または一部が認められない可能性がある

裁判で争うことのデメリットの2つ目は「費用と時間をかけて争っても請求が100%認められるとは限らない」ことです。判例上も不倫の慰謝料請求が認められなかったケースは多くあるほか、「550万円の請求に対して330万円の支払いを認めた」というように、原告の請求額よりも認容額が少なくなることもしばしばあります(なお、請求が認められる場合は原告側の弁護士費用の10%の支払いも加算されます)。

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4.不倫の慰謝料請求の裁判の流れ

本章では、不倫の慰謝料請求訴訟の手続の流れを解説します。

4-1. 訴訟提起

まず、被告の住所地を管轄する地方裁判所(請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所)に対して訴状と証拠資料を提出します。訴状等を受理した裁判所から被告に対して訴状が送達されます。

4-2. 口頭弁論及び和解交渉

訴訟提起から1か月~1か月半後に、第一回口頭弁論が行われます。以後、1か月~1ヶ月半ごとに口頭弁論期日が設けられます。複数回の弁論(又は弁論準備期日)を経て、双方の主張が出そろったところで裁判官が当事者に和解交渉を促すことが一般的です(民訴法第89条)。

また、双方の弁護士も和解の申し入れを行うことができます。和解交渉を行う場合は弁論手続は中止され、交渉が成立すれば訴訟が完結します。

4-3. 証人尋問・当事者尋問

和解交渉が不成立の場合、または和解手続を行わない場合は証人尋問及び原告・被告の当事者尋問を行います。この手続では原告側及び被告側の証人や、原告・被告本人が双方の弁護士から質問を受ける形で証言を行うことが多いです。

4-4. 判決

和解交渉不成立の場合は証人尋問・当事者尋問を経て判決が下されます。判決日から14日の間に当事者が控訴しなかった場合には判決は確定します。

判決内容に対して不服がある場合、判決日から14日以内に高等裁判所(簡易裁判所の判決に対しては地方裁判所)に控訴することができます。また、第二審の高等裁判所の判決に対しては最高裁判所、第二審が地方裁判所である場合は高等裁判所に上告することができます。上告審が高等裁判所である場合、憲法解釈の問題に限って最高裁判所に上訴することができます。

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5.裁判でかかる期間と費用の相場

本章では、不倫の慰謝料請求を裁判で争う場合、具体的にどの程度の期間や費用を見積もる必要があるかについて解説します。

5-1. 期間

裁判にかかる期間は、第一審が地方裁判所の場合は半年~1年程度、簡易裁判所の場合は3か月~半年程度となることが多いでしょう。

途中で和解が成立した場合はこれより短期間で終了する可能性があります。

5-2. 費用の相場

(1)裁判所に支払う費用

訴訟提起の際に、裁判所に対して支払う手数料(印紙代)は100万円までは10万円ごとに1,000円、100万円を超えて500万円までは20万円ごとに1,000円、500万円を超えて1,000万円までは50万円ごとに2,000円、1,000万円を超えて10億円までは100万円ごとに3,000円ずつ加算されます。おおまかな金額の目安は以下のとおりです。

(参照:裁判所「手数料額早見表」)

請求額印紙代
50万円5,000円
100万円10,000円
200万円15,000円
300万円20,000円
500万円30,000円
1,000万円50,000円

印紙代に加えて、訴状送達の切手代も支払う必要があります。

(2)弁護士費用

以前は、弁護士報酬については報酬規定が存在しました。しかし現在では報酬規定は廃止され、各法律事務所が自由に定めることが可能になりました。もっとも、部分的に旧報酬規定を採用したり、旧報酬規定に準じた報酬体系をとっている法律事務所も多くあります。

①相談料

初回の法律相談料について、旧報酬規定では依頼者が個人の場合「30分ごとに5,000円から1万円の範囲内の一定額」と定められていました。現在もこの料金を採用して「30分5,000円・1時間1万円(税別)」と定める法律事務所が多いのですが、不倫の慰謝料請求のように依頼者が個人の場合は初回相談または初回相談の一定時間(30分~1時間)を無料にしている法律事務所が多くあります。また、初回の無料相談を電話・LINEやメールで行っている所もあります。

