退職代行

退職代行が失敗するケースとは?失敗しない方法を弁護士が解説!

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近年、退職代行サービスの需要拡大に伴って新規参入業者が増加しています。退職代行サービスにはメリットも多い反面、トラブルが生じるリスクもあります。

本記事では、退職代行サービス利用の失敗例や失敗なくサービスを利用する方法等について解説します。

1.退職代行サービスの失敗とは

退職代行サービスとは、従業員本人に代わって会社に退職の意思を伝えて退職手続きを行うサービスをいいます。

終身雇用制度が崩れて外資系企業以外でも転職することが当たり前になった現在では、正社員が会社を辞めることに対するハードルが低くなっています。その一方で人手不足等を理由に会社が退職を承認してくれなかったり、後任者が見つかるまで退職させないと言われるなど「会社を辞めたいのに辞めさせてもらえない」ケースが増えています。このような背景から退職代行サービスの利用者が増え、退職代行サービス業者も増加しています。

退職代行サービス業者が増加している中でサービスの質の低い業者も散見されています。退職代行サービスに依頼したのに会社を辞めることができなかったり、想定外の高額な料金を請求される場合があります。また、会社が嫌がらせ的に転職の妨げになるような取扱いを行うケースもあります。退職代行サービスを依頼するにあたっては、そのような失敗が起こってしまうリスクを考慮しなければなりません。

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2.退職代行サービスを使って後悔するケース

会社を辞めたいが、そのために出社したくないので退職代行サービスの利用を考えている方にとって、過去の失敗例にはどのようなものがあるかは気になるところです。本章では退職代行サービスを使って後悔するケースを紹介します。

2-1.追加の費用が高かった

退職代行サービスを利用したことを後悔するケースとして、まず想定よりも多額の利用料を支払うことになってしまったことが挙げられます。退職という状況にある以上ほとんどの依頼者が費用をできる限り安く抑えたいと考えているだけに、事前の説明なしに追加費用を請求され、結果として予想していた金額よりも高額になってしまったような場合には後悔することになります。

2-2. 悪質業者に引っかかってしまった

また、料金の安さや楽に退職できることを謳う文句につられて選んだ業者が悪質業者であったということもあります。極端なケースでは、初回の対応が丁寧だったのに前払いで料金を支払ったとたんに全く連絡が取れなくなったというものもあります。また、料金が安くしかも後払いなので安心と思っていたら「会社側に退職を受け入れてもらうための交渉に労力がかかった」等を理由に法外な追加料金を請求されてしまったという場合もあるようです。

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3.退職代行サービスの失敗事例とリスク

退職代行サービス利用を考える方は、「会社の人と顔を合わせずに」「できるだけ安い料金で」退職手続きを済ませたいというのが本音ではないでしょうか。退職代行サービス業者の中には料金の安さを謳うものも多くあります。しかし、退職手続は一定期間続いた雇用契約を終了させる法律行為であることから、会社と従業員それぞれの権利義務を全て清算する必要があります。その意味で、料金の安さだけにつられて業者に依頼してしまうことにはリスクがあります。本章では退職代行サービスの失敗事例と、失敗事例に現れる様々なリスクについて例を挙げて解説します。

3-1. 契約金を支払ったら連絡が取れなくなった

退職代行サービス業者の多くが、契約料金の一括前払い制を取っています。前払いのリスクとして実際に起こりうるのが「料金を支払ったとたんに連絡が取れなくなった」というものです。これは明らかな契約違反(債務不履行)なので契約料返還請求ができます。しかし、退職を早く済ませたいから代行業者に依頼したのにそのような所で悪質業者を相手に時間と労力を使う事態になるのは避けたいところです。

3-2. 想定外の追加料金を請求された

前払いの場合も後払いの場合も、契約書に明文で記載された料金以外のの料金が発生するか否かを確認していないと、契約料金以上の追加料金を請求されてしまった等のトラブルが発生する可能性があります。

3-3.即日対応してもらえず会社から連絡が来た

料金の安さを謳っていた業者に依頼したら、会社から連絡がきて「本人が退職の意思表示を行わなければ退職を認めないので出社するように」言われてしまったという事例もあります。あるいは、代行業者による退職届は受理するが、引継ぎや私物の回収が完了していないのでそのために出社してほしいと言われる場合もあります。

