退職代行

退職代行を弁護士に依頼するメリットや注意点を弁護士が解説!

退職代行を弁護士に依頼するメリットや注意点を弁護士が解説!
この記事をSNSでシェア!

会社への退職連絡を退職代行に任せたいけれど、どこに依頼すればよいか迷っているという方は少なくありません。

世の中には数多くの退職代行サービスが存在しており、退職に失敗したり、会社とトラブルになったりするケースも増えています。

そのため、トラブルなく安心して退職を迎えるために、退職代行をどこに依頼するかというのは非常に重要な問題です。

そこで本記事では、退職代行を弁護士に依頼するメリットや費用の相場、依頼する際の注意点について解説します。

1.そもそも「退職代行」とは

退職代行とは、本人に代わり会社に対して退職意思を伝え、合わせて離職票の発行依頼などの退職手続きを行うサービスのことです。退職代行サービスとも呼ばれています。

退職代行には、2つの種類があるので、それぞれの特徴と違いを確認しましょう。

1-1.代理人として行うケース

代理人は、会社への退職意思の連絡や退職手続きのみならず、退職交渉も行います。

本人からの希望があれば、未払い残業代や退職金の支払いといった、退職に付随して発生することが多い交渉を行うケースもあります。

代理人として対応できるのは、弁護士のみです。

退職交渉や未払い残業代の交渉を弁護士以外の者が行うことは、非弁行為として法律で禁止されている(弁護士法72条)からです。なお、非弁行為については、後に詳しく解説します。

1-2.使者として行うケース

使者は、会社への退職意思の連絡や退職手続きのみ行えます。この場合、会社との退職交渉ができません。

たとえば、退職日をいつにするのかを会社と調整するというのも退職交渉の一つであり、代理人にしかできないのです。

また、使者では、退職に付随して行うことが多い、未払い残業代や退職金の支払い、有給休暇の消化に関する交渉もできません。

使者として対応するのは、一般の事業会社などの退職代行業者です。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

2.退職代行を依頼する手段は?

退職代行の依頼先には、主に弁護士、退職代行業者、労働組合の3つがあります。

それぞれの特徴を具体的に解説します。

2-1.弁護士

退職代行は弁護士に依頼できます。

弁護士といえば、訴訟や裁判手続きのイメージを持っている方が多いかもしれませんが、退職代行サービスを提供している法律事務所も少なくありません。

弁護士は、依頼者の代理人として退職代行を行うため、退職意思の連絡にとどまらず、退職交渉を行えます。

また、弁護士であれば、退職に付随して発生する未払い残業代の請求などの交渉や、会社が交渉に応じない場合の訴訟手続きの依頼も可能です。

他の依頼先に比べて、利用料金は高い場合が多いですが、後述するとおり依頼するメリットも多く、一番安心感のある依頼先といえるでしょう。

2-2.退職代行業者

退職代行業者とは、退職代行を専門に取り扱っている一般の事業会社のことです。

世の中には、多数の退職代行業者が存在しており、弁護士が業務の監修を行なっている業者もあります。

他方で、料金を支払ったのに対応してくれない、会社とトラブルを起こして連絡が取れなくなるといった悪質な業者もあるようですので、注意が必要です。

利用する際は、口コミ情報を確認した上で実際に相談し、信用できる業者かどうかを判断することが必要でしょう。

なお、弁護士が業務の監修をしている退職代行業者であっても、会社との退職交渉はできません。弁護士の監修があっても、使者であることに変わりはなく、会社との退職交渉は後述する非弁行為に当たるからです。

退職交渉ができない分、利用料金は弁護士に比べ、総じて安い傾向にあります。

2-3.労働組合

退職代行は、労働組合にも依頼することが可能です。

労働組合には、労働条件に関する団体交渉権があるため、弁護士と同様に、退職交渉ができます。

退職金や未払い残業代の請求交渉の依頼もできますが、会社が交渉に応じない場合に訴訟や裁判手続きを依頼することはできません。

利用料金は弁護士に比べれば安い傾向にあります。

ただし、一般的には労働組合に加入することが必要であり、利用料金とは別に組合費を求められることも少なくありません。

そのため、トータルでかかる費用の金額を確認しておくことが必要でしょう。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