②着手金

旧報酬規定では、弁護士に業務を依頼する場合には着手金を支払う必要があり、着手金額については最低額を10万円として、以下のように定められていました。

経済的利益(慰謝料請求額)報酬割合(消費税別)
300万円以下8%または10万円のいずれか多い方
300万円~3,000万円5%+9万円
3,000万円~3億円3%+169万円
3億円以上2%+369万円

現在も旧報酬規定に従う形で着手金を定めている法律事務所もあります。もっとも、着手金を無料にする法律事務所が増えています。

成功報酬型の報酬体系をとっている法律事務所では、ほとんどの場合着手金が無料になっています。なお、着手金とは別に事務手数料がかかる場合があります。不倫の慰謝料請求の場合は交渉(または内容証明作成+送付)・訴訟(第一審)に分けて設定しているところが多いです。その場合、相場は税別で交渉1万円程度、訴訟2万円~3万円程度となります。

離婚手続の中で不倫の慰謝料を請求する場合は交渉1万円程度、調停1万円程度、訴訟2万円~3万円程度となります。

なお、着手金を無料とする法律事務所では、そうでない事務所と比べて報酬金の割合が高く設定されていることがあるので注意が必要です。

③報酬金

旧報酬規定では以下の割合となります。

経済的利益(裁判で認められた慰謝料額)報酬割合(税別)
300万円以下16%
300万円超~3,000万円以下10%+18万円
3,000万円超~3億円以下6%+138万円
3億円を超える場合4%+738万円

不倫慰謝料の相場は50~300万円なので、現在も多くの法律事務所が旧報酬規定の「300万円以下」の項目に準じた報酬額を定めています(ただし、この場合には、着手金についても旧報酬規定に準じた金額を設定していることが多いでしょう)。

成功報酬制をとる場合は、報酬に着手金や手数料・実費等を加算するので、旧報酬規定の基準よりも高くなることが多いです。

④実費

交通費実費、内容証明郵便の郵送料、裁判所の印紙代・訴状等送達用の切手代等の実費が含まれます。

⑤日当

遠方に出張する場合、日当がかかる場合もあります。出張日当の相場は税別で半日1万円~15,000円、1日2万円~3万円となります。

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6.不倫の裁判で請求できる慰謝料の相場

不倫相手に対して慰謝料請求する場合、最も気になるのが「どのくらい慰謝料を取れるか」ということだと思います。本章では、不倫の慰謝料請求訴訟で最終的に認められる慰謝料額の相場について解説します。

6-1. 相場は50万円~150万円程度

配偶者の不倫が原因で離婚を求める場合、最終手段としての訴訟は離婚請求訴訟(民法第770条)となり、慰謝料請求についても離婚請求訴訟の中で審理されます。

このように配偶者に対して慰謝料を請求することもあれば、配偶者に対しては離婚を求めずに不倫相手に対して慰謝料を請求する場合も多いです。

離婚を求めない場合には「不倫が原因で婚姻が破綻した」という状況ではないため、配偶者と不倫相手による貞操権侵害に対する慰謝料のみ請求することができます。このため、離婚を求める場合に比べると慰謝料額の相場は低くなり、おおむね50万円~150万円とされています。

6-2. 事情により相場より高い慰謝料額が認められる場合もある

ただし、離婚を求めない場合であっても、配偶者や浮気相手の財産状況、婚姻継続期間と浮気の継続期間、未成熟の子の有無や年齢、浮気の経緯、被害者が受けた精神的苦痛の程度等の諸事情を考慮して、相場を上回る額の慰謝料が認められたケースもあります。従って、特に被告側の資力が高く、かつ被害者が精神疾患を発症したという事情、さらに被害者が妊娠・出産していた時期に不貞行為が行われていたという事情がある場合等は、相場よりも高い慰謝料額が認められる可能性があるといえます。

例えば東京地方裁判所2004[H16]年4月23日付判決は、婚姻期間3年・浮気継続期間2年半で被害者(妻)がうつ病及び自律神経失調症を発症していたケースで、判決は被告の浮気相手の女性に対して400万円の支払いを命じました。