3-4.退職金・未払賃金・残業代請求・有給消化等の権利行使ができなかった

料金の安さを売りにする業者に依頼した場合に起こりやすいケースとして、退職は認められたものの退職金や未払いの賃金・残業代を支払ってもらうことができなかったり、有給消化も認められなかったというものがあります。弁護士や労働組合が関与しない民間業者が退職手続代行を行った場合、対応業務に退職金や残業代を含む賃金支払いについての交渉が含まれていません。そのため、退職金請求等の権利行使ができないまま退職が完了してしまうという問題が起こります。なお、仮に「会社との交渉」が含まれていた場合、弁護士でない者が法律事務[訴訟・調停・示談交渉・法律相談]を行う「非弁行為」に該当するので弁護士法第72条違反となります。

有給休暇については労働基準法第39条7項により、従業員が権利行使しなくても年に5日までは取得させることが義務づけられています。逆に年5日以上は与えなくても違法にはないなどと考える会社側が代行業者に「すでに年5日取得させているからこれ以上は与えない」と伝えて代行業者がそのまま受け入れてしまうということが起こりえます。

3-5.会社から損害賠償請求された

正社員(雇用期間の定めのない従業員)の場合、民法第627条により退職(雇用契約の解約の申し入れ)はいつでもすることが可能で、従業員側が退職の意思表示(解約の申し入れ)を行ってから2週間を経過すると会社との雇用契約が終了します。従って会社を退職すること自体は全く違法ではありません。

しかし、その従業員がプロジェクトの途中で辞めてしまった場合等、退職が認められても「会社の目標達成を阻害したり取引先に損害を与えたこと」等を理由に会社から損害賠償請求されてしまうケースがあります。

これは後述のように不当な請求なのですが、退職することや代行業者を使うことに対して罪悪感があると、賠償請求に応じなければならないのではないかと悩んでしまうかもしれません。

3-6.会社をやめることができなかった

会社によっては、就業規則で退職代行サービス利用を禁止している場合があります。また公務員の場合も注意が必要です。退職代行サービス利用が禁止されていることを知らずに業者に依頼してしまった場合、最悪の場合懲戒解雇処分になってしまう可能性もあります。

3-7.無断欠勤扱いにされて懲戒解雇されてしまった

会社によっては、代行業者を使われたことで嫌がらせ的に無断欠勤扱いにして懲戒解雇処分にしてしまうことがあります。ただし懲戒解雇に対しては労働契約法第16条の解雇権濫用の法理が厳格に適用されます。また退職したいと思った原因に上司や同僚によるパワハラがあるような場合はその事情とあわせて解雇権濫用による不当解雇が認められやすくなります。とはいえ、懲戒解雇処分にされてしまうと通常退職金も支払われず、転職活動に悪影響を及ぼすことも避けられません。

3-8. 離職票や源泉徴収票を発行してもらえなかった

転職先が決まっていたので早く退職手続きを終わらせようと代行業者に依頼したら、会社側が嫌がらせ的に退職時に発行すべき離職票や源泉徴収票を発行しないというトラブルも起こりうるものです。離職票と源泉徴収票は転職先の会社に提出義務があるため、発行してもらえないと転職先の会社との契約手続きを進められなくなってしまいます。

なお、離職票と源泉徴収票については会社側に発行義務があるので、発行してもらえなかった場合は労働基準監督署に相談すれば会社に発行するように指導してもらうことができます。

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4.退職代行サービスを使う前に確認すべき点

このように、退職代行サービスを利用することには色々なリスクがあります。本章では退職サービス利用によってトラブルに巻き込まれることのないよう、事前に確認すべき点について解説します。

4-1.会社の就業規則で退職代行サービス利用が禁止されていないか

最初に確認すべきことが、就業規則の退職に関する規定です。前述のように会社によっては就業規則で退職代行サービス利用を禁止している場合があります。また管理職やプロジェクトの責任者のように、一定の地位に就いている従業員に対して退職代行サービス利用を禁止している可能性もあります。全ての従業員に対して退職代行サービス利用が禁止されていないか否か、直近の役職や地位が退職代行サービス利用禁止の対象になっていないか否かを確認してください。