3.弁護士以外に退職代行を依頼するメリット

3-1.利用料金が安い

利用料金が比較的安く、費用を低く抑えられるというメリットがあります。

弁護士が対応する際の報酬相場については、詳しくは後述しますが、少なくとも5万円〜15万円程度はかかることが多いです。

他方で、退職代行業者や労働組合であれば、1万円〜3万円程度で対応してくれるところもあります。

また、弁護士では、相談をすれば相談料がかかることが一般的ですが、退職代行業者では相談だけであれば無料という業者も少なくありません。

このように、利用料金の安さという点だけでいえば、弁護士以外に退職代行を依頼するメリットがあるといえます。

4.弁護士以外に退職代行を依頼する注意点

弁護士以外に退職代行を依頼してトラブルになるケースは少なくありません。

中には会社との深刻なトラブルにまで発展する場合もありますので、依頼する前に確認しておきましょう。

4-1.退職希望日に退職できない可能性がある

弁護士以外に退職代行を依頼した場合、退職希望日に退職できない可能性があります。

退職希望日を指定して退職の連絡をしたとしても、会社側が引き継ぎなどを理由に希望日の退職を拒む場合は、交渉して退職日を決めることが必要です。

しかし、退職代行業者に依頼する場合は、退職交渉ができないため、結局自ら退職日についての交渉をせざるを得ません。

また、労働組合に依頼する場合は、会社との退職日の交渉は労働組合に行ってもらえます。

しかし、退職日の交渉がまとまらず、会社とのトラブルに発展した場合は、弁護士でないと対応できないのです。

退職代行を利用する方にとって一番大切なことは、希望日に退職できることでしょう。

弁護士以外に退職代行を依頼する場合は、希望日に退職できない可能性があることを認識しておきましょう。

4-2.非弁行為として弁護士法に違反する可能性がある

弁護士以外による退職代行は非弁行為に該当する可能性があります。

非弁行為とは、弁護士以外の者が報酬を得て、訴訟や示談交渉などの代理、仲裁といった法律事務を行うことです。

退職代行業者は弁護士ではなく、退職の連絡を超えて交渉を行うことは法律事務に当たります。

そのため、退職代行業者が退職日の調整などの交渉を行えば、非弁行為として弁護士法に違反する可能性があるのです。

なお、退職金、未払い残業代の支払交渉、有給休暇の取得・消化に関する交渉なども法律事務に当たるため、退職代行業者ではできません。

また、労働組合は弁護士ではありませんが、会社との団体交渉権が認められているため、退職交渉などの交渉も可能です。

しかし、交渉がまとまらなかった場合の訴訟などの裁判手続を代理することは、非弁行為に該当するため依頼できません。

4-3.会社とのトラブルには対応できない

会社とのトラブルへの対応は、弁護士にしかできません。

退職代行を利用して退職しようとした場合、少なからず会社とのトラブルが発生することがあります。

例えば、引き継ぎしていないことを理由に損害賠償請求された、退職希望日までの無断欠勤を理由に懲戒解雇されたなどです。

このようなトラブルが生じたケースでは、訴訟などの裁判手続の利用が必要となる場合があります。

弁護士以外の退職代行では、前述のとおり、訴訟などのトラブル対応を代理することは非弁行為に当たるため依頼できません。

そのため、トラブルに至った場合は弁護士以外の退職代行では対応できず、自分で対応するか、結局弁護士に依頼せざるを得ないのです。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

