残業代請求
高所得の医師は残業代を請求できないって本当?弁護士が解説!
1.本記事は以下の方を対象にしています
・医師の方
・高所得者(年収1500万円以上の方)
・基本給に残業代が含まれている方
2.3つのTopics(要約)
①基本給に残業代が含まれる旨の雇用契約であった場合でも残業代を請求できる可能性がある
②高収入で裁量性の高い医師という職業であっても変わらない※本件の医師の年俸は1700万円
③請求できるかどうかのポイントは、労働契約における基本給の定めが、通常の労働時間の賃金部分と残業代部分に判別することができるかどうか
3.どのような事案?
この記事が参考にした判例:最二小判平成29年7月7日
⑴判決の概要
医療法人が医師に対して、未払い残業代を支払う義務がある可能性がある
として、最高裁は高裁に未払い残業代の金額などを再度審理するよう差し戻しました。
⑵判決の理由
基本給に残業代が含まれる旨の雇用契約の場合には、基本給の定めについて通常の労働時間の賃金部分と残業代部分とを判別することができることが必要である。
本件では、基本給に残業代を含める旨の合意はあったものの、通常の労働時間の賃金部分と残業代部分とを判別することはできない。 従って、年俸の支払いにより、残業代まで支払われたということはできない。
⑶事実関係の概要
医療法人と医師が雇用契約をしていました。
雇用契約の内容は以下の通りでした。
- 年俸は1700万円
- 医療法人には時間外規定が存在していましたが、規定に記載がある事項以外の時間外労働についての残業代は年俸に含まれる。
- 年俸1700万円のうち、いくらが通常の労働時間の賃金部分で、でいくらが残業代部分なのかは明らかではなかった。
4.諦めないでください!
雇用契約で、「基本給には残業代が含まれている」旨の契約をした場合であっても、残業代を請求できる可能性があります!
「私は契約上残業代は無いから・・」と、諦めないで是非一度弁護士にご相談ください。
5.〜一歩進んで〜
法律上の争点は何?
以下のような場合には、基本給の定めが、通常の労働時間の賃金部分と残業代部分とが明確に区別されていなくてもよく、残業代を支払う必要は無いのではないかということが問題になりました。
- 基本給に残業代が含まれる旨の雇用契約であること。
- 高収入(本件では1700万円)で裁量性の高い職業であること。
実際に、本件の高裁での判決では、通常の労働時間の賃金部分と残業代部分とが明確に区別されていなくてもよいとして、医師側が敗訴していました。 他にも、何件かの地裁などの判決でも同様の見解がありました。
しかし、本件の最高裁での判決では、基本給の定めについて通常の労働時間の賃金部分と残業代部分とを判別することができることが必要であるとされました。
担当者
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■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務
■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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