4-2. 即日対応の可否

退職代行業者のサイト上で「簡単に会社を辞められる」等の不明確な文言ではなく、明確に「即日対応可能」という言葉が使われているかを確認してください。また、最初にコンタクトした時にも即日対応できるかどうかについてメールや口頭で確認することをお勧めします。

4-3.対応範囲(未払賃金等の交渉ができるか否か)

また、その業者が対応可能な業務の範囲についても確認する必要があります。この点、弁護士自らが退職代行業務を全て行う場合は退職意思表示だけでなく、未払賃金・残業代請求や有給消化等の権利行使に関わる交渉をすることが可能です。また、労働組合が退職代行業務を行う場合は、未払賃金・残業代請求についての交渉を労働組合法で認められた団体交渉権に基づいて行うことができます。ただし会社との交渉がまとまらなかった場合、訴訟手続の代理を行うことができるのは弁護士に限られます。

4-4.契約料金に関する事項

その業者の契約料金が何円であるかが一番気になるところですが、金額そのものに加えて支払いのタイミング(前払いか後払いか、追加料金が発生するか否か等)についても確認が必要です。

前述したように前払いの場合も後払いの場合もそれぞれリスクがあります。前払いの場合は代行業者が退職代行業務に着手したことや進行状況について業者側に報告義務があること、追加料金が発生する可能性、発生する場合の料金概算等について契約書で確認してください。後払いの場合は最初の概算見積もり及び見積もりよりも費用が加算される可能性やその場合の概算見積もり等も提示してもらってください。

4-5.サービス全体に関する口コミ

業者への依頼を検討するにあたって口コミを参照する必要があることは勿論なのですが、口コミについては料金だけでなく、サービス全体に対する満足度に注目してください。利用者によっては、料金の安さだけを評価基準にしている場合もありますが、あくまで自分が理想とする退職のイメージとその業者のサービス内容が一致するかどうかを判断基準にしてください。ネガティブな口コミがあっても、その低評価の理由が自分にとって許容範囲内であれば問題ないといえます。

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5.退職代行サービス依頼を失敗しない方法とは

本章では、前章に挙げた事項を確認することを前提に、退職代行サービス依頼に失敗しない方法について解説します。

5-1.弁護士または労働組合が運営する業者に依頼する

まず、退職代行サービス依頼に失敗しない方法として確実なのは「弁護士(法律事務所)または労働組合が運営する退職代行サービス業者に依頼する」ということです。

[運営元の違いによる退職代行の料金相場]

運営元料金相場会社との交渉の可否訴訟対応の可否
労働組合30,000円~50,000円
弁護士100,000円~200,000円
民間企業10,000~50,000円

日本労働調査組合 退職代行サービスの金額|料金相場と対応内容に注目して選びましょう

民間企業が運営する業者は概して料金が安いことにメリットがありますが、退職金・未払賃金その他退職条件についての交渉を行うことができません。労働組合が運営する業者は料金が比較的安く、業者の間での料金の幅が少ないことと、労働組合法で認められた団体交渉権を行使して会社と交渉できることがメリットです。

法律事務所が運営する業者の場合は通常、弁護士そのものが代行業務を行うので非弁行為の心配がなく、退職条件の交渉がまとまらずに訴訟になった場合を含めて全ての業務を適法に行うことができます。

なお、民間企業が運営する業者で「弁護士提携」と表示している場合は注意が必要です。民間企業が運営する業者の場合、代行業務自体はその企業の従業員が行うのですが、その業務が顧問弁護士の具体的指示のもとで行われている場合は非弁行為にはあたりません。ただし、形式的に顧問弁護士が存在しているだけで個別の業務の指示を与えていない場合は非弁行為にあたり違法です。

5-2.自身の状況を詳細に伝える

また、代行業者への依頼にあたっては行使できる会社とのトラブルが起こるリスクを可能な限り減らすため、代行業者に対して退職をめぐる自身の状況について詳細に伝えるようにしてください。例えば会社の業種、部署や自身の仕事内容、転職先が決まっているか、未払い賃金や残業代がある可能性、有給消化の意思等です。