5.弁護士に退職代行を依頼する5つのメリット

依頼先に迷う場合は弁護士がおすすめです。

弁護士に依頼する5つのメリットをご紹介します。

5-1.退職交渉ができる

退職代行業者の場合、退職を拒否されたり、退職日をめぐって会社と意見が対立したりしても、退職交渉ができません。非弁行為に該当するからです。

弁護士であれば、希望の退職日での退職を求め、会社との退職交渉ができます。

多くの会社では、本人よりも弁護士から交渉を受けた方が、慎重に対応を検討するでしょう。

そのため、当初退職を拒否されたものの、弁護士が交渉に入ると退職を認めたというケースが圧倒的に多いと言えます。

5-2.失敗する可能性が低い

退職代行業者では交渉ができませんし、労働組合でも交渉がまとまらなければ、会社に退職を認めさせる術はありません。

弁護士であれば、会社が拒否しても訴訟や裁判などの強制力のある手続きにより、会社に退職を認めさせることができます。

実際に訴訟にまで至るケースはほとんどありませんが、退職を法的に確認させるまでとことん対応できるのです。

そのため、もし交渉がまとまらなかったとしても、退職に失敗する可能性は低いでしょう。

5-3.残業代請求や有給休暇の消化交渉などもできる

退職する際に合わせて未払い残業代や退職金の支払請求を行いたい、退職日まで有給休暇を取得したいという方は少なくありません。

中には、在職中に受けたパワハラやセクハラについて、会社や上司に対して損害賠償請求をしたいという方もおられます。

弁護士であれば、退職代行を依頼する際に、これらの退職に付随する請求も合わせて依頼することが可能です。

弁護士以外の退職代行サービスでは、退職代行を依頼する場合と同じく、退職に付随する請求についても十分な対応ができません。

具体的には、退職代行業者では会社と交渉できませんし、労働組合では交渉がまとまらなかった場合に対応する術がないのです。

5-4.会社とのトラブルへの対応を任せられる

弁護士以外の退職代行サービスでは、会社とのトラブルが発生した場合には対応できません。

会社とのトラブルとしてよくあるのは、以下の2つのケースです。

  • 退職日までの有給休暇の消化を拒否され無断欠勤として懲戒解雇される
  • 引き継ぎができず業務に支障が出たとして損害賠償請求を受ける

弁護士に依頼していれば、仮にこのようなトラブルになったとしても、そのまま対応を依頼できます。

なお、詳しくは後述しますが、弁護士に対応を依頼しておけば、会社からの損害賠償などの請求が認められる可能性は低いです。

5-5.安心して依頼できる

世の中の退職代行業者の数は非常に多く、中には悪質な業者も存在しています。

具体的には、手数料だけ先に取得して連絡が取れなくなる、会社とトラブルを起こして放置されるといった問題を起こす業者です。

弁護士であれば、このような悪質な対応をされる可能性は低いでしょう。

なぜならば、悪質な対応について弁護士会に苦情が入れば、業務停止や除名といった重い懲戒処分を受ける可能性があるからです。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

6.弁護士に退職代行を依頼する際の3つの注意点

退職代行は、弁護士であれば誰でも十分な対応ができるわけではありません。

弁護士に退職代行を依頼する際の主な注意点を3つご紹介します。

6-1.退職代行業務における実績があるか

弁護士に退職代行を依頼する際は、依頼先の弁護士に退職代行業務の十分な実績があるかどうかを確認する必要があります。

弁護士であれば退職代行サービスの提供自体はできますが、やはり専門的に取り扱っており実績豊富な弁護士の方が対応がスムーズかつ適切です。

特に、会社との退職交渉の見通しについての説明では、豊富な対応経験にもとづいた適切な説明が受けられるでしょう。

そのため、事前にホームページや口コミなどで退職代行業務の経験や実績を確認し、実際に相談した上で、依頼するべきです。

6-2.労働問題を専門的に取り扱っているか

ホームページを確認する際は、退職代行業務の実績のみならず、広く労働問題全般を専門的に扱っているかどうかを確認しましょう。

退職を希望する方の中には、未払い残業代や退職金の請求といった退職以外の交渉を合わせて行いたいという方も少なくありません。

労働問題に広く精通している弁護士であれば、退職交渉以外にも、会社に対して必要な請求を行うことができ、適切な対応が期待できるでしょう。

また、ご自身では退職の際に会社に請求できることはないと思っている場合でも、一度労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

相談した結果、過去に受けたパワハラについての損害賠償請求など、会社に対して請求できる権利があると判明する場合があるからです。

6-3.弁護士費用が明瞭か

弁護士費用が一見して明らかであるかどうかは、依頼する上で重要です。

初めて相談する際は、相談の時点で相談料がかかるのかや、どの程度かかるのかが、気になるのではないでしょうか。

また、退職代行を依頼する場合に、代行手数料はいくらか、退職できた場合に成功報酬が発生するのかなども事前に知っておきたいでしょう。

弁護士費用については、ホームページに掲載している法律事務所もありますし、事前に電話やメールで問い合わせれば説明してもらえます。

そのため、相談前や依頼前に弁護士費用の説明がない法律事務所や、説明があいまいな場合は、注意すべきでしょう。

また、退職代行と合わせて他の請求を依頼する場合は、一般的には別料金になりますので、トータルでどの程度の費用がかかるかを確認すべきです。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

7.弁護士に退職代行を依頼した際の弁護士費用の相場は?