7.裁判で不倫慰謝料を請求できるケース

本章では、裁判で不倫慰謝料を請求することができるケース(裁判での不倫慰謝料請求の条件)について解説します。

7-1.不倫が行われた時点で婚姻関係が破綻していなかった

慰謝料請求権は配偶者に対する貞操権侵害を根拠としています。従って、既婚者が配偶者以外の相手と性的関係を持った場合に、最初に性的関係を持った時点で婚姻関係が破綻していたとはいえない場合には貞操権侵害が認められます。婚姻関係が破綻していたといえるか否かが争われた場合は、最終的に裁判官が婚姻状況を総合的に考慮して判断することになります。

7-2. 不倫相手の身元が特定できている

まず、不倫相手の氏名・住所が特定できていることが必要になります。この点、配偶者に対する慰謝料請求は不倫相手の氏名住所が不明でも可能です。しかし不倫相手に対して慰謝料請求する場合は、人違いが許されないことはもちろん、慰謝料請求の内容証明や訴状を送る際にも必ず相手の氏名・住所が特定できていなければなりません。

7-3. 被害者が不倫相手を特定した時点から3年経過していない

配偶者に対して慰謝料請求する場合は民法第724条1号の「加害者を知った時」という要件が問題にならないのに対して、不倫相手に対して慰謝料請求する場合は「加害者を知った時」つまり被害者が不倫相手を特定した時が起算点になります。

通常は不倫の事実発覚よりも不倫相手特定のほうが後になるので、被害者が不倫相手を特定した時点から3年経過していない時点では不倫相手に対する慰謝料請求が認められます。

なお、被害者が不倫相手を特定できなかった場合も、最後に貞操権侵害行為が行われた時から20年経過した場合も慰謝料請求権が認められないことになります。

7-4. 性的関係を持った相手が既婚者であることを知り又は過失により知らなかった

貞操権侵害行為が行われた場合、既婚者と不倫相手とは既婚者の配偶者に対する1個の慰謝料支払義務について連帯責任を負うことになります(民法第719条1項:共同不法行為)。

しかし不倫相手が共同不法行為者と認められるのは、貞操権侵害の故意又は過失がある場合、つまり相手が既婚者であることを知り又は過失により知らなかった場合に限られます。従って、相手が既婚であるかどうかを全く話さなかったり、あるいは「独身である」「配偶者とは離婚した」等と偽っていた場合には不倫相手に貞操権侵害の故意や過失が認められない可能性があります。

なお、裁判では原告側(慰謝料請求する側)が、被告(不倫相手)に貞操権侵害の故意又は過失があったこと、すなわち性的関係を持った時点で相手(原告の配偶者)が既婚者であることを知っていた又は過失により知らなかった旨を立証する必要があります。

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8.裁判で不倫慰謝料を請求できないケース

逆に、裁判で不倫慰謝料を請求することができないのは以下のような場合です。

8-1. 性的関係を持った事実がない場合

配偶者が結婚後に第三者と交際した事実はあるが、性的関係を持った事実がない場合、またはその事実を証明できなかった場合は原則として慰謝料請求が認められません。

ただし、性的関係を持った事実を証明できなかった場合でもその交際によって婚姻が破綻したといえるような事情がある場合などには、不倫相手に対する慰謝料請求が例外的に認められるケースもあるでしょう。

8-2. 性的関係を持った時点で夫婦関係が破綻していた場合

最初に性的関係を持った時点で既に別居中である等、婚姻関係が破綻していた場合には貞操権を侵害したとはいえないことになります。この点、一方が他方の不倫の事実を知らないまま不仲になり別居している間に不倫が発覚したというような状況でも、不貞行為と婚姻破綻の間に因果関係があるとはいえないため貞操権侵害は認められないことになります。