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6.退職代行を弁護士に相談するメリット

退職代行サービスを依頼する場合料金を安く済ませようという心理が強くなりがちですが、失敗のリスクなく安全・円滑に退職手続を終わらせて、未払賃金や残業代も確実に受け取れるようにするためには、退職代行業務を行っている弁護士に相談することをお勧めします。

本章では、退職代行を弁護士に依頼するメリットについて解決します。

6-1.即日対応が確実

弁護士に依頼した場合、特別な場合を除き原則として即日対応してくれます。弁護士が退職の意思を伝えた場合、引継ぎ等、弁護士が関与できない残務処理がある場合を除いて従業員が再び出社する必要はなくなります。

6-2.未払賃金・残業代・有給消化の交渉や訴訟対応も依頼できる

弁護士に依頼した場合最もメリットが大きいのが「退職の際に行使できる権利をすべて行使することが可能である」ことです。退職手続きそのものを完了させることに加えて、退職金・未払賃金・未払残業代を予め算定した上で会社に請求交渉を行ったり、有給消化の意思がある場合は併せて有給取得の交渉を行うことができます。

前章の表で示したように、弁護士が運営する業者に依頼した場合は契約料金は相対的に高くなります。しかし、金銭的な請求を行いたい場合や会社との間でもともとトラブルを抱えていた場合には、確実に金銭債権の行使ができる分かえってプラスが大きいともいえます。たとえば弁護士に依頼して退職金と未払残業代を受け取ることができれば契約費用を充てても、民間企業に依頼した場合に比べて確実に収穫があることになります。

6-3.不当な損害賠償請求や不当解雇を防ぐことができる

退職代行を弁護士に依頼した場合、会社から「勝手に退職したために会社に損害を与えた」等という理由で損害賠償請求されたり、あるいは代行業者が退職の意思を伝えたら本人の無断欠勤を理由に懲戒解雇処分にされてしまう等という不当な取扱いをされるリスクがなくなります。

また、弁護士に依頼した時点でそれらの請求や処分をされていた場合には、請求が不当である旨を弁護士が主張することにより請求や処分を撤回させることができます。

なお、契約社員・アルバイト等の有期雇用の従業員の場合は、民法第628条により「やむを得ない事由」がある場合に限り契約期間の途中で退職することができます。従って、原則として雇用期間の途中で退職することはできません。

しかし、例えばパワハラやセクハラ等のハラスメントを受けたために会社を辞めたいという場合は「やむを得ない事由」と認められます。また、ハラスメントを受けた場合は民法第628条により退職の「やむを得ない事由」が相手方当事者(会社)の過失によって生じたものといえるため、同条に基づいて会社のほうが従業員に対して損害賠償責任を負うことになります。このことから、有期雇用の従業員が契約期間の途中で退職代行サービスを利用して退職したい場合は、退職理由が賃金未払い・残業代未払い・ハラスメント等の会社側の違法行為にある場合に限りサービスを利用することができます。この場合は、弁護士に依頼することによって会社に対する損害賠償請求も可能でしょう。

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7. まとめ

以上のように、退職代行サービスは需要の増大とともに業者の数も増え、退職そのものができなかったり懲戒解雇扱いにされてしまう等トラブルも増加しています。利用する側が事前にリスクを知った上で依頼する必要があります。弁護士が退職代行を行う場合、即日対応により円滑に退職手続きを完了させることができるとともに、未払賃金や残業代の請求・有給消化等の交渉も代理してもらうことができます。

退職代行サービスについて御質問や不安な点がありましたら、ぜひ退職代行サービスを行っている法律事務所の無料相談を御利用ください。

私たち法律事務所リーガルスマートは、退職代行をはじめとする労働問題の専門チームがございます。初回60分無料でのご相談をお受付しています。不安なことがあったら、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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担当者

牧野 孝二郎
牧野 孝二郎法律事務所リーガルスマート弁護士
■経歴
2009年3月 法政大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院法務研究科修了
2012年12月 弁護士登録(東京弁護士会)
2012年12月 都内大手法律事務所にて勤務
2020年6月 Kiitos法律事務所設立
2021年3月 優誠法律事務所設立
2023年1月 法律事務所リーガルスマートにて勤務

■著書
・交通事故に遭ったら読む本 第二版(出版社:日本実業出版社/監修)
・こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)
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