弁護士に退職代行を依頼した場合の費用相場は、5万円〜10万円程度です。

退職代行業者や労働組合と比べると以下の表のとおりになります。

費用相場会社との交渉トラブル対応
弁護士5万円〜15万円
退職代行業者1万円〜5万円××
労働組合2万5000円〜3万円×

出典:日本労働調査組合 退職代行サービスの金額|料金相場と対応内容に注目して選びましょう

他の退職代行と比べると高めの費用相場にはなっていますが、会社との交渉やトラブル対応も任せられるので、安心して依頼できるのが弁護士です。

なお、未払い残業代や退職金の請求などを合わせて依頼する場合は通常、退職代行サービスとは別料金になります。上記費用相場には含まれていませんのでご注意ください。

相談無料初回60分

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

8.退職代行に関するよくあるQ&A

8-1.退職できないケースもありますか

A.ほとんどのケースで退職できます。

正社員などの期限の定めのない雇用契約の場合、法律上、会社に対して退職の申し出を行ってから2週間が経過すれば、退職になります。

会社の就業規則などで2週間よりも前の申し出(例えば、1ヶ月前)が必要とされていても、そのような規定が無効であるという場合もあります。

そのため、正社員の場合には、退職届などを提出して2週間が経過すれば、会社の承諾の有無にかかわらず、退職可能であることを主張し、退職を求めていきます。

なお、契約社員などの雇用期間のある社員は、法律上も雇用期間のある間は原則として退職できません。

ただし、働く意欲の低い労働者を残しておく会社のメリットはありませんので、雇用期間中であっても交渉によって退職できる場合もあるでしょう。

8-2.即日退職できますか

A.即日退職できるケースもあります。

前述のとおり、期限の定めのない雇用契約であっても、法律上、退職となるには会社に対する退職の申し出から2週間経過することが必要になります。

裏を返せば、即日退職などの2週間以内の退職を希望する場合、原則として会社の承諾が必要です。

ただし、残っている有給休暇を取得すれば、退職の申し出日から退職希望日までの間は出社する必要がないため、即日退職に近い形を実現できます。

この場合、会社は基本的に退職希望者の有給休暇の消化を拒否できません。

また、有給休暇が残っていない場合でも、会社との交渉により即日退職が認められるケースもあります。

8-3.会社から損害賠償請求や懲戒解雇を受けることはありませんか

A.会社からの損害賠償請求や懲戒解雇が認められる可能性は低いです。

退職代行を利用した場合、悪質な会社からは、業務の引き継ぎの未了を理由とした損害賠償請求や、退職日までの無断欠勤を理由とした懲戒解雇を受けることがあります。

しかし、このような会社の主張が認められる可能性は低いです。

労働者には、前述したとおり、退職の申し出によって退職する権利が法律上認められているからです。

ただし、損害賠償請求などの会社とのトラブルへの対応は、弁護士にしか依頼できません。

弁護士以外の退職代行業者に依頼して会社から損害賠償請求を受けた場合には、改めて弁護士に依頼して対応してもらう必要があるでしょう。

9.まとめ

弁護士に退職代行を依頼することには、退職に失敗する可能性が少ない、残業代などの請求も合わせて依頼できる、などのメリットがあります。

また、悪質な対応をされる可能性が少ないことや、会社とのトラブルにも対応してくれることも大きなメリットでしょう。

そのため、確実に退職したい方や、安心して対応を任せたい方は、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に退職代行を依頼する際は、退職代行業務の実績や他の労働問題の取扱い実績が十分な弁護士に依頼しましょう。

依頼する前に弁護士費用を確認しておくことも大切です。

退職代行について初回は無料で相談を受けている法律事務所もありますので、悩んでいる方はまずは相談してみるとよいでしょう。

この記事をSNSでシェア!

少しでもお悩みでしたら、
弁護士にご相談ください。

相談無料初回60分

担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
ホーム お役立ちコラム 労働問題 退職代行 退職代行を弁護士に依頼するメリットや注意点を弁護士が解説!

電話受付時間 10:00〜17:30 (土日祝・年末年始を除く)