8-3. 不倫相手を特定できない場合

不倫相手の身元を特定できない場合も配偶者に対する慰謝料請求は可能ですが、最低でも住所と氏名が特定できていなければ不倫相手に対して慰謝料請求することはできません。

8-4. 相手が既婚者であることを知らなかったか「独身である」等と偽られた場合

不倫相手が、慰謝料を請求された時点までその相手が既婚者であることを知らなかった場合、あるいは既婚者側が「自分は独身である」「妻とは離婚した」「離婚協議中である」等と偽っていた場合には不倫相手に貞操権侵害の故意又は過失が認められず、被害者から不倫相手に対する慰謝料請求は認められない可能性があります。

8-5. 不倫の事実が発覚して被害者が不倫相手を特定した時点から3年経過した場合

配偶者に対する慰謝料請求では民法第724条1号の「加害者の特定」が問題となりませんが、不倫相手に対する慰謝料請求では加害者(不倫相手)が特定されていることが必要となるため、消滅時効も不倫相手が特定された時点から進行します。この場合の「特定」は何らかの方法で請求が可能になることを意味するので、氏名までは必要ではなく、住所が特定されていれば足りると解されています。

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9.不倫慰謝料を請求する際に重要となる証拠

慰謝料請求の示談交渉の段階では、証拠がなくても請求することが可能です。しかし交渉による示談が成立せず、裁判で慰謝料を請求することになった場合には、請求する側が裁判官に「不貞行為の事実があったこと」及び「既婚者であると知っていたこと(貞操権侵害の故意)」」等について確証を得させる程度の証拠を提示する必要があります。

9-1. 不倫の事実について確証を得させる程度の証拠

★★は単独で有力な証拠となるもの、★は単独で有力な証拠になるとはいえないが、他の証拠とあわせれば証拠価値を持つと考えられるものです。

★★配偶者と第三者がラブホテルや宿泊施設に出入りする場面の動画や写真

★★配偶者と第三者との、性的関係を推測させる外出場面の動画

★★産婦人科の診療明細等、妊娠や人工妊娠中絶の事実を証明する資料

★★探偵事務所の調査報告書(上記に挙げた動画・音声等を含む)

★SNS投稿で配偶者と当該第三者の性的関係を推測させる内容のもの

★配偶者の手帳、日記、メモ等で当該第三者と会う予定が記録されたもの

★クレジットカードの利用履歴やレシート類で宿泊施設を利用したことがわかるもの

★GPSのデータ(ラブホテル他の宿泊施設に行ったことを推測させるもの)

★ドライブレコーダーやカーナビの履歴で不倫目的の外出や行先を推測させるもの

9-2.貞操権侵害の故意について確証を得させる程度の証拠

★★配偶者と第三者との、性的関係及び貞操権侵害の故意があったことを推測させる内容の通話音声(例えば「嫁にバレる」「奥さんにバレないように」等の言葉が入っているもの)

★★配偶者と第三者とのメール、LINE、手紙等のやり取りで性的関係及び貞操権侵害の故意があったことを推測させる内容のもの(例えば「妻」「嫁」「奥さん」等の、被害者を示す言葉が入っているもの)

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10.不倫慰謝料を弁護士に相談するメリット

不倫相手に対して裁判で慰謝料請求するにあたっては、不倫相手の身元の特定に始まり証拠収集・裁判での不倫の事実・貞操権侵害の故意の立証等、被害者が個人で行うことが困難な問題が多くあります。

この点、不倫相手に対する慰謝料請求について弁護士に相談することで、これらの問題を解決することができます。本章では、不倫相手から慰謝料請求を取ることを弁護士に相談するメリットについて解説します。

10-1. 不倫相手の特定が容易になる

不倫相手に対する慰謝料請求で、まず最初にネックとなりやすいのが不倫相手の住所氏名を特定することです。現在では個人情報に対する規制が強くなり、第三者が個人の住所や氏名を特定することは難しくなっています。

この点、不倫相手の固定電話・携帯電話のいずれかの番号または所有する車のナンバープレート等が判明している場合は、弁護士に相談すれば弁護士照会制度を利用して、通信事業者や運輸局に対して登録者住所氏名照会を行うことで相手方を特定することができる可能性があります。

10-2.証拠収集方法について助言を受けられる

(1)証拠収集を被害者本人が行うことは困難

次に障壁となるのが「不倫の証拠集め」です。配偶者や不倫相手が不倫の事実をすぐに認めて慰謝料請求に応じてくれれば証拠は必要ありません。

しかし、訴訟で慰謝料請求する場合、原告側(離婚や慰謝料を請求する側)が配偶者の不倫の事実を立証しなければなりません。

(2)弁護士に相談すれば証拠収集の悩みが解決する

この点、男女問題に強い弁護士に相談すれば個別の事情に応じて必要となる証拠の種類や、それぞれの証拠の集め方について詳しいアドバイスを受けることができます。さらに、必要な場合は信用できる探偵事務所(興信所)を紹介してもらうことができます。

10-3. 適正な請求額を算定してもらえる

不倫相手に対して裁判で慰謝料を請求する場合、さらに問題となるのが「いくらぐらい請求できるか」ということだと思います。被害者が憤りにかられて不倫相手から多額の慰謝料を取りたいと思うのは当然です。

しかし、慰謝料額の算定にあたっては、不倫が行われた状況、結婚生活の状況、配偶者に対して離婚を求めるか求めないか、離婚を求める場合は他に財産分与や養育費等財産的な問題で交渉する必要があるか否か、離婚を求めない場合は配偶者と不倫相手の一方または両方に請求するか等、さまざまな要素を総合的に判断して行う必要があります。

弁護士に相談することにより、経験に基づいて適正な慰謝料額を算定してもらうことができます。

10-4. 法的手続をすべて任せることができる

訴訟手続に限らず、不倫相手との交渉も被害者個人にとってはネックとなりがちです。被害者名義で内容証明を送っても相手が無視したり、交渉に応じてくれない可能性があります。あるいは相手側が弁護士に交渉代理を依頼するということも想定されます。

弁護士に相談することにより、弁護士名義での慰謝料請求が可能になるので相手が交渉に応じてくれる可能性が高くなりますまた相手側が弁護士を立てている場合でも、対等に交渉することができます。さらに裁判で慰謝料請求する場合も、訴状作成や証拠の提出、期日出席等の訴訟関連の手続をすべて任せることができます。

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11.不倫裁判に関するよくあるQ&A

本章では、不倫の慰謝料を請求する方から裁判に関してよく頂いている質問とそれに対する回答を御紹介します。

11-1.メールやLINEのやり取りなども証拠として有効ですか?

配偶者と第三者が性的関係を持ったことを推測させる内容のやり取りであれば、有効な証拠となりえます。ただし、画面のスクリーンショットは容易に加工できるため証拠として認められにくいので、スクショではなくその画面を撮影するようにしてください。

11-2.不倫相手が「相手は独身であると言っていた」と主張して慰謝料請求を拒否している場合も裁判で請求が認められる可能性はありますか?

この場合、裁判では貞操権侵害の故意又は過失があったことを原告側が立証する必要があります。貞操権侵害の故意、つまり相手が既婚者であることを当初から知りながら性的関係を持ったということを立証する上で、証拠として配偶者と不倫相手の間に「妻」「奥さん」という言葉が使われたやり取りのメッセージや音声を集めることが必要です。ただし、音声については被害者が単独で得ることが困難なので、LINEやメールのやり取り等を得ることができれば、貞操権侵害の故意又は過失を立証できる可能性があります。

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12.まとめ

不倫の慰謝料請求は、まず不倫当事者との示談交渉を行った上で、交渉が不成立になった場合に訴訟提起することをお勧めします。

慰謝料請求される側にとっても、裁判で慰謝料請求が認められた場合には、全額ではないとはいえ弁護士費用や探偵費用まで負担させられることになるため、それらを要求されない示談交渉で慰謝料の話を終わらせるほうがメリットがあるといえます。

もっとも、配偶者と不倫相手が頑なに不倫関係の存在や慰謝料支払いを拒否している等、最初から裁判で争うことを見込まなければならない場合もあります。男女問題を専門とする弁護士に相談することで、示談で解決する可能性が高いか、裁判を見込む必要があるか等についても見通しを得ることができます。

配偶者の不倫が発覚して、不倫相手も特定した場合には一人で解決しようとせず、男女問題を専門とする弁護士にご相談ください。

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担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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